デビュー後からずーっと思っていたことだけど、
私は別に綺麗な絵を描きたいわけではないんだよなぁ。
デビュー後、編集部の方々や大作家様から「絵が耽美だよね!」
と言われて驚いたくらいだ。自分の絵が美しいなんて知らなかった。
(もちろん嬉しいことなんだけど、)それ以来求められるのは見た目の美しさで、
自分自身も、そこらへん期待されてるなら仕事では応えようと思った。
だがある時、リアル気味なオバハンやきったないオッサンを漫画に登場させたら、
「こういうのが出てくるのはちょっと…」と言われた(仕事上での話)。
えっあかんのかい!?綺麗なものだけの世界って魅力あるかい?
光と影は表裏一体じゃないのかい!?
美しさを楽しむためのものってもちろんあるし、
現実で叶わないからこそ求められるんだよね。
私が自分の漫画にそう思ってないだけだ。
ただそう言われ驚いたのは印象に残っている。
そのことにやたら反抗心が出て描いた漫画もある。
造形が綺麗なものが、必ず「美しい」かっていうとそうじゃない。
定義はいろいろ有るもんな。
今こういう状況にあっては、
美しいとかカッコイイとか考えないで描いてもいいんだよな、と思ってる。
自由に描いていい状況のはずなんだ。
きっと私の漫画や絵に求められてる、
見る側からの魅力を削ることになっちゃうんだろうけど。
まあそれより手が動かない…というか、苦しいとか動悸とかオレはもうダメだーとか、
諸々に耐えるだけで疲れ果ててしまうこと、これキツい。
絵と漫画を愛する気持ちは変わらないのにな。