2:名無しで叶える物語(おいしい水)@\(^o^)/:2015/03/08(日) 10:02:22.31
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一時間前
海未「なんですかね?このDVDは」
海未「ここは部室。破廉恥な映像ならば、園田警察が没収します」
海未「見ましょう」
海未「パソコンの使い方がわかりません」
海未「にこに聞きましょう」
にこ「なによ」
海未「DVD」
にこ「は?」
3:名無しで叶える物語(おいしい水)@\(^o^)/:2015/03/08(日) 10:05:19.60
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海未「DVDをパソコンで見る方法を教えてください」
にこ「意外ね、海未がそんなに機械に弱いとは」
海未「機械はどうにも苦手です。分厚い説明書を見ただけでじんマシーンがでます」
にこ「おもんな!」
海未「ではでは、ご教授、手解き、よろしくお願いします」
にこ(……これはもしかしたらチャンスかもしれないわ)
4:名無しで叶える物語(おいしい水)@\(^o^)/:2015/03/08(日) 10:08:09.69
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にこ「そうね、まず、四つん這いになりなさい」
海未「なんと!」
にこ「ナントでも、カントでも、ナントカカントカでも、すっぽこぴーよ。四つん這いになりなさい」
海未「どうしてもしなくてはダメですか」
にこ「どぅめどぅめよ」
海未「わかりました……はい」
にこ(ぷくくく、けっさくだわ)
5:名無しで叶える物語(おいしい水)@\(^o^)/:2015/03/08(日) 10:11:22.65
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にこ「またがるわよ、よいしょ」
海未「あっ」
にこ「園田乗りのにこちゃん、ってわけね」
海未「これになんの意味があるんですか」
にこ「わかんないわよ。ただ、パソコンも洗濯機も、飛行機も、理屈はよく分からないけど、みんな使ってるでしょ?」
海未「なるほど、メモしておきます」
にこ「その心意気よ」
6:名無しで叶える物語(おいしい水)@\(^o^)/:2015/03/08(日) 10:13:53.06
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にこ「このまま、私を乗せて部室を一周しなさい」
海未「わかりました」スック
にこ「わ、わ、わ!立ち上がっちゃ、どぅめどぅめよ!四つん這いのまま、よ!」
海未「なるほど、なるほど。メモメモします」
にこ「よし、よし、どう、どう」
海未「なぜ、撫でるのです」
にこ「出発進行よ!」
8:名無しで叶える物語(おいしい水)@\(^o^)/:2015/03/08(日) 10:17:10.84
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ぺたぺたぺた
海未「にこは、軽いですね」
にこ「あったりまえよ」
海未「なんだか、娘と遊ぶ、母親になった気分です」
にこ「これは主従関係よ」
海未「いやいや、まさに、親子関係です」
にこ「黙りなさい」
ぺしっ
海未「反抗期ですね。マタニティーブルーになりますよ」
にこ「経産婦か!意味が違うわよ!」
海未「にこは、なんでも知ってますね」
にこ「あんたより、一年長生きなのよ」
9:名無しで叶える物語(おいしい水)@\(^o^)/:2015/03/08(日) 10:21:10.24
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海未「一周しましたが」
にこ「ああ、ゆかい……じゃなくて、よし、よし、今のでインストールが完了したのよ」
海未「インストールとは?」
にこ「言葉に意味なんか無いわよ。意味は、言葉が無いと捉えられないけど、意味のない言葉はいくつでも作れるでしょ」
海未「なるほど、にっこにっこにー、とか、特に意味は無いですもんね」
にこ「かっちーん。頭にきたわ」
海未「う、嘘ですよ、機嫌を損ねないでください」
にこ「土下座しなさい」
海未「はい」
にこ「綺麗な土下座ね」
海未「日本舞踊は、この一礼から始まるのです」
にこ「ほほう」
10:名無しで叶える物語(おいしい水)@\(^o^)/:2015/03/08(日) 10:25:16.55
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海未「両手の親指と人差し指で、トライアングルを作ります、それを肩幅に広げて、指先から、ゆっくり着地。体を前屈させて、やや遅れて、頭も下げるのです。この時に一度、前方を見るのがコツですね」
にこ「勉強になるわね」
海未「にこも、土下座をする機会があれば、ぜひ」
にこ「ないわよ」
海未「わかりませんよ」
にこ「絶対無いわ」
海未「へぇ」
にこ「それより、次のステップよ」
海未「はいっ!」
12:名無しで叶える物語(おいしい水)@\(^o^)/:2015/03/08(日) 10:29:03.25
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にこ「まず、その四つん這いで汚れた手を、薬用石鹸で洗いなさい」
ジャジャー
海未「はい、洗いました」
にこ「手を拭きなさい」
海未「ハンケチーフを忘れました」
にこ「ハノケチーフを使いなさい」
海未「これは、これは、穂乃果のパンツ」
にこ「履き忘れて帰るから、何枚も部室にたまってるのよ」
海未「ごしごし。つまり、穂乃果は、ときどき、履かずに下校。う、鼻血が」
にこ「ハノケチーフを、鼻につめなさい」
海未「はい」
にこ「ぷくく」
15:名無しで叶える物語(おいしい水)@\(^o^)/:2015/03/08(日) 10:35:03.97
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海未「はやく、DVDを見る方法を」
にこ「パスワード入力が必要なのよ」
海未「パスワードですか」
にこ「一応、私以外が、勝手に触られないようにね」
海未「なぜ、学校のものなのに、にこだけがパスワードを知っているのですか、私物化です」
にこ「私物化。私物化は悪いことじゃないわよ。じゃあ、あんたの住んでる土地は、いつあんたの土地になったわけ?地球を私物化して、生きてるのよ」
海未「そ、そんな、確かに」
にこ「地球に謝りなさい、そうね、これこそ、まさに……土下座よ」
海未「ははーっ」
にこ「ぷくく」
海未「再び、薬用石鹸、ハノケチーフで清潔にして……」
にこ「じゃあ、パスワードを教えるわ」
16:名無しで叶える物語(おいしい水)@\(^o^)/:2015/03/08(日) 10:41:32.73
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海未「当てちゃいますよ、25252ですね」
にこ「うっ (おしい、2525よ)」
海未「おや、もしかして、ご名答ですかね」
にこ「違うわよ、バカ、バカ。単細胞ね。あんたの神経細胞、一直線に繋がってるんじゃないの?」
海未「ひ、酷いです」
にこ「ふふん、おバカさんには、バカに飲ませる薬をあげるわ」
海未「私はバカだったんですか」
にこ「バカからの脱却は、バカを自覚するところから始まるのよ。つまり、無知の知、ね」
海未「むちのち?なんだか、むちむちしてますね」
にこ「なかなか、むちむちした、柔らかい脳みそを、お持ちのようね」
海未「お餅のようですか、照れますね」
18:名無しで叶える物語(おいしい水)@\(^o^)/:2015/03/08(日) 10:46:59.98
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にこ「おもちのように、むちむちの脳みそ」
海未「面白いですね」
にこ「どぅめどぅめよ、全然面白くないわ」
海未「funnyですよ」
にこ「どっちかと言うと、interestingよ」
海未「attractiveでは?」
にこ「うーん、stupid」
海未「それ、まだ知りません、なんですか?」
にこ「愚か、って意味よ」
海未「すちゅーぴっど……なるほど、愚か、ですか。って!なんでですか!」
にこ「では」
海未「あ、また逸れてましたね」
にこ「気を取り直して、パスワードを」
海未「ごくり」
にこ「……そのためには、海未が私のパソコンを使うのに、信頼に足るかテストをするわ」
海未「テスト」
にこ「そうよ」
19:名無しで叶える物語(おいしい水)@\(^o^)/:2015/03/08(日) 10:52:46.09
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海未「そんな、そんな、私たちは、同じ部活を営む、運命共同体ではありませんか、廃校を、共に救うんでしょう」
にこ「私は廃校を救う気は別にないけど」
海未「そう言えば、そうですね、がーん、です」
にこ「これは、友人として信頼出来るか、とは、また別の話なのよ。いい?」
海未「ふむー」
にこ「コンピューターの、リテラシーとでも言おうかしら、そういうものが、きちんと備わっていないと、どぅめどぅめよ」
海未「あの、リテラシーとは」
にこ「正しく扱える能力、って意味よ」
海未「つまり、私が初心者だから、どんなことをするのか分からないと」
にこ「うーん、能力というより、心構えのテストね。誰だって、最初は、初心者だけど、パソコンとの付き合い方は、知識とは別のお話なのよ」
海未「む、むずかしいですね」
20:名無しで叶える物語(おいしい水)@\(^o^)/:2015/03/08(日) 11:00:23.83
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にこ「まず口を開けなさい」
海未「あーん」
にこ「舌を出しなさい、喉の方を見るわ」
海未「ぺろん」
にこ「ふむふむ、次はお腹を出しなさい」
海未「すぽん」
にこ「おへそを触るわよ」
海未「あっ、あっ」
にこ「むっ、これはマズイわね」
海未「な、なんですか」
21:名無しで叶える物語(おいしい水)@\(^o^)/:2015/03/08(日) 11:03:57.19
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にこ「今、私が調べたところによると、海未の体質では、コンピューター・ウイルスに対する免疫がないわ」
海未「コンピューター・ウイルス!その恐ろしいものはなんですか」
にこ「コンピューターから、コンピューターへ、ネットワークを通じて、飛んで行くウイルスよ」
海未「な、なんと、そんな時代になっていたとは。これでは、空港を封鎖しても、パンデミックの防ぎようがないです」
にこ「それは、現代、知識人の間で、目下議論中よ」
海未「私の身体を見て、何がわかったんですか」
22:名無しで叶える物語(おいしい水)@\(^o^)/:2015/03/08(日) 11:08:11.50
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にこ「喉には異常は見られなかったけど、おへそがマズイわ」
海未「おへそ!」
にこ「へその緒ってあるでしょ」
海未「はい、ありますね」
にこ「あれの、結び方がマズイのよ」
海未「え、結び方」
にこ「あの結び方だと、極小の隙間が出来るのよ、そこから、ウイルスが進入してしまうわ」
海未「そ、そんな……私は、産まれながらにして、パソコンを触れない人間だったんですね」
にこ「諦めちゃどぅめどぅめよ、希望はあるわ」
海未「それは」
にこ「それは、ワクチンを投与することよ」
海未「ワクチン!」
23:名無しで叶える物語(おいしい水)@\(^o^)/:2015/03/08(日) 11:13:04.70
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海未「さっき、免疫とか言ってましたけど」
にこ「あの結び方は、免疫が無いことのサインなのよ」
海未「へぇ、へその緒の結び方って、そんな意味が」
にこ「だから、免疫をつけるために、ワクチンを投与しないとね」
海未「注射ですか?痛いのはいやです、いやです」
にこ「大丈夫、飲み薬よ。ドリンクタイプの」
海未「はぁ、安心しました」
にこ「ここから西木野総合病院まで、2分くらいね。ちょっと、真姫の顔を借りて、今すぐ入手できるから、行ってくるわ」
海未「何から何まで、すみません」
にこ「かわいい後輩のためよ」
海未「ありがとうございます」
にこ「じゃあ、10分ほど、待っときなさい」
海未「はい」
24:名無しで叶える物語(おいしい水)@\(^o^)/:2015/03/08(日) 11:17:50.29
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海未「親切な先輩を持つと、幸せですね」
ぺたぺた
海未「おや?その足音は、もしや、西木野真姫では?」
ガラッ
真姫「いかにも、私は真姫よ」
海未「やはり」
真姫「にこちゃんが走って出て行ったけど、何をしてたのかしら」
海未「パソコンで、DVDを見る方法を聞いていたのです」
真姫「へぇ、もう見たの?」
海未「見てません、パスワードがかかっているのです」
真姫「ふーん、そう」
海未「それに、今、にこは、私のために、コンピューター・ウイルスのワクチンを、西木野総合病院に買いに行きました」
真姫「……?」
海未「私のへその緒は、コンピューターに向いていないのです」
真姫「不可解、不可解……頭が痛くなってきたわ」
25:名無しで叶える物語(おいしい水)@\(^o^)/:2015/03/08(日) 11:21:56.01
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海未「薬用石鹸のあとはハノケチーフなのです」
真姫「まず、その鼻につまってる、パンツを抜きなさい」
海未「はい、すぽん、うわっ、血まみれです」
真姫「血は慣れたわ、医者の子だもの」
海未「頼もしいですね、鼻血ももう止まってます。しかし、血を付いた穂乃果のパンツを見ると、想像力が働きます。う、鼻血が」
真姫「そんなもの、入れないで、このティッシュを使いなさい、エンドレスで鼻血が出続けるわ」
海未「ありがとうございます、さすが医者の子です。頼もしい後輩を持つと、幸せですね」
真姫「ふ、ふん、大したことないわよ」
26:名無しで叶える物語(おいしい水)@\(^o^)/:2015/03/08(日) 11:26:20.18
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海未「にこを待ちます」
真姫「待って。さっきの話、なんかおかしいわよ」
海未「……?」
真姫「コンピューター・ウイルスは人には感染しないわ。パソコンをダメにしちゃうだけで、本当のウイルスじゃないのよ」
海未「へぇ!さすが医者の子ですね、にこよりも、正確な医学知識を備えています」
真姫「ああっ」
海未「どうしたのです」
真姫「めまいがしたのよ」
海未「めまいのreasonはなんですか」
真姫「海未、あなた、騙されてるのよ。にこちゃんの言ってることは、すべて嘘なのよ、海未の無知を利用したのよ」
海未「…………そ、そんな、私は、だまされていた?」
27:名無しで叶える物語(おいしい水)@\(^o^)/:2015/03/08(日) 11:31:30.11
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真姫「それに、へその緒って、なによ。何も関係ないわよ」
海未「すべて嘘」
真姫「そうよ、嘘よ」
海未「いま、ふつふつと、怒りが込み上げてきます、私は、羞恥と同時に、激怒しています、必ずや、にこに、美しい土下座をさせて、薬用石鹸で手を清潔にさせてみせます、許せません」
真姫「ああっ、こわい、こわい、私は避難しておくわ、音楽室で、愛して万歳しておくわ」
海未「許せません、許せません、この世で最も、醜悪な行為、それは、善良な、無知な人間に漬け込み、愉悦することです」
真姫「海未、穏やかに解決するのよ、穏やかに」
海未「ふつふつ。ふつふつ」
29:名無しで叶える物語(おいしい水)@\(^o^)/:2015/03/08(日) 11:38:48.79
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にこ「お待たせ!これを飲むと、効果てきめんよ」
海未「にこ、そのシュワシュワしているドリンクは、なんでしょう」
にこ「これが効くのよ、炭酸が、効果を促進するのよ」
海未「ふふん、おおかた、コーラにオレンジジュースをまぜて、唐辛子でトッピングでもしたのでしょう」
にこ「ギックギックゥ!」ズボシィ
海未「そんなもので治るわけ無いでしょうがっ!」
にこ「あれ~?にこ、間違えちゃったかも~?」
海未「真姫が、全て真実を教えてくれました。それは、あなたが飲みなさいっ!」
グイッ
にこ「むぐっ!」
海未「罪の味は、どうですか!」
にこ「にごぉぉぉぉ」
海未「その痛みは、私の、怒りです!」
にこ「にごぉぉぉぉっ!にごっ!にーっごにーごっにーっ!ごに!」
海未「おぞましい声です、一体もし、飲んでしまったら、どれだけ恐ろしいことに」
30:名無しで叶える物語(おいしい水)@\(^o^)/:2015/03/08(日) 11:43:09.82
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にこ「にごぉぉぉぉ!」
海未「暴れないでください!」
ドタバタ!
海未「あ~~っ!釣られた魚ですかあなたは!ピチピチ、ピチピチと!もっとも、滑稽なのは、自分のエサに自分でひっかかった、ところですがね!」
にこ「にごぉぉぉぉ~~!」
海未「は、走った!」
ドガーン
海未「そして棚に激突し」
ドンガラガッシャーン
海未「諸々を巻き込んでぶっ倒れました」
にこ「」
海未「悪は滅びるのです」
にこ「」
海未「……あっ!」
海未「今の騒ぎで、DVD
が、真っ二つに……」
海未「あ、あ、どうしましょう、持ち主に怒られます、どうしましょう」
33:名無しで叶える物語(おいしい水)@\(^o^)/:2015/03/08(日) 11:47:08.73
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花陽「なに、なに?今の音?」
凛「祭りかな?凛も混ぜてーっ!」
海未「あわ、あわ」
にこ「」
凛「かよちん!にこちゃんが、茶色の泡を吹いて、倒れてるね」
花陽「凛ちゃん!そして海未ちゃんの手には、同じ色の液体が入ったボトルだよォ」
凛「ふむー。謎は全てとけた!つまり、これは……どくさつじけんですにゃぁ」
花陽「花陽サスペンス劇場です」
凛「だっだっだーんっ!」
花陽「だっだっだーんっ!」
35:名無しで叶える物語(おいしい水)@\(^o^)/:2015/03/08(日) 11:50:13.68
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海未「あの」
凛「かよちん、海未ちゃんが何か、言いたげだよ」
花陽「ふむ。確かに、頭ごなしに犯人と決めるなんて、ケーソツにもほどがあります、ここはお話を伺いましょう。どうしたの?海未ちゃん」
海未「このDVD、誰のものでしょうか」
凛「!!!」
花陽「!!!!!!!!」
海未「あっ……」
36:名無しで叶える物語(おいしい水)@\(^o^)/:2015/03/08(日) 11:55:09.91
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凛「かよちん、かよちん、凛と、かよちんが、バイトして貯めたお金で買った、DVD」
花陽「凛ちゃん、凛ちゃん、雨の日も、風邪の日も、インフルエンザの日も、働いて、稼いだお金で買った、DVD」
凛「そのDVDが、真っ二つ」
花陽「見てないうちに、真っ二つ」
凛「凛の心も真っ二つ」
花陽「二つに割れた、DVD」
凛「まるで二つのお月様」
花陽「下弦の月と、上限の月」
凛「まんまるお月が真っ二つ」
花陽「下弦と上弦、二つもあるけど」
凛「凛の哀しみは上限だ」
花陽「花陽の怒りも上限だ」
39:名無しで叶える物語(おいしい水)@\(^o^)/:2015/03/08(日) 11:57:51.62
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凛「二つに割れた、哀しみは」
花陽「二人で分けても、より哀しい」
凛「ぴたりと二つに合わせても」
花陽「すでに離れた、大往生」
凛「心に鐘が、鳴り響く」
花陽「地平の奥まで鳴り響く」
凛「ひどく低くて聞こえない」
花陽「ぐんじょう色の、鐘の音」
40:名無しで叶える物語(おいしい水)@\(^o^)/:2015/03/08(日) 12:01:04.66
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海未「あの、あの、どうも、すみません」
凛「割れた心を満たすには?」
花陽「響きを抑えに、手を重ね」
凛「やがては音が、死ぬ時まで」
花陽「ぐんじょう色の鐘の音」
凛「地平の奥まで鳴り響く」
花陽「廻る心も錆びついて」
凛「何も奏でぬこの身体」
花陽「固まり、錆びる、この身体……」
42:名無しで叶える物語(おいしい水)@\(^o^)/:2015/03/08(日) 12:06:21.77
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海未「……」
花陽「どうして二つなんですか」
凛「事情を教えて下さいな」
海未「矢澤と園田がランデブー」
凛「矢澤と園田がランデブー?」
海未「騙され園田と、騙しの矢澤」
海未「嘘は破れて、塵となり」
海未「やがて、堕つるは、この惨事」
凛「なるほど、なるほど、トラブルにゃ」
花陽「二人の揉め事、飛び火した」
凛「私の岸まで飛んできた」
花陽「ドンガラガッシャン、なるほど合点」
43:名無しで叶える物語(おいしい水)@\(^o^)/:2015/03/08(日) 12:10:21.60
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凛「悪いは園田?悪いは矢澤?」
花陽「ふむふむ、悪いは園田か?悪いは矢澤か?」
凛「けんか、けんかは両成敗!」
海未「ちょいとお待ちな二人とも」
海未「あまりに酷い、私が悪い?」
海未「私は騙され、あざむかれ」
海未「笑い、飛び乗り、歩かされ」
海未「頭を地面に押し付けて」
海未「挙げ句の果てには、血を流す」
海未「矢澤は自滅、因果応報」
海未「これは、けんかじゃありえませぬ」
45:名無しで叶える物語(おいしい水)@\(^o^)/:2015/03/08(日) 12:14:26.97
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花陽「どうかな、凛ちゃん、どう思う」
凛「ひとつ気になる、些事ひとつ」
海未「なんです、猫さん、教えて下さい」
凛「このDVD、こちらの棚で」
凛「無残に命を失えど」
凛「どうもおかしい、この円盤」
凛「元々、向こうにあったはず」
凛「こんなところで何故割れる?」
46:名無しで叶える物語(おいしい水)@\(^o^)/:2015/03/08(日) 12:17:39.03
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花陽「なるほど、なるほど、言う通り」
花陽「同じ円盤、しかし円盤」
花陽「DVDは、空を飛ばぬ」
花陽「空を飛ぶのはUFO(ゆーえふおー)」
花陽「誰かが触ったこの円盤」
花陽「誰かが見ようと動かした?」
48:名無しで叶える物語(おいしい水)@\(^o^)/:2015/03/08(日) 12:22:04.98
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凛「部室に入ってDVD」
凛「ここでほんのり、ひっかかる」
凛「なぜその円盤が、話題にあがるか」
凛「こんな怒号の大惨事」
凛「それだけ壊れたわけじゃあるめぇ」
凛「つまりは、それが、原因さ」
凛「それが惨事の、原因さ」
凛「矢澤は見たけりゃ見れば良い」
凛「黙って一人で見れば良い」
凛「それでも、起きた、揉め事は」
凛「どうして起きた?揉め事は?」
凛「園田がそいつを動かして」
凛「矢澤が嘘を教えたな」
凛「なるほど、それなら筋が通る」
凛「どうです、どうです、園田さん」
49:名無しで叶える物語(おいしい水)@\(^o^)/:2015/03/08(日) 12:27:57.32
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海未「おっしゃる通り、その通り」
海未「わたしがそれを、取り出した」
海未「他人(ひとさま)の物と、知りつつも」
海未「お手手を伸ばして、取り出した」
海未「中身を見たくて、取り出した」
花陽「どうする、凛ちゃん、どうしよう」
凛「やっぱり、園田も悪いじゃないか(呆れ)」
花陽「やっぱり、けんかは両成敗」
凛「矢澤はカニカニ、泡吹き、倒れ」
花陽「どうやら、光も見えてない」
凛「裁きを受けずは、園田のみ」
花陽「裁きを、裁きを、裁きを与えよ!」
凛「裁きを、裁きを、裁きを与えよ!」
花陽「煉獄の門は開かれた!」
凛「今、連なるは、牙城の鎖!」
花陽「園田に、裁きを!しかる、報いを!」
凛「裁きを!裁きを!裁きを!裁きを!」
50:名無しで叶える物語(おいしい水)@\(^o^)/:2015/03/08(日) 12:29:56.06
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海未「あぁぁぁぁ!!」
凛「おとなしく縛られるにゃー!」
花陽「両手を後ろに回してくださいっ!」
海未「やめてくださいっ!お願いしますっ!」
花陽「だめです!(無慈悲)」
凛「ほ~ら!ほ~ら!絶望だにゃー!」
海未「あぁぁぁぁ!」
53:名無しで叶える物語(おいしい水)@\(^o^)/:2015/03/08(日) 12:33:33.45
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花陽「よしっ、縛ったよ!」
凛「これで海未ちゃんは、まな板の上の鯉……いや、紐でぐるぐるされて、まな板の上のハムだね!」
花陽「さぁって、この哀れな泥棒ハムちゃんをどう調理しましょうかねぇ……」
海未「ひ、ひぃぃぃ」
凛「おっぱい」
花陽「?」
凛「おっぱいだよ、かよちん!」
花陽「あぁ~……なるほどね、凛ちゃん」
海未「乳房がどうしたんですか!」
花陽「乳房?気取ってんじゃないよっ!」
ピシャリ!
海未「ああっ!いけません!」
54:名無しで叶える物語(おいしい水)@\(^o^)/:2015/03/08(日) 12:36:53.39
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花陽「おっぱいって、言って見ようか?」ニコォ
海未「お、お……」
花陽「おっぱいダヨォォォォォ!」
ピシャリ!
海未「おっぱいっ!」
花陽「言えるじゃないですか!」
凛「だめだよ、かよちん、今のは叫び声が、偶然にも、おっぱいに聞こえた、ただそれだけのことだよ」
花陽「なんだぁ、がっかり。ちゃんと言って下さい!」
海未「おっ、おっおっ……おっぱい!おっぱい!おっぱい!おっぱい!おっぱい!おっぱい!」
花陽「やかましい!」
ピシャリ!
海未「おっぱいっ!」
凛「ぎゃははは」
55:名無しで叶える物語(おいしい水)@\(^o^)/:2015/03/08(日) 12:41:32.69
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海未「おっぱいがっ、どうしたんですかぁ」
花陽「まだ分からないのかなぁ」
凛「つまり、あのDVDには、おっぱいが詰まってた、そういうわけだよ」
海未「あっ…………えっ?」
花陽「おっぱい、がね?たくさんね、映ってたんだよォ!あそこにはっ!」
凛「夢がいっぱい、おっぱい、Fカップだったんだにゃぁぁぁ!」
海未「な、なんでそんなDVD、バイトまでして、買ったんですかっ!」
ピシャリ!
海未「おっぱい!」
凛「何が悪いのか言ってみるにゃあぁぁぁ」
花陽「見たかったからダヨォォォォォ!」
海未「あんたたち、レズですかぁぁ!」
ピシャリ!
海未「おっぱい!」
56:名無しで叶える物語(おいしい水)@\(^o^)/:2015/03/08(日) 12:44:28.34
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凛「かよちん、待って」
花陽「んんっ」
凛「こんなことしても、おっぱいは帰って来ないよ」
花陽「的確な真理……」
凛「つまり、おっぱいを返してもらうには?」
花陽「なるほど、灯台、もと暗しだったね」
凛「腕の紐だけ解いてあげよう……」
海未「っっ……終わりですか、やっと……」
花陽「なぁに言ってるのかなぁ」
海未「!!」
57:名無しで叶える物語(おいしい水)@\(^o^)/:2015/03/08(日) 12:45:31.64
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凛「おっぱいだすにゃ!」
花陽「おっぱいですよ!はやく!」
海未「は、はい……」
にこ「海未……」
パサッ……
海未「は、花陽、凛、やっぱりやめましょう……こんなこと……」
凛「だめだよっ!だったらこのDVDくっつけて見られるようにするにゃー!」
花陽「D・V・D!」
凛「D・V・D!」
59:名無しで叶える物語(おいしい水)@\(^o^)/:2015/03/08(日) 12:49:14.03
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海未「ううっ……母上、父上、お許し下さい」
プチン……
ファサ……
花陽「ほぅ……」
凛「予想どうり、ちっこいにゃ~」
花陽「いやいや、凛ちゃん、大きさで判断するなんて、素人にしか見えない」
凛「もちろんだよ、かよちん」
花陽「小さいながらも……この形が、いい」
凛「綺麗だなぁ……」
花陽「はぁ~まるでご飯のように、しろくて、梅干しのように、紅い……」
凛「日の丸弁当みたいだねぇ、さっすが、大和撫子……」
60:名無しで叶える物語(おいしい水)@\(^o^)/:2015/03/08(日) 12:51:09.50
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海未「………」
凛「おまた、むずむずするにゃ」
花陽「だめだよぉ、控えなくちゃ」
凛「が、が、が、がまん出来ないよぉ!」
花陽「凛ちゃあん!」
海未「あ、あの、もう、宜しいでしょうか」
花陽「だめです(無慈悲)」
63:名無しで叶える物語(おいしい水)@\(^o^)/:2015/03/08(日) 12:54:11.37
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にこ「目が覚めたけど、動かない方が幸、ね……おそらく」
希「にこっち、目開いてるやん?」
にこ「ほげぇ、いつの間に!?」
希「喋れへん、喋れへん。黙っといてあげるから、ウチと、ちょっとこっちに来てくれへんかなぁ……」
にこ「あっ、あっ、あっ」
希「にこっち、お持ち帰り~」
にこ「にごぉぉ」
64:名無しで叶える物語(おいしい水)@\(^o^)/:2015/03/08(日) 13:00:44.25
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海未(両手の親指と人差し指で、トライアングルを作り、それを肩幅に広げて、指先から、ゆっくり着地。)
海未(体を前屈させて、やや遅れて、頭も下げる。)
海未(この時に一度、前方を見るのがコツ……)
花陽「ど、土下座……」
凛「綺麗な土下座、だにゃ」
花陽「まるで、ギリシャ彫刻」
海未「この土下座に免じて、お許しください、お願いします」
花陽「だめ(即答)」
海未「あぁぁぁぁ!」
凛「おまた!むずむず!するにゃー!」
真姫「愛してる!ばん!ざーい!」
穂乃果「すごい!すごいよ!真姫ちゃん!」
ことり(ほのかちゃん、またパンツはいてない……)
希「えりち!にこっちを楽しもう!」
絵里「でかしたわ、希」
にこ「にごぉぉ」
絵里「動くんじゃないわよ」
にこ「許して下さい」
希「綺麗な土下座や」
絵里「認められないわぁ」
にこ「にごぉぉ」
65:名無しで叶える物語(おいしい水)@\(^o^)/:2015/03/08(日) 13:01:24.23
ID:hXQ9EKRb.net
今日もおとのきはへいわ
お わ り
66:名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/03/08(日) 13:01:52.79
ID:w+3zu0Z6.net
綺麗な土下座でワロタ
68:名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/:2015/03/08(日) 13:19:00.96
ID:aVtU2a0R.net
めっちゃ面白い文章
声に出して読みたいSS
69:名無しで叶える物語(もんじゃ)@\(^o^)/:2015/03/08(日) 13:23:46.61
ID:MIMKXopG.net
凛ちゃんの勢いでわろた
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10397: ゆりゆりな名無しさん
前も後ろも使えていい感じじゃないかな。
きつさでは、にこにーかな。