ミニ特集:科学史・科学の科学の本 海外
『科学と宗教 合理的自然観のパラドクス』
『生命科学の歴史 イデオロギーと合理性』
『社会生物学の勝利 批判者たちはどこで誤ったか』
『経度への挑戦』
『科学と宗教 合理的自然観のパラドクス』
ブルック 工作舎
● 収録されている図版がすばらしい。
えっ当時は科学ってこうだったんだ!と印象刻まれまくり。
18世紀の西欧ですでに「機械論」が流行り、市井がそれを鵜呑みにしていた「実例」の紹介も面白すぎw
西洋科学と宗教をめぐる骨太の確執史、ここにあり。
宗教集団のなかでも、宗教のことに詳しい人とあまりよく知らない人とでは、経験や認識が著しく違うものなのだ。
前者からみれば科学的な批判を介した宗教の浄化プロセスとみえるものが、後者にとっては人間の運命についていい加減な説明をする宗教の化けの皮を剥がし、それを完全に葬り去るための一里塚と認知されるのである。
ガリレオ”聖書はどうしたら天国へ行けるのかを教えるものであり、科学は天体がどう動くのかを教えるものなのですから、科学にも、聖書にも、それぞれの領分があるわけです。”
この手紙を書いたときの彼はすでに防戦状態にあった。新しい天文学が聖書の教えとは一致しないとの風聞がすでに伝わっていて、すでに宗教界から告発されていたのだ。
ダーウィンは世界に苦痛と苦悩が「蔓延」していることが慈悲深き神の存在を否定する最も強い論拠になりうると考えた。
そして、自らの説く自然選択説と情け容赦ない生存闘争によるプロセスならば納得できると付け加えた。キリスト教を奉じる進化論者の真の難儀はここにあったのである。
20世紀はフロイトによってその贅沢な前提を失ったと言われている。しかし、あらゆる人生に崇高な価値があるという信念を保ち、理想のために活動することが超越者について語ることなくできるかどうか。この問いには今後も決着がつきそうにないのである。
科学と宗教 合理的自然観のパラドクス 寝床で読んでいたけど、様々な観念がでてくるのでパンクしそうだ。けど複雑でおもしろー。
— まりおくんUC (@marioalmanac) 2012, 11月 15
ガリレオが裁判にかけられたのは地動説が主題だけど、当時カトリックはプロテスタントに信者を奪われまくっていて、地動説を認めて信者を取り戻そうとしてた。それでも裁判になったのは、ガリレオが酷評した大学の同僚が教会の権力者だったから。と、Ref.科学と宗教(J.H.ブルック)
— ますみ (@masu_mi) 2010, 7月 19
カンギレム『生命科学の歴史』の訳がひどすぎて、『反射概念の形成』をそのあと読んだらすごい分かりやすくて、僕は実はすごい金森修の恩恵を受けていたのだということにあらためて気付かされた。
— mpne (@mpne) 2010, 5月 18
『社会生物学の勝利 批判者たちはどこで誤ったか』
ジョン・オルコック
●進化心理学/人間行動生態学の黎明期、あの当時のごちゃごちゃを広くふりかえってみたおまとめ本。
ちょっと門外漢には難しいかも。
ワタボウシタマリン(南米産の小型のお猿さん)は、ドイツ語を語る人に慣れたあとで日本語の語りを聞かされると(違うぞ!?と)話者の方を振り向く。
社会生物学論争史をまとめたオルコック『社会生物学の勝利』を読めばこのネトウヨ(@hypnostase )が使うような差別のための方便こそが社会生物学内部で批判されてきたことが分かります。@hyonggi @watarihoukou @themipn @yasudakoichi
— nos (@unspiritualized) 2014, 2月 2
「社会生物学の勝利」読んでると竹内久美子が社会生物学者に憎まれる理由が良くわかる。究極要因と至近要因の区別ができない人に散々非難されているところに、それらをごっちゃにしたトンでも文章書かれて、しかもその文章が社会生物学への攻撃材料になりそうなものだったら、頭にくるだろう。 ...
— 蟾蜍(時々「まあ飲めよ」bot) (@patho_logic) 2009, 6月 11
『経度への挑戦』
デーヴァ・ソベル 角川文庫/翔泳社
●ずば抜けて正確な時計を開発したスゴ腕職人の登場によって、大幅に前進した航海術。
いかに科学技術の進展の上で「時計」なるものが大事なポジションを占めていたのか、科学史のドラマです。
緯度0度の線は自然の法則で決まっていて動かすことはできないが、経度0度の子午線は時代とともに移りかわっている。経度と緯度の決定的な違いがここにある。
大航海時代、精密な海図や羅針盤があったにもかかわらず船が居場所を見失ったのは、経度を正確に知る方法がなかったからだ。
経度を正確に知るにはどうすればいいか。それは四世紀ものあいだ、ヨーロッパ諸国の悩みの種だった。
#最近読んだ本 「経度への挑戦」デーヴァ・ソベル著 これは面白かった。大航海時代に何故、いかに経度を正確に計測することが難しかったのか、またそれが何故重要だったのか、クロノメーターを開発した職人と評議会の対立…科学の読み物として最高でした。
— kt the funky (@yujihanagawa) 2017年3月13日
『経度への挑戦』読んだ。緯度と違って正しく計測することの難しい経度を精密な時計の開発によって克服したという技術史の本。時計VS月と星の計測という科学史でもある。短めだしオススメ。西洋の国立天文台ってのは元々航海のためのデータ蓄積が目当てだったのは知らなんだ。
— Sensyuraku (@Sensyuraku) 2017年1月12日
…ところでハリソンって誰って?
— 滉平@気まぐれ管理人 (@D201101HK) 2016年10月21日
18世紀の時計職人ジョン・ハリソンさんのこと。
海上クロノメータの開発に尽力した人
詳しくは『経度への挑戦 一秒にかけた四百年』(デーヴァ・ソベル著、藤井留美訳、翔泳社刊)
を読むといいっすよ
(誰得の宣伝)
好評につき、文庫版が出ています。 ↓
『ミニ特集:科学史・科学の科学の本 海外 その1』
『ミニ特集:科学史・科学の科学の本 海外 その2』
『ミニ特集:科学史と科学を語る本 日本 その1』
『ミニ特集:科学史と科学を語る本 日本 その2』