16世紀まで
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/25 09:44 UTC 版)
声楽に対比する器楽という概念の登場は、17世紀以降の西洋音楽の発展と、楽器の製作技術の発達に結びついている。 古代から16世紀末に至るまで、器楽は音楽の中では重視されていなかった。初期のキリスト教音楽では、楽器の演奏は典礼の言葉に役に立たず、信仰に無縁であるとして重要視されていなかった。9世紀には北ヨーロッパにおける器楽合奏がポリフォニーの成立に寄与し、13世紀から14世紀にはサルタレロなどの舞曲、エスタンピーや器楽によるモテットがフランスやイタリアで発達した。やがて器楽的な発想が声楽に影響を与えるようになり、15世紀から16世紀のフランドル楽派では器楽的要素が重視されている。15世紀にはドイツの舞曲、前奏曲、典礼のためのオルガン音楽が発達を見せた。 また、中世からルネサンス期までは声楽と器楽の区別も必ずしも明確ではなく、同じ作品が器楽としても声楽としても演奏されていた。16世紀になると鍵盤楽器やリュートのための独奏曲、各種の楽器を組み合わせた重奏曲などが登場しはじめた。前奏曲やトッカータは、調弦・調律の必要性などから純粋な器楽曲として発生した。 ただ、16世紀末までは音楽の代表的地位は依然として声楽にあり、言葉(歌詞)と音楽は不可分の関係にあった。
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