宗不旱とは? わかりやすく解説

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宗不旱

読み方そう ふかん

歌人熊本の人。本名一郎少年時代から文学親しみ窪田空穂知り十月会に入る。短歌実作のみでなく歌論評論評釈にも活動した万葉調大らかな作風のなかに苦渋人生と夢との交錯を歌う。世俗徹底的に背をむけた歌人であった歌集筑摩鍋』『茘支』がある。阿蘇山中で昭和17年1942行方不明となる。59才。

宗不旱

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/07/03 07:49 UTC 版)

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宗 不旱(そう ふかん、1884年5月14日 - 1942年5月末)は、歌人万葉調の歌をよみ、漂泊の歌人と称された[1]

概略

1884年(明治17年)、熊本県熊本市上通町に父嘉次郎の長男として生まれ、熊本県鹿本郡来民町(現山鹿市鹿本町来民)の祖父嘉七の家で育つ。本名は耕一、のち耕一郎と称した。不旱は号である[2]

熊本市の済々黌を退学し、長崎鎮西学院を卒業する。1902年(明治35年)熊本医学校に入学するが、中退。上京し、窪田空穂の知遇を得て、作歌をはじめる。1912年大正元年)より朝鮮半島に渡り、中国台湾などを10年以上にわたって放浪。放浪中は中国の詩書を学びつつ作りの技術を身につけた。1923年(大正12年)に帰国、硯工として生計を立てながら作歌、評論活動を続ける[2]

1942年昭和17年)、熊本県阿蘇郡阿蘇町内牧(現阿蘇市内牧)を出て、失踪、行方不明となった。終焉の地は、菊池郡旭志村(現菊池市旭志)の鞍岳山中とされ[2]、同年9月25日に遺体が発見された[3]

評価

作家荒木精之は、自身の著作「熊本文学ノート」において「宗不旱といふ歌人は、筑後の北原白秋、日向の若山牧水と並び称される肥後の歌人」と述べている[4]

作品

著書

  • 「柿本人麻呂歌集・新釈」

歌集

  • 「筑摩鍋(つくまなべ)」
  • 「茘支(にがうり)」

歌碑

熊本市、出水神社

  • ふるさとに なお身を寄する 家ありて 春辺を居れば 鶯の鳴く

山鹿市鹿本町、山鹿市役所鹿本支所

  • くちなしの 実もて以ろ塗る ふるさと乃 来民の團扇 春の日に干す

菊池市旭志、鞍岳

  • 山に居れば 遠方野辺の もえ草を 心に留めて 高きより見る

阿蘇市、内牧黒川河畔文学碑公園

  • 内之牧 朝やみ出でて 湯に通ふ 道のべに聞く 田蛙のこゑ

阿蘇市、隼鷹(はやたか)宮

  • 隼鷹の 宮居の神は 薮なかの 石の破片(かけ)にて おはしけるかも

出典

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  1. ^ 熊本日日新聞編纂『熊本県大百科事典』熊本日日新聞社、1982年、503頁
  2. ^ a b c 井上智重 『異風者伝』 熊本日日新聞社、2012年、281-286頁
  3. ^ 宗不旱歌碑 終焉の地
  4. ^ 日本談義社『熊本文学ノート』荒木精之、1957年、7頁

参考文献

  • 日本談義社『熊本文学ノート』荒木精之、1957年、7-58頁
  • 熊本県編集・発行『熊本県史 近代編 第四』、1963年、561頁
  • 熊本教育振興会『肥後の人物ものがたり』熊本教育振興会事務局、1988年、200-201頁
  • 日外アソシエーツ『熊本県人物・人材情報リスト2007』、236頁

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