多数の酔客でごった返す夜の新宿・歌舞伎町に「弁護士」が常駐し、ぼったくり被害者の相談に応じる——。そんな「ぼったくり被害110番」の取り組みを始めた東京弁護士会と歌舞伎町商店街振興組合、新宿区が7月1日夜、歌舞伎町のビル内にある事務所で記者会見を開いた。
初日の6月26日(金)には19人、翌27日(土)は11人、28日(日)は10人の弁護士が出動。6月30日までの5日間で11件の相談があった。なかには弁護士が現場に到着してから「10分で解決した」ケースもあったという。
ぼったくり被害110番の電話番号は、03-6205-6777。相談は毎晩21時〜未明まで受け付ける。110番の終了時期はいまのところ未定だが、「ぼったくりがある限り、対応を考えていきたい」とのことだ。
●ぼったくりトラブルを「パトロールで発見」
「ぼったくり被害110番」が始まった26日の夜、担当の弁護士たちがパトロールをしていたところ、ぼったくり被害者2人と飲食店員が店の外で揉めているのを発見した。
「弁護士ですが・・・」と割って入ったところ、客の2人から「3000円ポッキリという話で店に入ったが、1時間程度の滞在で合計20数万を請求されてしまった」と聞かされた。
弁護士たちが登場したことで、店側も話し合う雰囲気に。その場に駆けつけた警察官も見守る中、「最初3000円だと話していたのだから、2人で6000円でいいですね」と話がまとまり、その場で解決することができたという。弁護士たちが到着してから、わずか10分程度での「スピード解決」だったそうだ。
●「僕はツイてた」と感謝された
その後、被害者2人に「いつもこんな活動をしているんですか?」と問われ、弁護士が「いえ、今日からの取り組みです」と話すと、被害者に「僕はツイてた。出会えてよかったです」と感謝されたという。
対応した弁護士は「ぼったくり店員と客という立場では対等な交渉をするのが難しいですが、そこに警察・弁護士がいれば、対等に話ができるようになります」と、「弁護士がその場にいる意義」を強調していた。
電話・面談での相談段階は無料だが、正式に代理人として店と交渉してほしい場合には有料(2万5000円が目安)という。なお、先述のケースでは「依頼を受ける間もなく解決した」として報酬を受け取らなかったという。
●被害は「未然に防げる」
東京弁護士会の伊藤茂昭会長は会見で「被害に遭いそうになったときは、絶対に金銭を支払わないこと。110番通報し、助けを求めて身の安全を確保すること。ぼったくり被害110番で、弁護士に助言を仰ぐこと。それで被害は未然に防げる可能性があります。金銭を支払ってしまった後でも救済の道は残されていますから、遠慮なく弁護士に相談してください」と呼びかけていた。
「ぼったくり被害110番」の事務所を提供する歌舞伎町商店街振興組合・片桐基次理事長は「歌舞伎町に出ている客引きは100%ぼったくりです」と強調した。今年3〜4月はかなり被害が多く「歯がゆい思いをしていた」が、新宿区・警視庁・弁護士会などが対策に力を入れた結果、事態はだんだん改善してきているという。片桐理事長は「弁護士会、警察の方々と強く連携して、ぼったくりを全滅させたい」と意気込みを語っていた。