バンド‐こうぞう〔‐コウザウ〕【バンド構造】
バンド構造
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/02/16 09:56 UTC 版)
![]() | この記事は検証可能な参考文献や出典が全く示されていないか、不十分です。2015年9月) ( |
バンド構造(バンドこうぞう、英: band structure)は、以下の2通りの使われ方がある。
ここでは結晶などの固体の中の電子バンド構造(でんしバンドこうぞう、英: electronic band structure)を扱う。
実空間でのバンド構造
例としてN個の炭素原子から成るダイアモンド結晶中の電子のバンド構造を考える。
もし炭素原子同士が互いに遠く離れていた場合、それぞれの炭素原子は同じエネルギーのs軌道とp軌道をもつ(縮退)。
炭素原子が互いに近づくと軌道が重なり、異なるエネルギーを持つN個の軌道に分裂する。 Nは非常に大きい数であるため分裂したエネルギーの間隔は非常に狭く、連続的な帯状であると見なすことができる。これをエネルギーバンドまたは単にバンドと呼ぶ。 原子間距離 a では、価電子帯と伝導帯と呼ばれる2つのバンドを作る。それぞれ化学結合における結合性軌道と反結合性軌道に対応する。
エネルギー的に隣り合うバンドのエネルギー差(エネルギーギャップ)はバンドギャップと呼ばれる。ダイアモンドの伝導帯と価電子帯のバンドギャップは5.5 eVである。バンドギャップにはエネルギー準位は存在しない。
波数空間
一般的に波数kと対応するエネルギー固有値(固有エネルギー)εkとの関係を分散関係と言う。波数とバンド構造との関係はバンド曲線、E-k曲線(E-k分散)、バンド分散などと呼ばれることもある。
バンド構造は通常、縦軸がエネルギー、横軸が第一ブリュアンゾーンの適当に選んだいくつかの直線上のk点となっている(系の持つ対称性に依存する)。各k点上に電子の取り得る固有状態(バンド)があり、これらが繋がって曲線をなしている(繋がり方も重要)。バンド構造を見ることにより、バンドギャップが空いているかどうか(つまり対応する系が金属かそうでないか)、バンドの分散が強いか弱いかによる電子状態の違い(分散が弱いと、そのバンドの電子はより束縛された状態となっている。強いと逆)、異なる系同士のバンド構造を比較することにより、系の安定性(どちらがより安定か)などの議論が可能である(注:バンド構造だけでは判断できない場合もある)。
半導体(や絶縁体)においては、k空間を無視して、バンドギャップの周辺だけに注目した、より簡単な描写が良く用いられる。バンドギャップの項を参照。
その他のバンド構造
電子のバンド構造と類似したものとして、フォノンの分散曲線(フォノニックバンド構造)やフォトニックバンド構造、プラズモニックバンド構造などがある。
関連項目
- バンド理論
- フォトニックバンド構造
- ゴーストバンド
- エネルギー分散
- 第一原理バンド計算
- フェルミ面
バンド構造
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/09/06 14:46 UTC 版)
「キャリア生成と再結合」の記事における「バンド構造」の解説
半導体材料はその他の固体と同様に、結晶特性によって決まるバンド構造を持つ。各エネルギー状態を電子が占有する確率は、フェルミ準位(または化学ポテンシャル)と温度で決まるフェルミ分布で記述される。ドープされていない半導体では、フェルミ準位はバンドギャップの真ん中に位置する。絶対零度では、全ての電子はフェルミ準位以下のエネルギーを持つ。有限温度の場合、エネルギー準位は近似的にボルツマン分布に従って占有される。価電子帯はほぼ完全に占有されており、伝導帯はほぼ完全に空になっている。価電子帯の電子は動けず、電流として流れることができない。 価電子帯の電子が伝導帯に遷移するために十分なエネルギーを得た場合、ほとんど空の伝導帯を自由に流れることができる。さらにそのとき正孔も生成し、電荷をもつ物理的な粒子のように動くことができる。キャリア生成は、電子がエネルギーを得て価電子帯から伝導帯へ遷移することで起きる。一方で再結合は伝導帯の電子が価電子帯へ遷移することでエネルギーを失い、正孔のエネルギー状態を再び占有することで起きる。 熱平衡にある材料では生成と再結合は均衡がとれており、電荷キャリア密度は一定のままである。平衡キャリア密度は、熱力学と統計力学によって予言される。
※この「バンド構造」の解説は、「キャリア生成と再結合」の解説の一部です。
「バンド構造」を含む「キャリア生成と再結合」の記事については、「キャリア生成と再結合」の概要を参照ください。
バンド構造と同じ種類の言葉
- バンド構造のページへのリンク