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アメリカ世界覇権を揺るがしかねない運命のハイチ by F・ウィリアム・イングドール 1


以下、転載

アメリカ世界覇権を揺るがしかねない運命のハイチ by F・ウィリアム・イングドール 2010年1月30日 翻訳:為清勝彦 The Fateful Geological Prize Called Haiti By F. William Engdahl (globalresearch.ca) Japanese translation by Katsuhiko Tamekiyo 
http://tamekiyo.com/documents/W_Engdahl/geoprize.html その1

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地震に襲われたハイチに、〔クリントン元〕大統領が国連特使となって向かった。

復活したネオコン主義者・米国ビジネスの太鼓持ち伝教師〔パット・ロバートソン[Pat Robertson]のこと〕は、ハイチ人は悪魔と契約した罰を受けていると主張している。

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ベネズエラ、ニカラグア、ボリビア、フランス、スイスの救援組織は、打ちひしがれ負傷し家を失ったハイチの人々が緊急に必要としている医療物資や飲料水を積んだ飛行機の着陸を、米軍が拒否していると非難している。

この不幸なカリブ海の国で発生している、いつ終わるとも知れない惨劇の煤煙と瓦礫の裏では、地球物理学者たちが(中東を除けば)世界で最も炭化水素(石油とガス)が豊富かもしれないと考えている地域の支配権をかけたドラマが全開状態である。おそらくハイチには、近傍のベネズエラよりも遥かに大規模な資源がある。 

ハイチを含むヒスパニョラ島は、世界で最も地質学的に活発な地帯にまたがっている。これは地質学的な宿命である。三つの巨大な構造体の深海プレートが、互いに容赦なく凌ぎ合っている。北米プレート、南米プレート、カリブ海プレートの三つの構造プレートの交差点である。これらカリブ海域のプレートは、マントルの上に浮かぶ3~6マイルの厚みの海洋地殻である。また、ハイチは、奇妙で説明のつかない撹乱の発生するカリブ海の広大なエリア(バミューダ・トライアングルとして有名な地域)の端に位置している。

この巨大な水面下プレートの塊は、常に動き続け、割れて接着剤でくっつけた磁器の花瓶のヒビのような筋に沿って、互いに擦り合っている。地球の構造プレートは、一般的に一年につき50~100mm互いにズレるが、これが地震や火山の原因になっている。構造プレートが集中する地域は、地球のマントルから大量の石油やガスが押し上げられてくる場所でもある。地球物理学的に、三つのプレートが集中する場所(ポルトープランスの直下付近)では、1月12日にハイチを襲ったような破滅的・凶刃な地震が発生しやすくなる。


テキサスの地質学プロジェクト

どうやってペンタゴンと米国の科学者は地震の発生を遥か前に知っていたのかという尤もな疑問、そして1月12日以前にどんなペンタゴンの計画が練られていたのかという疑問は、とりあえず脇に置いておき、主な「救援者」である米国、フランス、カナダが現在まで行ってきた奇妙な行動を理解するために役立つであろう別の問題がハイチをめぐって浮上してきた。獰猛な地震にさらされやすいことの他に、三つの構造プレートが交差するという普通ではない地質的な性質のため、ハイチは世界最大の未開発の石油・ガス地帯、戦略上重要な稀少な鉱物資源帯にまたがってしまっているのかもしれないのだ。

ペルシャ湾と、紅海からアデン湾にかけた地域の巨大な石油資源は、石油資源の豊富なインドネシアやカリフォルニアの沖合いと同様に、似たような大構造プレートの集束地帯にある。簡単に言えば、地球物理学的には、そうしたハイチの直下にあるような構造プレートの交差点は、まさに巨大な鉱物資源、石油、ガスの宝庫である可能性が極めて高いのである

注目すべきことに、ブッシュ・チェニー政権が、民主的に選出されたジャン=バプティスト・アリスティド[Jean-Baptiste Aristide]大統領を事実上追放して一年後の2005年、テキサス大学地球物理学研究所の地質学チームが、カリブ海盆の全地質データを徹底的かつ意欲的に二相マッピング〔気液二相?〕する作業を始めた。この調査プロジェクトは2011年を完了期限としている。Dr. Paul Mannが率いるこのプロジェクトは、「カリブ海盆、地質構造、炭化水素」と呼ばれている。カリブの構造プレートと炭化水素(つまり、石油とガス)の関係を可能な限り精密に特定することを全使命としている。

この何百万ドルもの調査プロジェクトのスポンサーは、世界最大級の石油会社であることは注目に値する。シェブロン、エクソンモービル、アングロ・ダッチシェル、BHPビリトンなどである。【脚注1】おかしなことに、このプロジェクトまで、この地域は包括的に地質学マッピングされたことがない。とっくの昔に米系石油メジャーが調査対象にしていてもおかしくないはずだ。メキシコ沖、ルイジアナ州、カリブ海全域で既に大量の石油を産出しているし、それに米国とは至近距離である。米国がエネルギー安全保障に力を入れていることは言うまでもない。この地域がマッピングの対象になっていなかったことは驚きである。

どうやら、大手石油会社は、遥か昔からこの地域に大量に石油があることに気付いていたが、手を付けず秘密にしておいたようだ。

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キューバの「スーパージャイアント油田」

米国政府が、疲弊したハイチの人々を救援することよりも別のことに大いに関心があるのではないかという疑問に対する答は、キューバ沖の海域近辺、ポルトープランスの真向かいに発見されている。2008年10月、スペインのレプソル[Repsol]社が率いる石油会社の共同事業体は、キューバの国営石油会社Cubapetroleoとともに、キューバ沖の深海に世界最大級の油田を発見したことを発表した。石油を専門とする地質学者の用語で、「スーパージャイアント油田」と呼ぶものだ。このキューバの油田は、200億バレルもの石油を埋蔵すると推定されており、1996年以来12番目の「スーパージャイアント油田」発見となった。この発見により、キューバは、ペンタゴンの不安定化・その他意地の悪い工作活動の高優先ターゲットにもなりそうだ。

キューバの「スーパージャイアント油田」発見から一ヶ月後に、ロシアのメドベージェフ[Dmitry Medvedev]
大統領が、ロシアの石油会社がキューバの石油探査・採掘をすることを、ラウル・カストロ[Raul Castro]大統領代行と合意するために、ハバナに飛んだことは、ワシントンに動揺をもたらしたに違いない。【脚注2】

メドベージェフのロシア・キューバ石油協定は、中国の胡錦濤国家主席が体調を取り戻しつつあるフィデル・カストロとその弟のラウルを訪問してから、ほんの一週間後のことだった。胡錦濤は、キューバの港湾を最新化する契約に調印し、キューバの原材料を中国が購入する話しをしている。巨大なキューバの石油発見が、中国のキューバ政策の大きなポイントになっていたことは間違いない。【脚注3】2008年11月5日、胡錦濤がキューバなどラテンアメリカ諸国を訪問する直前に、中国政府は、ラテンアメリカとカリブ海諸国との今後の外交関係に関する政策文書(このような文書は初めてである)を発表し、これら諸国との関係を戦略的重要性を備えた新段階に格上げした。【脚注4】

キューバの「スーパージャイアント油田」発見により、「石油ピーク論」信者も大いに面目を失った。ブッシュとブレアが、イラクを侵略・占領する決定をする少し前に、インターネットで石油ピーク論が流行していた。2010年以降のいつか、世界は絶対的な石油産出の「ピーク」に達し、以降、石油は減って社会的・経済的に甚大な影響をもたらすというストーリーである。引退した石油地質学者のColin Campbellや、テキサスの石油金融業者Matt Simmonsなど、華々しい評論家たちは、「スーパージャイアント油田」は1976年頃から一つも発見されていない、過去20年に発見された油田は、昔のサウジアラビア、プルドー湾(アラスカ)、大慶(中国)などと比べれば、実に「ちっぽけ」だと主張していた。【脚注5】


ここで、次のことを述べておくのは重要だろう。

半世紀以上も前に、ロシア人とウクライナ人の地球物理学者のグループが、国家機密で調査を行い、炭化水素は、地球のマントルの奥深いところで、極めて高温高圧の巨大な燃焼釜のような状態で、生成されていることを確認している。炭化水素は、死亡した恐竜の残骸が濃縮・圧搾され、何百年も前に何らかの形で石油やガスに変わったものだとする、米国など西側で定着している「主流」の地質学の主張を反証したのである。もちろん、藻類など他の生物起源の物質でもない。【脚注6】

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その上で、ロシアとウクライナの地球物理学者グループは、地球のマントルで生成される石油やガスは、地球の断層や裂け目に沿って、圧力が可能とする限り地上へと、押し上げられることを証明した。この仕組みは、火山の溶岩が生成される仕組みと同じである。ということは、石油を発見する可能性とは、深い裂け目を発見したり、地球の奥底から石油を導管のように押し上げる複雑な地質活動を発見する可能性に他ならないことになる。 カリブ海域(特にキューバ沖とハイチ)は、ちょうどそんな地域であり、地表近くまで上昇する道をみつけた炭化水素(石油、ガス)が集まる地域のようだ。おそらくその規模は、サウジアラビアに匹敵するだろう 【脚注7】

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続く


脚注

1 Paul Mann, Caribbean Basins, Tectonic Plates & Hydrocarbons, Institute for Geophysics, The University of Texas at Austin, accessed in http://www.ig.utexas.edu/research/projects/cbth/.../ProposalCaribbean.pdf

2 Rory Carroll, Medvedev and Castro meet to rebuild Russia-Cuba relations, London Guardian, November 28, 2008 accessed in http://www.guardian.co.uk/world/2008/nov/28/cuba-russia

3 Julian Gavaghan, Comrades in arms: When China’s President Hu met a frail Fidel Castro, London Daily Mail, November 19, 2008, accessed in http://www.dailymail.co.uk/news/article-1087485/Comrades-arms-When-Chinas-President-Hu-met-frail-Fidel-Castro.html

4 Peoples’ Daily Online, China issues first policy paper on Latin America, Caribbean region, November 5, 2008, accessed in http://english.people.com.cn/90001/90776/90883/6527888.html

5 Matthew R. Simmons, The World’s Giant Oilfields, Simmons & Co. International, Houston, accessed in http://www.simmonsco-intl.com/files/giantoilfields.pdf

6 Anton Kolesnikov, et al, Methane-derived hydrocarbons produced under upper-mantle conditions, Nature Geoscience, July 26, 2009.

7 F. William Engdahl, War and Peak Oil—Confessions of an ‘ex’ Peak Oil believer, Global Research, September 26, 2007, accessed in http://www.globalresearch.ca/index.php?context=va&aid=6880

原文の紹介
The Fateful Geological Prize Called Haiti
http://www.globalresearch.ca/index.php?context=va&aid=17287
GlobalResearch.ca
http://www.globalresearch.ca/
F.William Engdahl ホームページ http://www.engdahl.oilgeopolitics.net/


参照

米軍はハイチ救援を邪魔しに行った F・ウィリアム・イングドール
http://satehate.exblog.jp/13549743/

by oninomae | 2010-02-04 18:58 | 政治詐欺・政治紛争  

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