有機EL照明
別名:有機エレクトロルミネッセンス照明
英語:OLED lighting、Organic Electro Luminescence lighting
有機EL(有機エレクトロルミネッセンス)を利用した照明機器。パネル状に加工した照明機器として開発が進められている。
有機ELは、有機物に電圧を加えて発光する現象を利用したもので、従来一般的である輝度や省電力性に優れるとされている。
有機EL照明と同様の特徴を持つ高輝度・低消費電力の次世代照明としては、発光ダイオード(LED)を利用したLED照明があり、こちらは既に実用化され、普及も進みつつある。ただし、LED照明はどちらかといえば指向性が高い点光源であるのに対して、有機ELは、パネル全体を発光させて広範囲に柔らかい拡散光を発する面光源に適するという特徴がある。
有機EL照明は、蛍光灯のように空間を広く照らす面照明を、面そのものが光ることで実現する点で画期的とされる。例えば、天井全体を照明にすることもできる。2012年1月時点では、試作や検証が行われている段階であるが、すでに複数の企業が本格的に開発に乗り出すなど、実用化に向けての本格的な取り組みが進められている。
関連サイト:
有機EL照明基礎知識 有機EL照明とは? - コニカミノルタ
ゆうきイーエル‐しょうめい〔イウキ‐セウメイ〕【有機EL照明】
有機EL照明
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/01 09:26 UTC 版)
「有機エレクトロルミネッセンス」の記事における「有機EL照明」の解説
有機ELによる照明機器への応用可能性は2008年6月にUniversal Dispay Corp.(UDC社)が発表した102lm/Wという高発光効率以降、大きな進展を見せている。従来、発光効率の高い材料は構造が不安定で寿命が短く特に青色の発光では良い物がなかったが発光効率と寿命の点では大きな課題はなくなり2009年の内には最初の製品が登場する。2012年には東急電鉄自由が丘駅の照明の一部に有機EL照明が導入されている(日本国内の鉄道駅としては初の実用設置)。また、白色有機ELを開発するなど有機ELの研究で有名な山形大学を有する山形県では、県内の様々な施設において有機EL照明を積極的に導入している。 有機EL照明はすでに製品化が始まっているLED照明の後を追うように開発競争と実用化への目処が進んでおり、特にLED照明では不可能な「面発光」や「形状に制約がない」「透明である」点ではLED照明がほとんど点発光であるために小型化には向いても発熱という制約や光の拡散に工夫が求められる点と対照を成しており、今後住み分けが進むかさらにLEDを超えて普及する可能性があると考えられている。 現在有機ELの主流であるガラス基板に代わりプラスチックフィルムなどの基板を使うことにより、フレキシブルに曲げることも可能である。将来、柔軟な素材に印刷することも検討されている。 2008年時点では1,000cd/m2の輝度が当面の製品化目標として設定されており、これはテレビ画面の2倍程度であるため単独での照明機器としては不十分である。しかし面発光・透明であり1mm以下と元々薄いため、透明な大きな板を壁面に立てかけるだけの形状や必要なら何枚でも重ねることで面積当りの輝度は高められるので問題とはならないとする意見もある。日本のルミオテック社では今後、板を積層することで蛍光灯と同水準の5,000cd/m2の輝度を持つ製品を生み出す計画である。コストも2008年時点での白色LED照明と同じ4円/lm前後での目処はついており、2015年には1円/lmにできるという予測もある。[要出典] 現在抱える技術的な問題は光の取り出し効率が25%程度と低い点と発光板の位置によって温度ムラや電流ムラがあり、これによって輝度ムラが生じてしまう点、そしてディスプレイ分野で他に代替材がない希少資源のインジウム(透明導電膜のITOとして使用される)を大量に消費するためインジウムの枯渇原因として危惧される事である。発光効率の問題に絡み蛍光材料ではなくリン光材料を使うことも模索されている。 すでに将来の窓ガラスへの応用を考慮して、裏面(室外)に光が漏れないような1方向に光を透過させる技術の開発も行なわれている。 有機EL開発を進めている会社には判っているだけで米GE社、パナソニック電工、コニカミノルタ、カネカ、独OSRAM社、独Novaled AG社、ルミオテック社があり調査会社の富士経済は2011年の日本国内での有機EL照明の市場規模は100億円を超え世界市場では2015年に5,000億円以上、2020年には1.4兆円になると予測している。 自由が丘駅の定期券売り場に設置された有機EL照明(パナソニック社)(2013年12月) 同駅の正面口改札窓口に設置された有機EL照明(パナソニック社)(2013年12月) 山形市・霞城セントラル1Fのやまがた観光情報センター内に設置された有機EL展示販売窓口「Organic LED YAMAGATA(有機ELプラザ)」(2017年8月)
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