オーガズム不全
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/06 15:00 UTC 版)
「不感症」および「射精障害」も参照 オーガズムを得ることができないことは「オーガズム不全」、「無オーガズム症(英語版)」もしくは「射精無快感症(英語版)」などと呼ばれる。男性が勃起と射精をするがオーガズムが得られない場合、その男性は射精無快感症(英語版)であるとされる。「不感症 sexual anesthesia」や(性欲自体のない)「冷感症」のような言葉は曖昧なため、今日では包括的に「性障害」「性機能不全」などと呼ばれている。 女性のオーガズム不全の原因の大半は前戯不足のような性的無知もしくは心理的な原因によるものがある。より具体的には情緒不安、性交に対する嫌悪感や恐怖、(異性に興味が無く)同性愛であること、夫婦間の不和の問題などが挙げられる。少し異なったものとしては、過労(精神的な過労も、肉体的な過労も)が挙げられる。心理的な要因や過労といった要因があると、大脳皮質においてドーパミン系機構へ抑制がかかり、オーガズムが抑制されるのだと考えられている。 これには振舞に対するプレッシャーや、パートナーの満足から切り離して快楽を追求することへのためらいが密接に関係しているようだ。しばしば女性はパートナーの快楽のことが気掛かりとなるあまり不安に陥り、これはオーガズムの遅延に対する焦りとなって現れる。この遅延は、オーガズムによる性的満足に到達できないことへの不満へと結び付き得る。精神分析家のヴィルヘルム・ライヒは1927年の著書『オーガズムの機能』において初めてオーガズムを精神衛生の中核的な概念に据え、完全なオーガズムを得る障害という観点からノイローゼを定義した[要ページ番号]。 心理的な原因によるオーガズム不全の治療を試みる場合は精神療法や心理療法が採用される。つまりカウンセリング(セックス・カウンセリング)やセラピー(セックス・セラピー)が有効となると言われる。上述のように、オーガズム不全の大半は心理的な要素によって起きているが、他にも、生理学的な要素も関与することはある。中枢神経の機能障害によって不感症が起きることがある。このケースならば、ドーパミン系の賦活薬やセロトニン系機構の抑制をもたらす薬剤が効く場合もある。精神医学で用いられる薬物はほぼ全てが性への作用に関係し、男性の射精障害や女性のオーガズムの阻害・遅延を起こす可能性がある。例えばベンラファキシンやSSRIはセロトニン濃度を上昇させるため男女ともにオーガズムの達成を困難にする。 なお、特に同時にオーガズムを得ることやそれと類似した営みに関して、多くの性科学者たちは、早漏の問題が、相互のオーガズムが性的関係の目的や性的満足の印として過度に強調されていた20世紀初頭における科学的アプローチにより促された考え方に密接に関係していると主張している。
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