2020年東京五輪・パラリンピックのメーンスタジアムとなる新国立競技場(東京都新宿区)の建設費高騰をめぐる問題について12日、都内で記者会見した東京五輪組織委の森喜朗会長が、東京都の舛添要一知事を批判した。

 下村博文文部科学相が、都に新国立の建設費の一部負担を要請するため、根拠法の制定を考えているとしたことに、舛添氏は憲法95条に違反すると批判。それについて森氏は「あの方は憲法学者だが、学問的なことだけで進めるのはどうか」とチクリ。五輪招致活動、招致成功は舛添氏が都知事に就任した昨年2月よりも前から行われていることを強調し、「それを承知で選挙に出られたのは舛添さん。憲法よりも(舛添氏)政治姿勢だと思う。(五輪を)受け入れたいのか、受け入れたくないのか」と批判した。

 さらに、都の五輪施設などで約2000億円の整備費削減に成功したことを挙げ「知事は自分でやったと言っているが、我々は前から着手していた」と指摘し、今後について「都が国とどう協力していくかだ」とけん制した。

 またこの日、下村氏と面会した森氏は、揺れる新国立問題について報告を受けた。下村氏から国際コンペで選出された英国の建築家、ザハ・ハディド氏のデザインで計画を進めるとの説明を受け「ザハさんのデザインを根本から変えると、かえって遅れると話していた。国際的にも批判を受けると。デザインを大事にしながら節約すると言っていた。だから私は、しっかり頼みますよと言いました」と振り返った。

 文科省の所管で新国立の事業主体である日本スポーツ振興センター(JSC)は8日、国際コンペで選出されたデザイン監修者「ザハ事務所」に計画続行方針を伝えていた。また、新国立関係者は11日、現行案のまま数百億円を削減する計画があることを明かしていた。計画はアーチ型屋根やスタンドなどの本体は現行案のままにし、競技場以外の無駄を省くもの。数百億円の削減ができ、環境面も配慮できるという。