古典論理
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/21 14:15 UTC 版)
古典論理(こてんろんり、英: classical logic)は形式論理の部類で、最も研究され最も広く使われている論理である。標準論理(英: standard logic)とも呼ばれる[1][2]。
特徴
以下に示す性質が特徴である:[3]
- 排中律の採用及び、二重否定の除去;
- 無矛盾律と、矛盾からはいかなることも導ける(en:Principle of explosion)とすること(矛盾許容論理も参照);
- 帰結関係(論理的帰結を参照)の単調性(en:Monotonicity of entailment、単調写像を参照)と帰結関係の冪等性(en:Idempotency of entailment);
- 論理積の交換法則(en:Commutativity of conjunction);
- ド・モルガンの双対性: 全ての論理演算子はどれか他の演算子の双対である;
以上の諸条件からは、古典論理は命題論理と一階論理に必ずしも限られないが、普通はそれらに議論を限定する[4][5]。
意味論
古典論理の非古典的意味に関して、古典論理の意図している意味論は、2値の意味論(en:Principle of bivalence(二値原理))である。しかし、代数的論理(en:Algebraic logic)の出現により、他の意味論を与えることもできることがあきらかになった。ブール値意味論(Boolean-valued semantics、en:Algebraic semantics (mathematical logic)を参照)(古典命題論理の)において、真理値は任意のブール代数(ブール束、en:Boolean algebra (structure))の元である; 「真」は代数の最大元に対応し、「偽」は最小元に対応する(最大と最小も参照)。代数の他の元は「真」と「偽」以外の真理値に対応する(訳注: 多値論理の真理値のこと)。2値となるのは、他の元を持たないブール代数(en:Two-element Boolean algebra)のときのみである。
古典論理の例
- アリストテレスのオルガノンは、彼の三段論法の理論を示しており、その論理は判定(judgment)の形が制限されている: そこでは表明(assertion)は以下の4種類、「すべての P は Q である」「ある P は Q である」「すべての P は Q ではない」「ある P は Q ではない」のどれかの形をとる。これらの判定において、双対な2つの演算子のペア2つがあり、それぞれの演算子がもうひとつの否定であるという関係がなりたつ。これがアリストテレスが彼のen:Square of oppositionでまとめた関係である。アリストテレスは彼の系の正当化において、それらの法則が三段論法的フレームワークの範囲内の判定で表現できないにもかかわらず、排中律と無矛盾律を明示的に定式化した。(排中律#アリストテレス、無矛盾律#引用)
参照
- ^ Nicholas Bunnin; Jiyuan Yu (2004). The Blackwell dictionary of Western philosophy. Wiley-Blackwell. p. 266. ISBN 978-1-4051-0679-5
- ^ L. T. F. Gamut (1991). Logic, language, and meaning, Volume 1: Introduction to Logic. University of Chicago Press. pp. 156–157. ISBN 978-0-226-28085-1
- ^ Gabbay, Dov, (1994). 'Classical vs non-classical logic'. In D.M. Gabbay, C.J. Hogger, and J.A. Robinson, (Eds), Handbook of Logic in Artificial Intelligence and Logic Programming, volume 2, chapter 2.6. Oxford University Press.
- ^ Shapiro, Stewart (2000). Classical Logic. In Stanford Encyclopedia of Philosophy [Web]. Stanford: The Metaphysics Research Lab. Retrieved October 28, 2006, from http://plato.stanford.edu/entries/logic-classical/
- ^ Haack, Susan, (1996). Deviant Logic, Fuzzy Logic: Beyond the Formalism. Chicago: The University of Chicago Press.
参考文献
- Graham Priest, An Introduction to Non-Classical Logic: From If to Is, 2nd Edition, CUP, 2008, ISBN 9780521670265
- Warren Goldfard, "Deductive Logic", 1st edition, 2003, ISBN 0-87220-660-2
関連項目
古典論理
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最も単純なゲーム意味論の応用として、命題論理への適用がある。各論理式を2人のプレイヤーの間で行われるゲームに見立てる。プレイヤーは「立証者; Verifier」と「偽証者; Falsifier」と呼ばれる。立証者はその論理式内の全ての論理和の「所有権」を有し、偽証者は同様に全ての論理積を所有する。このゲームの「手」で行うことは、論理演算子を所有するプレイヤーがその演算子の一方の枝を選ぶことである。ゲームはその選ばれた部分論理式について続行され、その論理式を制御している演算子を所有するプレイヤーが次の手を行うことができる(全体が論理和なら立証者が一方の枝を選ぶ)。こうして、論理和も論理積も含まれない単純な式となるまで続ける。ここで、その式が真であれば立証者の勝ちで、偽であれば偽証者の勝ちである。立証者が勝利戦略を持つ場合、元の論理式も真であると見なされ、逆に偽証者に勝利戦略があれば、偽と見なされる。 論理式に否定や含意が含まれる場合、もっと複雑な技法が使われる。例えば、否定は否定する対象が偽であれば真となるので、2人のプレイヤーの役割を逆転させる効果がある。 より一般化して、ゲーム意味論は述語論理にも適用される。新たなルールとして、支配的な量化子をその所有者(立証者は存在記号を所有し、偽証者は全称記号を所有する)が削除でき、その際に束縛変項の全ての出現をプレイヤーの選んだ任意の定項で置き換える。このとき、全称量化では1つの反例で偽となり、存在量化では1つの例で真となることに注意されたい。 このようなゲームは全て完全情報ゲームである。2人のプレイヤーは論理式を構成する各項の真理値を知っており、常に先を読む。
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