コクゾウムシとは? わかりやすく解説

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こくぞう‐むし〔コクザウ‐〕【穀象虫】

読み方:こくぞうむし

甲虫目オサゾウムシ科の昆虫体長約3ミリ成虫黒褐色または赤褐色でつやがあり、頭部象の鼻のように突き出た吻(ふん)がある。卵は穀粒内に産みつけられ幼虫はこれを食って育つ。世界各地分布こめくいむしこめむし。《 夏》


コクゾウムシ(成虫)

コクゾウムシ Sitophilus zeamais Motschulsky

コクゾウムシ(成虫

この害虫属する群
食品害虫(6) コクゾウムシ
形態
 成虫体長2~3mmで、赤褐色から黒褐色
コクゾウムシはココクゾウムシ形態的酷似するが、鞘翅斑紋大型で、輪郭不明瞭であることが多い。また、コクゾウムシでは触角第3節長さが幅よりも長くココクゾウムシは幅とほぼ等しい)、小楯板(上翅の付け根部分)がココクゾウムシより横長で、前胸背前方向かってより強く狭まる点などが異なる。卵は鶏卵型で長径0.5mm内外幼虫体長約2mmに達し乳白色卵型、脚は退化している。
生態
 コメムギトウモロコシなどの穀粒食害するが、玄米を最も好む。野外に近い環境条件では、3月下旬10月下旬出現し、年に4回発生し秋になって気温1516に下がると成虫周辺の石や木片の下に潜って越冬する春に野外花上で吸蜜する成虫見かけることもある。
 産卵数は約200卵で、成虫口器穀粒に穴を明け、その中に卵を1卵ずつ産み孵化した幼虫穀粒内で成育する幼虫は穀紛で発育できない生育期間は25条件下で卵~成虫まで約1ヶ月要し成虫寿命100200日程度である。屋内発生するものは一定の温度保たれていることが多いため1年中見られる25温度条件産卵されてから羽化まで約1カ月要する
 しかしこの大量に発生すると、加害受けた穀物発熱現象生じ2829時には38にも達すことがある。この発熱現象によって、発育要する期間が短縮され冬期間にも幼虫食害継続するため、繁殖カは極めて大きなものとなる。成虫寿命25条件では平均4ヶ月にも及ぶ。

コクゾウムシ

食品害虫(6) コクゾウムシ
特徴
 コクゾウムシ類は甲虫目オサゾウムシ科に属す昆虫で,コクゾウムシ、ココクゾウムシグラナリアコクゾウムシ3種コメムギトウモロコシなどの重要な害虫として知られています。日本国内では、この中でも特にコクゾウムシが最も一般的、かつ重要な貯蔵米の害虫となってます。
 コクゾウムシ類の3種は、いずれも体長2~4mm程度体色赤褐色黒褐色で、ゾウ鼻のような長い口器持ってます。成虫幼虫共に米などの穀粒加害し、成虫口器穀粒穴を開け、その中に卵を1卵ずつ産み孵化した幼虫穀粒内で成育します。
 コクゾウムシの生育期間は25条件下で卵~成虫まで約1ヶ月要し成虫寿命100200日程度です。
防除
 購入した米やその袋にコクゾウ類が付いていて、家庭内持ち込まれ、そこから繁殖することがよくあります長期間保存していると中で繁殖し、気が付いた時には多数発生していることも多いので、なるべく長期間保存避けて使い切るようにします。古くなった穀類使用する見込みがないものは定期的に処分するなど、食品収納内の整理整頓が必要です。また米びつ周辺に米やヌカ溜まっていると誘引し、また発生源にもなりますので、日頃からよく清掃しておくことが大切です。
 見つけたなら直ち殺虫ます。米びつ周辺にこぼれた米屑などは、エアゾール噴霧してから処分します。ただし直接食品貯穀噴霧することはできません。少量発生ならば米を天日干しにすると、成虫が米から離れて逃避します。見られた米はすぐに隔離し米びつの中も洗浄するなどして、新しい米に移らないよう注意します。なお卵、幼虫は米の中にいて動くことはできませんから、成虫被害米をしっかりと処分すれば、新しい米には移りません。 


コクゾウムシ

和名: コクゾウムシ[ゾウムシ科]
英名: maize weevil
学名: Sitophilus zeamaisMotschulsky [Curculionidae]
コクゾウムシ
コクゾウムシ1
分布 日本を含む世界共通種。イネ科穀類大害
形態 幼虫は白いウジ状。成虫口吻前方長く突出する体色茶褐色黒褐色。2対の淡色斑点がある場合が多い。体長は2.9-3.5mm。
加害する食品 米、麦、トウモロコシパスタ乾燥芋乾麺
加害形態 健全な穀粒加害する。象の鼻のような口吻穀物に穴をあけて卵を産みこむ。孵化した幼虫そのまま穀物の中で発育してになり、成虫となって穀物から出てくる。253070%RH条件では、産卵から成虫出現まで1ヶ月間かかる。成虫穀物食べる。
防除方法 清掃をよくし、こぼれた米粒などを放置しない。
その他 別名(穀象虫こくぞう、ほり、つみ等多数
コクゾウムシ
コクゾウムシ2
コクゾウムシ
コクゾウムシ幼虫

穀象虫

読み方:コクゾウムシ(kokuzoumushi)

オサゾウムシ科の昆虫

学名 Sitophilus zeamais


殻象虫

読み方:コクゾウムシ(kokuzoumushi)

ゾウムシ科に属す昆虫二、三ミリほどの小さなで、細長い口先特徴コメ害虫

季節

分類 動物


コクゾウムシ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/02/26 07:25 UTC 版)

コクゾウムシ
分類
: 動物界 Animalia
: 節足動物門 Arthropoda
: 昆虫綱 Insecta
: コウチュウ目 Coleoptera
亜目 : 多食亜目 Polyphaga
上科 : ゾウムシ上科 Curculionoidea
: オサゾウムシ科 Dryophthoridae
亜科 : オサゾウムシ亜科 hynchophorinae
: コクゾウムシ族 Sitophilini
: コクゾウムシ属 Sitophilus Schönherr, 1838
: コクゾウムシ S. zeamais
学名
Sitophilus zeamais
Motschulsky, 1855
和名
コクゾウムシ(穀象虫)
英名
Maize weevil
Greater rice weevil
米から出てきたコクゾウムシ
コクゾウムシの全身

コクゾウムシ(穀象虫、学名 Sitophilus zeamais)は、コウチュウ目(鞘翅目)・オサゾウムシ科のゾウムシの一種。世界各地に生息するイネ科穀物の有名な害虫で、和名もそれを表したものである。また、日本では縄文時代後期の土器圧痕からの検出例があるなど穀物栽培の開始と同時に見られるとして[注釈 1]、稲作とともに渡来したとするのが定説であったが、これを覆すとされる発見がなされている[2]。主食である)を食い荒らす事から「米食い虫」の異名が付けられている。「穀象(こくぞう)」は夏の季語

2018年平成30年11月13日付で、北海道福島町の館崎遺跡から出土した縄文時代後期の土器に、コクゾウムシが推定約500匹練り込まれていたと熊本大学の小畑弘己教授(植物考古学)がジャーナル・オブ・アーキオロジカル・サイエンス電子版に発表した。今回は数が多いため、小畑教授は縄文人が食物にしていたクリの豊作祈願などのために意図的に混ぜたとみている[3][4]

体長は2.1–3.5mmとゾウムシ上科の中では小さい部類に入る。体は赤褐色や暗褐色で、やや細長い。背面には細かく密な点刻がある。発達した強固な後翅をもち、飛行能力も優れている。体も小さく、穀物の貯蔵庫などに容易に侵入する。

口吻で穀物に穴をあけて産卵し、孵化した幼虫は穀物を食い荒らす。気温が18°C以下であると活動が休止、23°C以上になると活発に活動する。1匹のメスが一生に産むは200個以上とされる。

米びつに紛れ込んだ場合、成虫は黒色なので気がつきやすいが、幼虫は白色なので気づきにくい。ただしどちらも水に浮くので慎重に米研ぎをすれば気づくことがある。もし万が一気づかずに炊いてしまったり、食べてしまっても害はない。

赤褐色のコクゾウムシは、農家の間では越冬コクゾウムシ(冬を越している)、暗褐色はその年に孵化したものと言われている。(確証は低いが大体の農家はそのように判別していることが多い)

コクゾウムシは、秋季に倉庫から野外の湿った場所に移動し、集団で越冬するとされており、茨城県内の玄米貯蔵施設の屋外調査で、少数で発見場所はコンクリート片の下が最も多かったとの報告がある[5]

トウモロコシコムギパスタ干し芋ドングリでも発育でき、最近では果物のモモリンゴでも発育することが実証された[6]

駆除方法

玄米精米する施設では、玄米に混入している割れた米、変色した米、虫くいのある米、虫自体を、精米する際に、色彩選別機などにより排除しているが、卵や小さな幼虫は排除できないので完全に排除は出来ない。無人精米所でも汚染が広がる可能性があり、注意が必要である[7]

1929年(昭和4年)に中林馮次が、大阪府が1926年(大正15年)3月に、倉庫周辺で捕獲されたコクゾウムシ成虫(生きたものだけ)を買い上げて広域的な防除を行った事例を報告している。大正15年3月15日から29日までの15日間に16町村の役場で277人から買い上げを行い、総量は約5.75 kg、匹数にして約250万匹を買い上げた。買い上げは1928年(昭和3年)の3月まで継続された[8]

国立研究開発法人農研機構食品安全研究領域食品害虫ユニットで開発された高圧炭酸ガス殺虫法(温度 25 ℃、圧力 30 kg/cm2、処理時間 30分)で駆除することが可能である[9]

お米の米びつ虫除け剤も市販されている[10]。また、光に反応するため、米に虫が湧いた場合には、ムシロに米を広げてコクゾウムシを排除する方法をとっている。

近縁種

種として、次のようなものが知られている。

ココクゾウムシ (Rice weevil) Sitophilus oryzae (Linnaeus, 1763)
やや小型 (2.0–2.8mm) で、日本を含めた世界各地に分布。
グラナリアコクゾウムシ (Wheat weevil) Sitophilus granarius (Linnaeus, 1758)
やや大型 (3.0–4.0mm) で、日本未発生。
Sitophilus linearis (Herbst, 1797)
日本未発生。
Sitophilus rugicollis (Casey, 1892)
日本未発生。

食品への混入

1979年国民生活センターは、大手企業などが製造する味噌から昆虫片など異物を検出したと発表。この昆虫片は原料につきやすいコクゾウムシ由来と考えられた。この昆虫片をもって直ちに衛生上の問題が生じるものではないとしたが、他の混入物も含め衛生管理には十分な配慮が必要との警告を出している[11]

脚注

注釈

  1. ^ レプリカ・セム法を用いた研究において、山梨県都留市の中谷遺跡から出土した縄文晩期前半(清水天王山式期)の土器資料2点から昆虫圧痕が検出されている[1]

出典

  1. ^ 長沢宏昌・保坂康夫・中山誠二・野代幸和「山梨県中谷遺跡の縄文時代晩期のコクゾウムシSitophilus zeamais」『山梨県考古学協会誌』(第18号、2008年)
  2. ^ 種子島の遺跡で出土した縄文土器から1万5000年前のコクゾウムシの圧痕を発見。『朝日新聞』2011年3月29日
  3. ^ “縄文土器に大量の「米食い虫」=北海道・館崎遺跡から出土-熊本大:時事ドットコム”. 時事ドットコム. (2018年11月23日). https://web.archive.org/web/20181123112033/https://www.jiji.com/jc/article?k=2018112300343&g=soc 2018年12月3日閲覧。 
  4. ^ “コクゾウムシ500匹練り込んだ縄文土器 福島町で発見:どうしん電子版(北海道新聞)”. どうしん電子版(北海道新聞). (2018年12月1日). https://www.hokkaido-np.co.jp/article/253667/ 2018年12月3日閲覧。 
  5. ^ 宮ノ下明大 (2016年11月29日). “農研機構・食品研究部門:食品害虫サイト(コラム76:越冬コクゾウムシを探して)”. www.naro.affrc.go.jp. 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構. 2019年1月16日閲覧。
  6. ^ 農研機構・食品研究部門:食品害虫サイト(コラム86:モモとリンゴで発育するコクゾウムシ)”. www.naro.affrc.go.jp. 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 (2018年7月5日). 2019年1月16日閲覧。
  7. ^ 宮ノ下明大 (2009年11月24日). “農研機構・食品研究部門:食品害虫サイト(コラム17:コクゾウムシはどこから来るのか)”. www.naro.affrc.go.jp. 国立研究開発法人農研機構. 2019年1月16日閲覧。
  8. ^ 宮ノ下明大 (2015年11月27日). “農研機構・食品研究部門:食品害虫サイト(コラム65:コクゾウムシ買います)”. www.naro.affrc.go.jp. 国立研究開発法人農研機構. 2019年1月16日閲覧。
  9. ^ 宮ノ下明大 (2007年7月9日). “農研機構・食品研究部門:食品害虫サイト(ニュース1:高圧炭酸ガス殺虫法について)”. www.naro.affrc.go.jp. 国立研究開発法人農研機構. 2019年1月16日閲覧。
  10. ^ お米の虫よけ 新鮮米 | 虫ケア用品(殺虫剤・防虫剤) | アース製薬 製品情報”. アース製薬. アース製薬. 2019年1月16日閲覧。
  11. ^ 市販ミソにダニ、昆虫片 多くの銘柄に異物混る『朝日新聞』1979年(昭和54年)6月12日朝刊 13版 23面

参考文献

  • 松阪守・石向稔・坂本新一郎・宮ノ下明大・今村太郎・中北宏 (2009) 家屋害虫 31(1): 27-36.
  • 宮ノ下明大・今村太郎・古井聡・曲山幸生(2016)茨城県の玄米貯蔵施設屋外におけるコクゾウムシの越冬.ペストロジー31:65-67.
  • 中林馮次(1929)冬季に於て穀象の駆除を勧む 昆虫世界,33: 379. 86-90.
  • 松阪 守・石向 稔・坂本新一郎・宮ノ下明大・今村太郎・中北 宏(2009)玄米貯蔵庫における貯穀害虫の季節的変動について.家屋害虫 31: 27-36.
  • Nornberg et al (2018) Unusual behavior of oviposition and development of Sitophilus zeamais (Coleoptera: Curculionidae) in peach and apple fruits. Phytoparasitica 46: 69-74.
  • Nornberg et al (2013) Population dynamics and distribution of Sitophilus zeamais in peach and apple orchards. Pesq. Agropec. bras., Brasilia 48: 358-364.

関連項目

外部リンク




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