検索キーワードに頼らずSEOの価値を示す10の方法――(not provided) 100%時代に備えて(後編)
この記事は、前後編の2回に分けてお届けしている。キーワードに頼らずSEOの価値の証明する10の方法のうち4つを紹介した前回に引き続き、後編となる今回は、残る6つの方法を見ていこう。→まず前編を読む
#5マルチチャネルを使って価値を証明する
マルチチャネルでのアトリビューション分析をするときに、ラストクリック(終点)モデルを使うと必ず問題になる分野が2つある。オーガニック検索とソーシャルだ。
この2つからの訪問者は、マーケティングファネルの上の方に位置することが多く、多くの場合、最初のサイト訪問では購入に至らない。そうした訪問は将来の購入につながることがあるとしても、必ずしも初めての出会いで成果が出るわけではない。
このような訪問者が購入プロセスを完了するまでの間には、有料の検索広告、リマーケティング、メール、あるいは直接訪問などが間に入ることが多い。
現在僕が力を貸しているベンチャー企業を例に、コンテンツのマーケティングファネルがどうなっているか見てもらおう。
大量のオーガニック検索とコンテンツマーケティングが、購入決定過程の上の方ではとても大きな役割を果たしているのに、人々が購入を始める段階では影が薄くなる点に注目してほしい。これが、新規顧客を引き込もうとしている多くの会社が経験する行動タイプなのだ(ただこれは簡略化したものであり、実際はケースによって異なる)。上記のマーケティングファネルは、おおむね「think with Google」で提供されている業界固有の調査に基づいている。
自分のビジネスが同じような意思決定のファネルの影響を受けているのかどうかを知る最も簡単な方法は、Googleアナリティクス内のマルチチャネル機能を見ることだ。
僕はアシストコンバージョンのレポートが気に入っている。トラフィックを呼び込むチャネルに、ラストクリック・アトリビューションによって軽視されているものがないか、とてもはっきりとわかるからだ。
ラストクリックとアシストの売り上げの数字を理解することで、オーガニック検索への取り組みの効果を二重に測定できる。
#6Googleウェブマスターツールと連携する
(not provided)となるキーワードデータの代わりになるものとして最も近い方法は、GoogleアナリティクスとGoogleウェブマスターツールを連携させることだ。この2つをつなぎあわせることで、大量のキーワードデータを、徐々に精度を上げながら明らかにしていける。
こういったレポートは、Googleアナリティクスで最初から利用できるわけではないが、Googleアナリティクスの非同期トラッキングコードか、Googleタグマネージャといったツールを使えば、Googleウェブマスターツールにあなたのサイトを認証させることができる。
認証が完了したら、ウェブマスターツールとGoogleアナリティクスを連結させて、キーワードデータがGoogleアナリティクスの検索エンジン最適化レポートに入ってくるようにできる。
そうすれば、Google検索の各キーワードの表示回数、クリック数、クリックスルー率などがわかってくる。きわめて信頼性の高い情報だというわけではないが、データは徐々に改善されている。
このデータの精度をさらに確保するための鍵がある。
検索クエリセクションと対比させて、もう一度ランディングページのレポートを見てみるのだ。僕の場合、検索クエリセクションでは、表示回数が16万1182でGoogleからのクリック数がたったの6720だった。これに対し、ランディングページのレポートでは、同じ90日間のクリック数が2万8139だった。
これが、同時期のオーガニックのランディングページと比較すると、実際にかなり正確なのだ。
僕の場合違いがでているのは、検索クエリは上位1000件の分しか表示されず、トラフィックを呼び込むロングテールのキーワードすべてが示されているわけではないからだ。これに対して、僕のサイトのページ数は1000には程遠いので、上位1000件のランディングページといっても、この制限のせいで切り取られるページはない。
これは、グーグルが2013年12月31日に実施した、ウェブマスターツールで検索クエリをより詳細に説明するする変更に原因があるのかもしれない。
ウェブマスターツールのデータは完璧ではないかもしれないが、多くの場合に僕たちにはこれしかないのだ。
#7オーガニック検索のトラフィックをユーザー属性で分類する
Googleアナリティクスの「ユーザー属性」レポートを使っていないとしたら、すばらしいデータを逃してしまっている。とはいえ、これはあなただけではない。ユーザー属性レポートはまだ新しく、最大限に活用している人は非常に少ない。
- ユーザー属性とインタレスト カテゴリに関するレポートの概要(アナリティクス ヘルプ)
なぜ使っていない人がいるのか。まず何より、有効化するのにGoogleアナリティクスのトラッキングコードを少し修正しなければいけないことがあるからだ。また、プライバシーポリシーの更新も必要になるかもしれない。
ユーザー属性レポートのデータはDoubleclickが提供しており、このデータにアクセスするためにはdc.js版のGoogleアナリティクスを使う必要がある。このため、すでにdc.js版を使ってリマーケティングを有効にしていない人は、サイトのコードを変更する必要があるだろう(Googleタグマネージャを使っていれば、Googleアナリティクスのタグ設定でボックスにチェックを入れるだけでいい)。
こうした手順を踏んでユーザー属性レポートを有効化できれば、あなたのサイトを使っている人たちに関する、とてもすばらしいデータを見ることができるようになる。訪問者を年齢層や性別で分類し、ターゲット市場に当てはまるのがだれなのか理解できるようになるのだ。
さらに良いことに、セカンダリディメンションを作成して、年齢層や性別がトラフィックソースごとにどう作用するかを理解できる。
検索が得意なのは男性なのか女性なのか
若い訪問者の方が年配者よりコンバージョンしやすいのではないか
そんなことを考えたことはないだろうか。ユーザー属性レポートがあれば、そうした疑問に答えを出して、サイトの中核となるユーザーの属性に基づいて検索戦略を調整できる。
#8ダッシュボードを使い、最も重要な指標を明らかにする
Googleアナリティクスのアカウント間で「ダッシュボード」「セグメント」「レポート」を共有できるのは、実にいい機能だ。全アカウントにわたって一貫した作業がしやすくなるし、クリック1つで、アナリティクス専門家の仕事にアクセスできる。
そのような専門家のひとりがダン・バーカー氏だ。Googleアナリティクスのキーワード欄に「(not provided)」が頻出するのにうんざりした同氏は、この問題の対処に特化したリソースを揃えたウェブサイトを作った。
バーカー氏のサイト「Not Provided Kit」では、Googleアナリティクスのアカウントにインストールできる6種類のアドオンが提供されている。
NOT PROVIDED KIT
(Googleアナリティクス用)無料キットをダウンロード
2011年10月以降、グーグルはサイトに来た人々が検索で使ったキーワードに関するデータを徐々に隠し始めている。
この「Not Provided」キットは、Googleアナリティクス用の簡単なアドオンのセット(私@danbarkerがまとめた)で、データが得られなくなくなった今、何が起きているのかを理解するのに役立つ。問題の解決になるわけではしないが、(not provided)となる訪問に関して、新たな知見をもたらすだろう。
キットの内容
- 現在の割合: 現在の「(not provided)」の割合(すなわち、残りのオープンデータがどれだけあるか)を示す図表が1枚だけのダッシュボード(
- 総合ダッシュボード: 「not provided」のトレンドに関する総合的なダッシュボード。グラフ、指標、ブラウザやデバイスの内訳など。
- 詳細なレポート: カスタマイズされたより詳細なレポート。(not provided)となるトラフィックに関して、詳細なランディングページ情報がわかる。
- 「Not Provided」セグメント: (not provided)トラフィックだけに関するGoogleアナリティクスのレポートを見られる高機能セグメント。
- 「Keyword Known」セグメント: Googleのオーガニック検索のキーワードデータがわかっているものだけのレポートを見られる高機能セグメント。
- 「Not Google」セグメント: 「Google以外」のオーガニック検索のセグメント。あなたが対応できるGoogle以外の検索エンジンで、完璧なキーワードデータが存在する部分のみについてのデータを見られる。
僕はダッシュボードのカスタマイズが大好きだ。ウェブサイトの(not provided)キーワードに隠された重要な情報を理解するのに役立つ。すばらしい!
カスタマイズしたダッシュボード
カスタマイズされたたくさんのダッシュボードとレポートのなかで、、僕が特にチェックすることをお勧めするのはGoogleアナリティクス ソリューションギャラリーだ。
#9AdWordsの検索広告とオーガーニック検索のレポート
(not provided)対策の最後の2つは、Googleアナリティクスからは離れるが、やはりグーグルから提供されるものだ。
まずは、比較的新しいGoogle AdWordsにおける検索広告とオーガニック検索のキーワードレポートだ。
このレポートは、AdWordsアカウントからのデータとGoogleウェブマスターツールからのデータを合体させたもので、キーワードがもっとも有効な範囲を理解するのに役立つ。
このレポートによって、ターゲットだと考えている特定のキーワードについて、あなたのサイトが検索広告とオーガニック検索にどれくらいの頻度で表示されるのかを知ることができる。
あなたの会社が検索広告とオーガニック検索の両方に大きく関わっているのならば、AdWordsとウェブマスターツールを連携させることから始めるといいだろう。
その上で、「Google AdWordsの検索広告とオーガニック検索のレポートの使い方」というLunaMetricsの記事を読むことをおすすめする。
#10Googleトレンドを利用する
それでもやはり個々のキーワードの関心度と働きの動向を理解したいと考えているなら、Googleトレンドを使って、キーワードの人気動向について洞察を得たり、似た2つのキーワードの検索ボリュームを相対的に比較したりするのは、いつでもできる。
このデータは、最近の関心度が増大しているのか減少しているのかを把握したり、コンテンツマーケティングの取り組みのなかでターゲティングするキーワードを別のものに変えたりするような場合に役に立つ。
あとは、「(not provided)」という言葉への関心度が、その言葉ががわれわれの前に現れた2011年から500%以上増加していることを、グーグルが自らのツールを使って知ってくれればいいのだが。
もう抜け出すときだ
何かを奪われたとき、その変化に反発せずにいることは難しい。アビナッシュ氏がまさにこの話題に関して記事に書いているように、これを克服して向こう側へ抜け出すには、悲しみのステージを5つくぐり抜ける必要がある。
僕は映画『ショーシャンクの空に』のアンディ・デュフレーンを思い出してしまう。
「昔はこうだった」なんていうお荷物は捨ててしまおう。あなたが知っていたキーワードは、おそらく二度と戻ってこない。だからこの機を活かして、キャリアを伸ばし、報酬を増やし、会社にどしどし儲けさせようじゃないか。
ここに示した10の方法によって、必要なデータを入手するにはどこを見たらいいかがわかりやすくなることを願っている。では、いい分析を!
ソーシャルもやってます!