乳母とは? わかりやすく解説

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うば【乳母】

読み方:うば

母親に代わって乳児に乳を飲ませたりして、養育する女。おんば。めのと。


おんば【乳母】

読み方:おんば

《「おうば」の音変化》うば。めのと。


ち‐おも【乳母】

読み方:ちおも

うば。めのと。ちも。

婦人(をみな)を取りて—湯母(ゆおも)及び飯嚼(いひかみ)湯坐(ゆゑひと)とし給ふ」〈神代紀・下〉


にゅう‐ぼ【乳母】

読み方:にゅうぼ

うば。めのと。


まま【乳母】

読み方:まま

うば。めのと。

御前にまゐりて—の啓すれば」〈三一四〉


め‐の‐と【乳母/×傅】

読み方:めのと

(乳母)母親代わりに子供に乳を飲ませて育てる女。うば。

「もの言はぬちごの泣き入りて、乳も飲まず、—の抱くにもやまで久しき」〈一五〇〉

(傅)貴人の子守り育て役目の男。もりやく

「—の兼遠を召して宣ひけるは」〈平家・六〉


乳母

読み方:メノト(menoto)

生母かわって赤児に乳を与え育てる女


乳母

読み方:メノト(menoto)

実母に代わって子女養育に当たる女性の称。


乳母

作者北田薄氷

収載図書女性作家
出版社岩波書店
刊行年月2002.3
シリーズ名新日本古典文学大系

収載図書新編 日本女性文学全集 第2巻
出版社
刊行年月2008.9


乳母

読み方:ウバuba

作者 中里恒子

初出 昭和15年

ジャンル 小説


乳母

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/08/29 08:45 UTC 版)

乳母(ちおも[1]/めのと[2]/うば/ちもち)とは、母親に代わって子育てをする女性のこと。乳人(ちひと)、乳の人(ちのひと)などとも言う。

概要

かつて、現在のような良質の代用乳が得られない時代には母乳の出の悪さは乳児の成育に直接悪影響を及ぼし、最悪の場合はその命にも関わった。そのため、皇族王族貴族武家、あるいは豊かな家の場合、母親に代わって乳を与える乳母を召し使った。

また、身分の高い女性は子育てのような雑事を自分ですべきではないという考えや、他のしっかりとした女性に任せたほうが教育上も良いとの考えから、乳離れした後、母親に代わって子育てを行う女性も乳母という。

また、商家や農家などで、母親が仕事で子育てができない場合に、年若い女性や老女が雇われて子守をすることがあるが、この場合はねえやばあやなどと呼ばれることが多かった。

英語では、乳を与える者と[注 1]、子育てをする者を[注 2]とを区別する。ベビーシッターおよび、ナニー[注 3]メイドナース[注 4]ナースメイド[注 5]を参照。

歴史

古代ミケーネ時代の粘土板に刻まれたミケーネ文字には、女奴隷集団内の乳母の記述がみられる[3]

日本における神話上の起源としては、『日本書紀』神代下の別説に、「彦火火出見尊が婦人を集め、乳母ちおも・湯母・飯かみ・湯人を決め、養育し、これが世の中で乳母を決め、子を育てることの始まりである」と記述している。

律令時代の日本では、一度に多産をした家には、朝廷から乳母一人を支給されていたことが、『続日本紀』などに記述されており、例として、文武天皇4年(700年)11月28日条、「大和国葛上郡の鴨君粳女かものきみぬかめが一度に2男1女を産んだため、(以下略)乳母一人を賜った」の他、和銅元年(708年)3月27日条には、「美濃国安八郡の人、国造千代の妻である如是女にょぜめが一度に3人の男子を産んだので、四百束と乳母一人を支給した」などと細かに記録されている。

平安時代後期の院政期の院近臣らの中には、天皇・上皇の乳母の縁故を通じて台頭した者もいた。

珍例としては、一条天皇の母である東三条院(詮子)の愛猫長保元年(999年)9月19日に子猫(コマ)を生んだため、天皇は子猫に従五位下を与え、「馬ノ命婦」という五位の女官をその子猫の乳母に任じたと『小右記』に記述されている[4]。これは一種のペットシッターといえる。アイヌイオマンテ熊送り)もヒグマの赤子が育つまでの間、一時的に人間が母乳を与える乳母の役割が見られる(「イオマンテ」「ヒグマ#人間との関わり」を参照)。

和名類聚抄』(10世紀中頃)巻二「男女類」乳母の項目の表記として、「ちおも」は「知於毛」、「めのと」は「米乃止」と記される。

日本の場合、特に平安時代から鎌倉時代にかけて「めのと」と呼ぶ場合には「うば」よりも範囲は広く、「養育係」の意味もあり、女性だけではなく夫婦でそれに当たるケースが多い。例えば『奥州後三年記』の「家衡が乳母千任といふもの」などでは千任は男性である。また、養育係の男性を「めのと」とも呼んだ。アジアにおいて、「めのと」して知られる人物としては釈迦の叔母(釈迦の生母の妹)である摩訶波闍波提がいるが(一例として、『増鏡』巻四「三神山」に引用が見られる)、乳育に関しては否定説が見られる(詳細は「摩詞波闍波堤」の「結婚と釈迦の養母」の項目を参照)。

乳母に世話を受ける養い子にとって、乳母の子供は「乳母子めのとご」「乳兄弟ちきょうだい」と呼ばれ、格別な絆で結ばれる事があった。軍記物語においても、主人の傍に乳兄弟が親しく仕え、腹心として重宝される情景が少なからず描かれている(例:『平家物語』の木曾義仲今井兼平)。源頼家のように、乳兄弟(比企氏)を優遇したために実母方(北条氏)に疎まれるということもあった。

江戸時代、各藩の江戸藩邸の奥女中の職制では、藩邸で赤子が産まれた場合、臨時職として、乳を与える乳持(ちもち)が設けらる場合も見られた[5]

イスラム教圏では乳兄弟は特別な関係とされ、実の兄弟と同等とみなされる。このため、シャリーアでは乳兄弟にあたる男女の結婚を禁止しているほどである。

その関係は人外の伝承にもおよび人間がグールの母親の乳を吸うとグールと義兄弟となるという伝承がある。

主な乳母

乳母 養い子
県犬養三千代 文武天皇
藤原繁子 一条天皇
弁乳母 禎子内親王
藤原豊子 後一条天皇
大弐三位 後冷泉天皇
藤原光子 堀河天皇鳥羽天皇
藤原実子 鳥羽天皇
藤原宗子 崇徳天皇
藤原宗子(池禅尼) 重仁親王
藤原朝子 後白河天皇
比企尼 源頼朝
寒河尼 源頼朝
山内尼 源頼朝
平時子 二条天皇
藤原経子 高倉天皇
藤原領子 安徳天皇
藤原輔子 安徳天皇
治部卿局 守貞親王
河越尼 源頼家
阿波局 源実朝
藤原兼子 後鳥羽天皇
藤原範子 後鳥羽天皇
藤原保子 後鳥羽天皇
春日局 足利義満
今参局 足利義政
養徳院 織田信長
片倉喜多 伊達政宗
大蔵卿局 淀殿
饗庭局 淀殿
大局 淀殿
民部卿局 崇源院
宝(放)光院 京極竜子
大姥局 徳川秀忠
正栄尼 豊臣秀頼
宮内卿局 豊臣秀頼
刑部卿局 千姫
乳母局 珠姫
春日局 徳川家光
昌清尼 徳川忠長
少納言局 後水尾天皇
松坂局 徳川綱重
文英尼[注 6] 霊元天皇
大崎局 徳川家斉
歌橋 徳川家定
押小路甫子 孝明天皇
土御門藤子 和宮親子内親王
絵島 和宮親子内親王

主な乳母子・乳兄弟

日本

中国

架空の人物

関連書籍

脚注

注釈

  1. ^ : wet nurse
  2. ^ : dry nurse
  3. ^ : nanny
  4. ^ : nurse
  5. ^ : nurse maid
  6. ^ 京極忠高の後室、園基任の娘。

出典

  1. ^ 『日本書紀』、『倭名類聚抄』
  2. ^ 『倭名類聚抄』
  3. ^ 弓削達地中海世界 : ギリシア・ローマの歴史』講談社〈講談社学術文庫〉、2020年、24頁。ISBN 9784065183441全国書誌番号:23327422https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I030153966-00 
  4. ^ 歴史読本編集部編 『増補改訂版 日本史に出てくる官職と位階のことがわかる本』(中経出版、 2014年) p.51
  5. ^ 久住祐一郎『江戸藩邸へようこそ : 三河吉田藩「江戸日記」』集英社インターナショナル, 集英社 (発売)〈インターナショナル新書〉、2022年、184頁。ISBN 9784797680966全国書誌番号:23680135https://id.ndl.go.jp/bib/032051022 

関連項目

外部リンク


乳母(うば)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/15 07:54 UTC 版)

マロニエ王国の七人の騎士」の記事における「乳母(うば)」の解説

ほっかむりをした老婆

※この「乳母(うば)」の解説は、「マロニエ王国の七人の騎士」の解説の一部です。
「乳母(うば)」を含む「マロニエ王国の七人の騎士」の記事については、「マロニエ王国の七人の騎士」の概要を参照ください。

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乳母

出典:『Wiktionary』 (2021/09/21 13:53 UTC 版)

名詞

(うば, おんば, ちうば, ちおも, にゅうぼ, まま, めのと)

  1. 子供母親に代わってその世話をする女性。うばを参照

「乳母」の例文・使い方・用例・文例

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