三菱UFJ「貸金庫事件」で実在した"黒革の手帖" 元行員は「いくら盗んだのか」をメモにしていた
「信頼・信用という銀行ビジネスの根幹を揺るがすものであると真摯に受け止めており、心よりお詫び申し上げます」
管理職だった女性行員(11月14日付で懲戒解雇)が支店の貸金庫から顧客の資産を窃取していた問題をめぐり、三菱UFJ銀行は12月16日に会見を開き、事件の経緯や再発防止策を説明した。
半沢淳一頭取は今回の事件を「銀行ビジネスの根幹を揺るがすもの」と表現。信頼・信用のうえに成り立つ銀行として起こしてはいけない問題であることを認め、謝罪した。
不十分だった「予備鍵」の定期チェック
同行の説明によると、元行員は銀行が保管する顧客の「予備鍵」を使って貸金庫を無断で開け、資産を着服していた。
銀行の貸金庫を開けるには、「顧客のカギ」と「銀行のカギ」の2つを開錠する必要がある。銀行は顧客がカギを紛失した場合などに備えて予備鍵を代わりに保管しており、顧客と銀行の割り印を押した封印された封筒に入れて各支店で保管する。
元行員は支店の貸金庫と予備鍵の管理責任を担う立場にあった。予備鍵の保管状況については子会社による定期点検が半年に1度行われていたが、「十分なチェックが行われていなかった」(向井理人・執行役員カスタマーサービス推進部長)という。
詳細なチェック項目が定められていなかったため、予備鍵の入った封筒の数だけを確認し、封緘や割り印の状況までは確認していなかった。そのため元行員の不正利用を見抜けなかったとみられる。
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