束帯とは? わかりやすく解説

そく‐たい【束帯】

読み方:そくたい

律令制定められ男子朝服(ちょうふく)。日常参朝の服だが、平安時代以降天皇以下の文官武官朝廷儀式公事着用した文官縫腋(ほうえき)の袍(ほう)、武官闕腋(けってき)の袍を原則とする。構成は冠・袍・半臂(はんぴ)・下襲(したがさね)・衵(あこめ)・単(ひとえ)・表袴(うえのはかま)・大口(おおくち)・石帯(せきたい)・帖紙(たとう)・笏(しゃく)・襪(しとうず)・靴などで、武官帯剣勅許文官太刀平緒(ひらお)で佩用(はいよう)する。昼(ひ)の装束(そうぞく)。

束帯の画像

束帯

読み方:ソクタイsokutai

古代における男子朝服


そくたい 【束帯】

平安時代以降朝服皇族下文武の官が朝廷出仕のとき着用正服朝衣)の名。

束帯

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/19 00:49 UTC 版)

黄櫨染御袍を着用する明仁上皇

束帯(そくたい、旧字体束帶)は、平安時代以降の、天皇以下公家男子の正装平安装束)。衣冠を「宿直(とのい)装束」と呼ぶのに対し、束帯は「昼(ひの)装束」と呼ばれる。

種類

束帯は文官用と武官用に分かれる。冠は文官は纓(えい)と呼ばれる飾りを後ろに垂らした垂纓冠(すいえいのかんむり)をかぶり、武官は纓(えい)を巻き上げた巻纓冠(けんえいのかんむり)に緌(おいかけ)と呼ばれる馬毛製の扇状の飾りが付いたものをかぶる。

(ほう)は文官と三位以上の武官は脇が縫われている縫腋袍(ほうえきのほう)、四位以下の武官は活動さを優先した脇を縫わない厥脇袍(けってきのほう)を着用する。六衛府に所属する武官は弓箭(弓と矢)を装備することが許された。

靴は文官は浅沓(あさぐつ)、武官は牛革製の鞾(かのくつ)をはく。本来は文武を問わず鞾をはいた。

武官・中務省の官人、勅許を得た参議以上の文官は、大刀を佩用した。その場合、大刀は平緒ひらおで括り、腰に結びつけた。

構成

束帯の構成

以下は文官の束帯の構成である。

  • a:垂纓冠
  • b:ほう
  • c:飾太刀かざりたち
  • d:しゃく
  • e:平緒ひらお
  • f:下襲の裾したがさねのきょ
  • g:表袴うえのはかま
  • h:大口袴おおぐちばかま

束帯の構成は下から、ひとえあこめ下襲したがさね半臂はんぴ・袍を着用、袍の上から腰の部位に革製のベルトである石帯せきたいを当てる。はかま大口袴・表袴の2種類あり、大口を履き、その上に表袴を重ねて履く。を被り、足にはしとうずを履く。帖紙たとう檜扇ひおうぎを懐中し、しゃくを持つ。公卿殿上人魚袋ぎょたいと呼ばれる装飾物を腰から提げた。

特徴

束帯を着用した皇太子時代の今上天皇

下襲の後ろ身頃(背部)は長くできており、着用時は長く尾を引くように引き擦った。この部位を「きょ」と呼び、束帯姿の大きな特徴である。また、裾の長さによって身分が表されるようになると、下襲自体が長大になった為、下襲と裾が分離するようになった(別裾)。その場合、下襲を着た後に腰に裾を当て、裾から伸びる帯を前に回して結びつけた。しかしながら、天皇皇太子が着用するものに関しては下襲と裾が続くものとされている。また、纔著さいじゃくと言われる丈の短い裾もあり、地下官人の束帯に用いられた。

文官は冬期は半臂を廃して着用していた。これは文官の用いる縫腋袍は脇が縫われているので、着用の有無を外見から判別出来ない為である。夏期は半臂が透ける(袍の布地が薄い為)ので着用されていたが、近世に入ってからは夏期も廃された。なお、『今鏡』には、冬期にくだけた場面で袍を肩脱ぎした際、皆下襲が露わになる中で藤原教通のみがきちんと半臂を着用しており、周囲がいたく自らを恥じた、という伝承が残されている。この事から、本来は冬期も半臂を着用する制であったことが窺える。天皇に関しては半臂を略さないとされる。

衣冠は本来、宮中に於ける宿直用の装束(とのいぎぬ)であったが、宮中での勤務服として定着するにつれ、束帯は儀式に用いる儀礼的な服となった。このため、両者をまとめて「衣冠束帯」とも呼ぶ。

歴史

奈良時代の『養老律令』衣服令で、礼服朝服、制服の服制が制定された[1]

礼服は朝賀ならびに即位の礼の際に着用する最高礼装であったが、のちに朝賀が廃止されると、即位の礼のみに着用されることになった。

朝服は官吏が宮廷に参内する際の日常服であったが、平安時代になると和様化して束帯へと変化した。

ギャラリー

関連項目

脚注

  1. ^ 黒板 1939, pp. 213–219.

参考文献

  • 黒板, 勝美 編『国史大系』 22巻(新訂増補)、国史大系刊行会、1939年。doi:10.11501/3431635https://dl.ndl.go.jp/pid/3431635/1/224 
  • 佐多芳彦 「公武服制の成立と展開(「朝服」と「束帯」―用例からみた平安初期公家服制)」 『服制と儀式の有職故実』 吉川弘文館
  • 津田大輔 「平安時代前期服飾復元の可能性--考証の方法と男子装束の復元」 古代文化研究16 島根県古代文化センター 2008年

外部リンク


束帯

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/01 21:03 UTC 版)

日本の染織工芸」の記事における「束帯」の解説

この時代男子正装前述した束帯姿である。体に近い方から単(ひとえ)、衵(あこめ)、下襲したがさね)、半臂(はんぴ)、袍(ほう)を着し下半身には大口の上に表袴うえのはかま)を穿き、足には襪(しとうず)を穿き石帯せきたい)を付け、頭には冠を被り、腰に太刀を佩き、手には笏を持つのが正装であった。袍は位階年齢によって使用する色に細かい決まりがあった。半臂袖なしの衣で、省略される場合もあった、下襲背後長く裾(きょ)を引くのが特色で、歩くときは供の者に裾を持たせることもあった。石帯は革製のベルト、襪は足指のない足袋である。束帯の大口表袴指貫さしぬき)に代えたものを布袴姿(ほうこすがた)、さらに袍を直衣(のうし)に代えたものを直衣布袴姿といった。指貫は、裾を括り緒で括った、ゆったりとした袴である。束帯はあらたまった礼装であり、通常衣冠直衣用いられることが多かった衣冠は束帯の半臂下襲、衵、襪、石帯略したもので、長く裾を引く下襲用いず石帯代わりに共布の紐を用い大口表袴代わりに指貫用いた衣冠の袍を直衣代えたものが直衣姿である。普段着として狩衣があった。

※この「束帯」の解説は、「日本の染織工芸」の解説の一部です。
「束帯」を含む「日本の染織工芸」の記事については、「日本の染織工芸」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「束帯」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ

「束帯」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

', '', '', '', '', '', '', '', '', '', '', '', '', '', '', '', '', '', ''];function getDictCodeItems(index) {return dictCodeList[index];}

すべての辞書の索引

「束帯」の関連用語




4
昼の装束 デジタル大辞泉
96% |||||

5
94% |||||

6
94% |||||


束帯のお隣キーワード
検索ランキング
';function getSideRankTable() {return sideRankTable;}

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



束帯のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
中経出版中経出版
Copyright (C) 2025 Chukei Publishing Company. All Rights Reserved.
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの束帯 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの日本の染織工芸 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS