夢の逢瀬
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/30 06:57 UTC 版)
奥の方を見てみると、建具屋の半次が大いびき。あんまり鼾がうるさいからたたき起してみると、開口一番のろけ話を始めた。 「歌舞伎座で芝居を見たんだ。後ろの席に綺麗な女がいてさ、そいつが俺に『自分の代わりに褒めてくださいよ』って頼むんだよ。俺ァすっかり舞い上がっちゃってさ、舞台に向かって『音羽屋! 音羽屋!』」 怒鳴っている内に芝居が終わってしまい、仕方なく『幕!』。 「帰りがけにさ、その女のお供に呼び止められて、お茶屋に招待されたんだよ。そこには女が待っていてね、杯をやったり取ったり楽しくて…」 飲みすぎてグロッキーになってしまい、半次が寝ていると女が帯解きの長襦袢一枚で「御免遊ばせ」と布団に入ってきた…!! 「フワー、夢みたいな話だな! …で?」「一緒に寝た所で…俺をたたき起しやがったのは誰だ!?」 どうやらホントの『夢』だったみたいで。 宝永4年(1707年)に出版された笑話本・「春遊機嫌袋」の一遍である『うたたね』。
※この「夢の逢瀬」の解説は、「浮世床」の解説の一部です。
「夢の逢瀬」を含む「浮世床」の記事については、「浮世床」の概要を参照ください。
- 夢の逢瀬のページへのリンク