「これは普通のテレビではない。新しいカテゴリーの製品だ」(ソニー 業務執行役員SVP ホームエンタテインメント事業本部本部長の石田佳久氏)。ソニーがこう意気込んで開発した「Google TV」対応液晶テレビが,日経エレクトロニクス編集部に到着した。
Google TVは,米Google Inc.のソフトウエア・プラットフォーム「Android」をテレビ向けに拡張したもの。テレビ画面に表示される検索窓にキーワードを入力することで,テレビ番組,インターネット上の動画,Webサイトなどを横断的に検索し,再生することができる点が最大の特徴である。ソニーのGoogle TV対応テレビ「Sony Internet TV」は10月下旬に米国で発売された。
今回,編集部が購入したのは24型の液晶パネルを搭載する「NSX-24GT1」(価格は599.99米ドル)である。残念ながら,日本では米国とテレビ放送の規格が異なるために放送を受信できないし,インターネットの動画配信サービスには地域制限のために利用できないものもある。それでも,既存のインターネット対応テレビとは一線を画すような大胆なコンセプトを持つ同機を,日経エレクトロニクス分解班は無視するわけにはいかなかった。
NSX-24GT1を収容した箱のデザインは,味気ない箱に入った通常のテレビとは明らかに違う。箱の外面には,Google TVの特徴である,テレビ画面に半透過の検索画面を表示した写真と,専用のQWERTYキーボード付きリモコンの写真が大きくカラーで印刷されている。
早速,テレビ本体を取り出し電源をオンにする。すると,設定メニューが表示された。リモコンの設定などが終わると,インターネットへの接続,Googleアカウントの入力などの設定で15分程度の時間がかかるとの表示が出る。早くインターネットのサービスを使いたいが,しばらく我慢が必要なようだ。
インターネットへの接続は,Ethernetか無線LAN経由かを選ぶ。Sony Internet TVは無線LAN機能を標準で搭載している。手持ちの無線LANルーターの電源をオンにすると,テレビがその電波を検知し,WEPキーを入力することで簡単に接続できた。
「さあ,あともう少しで使える」。こう思った矢先,「システム・アップデートのために10~15分かかります」との表示が突然出た。さすがに,短期間での機能追加が繰り返されるAndroid搭載機である。何の機能が追加されたのか分からないが,いちおう「進化」したようだ。新世代のデジタル家電とはこういうものかと感心する一方で,「早く触りたい」という渇望感が高まった。
ようやく10分以上が経過して,システム・アップデートが終了した。その後,Googleアカウントの入力などを経て初期設定が終了,「Welcome!」という文字とともにホーム画面が表示された。
そこには,YouTube,Netflix,Napster,Qriocityといったお馴染みのオンライン配信サービスのロゴなどが並んでいた。
(その2に続く)