バンド構造とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 同じ種類の言葉 > 言葉 > 状態 > 構造 > バンド構造の意味・解説 

バンド‐こうぞう〔‐コウザウ〕【バンド構造】

読み方:ばんどこうぞう

結晶内の電子のエネルギー準位がとる帯状構造エネルギーが低い順から価電子帯禁制帯伝導帯並び電子パウリの原理に従ってエネルギー準位が低いところから順に埋まっていく。絶縁体および半導体では、価電子帯伝導帯の間に電子存在しない禁制帯がある。導体場合価電子帯フェルミ準位があり、それを上回るエネルギーをもつ電子電気伝導寄与するこのようなバンド構造に基づいて電子がかかわる固体性質を扱う理論バンド理論という。帯構造


バンド構造

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/02/16 09:56 UTC 版)

バンド構造(バンドこうぞう、: band structure)は、以下の2通りの使われ方がある。

ここでは結晶などの固体の中の電子バンド構造(でんしバンドこうぞう、: electronic band structure)を扱う。

実空間でのバンド構造

数多くの炭素原子が結合してダイヤモンド結晶を作った場合のバンド構造。 (右図)炭素原子のp軌道とs軌道のエネルギーと実空間での原子間距離との関係。(左図)ダイアモンドの原子間距離 a でのバンド構造の簡略図

例としてN個の炭素原子から成るダイアモンド結晶中の電子のバンド構造を考える。

もし炭素原子同士が互いに遠く離れていた場合、それぞれの炭素原子は同じエネルギーのs軌道とp軌道をもつ(縮退)。

炭素原子が互いに近づくと軌道が重なり、異なるエネルギーを持つN個の軌道に分裂する。 Nは非常に大きい数であるため分裂したエネルギーの間隔は非常に狭く、連続的な帯状であると見なすことができる。これをエネルギーバンドまたは単にバンドと呼ぶ。 原子間距離 a では、価電子帯伝導帯と呼ばれる2つのバンドを作る。それぞれ化学結合における結合性軌道反結合性軌道に対応する。

エネルギー的に隣り合うバンドのエネルギー差(エネルギーギャップ)はバンドギャップと呼ばれる。ダイアモンドの伝導帯と価電子帯のバンドギャップは5.5 eVである。バンドギャップにはエネルギー準位は存在しない。

波数空間

例:シリコン結晶のバンド曲線(概形)

一般的に波数kと対応するエネルギー固有値(固有エネルギー)εkとの関係を分散関係と言う。波数とバンド構造との関係はバンド曲線E-k曲線(E-k分散)、バンド分散などと呼ばれることもある。

バンド構造は通常、縦軸がエネルギー、横軸が第一ブリュアンゾーンの適当に選んだいくつかの直線上のk点となっている(系の持つ対称性に依存する)。各k点上に電子の取り得る固有状態(バンド)があり、これらが繋がって曲線をなしている(繋がり方も重要)。バンド構造を見ることにより、バンドギャップが空いているかどうか(つまり対応する系が金属かそうでないか)、バンドの分散が強いか弱いかによる電子状態の違い(分散が弱いと、そのバンドの電子はより束縛された状態となっている。強いと逆)、異なる系同士のバンド構造を比較することにより、系の安定性(どちらがより安定か)などの議論が可能である(注:バンド構造だけでは判断できない場合もある)。

半導体のバンド構造。左図は状態密度の模式図で、右図は分散関係。Egがバンドギャップ(禁制帯)、その下の充満帯が価電子帯。禁制帯のすぐ上の空帯が伝導帯となる。

半導体(や絶縁体)においては、k空間を無視して、バンドギャップの周辺だけに注目した、より簡単な描写が良く用いられる。バンドギャップの項を参照。

その他のバンド構造

電子のバンド構造と類似したものとして、フォノンの分散曲線(フォノニックバンド構造)やフォトニックバンド構造、プラズモニックバンド構造などがある。

関連項目


バンド構造

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/09/06 14:46 UTC 版)

キャリア生成と再結合」の記事における「バンド構造」の解説

半導体材料その他の固体同様に結晶特性によって決まるバンド構造を持つ。各エネルギー状態電子占有する確率は、フェルミ準位(または化学ポテンシャル)と温度で決まるフェルミ分布記述されるドープされていない半導体では、フェルミ準位バンドギャップ真ん中位置する絶対零度では、全ての電子フェルミ準位以下のエネルギーを持つ。有限温度場合エネルギー準位近似的にボルツマン分布に従って占有される。価電子帯はほぼ完全に占有されており、伝導帯はほぼ完全に空になっている価電子帯電子動けず、電流として流れることができない価電子帯電子伝導帯遷移するために十分なエネルギー得た場合、ほとんど空の伝導帯自由に流れることができる。さらにそのとき正孔生成し電荷をもつ物理的な粒子のように動くことができる。キャリア生成は、電子エネルギー得て価電子帯から伝導帯遷移することで起きる。一方で再結合伝導帯電子価電子帯遷移することでエネルギー失い正孔エネルギー状態を再び占有することで起きる。 熱平衡にある材料では生成再結合均衡がとれており、電荷キャリア密度一定のまである平衡キャリア密度は、熱力学統計力学によって予言される

※この「バンド構造」の解説は、「キャリア生成と再結合」の解説の一部です。
「バンド構造」を含む「キャリア生成と再結合」の記事については、「キャリア生成と再結合」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「バンド構造」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ



バンド構造と同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

', '', '', '', '', '', '', '', '', '', '', '', '', '', '', '', '', '', ''];function getDictCodeItems(index) {return dictCodeList[index];}

すべての辞書の索引

「バンド構造」の関連用語

1
帯構造 デジタル大辞泉
100% |||||





6
バンド理論 デジタル大辞泉
54% |||||





バンド構造のお隣キーワード
検索ランキング
';function getSideRankTable() {return sideRankTable;}

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



バンド構造のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのバンド構造 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaのキャリア生成と再結合 (改訂履歴)、フェルミエネルギー (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS