2:名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/02/14(土) 07:56:03.52 ID:61B1XBS9
亜里沙「バレ……?」
絵里「そうよ、だから皆に友チョコをあげようと思って」
亜里沙「皆にチョコを配る日なの?」
絵里「初めて聞いたって顔してどうしたのよ、去年も一緒にチョコ作ったじゃない」
亜里沙「そうだったっけ?」
絵里「忘れたの? クラスの子にあげるって、張り切ってたじゃない」
亜里沙「ハラショー……」
5:名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/02/14(土) 08:01:06.19 ID:61B1XBS9
絵里「変な亜里沙ね。今年は作らなくていいの?」
亜里沙「私は別に」
絵里「そう? じゃあお姉ちゃん、これを作ったら学校に行くから」
亜里沙「今日土曜日だよ?」
絵里「休日でも練習はあるのよ」
亜里沙「お姉ちゃんも大変だね」
絵里「けど、こんな日には有難いわよ。練習が無かったら、皆集まらない可能性もあったしね」
6:名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/02/14(土) 08:05:54.00 ID:61B1XBS9
通学路
絵里「おかしいわね、亜里沙ったらバレンタインデーのこと忘れてるなんて」
絵里「確か先月、雪穂ちゃんにチョコをあげるって張り切ってたのに……喧嘩でもしたのかしら」
絵里「まあいいわ、皆チョコ喜んでくれるかしら」
絵里「希のだけは特別製だから、一人一人にこっそり渡さないと」
絵里「……ん?」
絵里(あのコンビニ、何か変ね。昨日まではバレンタインデーに向けて、チョコ販売の幟が立っていたのに)
絵里(それが全部無くなってる。チョコが売り切れたから、おろしたのかしら)
8:名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/02/14(土) 08:08:44.51 ID:61B1XBS9
絵里「いや、あのコンビニだけじゃないわね」
絵里(どこの店にもバレンタインの文字が無い……)
絵里「……まさか今日、2月15日なのかしら」
絵里「って、そんなわけないわよね。さっきも携帯電話で日付確認したし」
絵里(ただの偶然よね? こんなこと)
絵里「さっさと学校に行って、皆にチョコ渡さなきゃ」
9:名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/02/14(土) 08:13:12.87 ID:61B1XBS9
学校
絵里「皆おはよう、って、まだ凛と花陽と海未の三人だけ?」
海未「穂乃果とことりは遅れるとメールがありましたよ」
凛「おはよう絵里ちゃん、今日は珍しく来るの遅いにゃ」
絵里「チョコレート作ってたから、遅くなったのよ」
花陽「チョコレートを?」
絵里「ええ、皆に渡そうと思って……友チョコよ」
10:名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/02/14(土) 08:18:02.81 ID:61B1XBS9
海未「いいんですか? 貰っても」
絵里「ええ、勿論よ」
凛「わーい! ありがとうにゃ!」
絵里(……三人ともチョコは用意していないみたいね)
絵里(凛と海未はともかく、花陽はくれると思ったけど……って期待しちゃ駄目よ私)
絵里(私が勝手に持ってきたんだし、友チョコなんて案外作る人も少ないかもしれないしね)
海未「美味しいですね、このチョコ。優しい味がします」
絵里「甘さ控えめにしてみたのよ。気に入ってもらえたようで良かったわ」
11:名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/02/14(土) 08:21:42.44 ID:61B1XBS9
ガラッ
希「おはよう、なんやいい匂いするな」
絵里「希、おはよう。チョコを作ってきたのよ」
希「絵里ちが作ったん? 珍しいな、絵里ちがお菓子作るなんて」
絵里「今日はバレンタインデーでしょ、去年もあげたじゃない」
希「……それ、なんなん?」
絵里「何って、これはチョコよ」
希「いやそっちやなくて」
希「バレンタインデー? って、なんなん?」
12:名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/02/14(土) 08:27:37.62 ID:61B1XBS9
絵里「何言ってるのよ、バレンタインデーはバレンタインデーじゃない」
希「いや、それ初めて聞いたんやけど。なんかイベントでもあるん?」
絵里「……亜里沙も朝そんなこと言ってたけど、そうやってバレンタインを忘れたフリするの流行ってるわけ?」
希「そういうのじゃなくて、本当に……」
絵里「はいはい。皆はもちろん知ってるわよね、バレンタインデー」
海未「……? いえ、聞いたことありませんが」
凛「凛もないにゃー。かよちんは?」
花陽「私もです……」
絵里「……え?」
14:名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/02/14(土) 08:35:01.93 ID:61B1XBS9
絵里「い、いやいや。何言ってるのよ」
絵里「バレンタインデーよバレンタインデー! 皆知らないわけないじゃない!」
希「そう言われたって知らないものは知らないし……」
絵里「テレビでも雑誌でもばんばん言われてるじゃない、特に今週は特集もいっぱい組まれたり……」
海未「そうなのですか? テレビはよく見ますが、一度もそんな言葉は耳にしたことがありませんが……」
凛「絵里ちゃんの作った言葉じゃないの?」
絵里「ああ、もうじれったいわね! 携帯で検索してみたらすぐにバレンタインデーくらい……」
『バレンタインデー』
検索結果 0件
絵里「嘘、何で……?」
15:名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/02/14(土) 08:37:51.97 ID:61B1XBS9
希「ほら、やっぱりないやん」
絵里「そんなはず……どうなってるのよ……!」
花陽「絵里ちゃん……?」
絵里「バレンタインデーが無いなんて、おかしいじゃない!」ダッ
にこ「おは……うわっ! どこ行くのよ絵里!」
希「おはよう、にこっち」
にこ「何なのよ絵里は。びっくりしたじゃない」
希「いや、バレンタインデー? とかいうのがどうこうって騒いで、走っていっちゃったんよ」
にこ「バレンタインデー? へえ……」
18:名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/02/14(土) 08:40:47.34 ID:61B1XBS9
屋上
絵里「何で検索結果が0なのよ……!」
『バレンタイン』
検索結果0件
『チョコ 渡す日』
検索結果102100件
『2月14日 チョコ』
検索結果32000件
絵里「どれにもバレンタインデーのことは書いてない……なんでよ」
絵里「昨日まではどこもかしこもバレンタインデーだったはずなのに、今日になったら何もなかったかのように無くなってる」
絵里「一体どういうことなの……?」
20:名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/02/14(土) 08:47:29.31 ID:61B1XBS9
絵里「これじゃまるで、バレンタインデーというものがそもそも無かったみたいじゃない」
にこ「……絵里、ここにいたの」
絵里「あら、にこ……さっきはごめんなさい。気が動転してて」
にこ「いいのよ、別に」
絵里「ねえにこ、貴女はバレンタインデーって……いや、知るわけないわよね」
絵里(検索結果が0件ということは、誰も知らないということだ)
絵里(聞くだけ無駄よね……)
にこ「知ってるわよ、バレンタインデーでしょ」
21:名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/02/14(土) 08:55:09.60 ID:61B1XBS9
絵里「! にこ、あなた知ってるの!?」
にこ「ええ……だって私も、元々はそっちに居たんだから」
絵里「そっち……?」
にこ「バレンタインデーのある世界よ」
絵里「バレンタインデーのある世界?」
にこ「パラレルワールド、って知ってるでしょ? 自分の世界の平衡線上に存在する、別の世界」
にこ「ここは、その中でもバレンタインデーのない世界。バレンタインという概念がないまま、現在に至った世界なのよ」
絵里「パラレルワールド……なんで私がそんな世界に?」
22:名無しで叶える物語(禿)@\(^o^)/:2015/02/14(土) 08:57:41.72 ID:3yOPfUhE
まさかの展開
25:名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/02/14(土) 09:09:13.12 ID:61B1XBS9
にこ「さあ……私にだって分からないわよ。自分がこの世界に来てしまった理由も分からないんだから」
絵里「そんな……」
にこ「私がこの世界に来たのは小学三年生くらいだったわね、バレンタインデーで盛り上がる街を歩いていた時の事よ」
にこ「なんとなく下を向いて、顔を上げた時にはもうこの世界だった」
絵里「三年生……そんな時から、ずっと?」
にこ「最初は驚いたけど、別にそこまで問題は無いわよ。バレンタインデーが無いこと以外は今迄の世界と変わりはないし」
26:名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/02/14(土) 09:11:05.17 ID:61B1XBS9
絵里「……でも」
にこ「分かったら諦めなさい、帰れないんだから慣れるしかないわよ」
絵里「それでも、私はチョコを渡したい。好きな人に、チョコを渡したいの」
にこ「無理よ、諦めなさい」
絵里「>>28」
27:名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/:2015/02/14(土) 09:14:50.82 ID:qxfCp4vr
にこだって、今日チョコレートを持ってきてるじゃない
28:名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/:2015/02/14(土) 09:25:56.40 ID:Al7jZY7N
↑
30:名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/02/14(土) 09:47:28.52 ID:61B1XBS9
絵里「にこだって、今日チョコレートを持ってきてるじゃない」
にこ「……何で、知ってるのよ」
絵里「さっきぶつかった時、髪からほのかにチョコの匂いがしたわ」
絵里「朝、作ったんでしょ? チョコレート」
にこ「……」
絵里「貴女も、まだ執着があるんでしょ? バレンタインデーに」
にこ「だったらどうだって言うのよ」
にこ「私は既に諦めているの。チョコを作ったって、それは平日と同じこと。意味合いを知っているのは私だけ……その程度でいいのよ」
絵里「けど……」
31:名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/02/14(土) 09:53:31.90 ID:61B1XBS9
にこ「もう戻りなさい。皆来てるわよ」
絵里「……分かったわ」
にこ「帰ったら謝りなさい、花陽とかびっくりしてたし」
絵里「……」
にこ「まあ、そんなに落ち込まないでも大丈夫よ、バレンタインデー以外は何も変わらないし」
にこ「この街も、人々の関係も、全部一緒。μ'sだって変わることなく、あんたを入れて八人。ほら、全部一緒でしょ」
絵里「まあ、全部一緒なら時間はかかるかもしれないけど慣れて……」
絵里「……八人?」
33:名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/02/14(土) 10:08:35.18 ID:61B1XBS9
にこ「ええ、そうよ。いつも通りの八人……」
絵里「何言ってるのよ、私達は九人でしょ?」
絵里「私、希、にこ、穂乃果、海未、ことり、真姫、凛、花陽」
絵里「これがμ'sのメンバーじゃない」
にこ「……ねえ、真姫って誰よ」
絵里「誰って……まさか」
にこ「聞いたことないわよ、そんな子」
絵里「真姫が……いない……?」
35:名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/02/14(土) 10:20:44.93 ID:61B1XBS9
にこ「一つだけ、言うのを忘れていたわね……この世界はバレンタインデーが無いこと以外は変わらないって言ったわよね」
にこ「当たり前の話だけど、バレンタインがあったことにより発生したことについては無かったことになるのよ」
絵里「なかったことに、って」
にこ「例えば商店街にあった洋菓子屋、この世界では無いわよ」
絵里「あの店が?」
にこ「元の世界でもバレンタインデーくらいしか客の入りがあまり無かったでしょ? 私がこの世界に来た時には既に無かったわ」
絵里「向こうでも二年前に潰れてたわよ」
にこ「ああ……いずれそうなるだろうなあとは思ってたわ、味が良くなかったし」
37:名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/02/14(土) 10:30:00.70 ID:61B1XBS9
にこ「で、あんたがさっき言ってた真姫って子」
にこ「多分その子もバレンタインが関わっていたんじゃない?」
絵里「……西木野総合病院はこの世界ではどうなってるの?」
にこ「何よ、突然」
絵里「いいから答えて!」
にこ「潰れたわよ、確か五年前くらいに……」
38:名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/02/14(土) 10:34:40.84 ID:61B1XBS9
にこ「確か院長が浮気相手の一人に刺殺されて、悪評たたって……って感じだったわね」
絵里「刺殺……院長の娘はどうしてるの?」
にこ「あの人独身よ? 彼女は十人以上いたらしいけど……子供がいるって話は聞いたことないわね」
絵里「独身って、そんなはずないわ!」
にこ「そっちじゃ違うのかもしれないけど、こっちじゃそうなってるんだから仕方ないでしょ!」
絵里(真姫の両親に一体何があったの? バレンタインがないくらいで一体何が――)
51:名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/02/14(土) 12:47:06.22 ID:61B1XBS9
部活中
絵里(一体何が原因で、私はこっちに来たの?)
絵里(いえ……『いつ』来たのかしら)
絵里(昨日の放課後までは、街はバレンタイン一色だったことはよく覚えているわ)
絵里(そして家に帰ってから――この先は分からない)
絵里(夕食時にバレンタインの話題が出なかったから、その前? いえ、ただ話さなかった可能性もある)
絵里(少なくとも家到着時から朝起きるまでの間。この時間のどれかで私は此方側に移動した筈よ)
絵里(多いわね、絞らないと推理も何もないじゃない……!)
52:名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/02/14(土) 13:03:49.22 ID:61B1XBS9
絵里(何かヒントはないかしら)
「……り……ん!」
絵里(何か少しでも、私がここに来た時間を突き止められるヒント……!)
穂乃果「絵里ちゃん!」
絵里「きゃっ! ほ、穂乃果? 大声出してどうしたのよ」
穂乃果「声かけても返事してくれないから……。ダンスに全然集中出来てないよ、何かあったの?」
絵里「ごめんなさい……」
53:名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/02/14(土) 13:06:57.36 ID:61B1XBS9
穂乃果「ひょっとして、寝不足?」
絵里「そんなことはないけど……どうして?」
穂乃果「今日の朝、チョコ作ってたんだよね? それで早起きしたせいで、眠いのかなあって」
絵里「早起きって言っても少しくらいよ? 寝不足になるほど早くは……ん?」
絵里「それよ! 穂乃果!」
穂乃果「えっ!? やっぱり寝不足なの!?」
54:名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/02/14(土) 13:13:54.33 ID:61B1XBS9
絵里(私は今日の朝、チョコを作った。手元にチョコレートそのものもあるからそれは確実)
絵里(だけど、何故作ることが出来たの?)
絵里(材料はバレンタインの為に先日購入したものなのよ、そう、『バレンタインの為』に)
絵里(にこの言葉が正しいならば、バレンタインを意識して購入したチョコの材料は全て無くなっていなければおかしい)
絵里(つまり、バレンタイン用のチョコを作り始めた瞬間までは私は元の世界にいたと考えられる)
絵里(その後移動した際に消えていなかったのは、私が常に認識し続けていたせいで消せるに消せなかったからね)
絵里「つまり、チョコを作り始めてからの行動の中に、移動のヒントはある……!」
穂乃果「? 絵里ちゃん、何言ってるの?」
絵里「悪いけど、今日は帰らせてもらうわ。少し疲れてて」
穂乃果「うん、疲れてる時は仕方ないよ! ばいばい!」
57:名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/02/14(土) 13:28:55.24 ID:61B1XBS9
絵里ホーム
絵里「ただいまー」
絵里「皆いないの? お出かけ中かしら」
絵里「ん、何この紙切れ」
『家族全員で香川県にうどん食べに行きます、連休中は帰りません。
食事代として三千円用意しておきます。』
絵里「ハラショー……何よ、これ! 皆で小旅行!?」
絵里「どうして私も連れて行ってくれなかったのよ!」
絵里(香川県には特に行きたいわけでもないけど、皆でワイワイ小旅行には行きたい!)
絵里(練習があるから遠慮したのかしら……ハラショー……)
58:名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/02/14(土) 14:36:59.86 ID:61B1XBS9
絵里「まあ、今回に限っては良かったかもしれないわね」
絵里「一人でじっくり考え事が出来るし……」
絵里(私が朝にした行動、そのどこかに答えがある筈)
絵里(けど、何か変わったことなんてあったかしら)
絵里「いつも通り、チョコを作っていただけよね……何も変わったところはないわ」
絵里「けどこうして世界移動したからには、何か違うことがあったに決まってるわ」
絵里「……うーん」
絵里「どうしよう、何も思い浮かばない」
絵里「何かしたのかもしれないけど、そもそも料理中の事なんて覚えてるわけないし……」
63:名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/02/14(土) 16:01:53.43 ID:61B1XBS9
絵里「……完全無作為だとしたら、お手上げね」
絵里(認めたくはないけど、思いつかない限りそう仮定しておいたほうがいいかもしれない)
絵里(けどもしそうだったとしたら……帰る方法へのとっかかりすらなくなる)
絵里「ああ……もうどうすれば……」
絵里「考えても考えても答え出ないし……帰らなきゃいけないのに!」
絵里(この際バレンタインデーなんてどうでもいい。真姫が、仲間がいない世界なんかにいたくない!)
絵里「……にこに電話してみようかしら」
64:名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/02/14(土) 16:08:00.34 ID:61B1XBS9
絵里「いえ、今はまだ練習中ね……」
絵里(幸い、時間はまだある。ゆっくりと、じっくりと考えよう)
絵里(まずは携帯で検索……あるわけないだろうけど)
『パラレルワールド 帰る方法』
検索結果54700件
絵里「結構あるけど……なんか微妙ね」
絵里(パラレルワールドに行く方法は書いてあるけど、オカルトよりは精神論の意味合いが大きいわね)
絵里(私自身の選択による、って私がどう選択したらバレンタイン文化が滅ぶのよ)
66:名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/02/14(土) 16:17:13.12 ID:61B1XBS9
絵里「……はあ。そうだ、真姫のことについて何か載ってないかしら」
『西木野真姫』
錦野の巻で検索しています
検索結果89500件
絵里(錦野の巻って何よ……)
絵里(検索し直してもフェイスブックなんかが見つからないわね、やっぱり真姫はこの世界にいない)
絵里「真姫のお父さんの事件……浮気で刺されて死んだって言ってたわね」
絵里「けど真姫ちゃんがいないなら、真姫ちゃんのお父さんのことなんてどうでもいいわね。死んでようが何の感情も湧かないし」
絵里「何か無いかしら……他に何か……」
67:名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/02/14(土) 16:22:15.39 ID:61B1XBS9
絵里「ないわね」
絵里(というより、思いつかない)
絵里(大体パラレルワールドに来た時に調べることなんて思いつくわけがないじゃない)
絵里(……どうしましょう)
絵里「にこが小学三年生から帰れていないってことは、よほどのことでもない限り帰れないのよね……」
絵里「何をすればいいのよ……」
絵里「今日中に帰るのは無理……よね。皆にチョコ渡したかったのに」
68:名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/02/14(土) 16:29:15.05 ID:61B1XBS9
絵里「何も思いつかないわ……」
絵里「どうすればいいのよ……そもそも何故私はここに連れてこられたの?」
絵里「行動にはすべからく理由が付きまとう物よね」
絵里「私がここに来た理由って、何?」
絵里「私がやろうとしてたことなんて、友チョコを渡そうとしていたことくらいのもの」
絵里「ただそれだけの理由で世界戦を移動させられるのなら、もっと多くの人間が移動していてもおかしくない筈よね」
69:名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/02/14(土) 16:34:15.52 ID:61B1XBS9
絵里「そもそも……元の世界の私って、どうなっているのかしら」
絵里「考えられるのは三つ」
絵里「この世界にも、元の世界にも同じ私が存在している」
絵里「元の世界には私がいない」
絵里「この世界には私が、元の世界にはこの世界の私が存在している」
絵里「考えられるのは1か3よね」
絵里「にこが此方にいるのに、元の世界にもにこがいるのだから2は有り得ない」
絵里「更ににこも元の世界のにこはバレンタインデーを知っているようだったから、1……って言いたいところだけど」
絵里「移動したのが小3、周囲に合わせてバレンタインデーが最初からあっただけのように振舞っていたに過ぎないかもしれないわね」
83:名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/02/15(日) 05:43:24.25 ID:K040RD7W
絵里「……出来れば3がいいわね」
絵里「だって1なら、今この世界に存在する私と元の世界に存在する私……どっちが本当の私なのか分からない」
絵里「全く同じ記憶が二人存在した場合、どちらが本物なのかしら」
絵里「例えば、ロボットに私の記憶を植え付けた場合やアメーバが私の姿と記憶を持った場合」
絵里「それは本当の私じゃない……なんて言えない」
絵里「だってそれらには私の記憶もあり、人間として生きてきた私の全てがある」
絵里「……怖くなってきたわ、3のパターンで考えましょ」
84:名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/02/15(日) 05:48:53.92 ID:K040RD7W
絵里「この世界にはバレンタインがないのよね」
絵里(けど、バレンタインが無いなんてどうすれば起こるのかしら)
絵里(確かバレンタインの起源は聖ヴァレンティヌスとかいう人よね)
絵里(結婚を禁じられていた若い兵士をかくまって結婚させた、とかいう……)
絵里「こんなことならもっと詳しく調べておけばよかったわ」
絵里「向こうの世界に居る時には、バレンタインの起源なんて調べる気も起きなかったし……」
絵里「……ヴァレンティヌスについての情報、無いかしら」
85:名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/02/15(日) 05:52:44.37 ID:K040RD7W
『ヴァレンティヌス』
検索結果8600件
絵里「あら、あるじゃない」
絵里「……少女の目を治したエピソードだけしか書かれてない」
絵里「この世界のヴァレンティヌスは、兵士を結婚させなかったの?」
絵里「もしくは意図的に情報が消されたとか……そもそもこの人、実在の人物なのかしら」
絵里「史実にはないって書かれてるけど……よく分からないわね」
86:名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/02/15(日) 05:59:40.13 ID:K040RD7W
絵里(……この際、バレンタイン・デーのことは置いておきましょう)
絵里(差異があるからといって、私がこの世界に来た原因という確証もないんだし)
絵里「やっぱり問題は……真姫がいないこと」
絵里「バレンタイン・デーは確かに特別な日よ。女の子にとっては好きな相手に告白する絶好の機会だし」
絵里「けど所詮は一年の中にあるイベントの一つでしかない。無いからといって、大きな問題は無いわ」
絵里「だから許容できる……けど真姫がいないのは、駄目よ」
絵里「私達は九人で一つなの。例え一人でも欠けたら、何の意味もないのよ」
87:名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/02/15(日) 06:05:34.62 ID:K040RD7W
prrrrr
絵里「ん、携帯に着信? にこからかしら……」
;@「。-び;・¥-、@*
絵里「発信者の表示がされてない……それに、何かしらこの番号」
絵里「不気味ね、悪戯電話かしら」
絵里「もしもし?」
「ザッ……ザザッ……」
絵里(ノイズが酷いわね、それに何か……音が遠い? そんな気がするわね)
絵里「あの、もしもし? どちら様ですか?」
88:名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/02/15(日) 06:09:26.49 ID:K040RD7W
「ザッ……」
絵里「あの、悪戯でしたら切りますけど」
「ジジッ……ジザッ……」
絵里「……返事が無いようなので切りますね、失礼します」
「ザッ……えは……える……ろ……ザザッ」
絵里「……える? あの、何ですか?」
「2月15日……お前……消……逃げ」
ブツッ
絵里「……え? もしもし? もしもし!?」
絵里(何、今の電話……)
89:名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/02/15(日) 06:13:23.22 ID:K040RD7W
絵里「2月15日、……消える?」
絵里「逃げろとも言ってたわね、ええと……繋げると」
2月15日お前消える。逃げろ
絵里「……消える?」
絵里「消えるってどういうことよ、私が消えるって……?」
絵里(変な電話……悪戯電話、よね?)
絵里(……もし今の電話が事実として、私が消えるとしたら、異世界の人間だから?)
絵里(けど、にこは九年近くこの世界にいるのよね。……何で私だけ?)
90:名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/02/15(日) 06:20:16.02 ID:K040RD7W
絵里「それに逃げろって、逃げれるものならとっくに逃げ帰ってるわよ……」
絵里「……にこに電話、してみましょ。もう練習終わってるわよね」
prrrr
にこ『もしもし?』
絵里「にこ? もう練習終わった?」
にこ『とっくに終わって、今は家よ。掛けてきた用件は大体わかってるわ、バレンタインのことでしょ?』
絵里「……違うわ」
にこ『何かあったの? 声、震えてるわよ』
絵里「私の家、分かるわよね? 今すぐ、来て」
91:名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/02/15(日) 06:32:44.88 ID:K040RD7W
――――――
にこ「来たわよ、絵里?」
絵里「……」
にこ「どうしたのよ、そんな隅っこで毛布なんか被って」
にこ「ひょっとして怖くなった? そりゃそうよね、パラレルワールドなんて……」
絵里「違うの……」
にこ「違う? じゃあ何が――」
絵里「私が……私が消える、って電話がかかってきたのよ……!」
にこ「……」
にこ「はあ? 何それ、悪戯電話でしょ?」
92:名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/:2015/02/15(日) 07:18:58.47 ID:Ka/19+xe
ぞくぞくしてきた
104:名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/02/16(月) 04:34:08.77 ID:rh34+/2o
絵里「悪戯電話……?」
にこ「だって消えるなんて、おかしな話じゃない」
にこ「普段ならそんな電話が来たとしても、不気味には思うけど信じたりしないでしょ?」
にこ「異世界に来たばかり、っていう現状の不可解さがただの悪戯電話を真実味のあるものに見せている、ただそれだけのことじゃない」
絵里「……幽霊の正体、見たり枯れ尾花ってやつ?」
にこ「そう、それ」
絵里「けど、あまりにタイミングが良すぎるわ。この世界に来てすぐにあんな電話なんて」
にこ「疑り深くなってるだけよ。悪戯電話は時間と場所を選ばないから悪戯電話なの」
絵里「……そう、なのかしら」
106:名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/02/16(月) 04:43:41.77 ID:rh34+/2o
にこ「不安なんでしょ? 分かるから、今は落ち着いて現実に慣れることね」
絵里「現実って……」
にこ「今日からは、この世界が絵里にとって現実なのよ」
にこ「今まで居た世界はただの夢。そう思っておいた方がまだ心も安らぐわ」
絵里「私は、元の世界に戻りたいのよ」
にこ「無理よ、そんなことは出来ないの」
絵里「にこは戻りたくないの!? あの世界に……バレンタインがあって、真姫もいる、あの世界に!」
にこ「……真姫って子は知らないけど」
にこ「戻りたくない……わけないじゃない!」
107:名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/02/16(月) 04:49:04.46 ID:rh34+/2o
にこ「私だって探したのよ、何度も何度も! けど、どうにも出来ないのよ、方法なんてなかったのよ!」
にこ「そうよ、今日だってチョコを作ったわよ! ひょっとしたら元に戻っているかもしれない、そう思って!」
にこ「けど駄目なのよ、毎年毎年、そんな期待を持っては裏切られる……私達は二度とあの世界には戻れないの」
絵里「じゃあ、私は真姫のいないこの世界で生きていくしかないの!? 一人足りない、偽りのμ'sの一員でいなきゃいけないの!?」
にこ「偽り……ね。あんたにとってはそうかもしれないけど、私達にはあれがμ'sなのよ。そんな風に言わないで」
絵里「……ごめんなさい、言い過ぎたわ」
にこ「私も熱くなりすぎた。ごめん」
108:名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/02/16(月) 04:54:43.05 ID:rh34+/2o
にこ「けど、本当に戻る方法なんてないの。あったら私だって戻っているわ」
絵里「そうよね……けど、諦めたくないの」
絵里「真姫がいないこの世界で生きていく、そんなこと認めたくないのよ」
にこ「……気持ちは分かるわ。けど、そろそろご飯でも食べたら?」
絵里「え?」
にこ「もう午後七時よ」
クゥー
絵里「あ……」
にこ「ほら、お腹も鳴ってるしね」
109:名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/02/16(月) 04:58:18.68 ID:rh34+/2o
にこ「そう言えば家の人は? もう夜なのに、誰もいないじゃない」
絵里「小旅行に行ったらしいのよ、私を置いて。そんなこと聞いてなかったから驚いたわ」
にこ「中々意味不明ね、あんたの家族」
絵里「食費三千円だけ置いていかれて、正直困ってるのよね……家事なんてあまりしないから」
にこ「出前取ればいいじゃない。じゃあ、私は帰って……」
絵里「……」
にこ「ねえ、絵里」
絵里「何よ」
にこ「離してくれないと帰れないんだけど」
110:名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/02/16(月) 05:03:08.13 ID:rh34+/2o
絵里「……」
にこ「絵里」
絵里「……」
にこ「……はあ、分かったわよ。家に友達の家に泊まるって連絡入れるわ」
絵里「ごめんなさい、迷惑かけて」
にこ「いいのよ、お父さんが家にいるからこころ達の料理もあるし」
絵里「……お父さん?」
にこ「ええ、珍しく早く帰るらしくてね」
絵里(にこの父親が生きている……?)
111:名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/02/16(月) 05:12:40.91 ID:rh34+/2o
絵里(昔、にこ自身の口から片親だと聞いた覚えがある)
絵里(にこが中学生の時に父は死に、その後すぐ虎太郎君が生まれ家計が大変なことになったと)
絵里(……『真姫』の代わりに『にこの父』がいる)
絵里(この世界のにこは真姫のことを知らない、そう考えればこの世界はにこにとって幸せなのかもしれないわね)
にこ「で、どうするの? 料理作る? それとも出前?」
絵里「え、ええ……スーパーも閉店だし、出前にしましょ」
にこ「了解、丼でいいわよね。よく頼むとこがあるのよ」
112:名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/02/16(月) 05:17:31.65 ID:rh34+/2o
「ご注文あざあっしあァーム」
にこ「ほら、来たわよ。カツ丼と海鮮丼……絵里がカツ丼だったわよね」
絵里「ええ、ありがとう。にこの分も私が払うわ」
にこ「いいわよ、お小遣い貰ったばかりだから」
絵里「そう? じゃあ……」
にこ「にしても、もう八時よ。後四時間で消えちゃうわよー」
絵里「や、やめてよ! 折角忘れようとしてたのに!」
113:名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/02/16(月) 05:24:25.74 ID:rh34+/2o
絵里「……正直、不安ではあるわ」
にこ「考えすぎだと思うけどね」
絵里「帰る方法も見付からない、その上消えるなんて言われて落ち着いてるのも中々妙だと思うけど」
にこ「ま、それもそうね。大丈夫よ、日付変わるまで付き合ってあげるから、何かトランプでもしましょ」
絵里「ありがとう、にこ……」
にこ「いいわよ、お礼なんて。私も騒ぎたいだけだから」
114:名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/02/16(月) 05:28:09.69 ID:rh34+/2o
絵里「ああっ! 今赤コウラ投げたわよね!?」
にこ「投げてないわよ」
絵里「嘘よ、ちゃんと見てたのよ!」
にこ「走りに集中しなさいよ、どんどん抜かれてるわよ」
絵里「ああ、もう! 一位だったのに!」
にこ「……っと、はい一位ゴール」
絵里「よ、四位……! にこ、もう一戦よ、もう一戦!」
115:名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/02/16(月) 05:36:13.22 ID:rh34+/2o
にこ「はいはい、そんなことより気付いてた?」
絵里「気付くって……何に?」
にこ「ほら、時計。0時回ってるわよ」
にこ「やっぱりただの悪戯電話だったってわけね、分かってたけど」
絵里「あら本当……明日も部活なんだから、早く寝ないとね」
にこ「もうちょって喜ぶなりなんなりしなさいよ、あんなに怯えてたのに」
絵里「……? にこ、貴女、何を言っているの?」
117:名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/02/16(月) 05:43:08.86 ID:rh34+/2o
にこ「何って……眠気で忘れた? あんたが消えるか消えないかって話でしょ」
絵里「消える? 私が? にこ、熱でもあるんじゃない?」
にこ「……悪戯電話が来たからって私を呼んだでしょ?」
絵里「呼んだのは、親が居ないから二人で夜までゲームして遊ぼうって理由じゃない」
にこ「いやいや、何をとぼけて……まさか」
にこ「ねえ、絵里。バレンタインデーって知ってる?」
絵里「バレン……何? 知らないわね」
118:名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/02/16(月) 05:49:13.46 ID:rh34+/2o
にこ「そう……消えたのね」
絵里「どうしたの、目なんか瞑って」
にこ「何でもないわよ、本当に何でもないの」
にこ「ねえ、絵里。クローン、ってあるじゃない?」
絵里「ええ、あるけど……突然どうしたの?」
にこ「全く同じ姿をしたクローンに記憶を植え付けた人がいるとするわ」
にこ「姿も記憶と同じ、オリジナルとクローン。本物はどっちだと思う?」
絵里「オリジナルでしょ?」
にこ「けど、そのクローンにも今まで積み重ねてきた人間関係から何から、記憶が全てあるのよ?」
絵里「うーん……難しいわね、考えてみるから答えはもう少し待って。何で急に、こんなこと聞いてきたの?」
にこ「少し、気になっただけよ。別に、意味なんてないわ」
119:名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/02/16(月) 05:53:27.42 ID:rh34+/2o
絵里「……っつ。ここは」
絵里「何ここ? 暗い……」
「こんにちは、絵里さん」
絵里「ひっ……声? どこから……」
「すまないけれど、私は君達で言うところの肉体を持っていない。大体上の方にいる、とでも思っておいてくれればいい」
絵里「あなた、誰なの? ……私を移動させたのも、あなた?」
「ああ、それも含めて説明させてもらう。まず君をここに呼んだ理由、それは謝罪だよ」
120:名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/02/16(月) 05:59:18.77 ID:rh34+/2o
絵里「謝罪……?」
「君達の暮らしている、所謂地球というものは我々が管理している」
「様々なパラレルワールド、そこに存在する地球の全てをだ」
「君達に分かりやすく言うと、地球はパソコンのデータみたいなものなんだ」
絵里「一体何を言っているの……あなたは、神なの?」
「神ね、君達が崇拝する形無い存在。多分そうなのかな、趣味で管理しているだけだけど、そう崇拝されるのも悪くないな」
「話を戻すよ。まず、君が別の地球に行ってしまったこと」
「これは私のミスだ、すまない」
121:名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/02/16(月) 06:03:34.48 ID:rh34+/2o
「管理している最中に、色々な地球がある現象を起こしてね」
「簡単に言うと、バグが発生して、地球の人物データが上書きされたんだ」
絵里「上書き……」
「そう、君はバレンタインデーのある地球が起こした誤作動のせいで、バレンタインデーのない地球の絵里さんへと上書きされた」
「誤作動は私達の管理ミスだ。本当にすまない」
絵里「それはもういいのよ、なら、私を元の地球に戻して!」
「それは無理なんだ」
絵里「……無理? どうしてよ!?」
「さっきも言っただろう、君はバグなんだよ」
122:名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/02/16(月) 06:11:48.96 ID:rh34+/2o
絵里「だから、どういう意味なのよ! さっきから……」
「単刀直入に言うと、君はあの世界に居たオリジナルの絵里じゃない」
「コピーなんだ」
絵里「……え?」
「それもバグ・データを含んだコピー。バグったデータを見つけたら、すぐに適切な方法を持って消すだろう?」
「そもそも元の世界にもオリジナルが存在する以上、戻せばパラドックスが生じフリーズを起こしてしまうからね」
絵里「私が、コピー……?」
「ただのデータとはいえ、君達には知能もあれば思考もあるからね。問答無用で消しても良かったんだが、一言謝ろうと思ってね」
「一人なんて感情移入しすぎて、逃げろなんて言ってたくらいだよ。逃げる方法なんてないのに」
「本当に申し訳なかった。さようなら」
123:名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/02/16(月) 06:18:16.58 ID:rh34+/2o
絵里「え……私、消え……?」
絵里「嘘でしょ!? いやっ、違う! 違うのよ!」
絵里「私はコピーなんかじゃないのよ、本物の絢瀬絵里なの!」
絵里「やめてっ、消さないでぇっ! ひいっ、私の足! やめてよ、消えないで!」
「……」
絵里「ねえ、何か言ってよ! 私は偽物なの!?」
絵里「私はコピーなんかじゃない、今迄生きてきた記憶も全部あるのに、何で消えなきゃいけないの!?」
絵里「ねえ、答えてよ! 私が本物だって言ってよ!」
絵里「お願い、会いたいの! 皆に会って、また話をし……」
「……消去終了、と。さて、管理に戻りますか」
「全く、遊びでやってるとはいえ維持が難しいから困る」
124:名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/02/16(月) 06:23:29.41 ID:rh34+/2o
2月14日
部室
絵里「ねえ、皆。チョコ作ってきたの」
凛「わぁー! 友チョコってやつだにゃ?」
希「絵里ちの作るお菓子は美味しいからな、食べるの楽しみやん」
真姫「わ、私も作ってきたわよ……良かったら、食べて」
にこ「えー、真姫ちゃんがチョコ作ったの? お菓子作りとかしなさそうなのに」
真姫「気持ちを送りたかったから……って何言わせるのよ!」
花陽「あはは……私もライスチョコ、作ってきたよ」
穂乃果「穂乃果も!」
125:名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/02/16(月) 06:27:05.37 ID:rh34+/2o
海未「穂乃果のは……これチョコ、ですか?」
穂乃果「餡子を固めたオリジナルチョコだよ!」
海未「それはもう、チョコではなく餡子です」
凛「かよちんのチョコ美味しいにゃー」
花陽「本当? 喜んでもらえて良かったぁ」
ことり「私もマカロン作ってきたんだ、特別製なの♪」
穂乃果「ことりちゃんのマカロン! 食べる食べる!」
126:名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/02/16(月) 06:30:10.47 ID:rh34+/2o
絵里「あはは……皆楽しそうね」
希「バレンタインデーやからね、一年に一回なんやから楽しまなきゃ」
絵里「ねえ、希。ちょっとこっち来てくれない?」
希「ん、何?」
絵里「これ、希に……」
希「チョコ? さっき貰ったのとはまた別の……」
絵里「さっきのは友チョコでしょ? これは……そうね、親友チョコよ」
希「ああ、本命ってやつやな」
絵里「ほ、本命!? ちちち、違うわよ!」
127:名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/02/16(月) 06:34:00.18 ID:rh34+/2o
希「照れんでもいいやん、嬉しいで」
絵里「うう、なんか恥ずかしいわね……」
希「今日はもう無理やけど、ホワイトデー楽しみにしててな?」
絵里「ええ、たっぷりお返ししてもらうわ」
希「おお、怖い怖い」
ワタシガ――ダッタノニ――
絵里「……?」
希「どうしたん、絵里ち」
絵里「今何か聞こえたような気がしたんだけど……」
希「ウチは特に何も聞こえなかったけど。気のせいやない?」
絵里「そうね、気のせいよね。ただの気のせい。部室に戻りましょ」
128:名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/02/16(月) 06:36:12.97 ID:rh34+/2o
拙作お読みいただきありがとうございました
今年はチョコ一つでした
129:名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/:2015/02/16(月) 06:40:04.47 ID:pOReSrNY
こええ
130:名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/:2015/02/16(月) 06:41:52.24 ID:Lv3ZYc0S
にこはバグだけどほったらかし?
131:名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/:2015/02/16(月) 06:47:43.46 ID:rh34+/2o
にこは
同一世界に同一の人物が存在していない
データ上のにこAとにこBが入れ替わっただけ
データ量が膨大な以上それはよくあることで、バグではない
特に世界(コード)に問題を起こさないそれを一々戻しては時間が足らないので放置
たまに戻してる管理者もいるから、運が良かったら彼女も戻れるんじゃね
って感じだったんだけど普通に書いてないな
朝方は頭働いてないな
132:名無しで叶える物語(おいしい水)@\(^o^)/:2015/02/16(月) 07:13:31.77 ID:dF44fC4j
よかったよ
おつ
137:名無しで叶える物語(舞妓 どすえ)@\(^o^)/:2015/02/16(月) 08:47:11.33 ID:o0qWzRNa
世にも奇妙はラブライブ
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おだまさる,公野櫻子,室田雄平 KADOKAWA/アスキー・メディアワークス (2015-02-26)
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10362: ゆり名無し