<あらすじ>今は昔、
竹取の翁といふ者ありけり。
野山にまじりて竹を取りつつ、よろづのことに使ひけり。
名をば、
さぬきの造となむ言ひける。
その竹の中に、
もと光る竹なむ一筋ありける。
あやしがりて寄りて見るに、筒の中光りたり。
それを見れば、
三寸ばかりなる人、いとうつくしうてゐたり。
翁言ふやう、「我、朝ごと夕ごとに見る竹の中におはするにて、知りぬ。子となり給ふべき人なめり」とて、手にうち入れて家へ持ちて来ぬ。
妻の嫗に預けて養はす。
うつくしきことかぎりなし。いと幼ければ籠に入れて養ふ。
<感想>この作品、予告を2バージョンとも映画館で見たんですけど、
実によかった。かぐや姫が走ってる方は
「疾走感も景色の描写もすげえ」だったし、かぐや姫の成長ダイジェストの方は桜の木の下で回ってるところで
軽く泣きそうになりましたよ。
なんていうか、
絵面が美しくて、姫が幸せに満ち満ちている感じが素晴らしかったんですな・・最近こういうのに弱い。
まぁ、あの筆書きの線画が手抜きだと思う人は・・
京アニで楽しんでてねって感じですかね。
そんなこんなで期待がふくらみまくった状態で本編を迎えたわけです。
で、結果からいうと・・
予告を超えるインパクトは得られなかったかな。
かといって、この作品がダメというわけじゃないですよ。
むしろ、
かぐや姫を現代的な話として見るには決定版といってもいいかも。
お話の筋は元のまんまで、月に帰りませんでしたみたいなオリジナルのエンディングもないです。
ただ、原作ではほぼ語られない
かぐや姫の人間性がきっちりと描かれてます。
ちなみに、ジブリというよりは
「ハウス食品・世界名作劇場 かぐや姫の物語」という感じかな。
・・・この例えがわかる人ってもう
中年しかいないのかな。
というわけで、その後も
「小公女セーラ」のような展開が続きます。
里山でのびのびと育っていたかぐや姫。
しかし、
成金になって舞い上がってしまった翁に都に連れられ都へ。
東京砂漠ならぬ京の都の喧騒の中で、
それに反発しながら、いつしかかぐや姫は
自分を見失っていってしまいます。
そして、あることをきっかけに
「ここにいたくない!」と突発的に願ってしまったために、月の世界が動き出す・・というわけ。
ストーリーについての個人的な感想としては・・・キャッチコピーのように
なんらかの罪がかぐや姫にあるとは思えないんだけどなぁ。
まぁ、ここ何作かのジブリのコピーって、
客引きばっか狙ってて、内容とズレてね?っていうのばっかだけど。
とにかく、
小物の翁に振り回されちゃっただけなのに悩んじゃってかわいそうに、と。
でも、今の世の中では
「機会はいくらでもあったのに動かなかったかぐや姫が悪い。自己責任じゃね?」ってことになっちゃうんですかねぇ?・・イヤだわぁ。
そうやって
かぐや姫が人間社会の中でもがく辺り、非常に現代的なお話になってると思いますよ。
それでもって、
人物の表情。
これがとにかく素晴らしい。
特にかぐや姫は明から暗まで
ころころ変わります。なおかつ、
そのひとつひとつに華がある。
他にも、ちょっとしたしぐさだったりとかでも、感情の動きがきっちりと出てるし・・さすが「ハイジ」とかやってただけあるなぁと。
まぁ、僕は中学生くらいで「火垂るの墓」を見て、名作かもしれないが、
こんな暗い作品はもう見たくないと思ったものですけど、
今回のかぐや姫なら十分におすすめできます。
時期的にそろそろ上映期間終わりそうですけど、ぜひぜひ。
ちなみに、この話の男たちって笑っちゃうくらい
クズ揃いだね。
とにかく終始ぶっとばしたかった
竹取の翁、数分前まで妻子といたのに迷うことなくかぐや姫と逃げようとした
捨丸、地獄のミサワにでてきそうな
帝、
公達たちもまぁひどい・・。
かぐや姫の物語 ビジュアルガイド
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