ユレダス【UrEDAS】
ユレダス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/27 08:25 UTC 版)
ユレダス(UrEDAS)とは、国鉄鉄道技術研究所(後の財団法人鉄道総合技術研究所)が開発した地震警報システムである。名称は、早期地震検知警報システム(地震動早期検知警報システム、英語: Urgent Earthquake Detection and Alarm System)の頭文字をとったもの。地震の際に即座に警報を発して被害を最小限に抑えるための安全管理システムである。運用対象には東海道新幹線を初めとする日本の新幹線があった。
略歴
- 1983年 - プロトタイプが完成。翌年、試験観測が開始[1]。
- 1989年頃 - 東海道新幹線で設置が始まる[2]。
- 1992年3月14日 - 東海道新幹線で「のぞみ」の運行開始から全面稼働[2]。
- 1995年4月28日 - 山陽新幹線の新大阪 - 西明石間で稼働開始[3]。
- 1996年11月28日 - 山陽新幹線全区間で全面稼働[3][4]。
- 1997年
- 2005年
- 2006年頃から - 新幹線のユレダス・コンパクトユレダスが、気象庁主導で鉄道総合技術研究所と共同開発した早期地震警報システム(EQAS)に置き換えられた。2007年3月までには、ユレダスを含む新幹線全線区の地震計は、鉄道総合技術研究所が開発した新地震計に更新された[2][11][12]。
- 現在は東京メトロでも使用されている
ユレダスの役割
鉄道関係では、運行中の列車を止める、減速させることで、被害を最小限に抑えることを目的としている。遠地の大地震の場合はこのタイムラグが大きいため、地震被害軽減に大きな効果が期待されている。
当初のユレダスは遠地の大地震を対象にしており、P波検知から警報までに3秒程度要していた。阪神・淡路大震災を契機に、システムアンドデータリサーチによってコンパクトユレダスが開発され、P波検知後1秒での警報が可能となった。2003年の三陸南地震や2004年の新潟県中越地震では、コンパクトユレダスがいち早く警報を発するとともに、最大加速度などの情報を発信している。
東京メトロのコンパクトユレダスは、同様の動作原理に基づく後継機種であるFREQL(フレックル)に置き換えられている。フレックルは、最短0.1秒で1波警報を発信することができるオンサイトの迅速な警報装置として、全国の各種工場など産業施設の地震時の安全目的に利用されている。また、フレックルの可搬型はハイパーレスキューなどの災害救援活動を支援する機器として利用されている[2]。
ユレダスの原理
ユレダスは一つの地点にて観測された地震波の初期微動(P波)の振動波形だけで、地震の震央位置(震源距離、深さと震央方位から推定する)・マグニチュードを、瞬時(ほぼリアルタイム)で推定し、必要と判断される地域にS波が来る前に警報を発信するシステムである。なお初動を感知できなくとも、地震動があらかじめ定めた規準値を超過した場合には、瞬時に警報を発信する。
ユレダスでは単独の3成分地震計とそれに連動した独立した演算器(コンピューター)により、以下の項目をリアルタイム処理する。ユレダスの地震波形処理の基本的な考え方は、リアルタイム処理にあり、波形を貯め込んでモデル関数にフィッティングするなどの間歇的な処理方法はとっていない。波形をデジタルサンプリングしてから次のサンプリングまでの間に、PS識別処理、卓越周期の推定、震央方位の推定、などすべての処理は終了している。
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