前面形状 (湘南スタイル)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/17 10:08 UTC 版)
「国鉄80系電車」の記事における「前面形状 (湘南スタイル)」の解説
80系の影響を受けた前面形状EF58形(上 1952年)西武鉄道クモハ351形(中1 1954年)鹿島鉄道キハ431形(中2 1957年)国鉄保線工事用モーターカー (下 1950年代製) クハ86形2次車以降の、2枚の大窓を採用した前面形状は、日本の鉄道車両デザインとして特筆すべきものである。それまでの日本の電車前面は、中央にしばしば貫通扉があったことや、デザイン面の慣例も手伝って3枚窓がほとんどであったが、本系列のデザイン変更以後1950年代を通じ、国鉄・私鉄を問わず日本の鉄道界には同種の正面2枚窓デザインが大流行した。一般の電車は無論のこと、路面電車・電気機関車・気動車・ディーゼル機関車・鋼索線車両にまで急速に伝播し、果ては森林鉄道向け小形ディーゼル機関車(酒井工作所製C4・F4形など)や、鉱山鉄道のナローゲージ電気機関車(日本輸送機1962年製)、国鉄の保線工事用モーターカーに至るまで採用された。日本の鉄道車両史上、空前絶後とも言える極めて特異な流行であった。 2枚窓デザインには、運転士に広い運転室と良好な視界を確保できる実利性があり、また一般にアピールするデザイン面でも斬新な印象を与えられるメリットがあった。 基本は、中央上部に1灯埋め込み式前照灯を設置し、前面上半部を後傾。正面中央を折り曲げた「鼻筋の通った」デザインである。ただし、前面窓を1段窪ませる・前照灯を窓下に降ろして2灯化・「鼻筋」を廃して丸みのあるデザインに変更するなど、無数のアレンジメントも存在する。さらには、新製車ばかりでなく旧形車の更新改造で改装する例も見られた。これらの車両をその後は「湘南タイプ」・「湘南スタイル」・「湘南顔」と呼ぶようになった。また、大型のスカートを装着して「海坊主」と呼ばれた車両も存在する(DD50など)。 なお、日本で最初にこの前面スタイルを採用した鉄道車両は、1950年末 - 1951年初頭に旧形ボギー気動車を2両に分断改造した西大寺鉄道の単端式気動車キハ8・10であると言われているが、そのデザイン採用に至った当時の経緯は定かでない。 第二次世界大戦前の流線形ブーム期には、前面中央を分割線として窓を2枚(または偶数の4、6枚)に左右対称配置する手法自体は、電車・気動車で広く見られた。工業デザインでも流線形の導入が鉄道より早期で広範であった自動車デザインの世界では、1930年代の流線形ブーム期から、平面のフロントウインドシールドを中央ピラーで2分割して傾斜させるデザイン手法が先行して急速に広まっており、クハ86形2次車が出現した1950年時点では乗用車・バスのいずれにおいても珍しくない形状であった。だが日本では鉄道での湘南形流行期と同時期、自動車では視界改善の必要から、1枚ものの曲面ガラスを用いたピラーレスのフロントウインドシールドが主に用いられるようになり、その傾向は特殊車両を除いて21世紀初頭まで続いている。80系が戦前形流線形電車や先行する自動車からモチーフを援用した部分があったのか否かは、開発者やその周辺からは明らかにされていない。
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前面形状
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/13 04:22 UTC 版)
先頭車の前頭部中央に貫通路を設け、先頭車が編成中間に入った場合も通り抜け可能な構造とした。 80系と同様の非貫通型運転台は、面積が広く取れるなど運転環境を大きく向上させる点で運転側から強く支持されたが、車掌業務面で営業側から貫通構造が要望された結果取り入れられ、以後長らく国鉄急行形・近郊形の標準とされた。 運転台前面窓は、側面まで回り込んだパノラミックウインドウとして視認性を高めた。前照灯は屋根上から窓下に移し、左右に大型白熱灯を1基ずつ計2基配置した。前照灯の下には尾灯を配置し、前照灯と貫通路の間にタイフォンを設置した左右対称のデザインとした。また貫通路上には、照明入りの大型列車種別表示器を設け、ホームで列車待ちをする利用者の利便性を図った。 クハ153形の1961年度以降製造車は、踏切事故対策として乗務員の安全性を高めるため、従来の運転台(低運転台)から前面窓の縦幅を短くし運転台を300mm高くする(高運転台)設計変更が実施された。 このデザインは、後に登場する165系・451系・471系などの急行形、113系・115系・415系などの近郊形車両にも受け継がれた。 低運転台・高運転台の外見的特徴については、本系列のほか同様の変遷を経た国鉄415系電車#共通項目も参照のこと。
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