50歳、第2の人生を考える時 2018.05.30
1.50歳で見えてくる人生の終わり
50歳が近づいたとき ・・・
自分の人生にも終わりがあることを、初めて実感しました。
きっかけは、病気や事故などではありません。
簡単な引き算によるものです。
平均寿命まで生きられるとすると ・・・
40 歳の時点で、人生の残り時間は、80 − 40 = 40 年間になります。
しかし 40 歳の人が、40 年間の長さを、実感することはできません。
なぜなら、過去 40年間 の人生のうち、生後、数年間の記憶がないからです。
やがて 50 歳になると ・・・ 人生の残り時間は、80 − 50 = 30 年間になります。
30 年前、つまり 20 歳以降の記憶であれば、断片的ながら、鮮明に残っている ものです。
この瞬間、人生の残り時間の短さに、初めて気づかされました。
2.第 2 の人生を考える時
残り 30 年しか生きられない。
この事実に気づいたときのショックは、相当なものでした。
さらに 今後 30 年間は、過去 30 年間よりも、はるかに短く感じられる でしょう。
どうすれば 1 日をより長く感じられるかと、悩んだものです。
一方、50 歳になったおかげで、楽になったこともあります。
家庭では、子供もある程度、育っていました。
仕事では経験を積み、日常起きることであれば、おおむね結果を予測できます。
若い頃のような、強いストレスと向き合うことも、なくなりました。
時間と体力の面では、限界を意識しつつも、心身への負担はピークを過ぎていました。
このような状況のもと、ある思いが頭を過ぎりました。
これまでとは違う生き方を、模索すべきではないか。
今回のテーマは、「第 2 の人生」 です。
3.第 1 の人生の限界
順調にやってきた 45 歳あるいは 50 歳と言えば、心身ともに働き盛りである。
その彼らが仕事に飽きたということは・・・
第 1 の人生では、行き着くところまで行った ということである。
そのことを知ったということである。
これはドラッカーの言葉です。
未成年期を除けば ・・・
第 1 の人生は、最初の就職から始まっています。
50 歳にもなれば、そこから 30 年前後は、経っているでしょう。
仕事にも精通し、安定した成果を残すことができます。
しかし、それが原因で感動から遠ざかり、惰性の日々を送るようになります。
もし 100 歳まで生きることになったとしたら、残り 50 年はあまりに長く、辛いものになる でしょう。
経済的な不安もありますが、精神的な不安は、さらに大きなものです。
4.働き方を変えてみる
第 1 の人生の限界が訪れたとき ・・・
問題があるのは、「能力」 ではなく 「意欲」 です。
気分転換をすれば、よみがえる可能性があります。
たとえば、働き方を変えてみる。
ドラッカーが提案する 3 つの方法とは ・・・
① 転職する
② 副業をもつ
③ 今の仕事を減らして、新しい仕事 (特に非営利の仕事) をもつ
サラリーマンは、自分を抑えなければいけません。
心の健康を維持するためには、オンとオフの切り換えが必要です。
今の職場に限界が見えてきたら ・・・
一度、自分をリセットするために退職し、まとまった余暇を過ごす ことも考えられます。
5.人生に新たなテーマを設定する
退職も転職も不可能な、中小企業の経営者には ・・・
「人生に新たなテーマを設定する」 という方法もあります。
「50歳までに準備すること」 でも、お話ししましたが ・・・
「人生の残り時間」 と 「その間にできること」 には、限りがあります。
余生の中で、自分が何に取り組むべきか。
50 歳までには、そのテーマを決めたい ものです。
私自身は、50 歳を数年オーバーしたところで、ようやく決まりました。
ここでドラッカーの金言を 1 つ。
エネルギッシュに働くことはできない。
しかし判断力に狂いがなく、20 年前よりも優れた意思決定を行う人がいる。
年とともに欲を離れ、かつ知恵と親身さを併せもつならば ・・・
助言者として、最高の仕事をする。
6.余生をいかに充実させるか
第2の人生を始める目的は ・・・
「自分自身をリフレッシュさせること」。
それによって 「人生の残り時間を充実させること」 と、考えています。
だからこそ、テーマは 「やりたいこと」 の中から、選びたい ものです。
私は 「やりたいこと」 を、2 つに絞りました。
1 つ目は、「有益なこと」。
社会にとって有益な目標に向かうとき、精神面を最も充実させることができます。
過去の人生から学びました。
2 つ目は、「楽しいこと」。
趣味、人づきあい、仕事など ・・・
自分の本心と向き合い、心から楽しいと感じられることをしようと。
以上の結果、有益でもなければ、楽しくもないことには、時間を割かなくなりました。
7.旧友と再会して感じること
第 2 の人生のテーマは、さらに 「できること」 の中から、選択したい ものです。
それが成果を生み、充実感につながります。
「自分が何をやりたいのか」 は、人によって、わかりにくいかもしれません。
一方、「自分ができること」 は、案外、わかりやすいものです。
たとえば旧友と再会する度に、感じることがあります。
それは、その後の 「時間の長さ」 と 「経験の重み」 。
それぞれの道を、延々と歩いてきたものだと、しみじみ思います。
その結果、それぞれが異なる色に染まっています。
何れがよいのかという問題ではありません。
それぞれが偏った存在になったという事実だけです。
お互いに自分の仕事ではプロになったものの ・・・
相手の分野では、足下にも及ばない ことが、明確になっています。
8.自分のことをよく知る
「自分ができること」 を、より正確に把握するためには ・・・
自分自身のことを、よく知る 必要があります。
能力、経験、性質、性格、好み、時間、体力、環境、人脈など。
これらについて客観的に評価し、等身大の自分を直視する。
ここでドラッカーの金言を 2 つ。
今さら自分を変えようとしてはならない。
うまくいく訳がない。
自分の得意とする仕事のやり方の向上には、力を入れるべきである。
不得手なことの改善にあまり時間を使ってはならない。
自らの強みに集中すべきである。
無能を並みの水準にするには ・・・
一流を超一流にするよりも、はるかに多くのエネルギーと努力を必要とする。
9.第 2 の人生の準備を急ぐこと
第 2 の人生の準備は、急がなくてはいけません。
もし定年退職後にスタートさせると ・・・
退職前の数年間は、仕事への意欲も低下し、時間を無駄に過ごす恐れがあります。
さらに定年後の可能性も狭まり、第 2 の人生を充実させることが難しくなります。
たとえば仕事オンリーだった人が、60 代後半から趣味を始めたとしても ・・・
若い頃のような感性が失われているため、趣味の素晴らしさに気づけない かもしれません。
趣味であるにもかかわらず、義務や責任、比較や競争など、仕事と同じ感覚でとらえてしまう人もいます。
これでは 「楽しむこと」 も 「味わうこと」 もできません。
最後にドラッカーの金言をもう 1 つ。
第 2 の人生をもつには、1 つだけ条件がある。
本格的に踏み切るかなり前から助走しなければならない。
10.まずは、健康と体力
私は、まだ 57 歳です。
60 歳以降、どんな経験が訪れ、何を感じるのかは、正直わかりません。
その範囲内で、第 2 の人生について、お話ししました。
現在は人生の先輩方と交流しながら、参考にさせていただいています。
これまでにわかったことは ・・・
健康維持だけではなく、基礎体力の向上にも努めること。
基礎体力が低下すると、健康の維持そのものが、難しくなるからです。
身体的な活動だけではなく、精神的な活動のためにも、基礎体力が必要と考えています。
人生の残り時間を生かして、何に取り組むべきか。
50 歳が間近に迫ったとき、この問題に気づいてよかったと、今は考えています。
せっかくの人生、晩年まで充実させたい と思われる方は ・・・
第 2 の人生設計に、今日から取り組まれては、いかがでしょうか。
※ 参考文献
P.F.ドラッカー著 「仕事の哲学」
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