阿曽原温泉小屋
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/30 18:18 UTC 版)
1949年(昭和24年)に阿曽原温泉小屋が建てられた。黒部峡谷の核心部「下廊下」を通る登山道である水平歩道沿いにあり、水平歩道および仙人谷ダムで同歩道と接続する日電歩道(黒部ダム方面)と雲切新道(仙人温泉方面)への中継地として利用されている。特に下廊下においてはここが唯一の山小屋であることや、日電歩道が黒部ダムまで通行できるようになるのが毎年9月頃になってからのため、山小屋としては珍しく秋が最も混雑する。一方、10月末以降は日没が早くなってくることや、冷え込みが強くなり路面凍結や積雪のおそれが出てくることから、例年、10月末には小屋の営業を終了している。営業終了後は風呂・トイレ・水場の利用もできなくなる。 2020年現在の経営者は、富山県警察山岳警備隊隊員から転身した人物である。定員は50名で、加えてテント30張分のキャンプ指定地がある。小屋・キャンプ指定地ともに水洗トイレ・水場あり。一帯は中部山岳国立公園内のため、キャンプ指定地以外での幕営は禁止されている。 黒部峡谷は豪雪地帯であり、温泉が位置する阿曽原谷も雪崩の巣窟のため、損壊の危険があることから恒久的な建物の設置は不可能である。このため小屋はプレハブ造りで、毎年秋の営業終了後に解体され、翌年の初夏に再び組み立てられる。同様の理由で冬季に解体される山小屋として、白馬鑓温泉小屋・白馬尻小屋がある。 プレハブユニットを新型のものに入れ替えようとしたこともあったが、新型のユニットは鉄骨が軽量化されているために冬季間の解体保管中に雪の重みによって変形し使えなくなってしまうことや、豪雪に耐えられる強度のものを特注すると多額の費用がかかることもあり、老朽化が進行しているにもかかわらず古い型のユニットが現在も使われ続けている。
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