こちらのサイトに、ウクライナ鉄鋼業の2024年の実績と2025年の予想という記事が出ていたので、以下で要点をまとめておく。なお、上図はその記事に添えられていたもので、左は鉄鋼輸出量、右は鉄鉱石輸出量を示しており、ともに単位は100万tで2024年と2025年は見通しとなっている。
2024年にウクライナの鉄鋼生産は予想を上回ったが、2025年の生産は9%、輸出は16%低下する可能性がある。これは、長引く戦争の影響と、世界市場での競争激化によるものである。
これはウクライナの経済見通し全体にも影響を及ぼす。鉄鉱石・鉄鋼部門は2023年にウクライナGDPの5.7%を占め、輸出の15%を稼ぎ出した。
2024年の粗鋼生産は予想を大きく上回り、前年比21%増の750万t程度になると見られる。ただ、戦前の2021年には2,140万tだったので、それに比べれば65%も少ない。
2023年後半に海路による輸出の道が開かれたことが、奏功した。アルセロールミタル・クリヴィーリフの第2高炉が2024年春に稼働再開し、その結果、2024年1~11月の時点で、半製品の輸出は60%増の65万t、完成鋼材の輸出は40%増の50万tとなった。
また、海路による中国向けの鉄鉱石輸出も復活し、1~11月に中国向けに1,300万tを輸出、これは全鉄鉱石輸出の43%を占めた。
しかし、2025年のウクライナの鉄鉱石・鉄鋼の生産と輸出には、一連の逆風がある。戦闘が続くこと、中国の過剰生産による世界市況の低迷、EUによる関税優遇措置の撤廃、原料炭輸入の必要、鉄道・電力・ガスなどの料金の上昇、国内需要の低迷などである。
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