ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメントから4月16日に発売された、PS4/Xbox Oneのゾンビサバイバルアクション『ダイイングライト(Dying Light)』。「広大なオープンワールドの世界でゾンビと戦えるなんて、楽しくない訳がない!」と意気揚々にプレイしたレビューをお届けします。
■ゾンビ菌が蔓延るこの世界をパルクールアクションで華麗に生き残る!
未知の病原体が発生したハラン市は、ゾンビアウトブレイクにより軍から隔離された無法地帯の場所。主人公は盗まれた機密書類を捜すため、ハラン市内で生き残りをかけた戦いを強いられる事に……。
『ダイイングライト』のプレイを開始して数分後、「うーん何だかこのゲームデザインにデジャブを感じるぞ……」と思いました。それもそのはず、『ダイイングライト』を開発したTechlandは、過去に『デッドアイランド』シリーズを手がけたスタジオと知って筆者は「あーだからか!この既知感!」と一人で納得。基本的なゲームシステムの1つとして、素材を集めて設計図から武器を製作できる要素は『デッドアイランド』とほぼ一緒です。
しかし、『ダイイングライト』の一番の売りはクラフト要素だけではありません。『デッドアイランド』もオープンワールドでゾンビと戦うサバイバルアクションでしたが、『ダイイングライト』にしかない絶対的な物があります。それは「移動の爽快感」!
『ダイイングライト』では“パルクール”アクションが採用されていて、例えば屋根から屋根をピョンピョン飛び回る事が出来るのです。過去のゾンビサバイバルゲームで、ここまでステージに高低差があり、移動制限が少ないゲームはなかなか無かったとプレイ中感じました。
昼間はゾンビの動きも遅いので颯爽と駆け抜けて移動できます。メインストーリーを進めてスキルレベルがあがってくると、グラップリングフックを使ってさらに颯爽と移動する事も可能です。
メインシナリオを進めると同時に、マップ上に存在する安全区域(セーフゾーン)の解放も進める事に。周囲のゾンビを倒して、ドアを閉めれば完成!安全区域ではゾンビの襲撃を心配する必要もなくなり、またアイテムの保管を行えます。
ゾンビゲームの定番でもある「クラフト要素」、武器以外にも投てき武器や回復アイテムも作成できます。作成のほかにも素材があれば武器の強化や特殊効果を付与する事も可能。
スキルは「サバイバー」「スピード」「パワー」の3種類が用意されています。例えばゾンビと戦闘を繰り返す事で「パワー」の経験値が貯まっていき、戦闘に役立つスキルを覚える事が出来ます。走ったり、パルクールをする事で「スピード」の経験値が貯まり、移動に役立つスキルを覚える事が出来るなど、基本的に意識せずともたくさん遊べば自然に経験値が増えていくシステムとなっています。
メインストーリーやサブクエストの他、イベントやゾンビが蔓延る隔離区域への探索なども用意されています。メインのクエストそっちのけでオープンワールドの世界を探索するもよし?
敵はゾンビだけじゃなく人間も……。ゲーム自体にかかっているモーションブラーが強いので、アクションになれるまで3D酔いの心配が少しあります。比較的FPS慣れしている筆者でも、上下移動の激しいパルクールアクション中は少し気持ち悪くなったので、なれるまでは画面を少し遠ざけてプレイする事をオススメします。
■Co-opプレイで隔離された倉庫へ進入!
いざCo-op!はたから見るとプレイヤーの跳躍力が凄まじい。
『ダイイングライト』はCo-op、PvPのマルチプレイに対応しています。Co-opプレイではメインシナリオやマップ上にある隔離区域の探索などを他のプレイヤーと一緒に遊べます。PvPは他のプレイヤーが進行しているゲームに侵入し、ゾンビ(ナイトハンター)となり襲撃しに行く対戦モードです。
マッチングのオプション設定で、ゾンビの進入を許可している場合は他のプレイヤーがナイトハンターとなって進入可能になります。進入された側はメインクエストをプレイ中でもPvP専用ルールに変わってしまうため、じっくりシナリオを進めたい場合はセッションオプションを変更しておく事をオススメします。
最初のクエストも無事クリアできたので、試しに初回限定封入特典としてついていたDLC「食事 & 貨物」の鉄道駅の構内にある隔離区域をCo-opでプレイしてみる事に。マッチング検索をすると運よくプレイしている米国の方がいました。英語が話せないため、とりあえずジャンプで意思疎通を図ると、ジャンプでの挨拶が! Co-opをやっていてちょっと嬉しい瞬間です。
このミッションをクリアするためには貨物列車で地面の穴をふさいでからゾンビを一掃する必要があるのですが、難易度設定が「難しい」になっていたためかゾンビの襲撃がすごく痛い……。ゾンビの数もてんこ盛り!
水にぬれた地面と電気が接触してビリビリ床になっている場所が!Co-op相手が一心不乱にキックでゾンビをこの床に押し付けているのを見て参戦する事に。言葉は通じずとも、何をやりたいかは通じ合える。これこそゲームが持つパワーなんだ。(ゾンビを蹴りながら)
何だかんだでお互い5回ほど死亡しましたが、30分ほどかけてクエストを無事クリアしました。クリア後も終始無言でお互い物資を探索しつつ、最後はジャンプで挨拶して解散するというとても綺麗なお別れ方が出来て楽しかったです。
■PvP「ビー・ザ・ゾンビ」で人間プレイヤーを襲ってみる
楽しいCo-opから一転、次はゾンビになって他のプレイヤーを襲ってみようと、封入特典で付属するゾンビ モードでPvP(ビー・ザ・ゾンビ)をプレイ。進入されたプレイヤーは、マップ上に複数あるゾンビの巣を破壊できれば勝利、ゾンビ側は巣を守りながら人間をたくさん倒せば勝利です。
プレイしてみたところ、ゾンビ側がやや強すぎるため、人間側はまずストーリーCo-op等で人を集めておかないと勝つのが難しそうな印象。というのも、ゾンビの機動性が高すぎるうえ、人間を一撃で倒せる攻撃があるため、人間側はゾンビが嫌うUVライトを活用し襲撃に随時対応する必要があります。少ない人数で人間側が勝つのは困難かもしれません。
ゾンビ側は触手移動がとても爽快で、高速でビュンビュン建物から建物へと移動するだけでもかなり面白いです。チュートリアルでもいいのでこの動きは体験して損なし。感覚的には『Just Cause 2』のワイヤーアクションでたくさん動きまわっているような楽しさがあります。
■ゾンビ「夜から本気だす」
あらかたCo-opやPvPも遊んだところで、メインストーリーを進めていると辺りはすっかり夜の街へ。そう、奴らが本気を出す時が来たのです……。
あの昼間のゾンビ達は、夜になると見違えるほど強くなります。ゾンビの近くで物音をたてたり、ゾンビの視界に入るやいなや奇声を発して集団で猛スピードで襲い掛かって来るのです。視界に入ってしまった場合は本気でパルクールを駆使して逃げないとゾンビの包囲網から抜け出せません。
個人的には夜の『ダイイングライト』が一番プレイしていて楽しい瞬間。残念ながら昼間のゾンビ達に脅威はあまり感じないため、本来のサバイバルという意味では特に困難な状況でもなんでもない訳です。それが夜になるだけで、一気にサバイバル感はMAXになります。絶望感が半端ない!ある意味、昼と夜でここまで恐怖の温度差が変わるゲームも珍しいです。
ダッシュ中に後ろへ振り返る事も出来ますが、夜にこれをやると猛ダッシュで追いかけてくるゾンビと目があって大変心臓に悪いです。さらに夜は「ボラタイル」と呼ばれる俊敏で凶悪なゾンビも出現します。
夜は取得できるスキルの経験値が倍になるため(安全区域以外で)あえて危険に乗り出してみるのもいいかもしれません。命の補償は出来ませんが……。夜にしか出来ないサブクエストなども存在します。
■日本版の規制内容に関して
日本語のローカライズに関してですが、規制については「人間もゾンビも血の色(ゾンビは内臓部分の色も)が暗色に変更」「人間キャラクターの部位欠損の削除(ゾンビは有り)」が日本語版の大きな変更内容でしょう。
個人的な意見になりますが、「血の色が暗色」(緑っぽく見える)に関しては、ビジュアル面だけで言えば、これはこれで気持ち悪さを表現できていると感じました。実際床に広がる緑色の液体はほどよくグロいです。序盤に出てくる人間の血が緑色なのも「この人ゾンビ菌に感染したのかな?」といらぬ想像を掻き立ててしまいます。
ただし、プレイヤーのヘルス低下時の出血表現なども緑色のため、戦闘中の画面がとても見え難くなる点としてはマイナス要素でした。
■遊べば遊ぶほど爽快感が増してくる
一通りプレイしてみて感じたのは、『ダイイングライト』は遊べば遊ぶほど楽しくなってくるゲームだという事。スキルのレベルが上がれば主人公のとれる行動パターンの幅も広がっていくので、最初は回避行動すら取れなかった主人公が後々ワイヤーフックを使い颯爽と移動しながらドロップキックでゾンビをKOしていく姿を見る頃には、プレイヤーは『ダイイングライト』のアクション部分の楽しさを充分堪能できている頃だと思います。
本作を未プレイの方は、ゾンビが蔓延る夜のハラン市内を颯爽とパルクールアクションで駆け回ってみてはいかがでしょうか。
初回限定封入特典の「最終兵器バンドルパック」(6月2日より配信予定 / 海外では解禁済み)に入っているNINJA服を着て颯爽とCo-opに参加してきた海外の方。この姿から繰り出されるパルクールは見ていてとてもスタイリッシュでした。