ウォーカー循環とは? わかりやすく解説

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ウオーカー‐じゅんかん〔‐ジユンクワン〕【ウオーカー循環】


ウォーカー循環

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/07/06 14:19 UTC 版)

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ウォーカー循環の概略図

ウォーカー循環(ウォーカーじゅんかん、英語: Walker circulation)とは、太平洋赤道域の大気の東西循環のことである[1][注釈 1]。熱帯太平洋西岸(インドネシア付近)で上昇気流を、熱帯太平洋東岸(ペルー沖)で下降気流を生じさせる[4]。この名称の由来は、南方振動の発見者のギルバート・ウォーカー英語版である[1]

原理

太平洋の海水面温度。西太平洋のほうが海水温が高い。

ウォーカー循環は海水温の地域差によって発生する[5]。赤道付近では貿易風が吹いていて、貿易風が海水に加える応力により赤道海流が発生する(これは風成循環の一種である)[5]。しかし陸地の存在により海流の進路が妨げられるため、太平洋の西側で温かい海水が集積し、熱帯暖水プール英語版が形成される[5]。一方、太平洋の東側では赤道海流による海水の流出の補填として、冷たい深層水湧昇する[5]。これにより赤道太平洋では東西で温度差が生じる[5]

この温度差によって、西太平洋では積雲対流が活発化し、上昇気流が強化される[6]。また気温上昇に伴い低気圧が形成され、大気下層では東風が発生する[1]。ここで大気上層では西風が吹き、ペルー沖では下降気流が発生する[5]。これにより東西循環ができ、ウォーカー循環が形成される[5]

エルニーニョ・南方振動との関係

通常時
ラニーニャ現象発生時
エルニーニョ現象発生時

エルニーニョ現象のときは、対流が活発な地域が太平洋中部に移動する[7]。太平洋の中部・東部における温度躍層[注釈 2]の深度が深くなるほか、太平洋上での高水温域も東側に移動する。西太平洋では大気の下降が発生する[9]ほか、西風が発生し、ウォーカー循環は弱まる[1]

ラニーニャ現象のときは、西大西洋や海洋大陸にて対流活動の活発化が進行し、ウォーカー循環が強まる[10]

脚注

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注釈

  1. ^ インド洋や大西洋においても同様の循環が生じていることが認められており[2]、広義では海洋大陸からインド洋方面、および大西洋上への東西循環も含む[3]
  2. ^ 太平洋での温かい海水と冷たい海水が接しているところで、水温の変化量が大きい箇所のこと[8]

出典

  1. ^ a b c d 小倉 2016, p. 287.
  2. ^ 法則の辞典の解説”. コトバンク. 2018年4月7日閲覧。
  3. ^ 田中 2017, pp. 238-239.
  4. ^ 水野 2016, p. 195.
  5. ^ a b c d e f g 田中 2017, p. 238.
  6. ^ 植田 2012, p. 39.
  7. ^ 植田 2012, p. 29.
  8. ^ 小倉 2016, pp. 286-287.
  9. ^ 植田 2012, p. 30.
  10. ^ 植田 2012, p. 31.

参考文献

外部リンク


ウォーカー循環

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/31 05:57 UTC 版)

大気循環」の記事における「ウォーカー循環」の解説

詳細は「ウォーカー循環」および「エルニーニョ・南方振動」を参照 太平洋周辺大陸の間では、海陸分布により「ウォーカー循環」と呼ばれる東西循環存在する赤道付近太平洋で暖められ大気西太平洋上昇し、東と西に分かれて循環している。東に向かった大気東太平洋下降し西へ向かった大気インド洋大西洋で下降する。この循環によって、西太平洋東太平洋の間で大きな海水温の差ができ、冷たい東太平洋から暖かい西太平洋への海水流れ生じる。 ウォーカー循環は、20世紀前半インド天文台所長務めたイギリス人気象学者ギルバート・ウォーカーにちなん名づけられた。ウォーカー季節風特性からその変化調べたものの、最終的に失敗終わった。しかしこの研究が、後に「南方振動」と呼ばれる太平洋インド洋間の気圧変化関係性発見につながることとなった海水温いつもどおりであればウォーカー循環は「正常」に働くが、海水温変化するとウォーカー循環にも異常が現れる何らかの原因西太平洋での大気の上昇が弱まると、貿易風弱まって東太平洋海水温上昇し、ウォーカー循環が崩れる。海洋大気両方で異常が生じるので、これらを総称してエルニーニョ・南方振動」(ENSO)と呼ぶ。

※この「ウォーカー循環」の解説は、「大気循環」の解説の一部です。
「ウォーカー循環」を含む「大気循環」の記事については、「大気循環」の概要を参照ください。

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