税関検査
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/09/23 06:50 UTC 版)
国境検査は個人が出入域の要件を満たしているかを確認することを目的とするのに対して、税関検査は越境するモノについて実施されるものである。欧州連合は税関検査の法制について独占的な権限を有してきたのであるが、もともと第2次シェンゲン協定は欧州連合の枠組みの外での合意として作成されたものであった。このため加盟国はそもそも税関検査の法制についての権限がないという状況のなかで、関税検査の廃止のための解決策を見出さなければならなかった。この目的を達成するために第2次シェンゲン協定の第120条では、加盟国はモノに対する検査が「(日本語仮訳)域内における境界でモノの移動を不当に妨げないようにする」ことを確保しなければならないと規定された。また加盟国は家庭用のモノを対象とした通関制度を定めて、域内の国境を越えたモノの移動を容易にしなければならない。協定では国内あるいは圏内の国境において通関を実施することができると定めているが、加盟国それぞれの領内での通関が推奨されている。このような簡易化がなされていなければ、シェンゲン協定加盟国は既存の国内規定の改定、または欧州連合の枠組みにおける実施に努めることとされている。 欧州連合では税関検査だけではなく、欧州連合加盟国同士の国境における検査をやめて域内における関税を廃止するなど、域内の国境におけるモノの税関管理移入に関するそのほかの通関手続きも撤廃している。 欧州連合の付加価値税領域と、欧州連合の領域であっても付加価値税の対象となっていない領域との間の境界においては、税関の設置が認められている。またヘルゴラント島とドイツ本土のように、同一の国であっても領土の一部が欧州連合の共通関税の対象領域外である地域との間でも税関を設置している。ただしこれらのような境界における税関の設置は、越境しようとする個人やモノに対する検査が抜き取り検査の範囲を超えることや、有効な諜報活動に基づいているということにはならず、シェンゲン加盟国出入国規定に適合させるためにこれらの検査は非体系的でなければならない。 一方がシェンゲン協定非加盟国である2つの欧州連合加盟国間での渡航については、本人確認やパスポート検査は実施されるものの税関検査は実施されない。これはアイルランドとイギリスとの間や、イギリスとヨーロッパとの間での渡航で適用されている。
※この「税関検査」の解説は、「シェンゲン圏」の解説の一部です。
「税関検査」を含む「シェンゲン圏」の記事については、「シェンゲン圏」の概要を参照ください。
「税関検査」の例文・使い方・用例・文例
- 税関検査のページへのリンク