2022.03/19 [Sat]
キャラクター、世界、ドラマ、何もかも愛おしい――山本四角『ビーストリングス』 (BEASTRINGS)
5年ぶりの更新ですよ。書籍化情報で久々にテンションが上がった作品を紹介します。
山本四角さんの『ビーストリングス』(BEASTRINGS)です。
この作品は山本四角さんがツイッターに発表した作品に描きおろしを加えて1冊にまとめています。
初めて読んだのが干支をモチーフにした作品でした。
山本四角さんの『ビーストリングス』(BEASTRINGS)です。
この作品は山本四角さんがツイッターに発表した作品に描きおろしを加えて1冊にまとめています。
初めて読んだのが干支をモチーフにした作品でした。
酉年に発表されたにわとり獣人と少女のストーリー。2ページの作品でドラマを描き、その奥にある世界観を想像させる力がありました。なによりオチの秀逸さ。衝撃的でした。翌年は次の干支である犬をモチーフにした作品だったのですが、これが酉年の漫画とリンクしている。
前年とのリンクにより作品世界観のことをもっと知りたくなったし、新年の作品発表が待ち遠しくなるほどです。
自分は獣人、人外キャラが好きなので山本四角さんの描くキャラがドストライクだったのですが、さらに彼らがいる世界がどうなっているのかを考えるのが楽しかったのです。酉年作品でマッシブなにわとり獣人が大立ち回りをするシーンで、銃を使用してスーツを着てサングラスも身に着けています。これらを身に着けていられるということは、この世界では獣人がいて当たり前の世界であり、さらに子供を保護して一緒に暮らしているということは異種交流も珍しくないのかもしれないと、想像、妄想するのが楽しかったのです。「獣人が存在する世界では現実世界とこういう差異があるんですよ」という創作情報が何より好きなのでこの気持ちに火をつけてくれる山本四角作品のすごさがたまりません。
干支シリーズ以外にもツイッター上で発表されている「市長と秘書」シリーズ、「お嬢と忠犬」シリーズ、「竜と少女」シリーズが収録されています。これらのシリーズがすべてリンクしていることが描きおろしで描かれているのです。いや、たまらないですね。幸せです。シリーズ間をつなぎ一つの大きな世界になったのです。作品を読み終わった後に『ビーストリングス』の世界でTRPGを遊んでいたいと、数年ぶりに熱い気持ちが沸き上がってきました。
キャラクターの良さも格別です。インパクトがありますよね。脳筋マッチョというパワータイプでいながら人たらしの才能も持つ市長。そしてちょいちょい毒をこめた一言で刺しながらもサポートするダークエルフの秘書。さらに二人目の秘書となったサキュバス。それぞれキャラが立っていますが、キャラの掛け合いが面白い。山本四角作品は個性が強いキャラ同士が組み合わさって産み出すドラマが面白いのです。
自分は獣人、人外キャラが好きなので山本四角さんの描くキャラがドストライクだったのですが、さらに彼らがいる世界がどうなっているのかを考えるのが楽しかったのです。酉年作品でマッシブなにわとり獣人が大立ち回りをするシーンで、銃を使用してスーツを着てサングラスも身に着けています。これらを身に着けていられるということは、この世界では獣人がいて当たり前の世界であり、さらに子供を保護して一緒に暮らしているということは異種交流も珍しくないのかもしれないと、想像、妄想するのが楽しかったのです。「獣人が存在する世界では現実世界とこういう差異があるんですよ」という創作情報が何より好きなのでこの気持ちに火をつけてくれる山本四角作品のすごさがたまりません。
干支シリーズ以外にもツイッター上で発表されている「市長と秘書」シリーズ、「お嬢と忠犬」シリーズ、「竜と少女」シリーズが収録されています。これらのシリーズがすべてリンクしていることが描きおろしで描かれているのです。いや、たまらないですね。幸せです。シリーズ間をつなぎ一つの大きな世界になったのです。作品を読み終わった後に『ビーストリングス』の世界でTRPGを遊んでいたいと、数年ぶりに熱い気持ちが沸き上がってきました。
キャラクターの良さも格別です。インパクトがありますよね。脳筋マッチョというパワータイプでいながら人たらしの才能も持つ市長。そしてちょいちょい毒をこめた一言で刺しながらもサポートするダークエルフの秘書。さらに二人目の秘書となったサキュバス。それぞれキャラが立っていますが、キャラの掛け合いが面白い。山本四角作品は個性が強いキャラ同士が組み合わさって産み出すドラマが面白いのです。
刺客として市長を襲ったサキュバスが返り討ちになるのですが、その理由が市長の生命力が濃すぎて吸精したが食あたりで倒れてしまう。市長のキャラクター性とサキュバスという魔物の特性を絡めて面白く仕上げています。また、毒のある一言が売りのダークエルフ秘書さんに対して悪びれずに堂々とする態度と腐女子キャラでシリーズのドラマ性を広げていきます。
異種ラブ面も死角なしです。『お嬢と忠犬』シリーズは甘酸っぱい気持ちで満たしてくれます。
異種ラブ面も死角なしです。『お嬢と忠犬』シリーズは甘酸っぱい気持ちで満たしてくれます。
自然とこんなことをいう執事とそれに反応して顔を赤らめるお嬢様。異種ラブだけでなく主従ラブも取り込んで悶えること間違いなしです。執事君の友人が嫉妬の炎を燃やすのもわかります。
ちなみこのシリーズでは作品世界のファンタジー設定について描かれていてそちらも必見です。
最後にキャラクターの動き、アクションも目を惹きます。立ち絵だけでなく獣人の動きがかっこよく、アクションシーンの迫力が素晴らしいです。「竜と少女」シリーズのメインキャラクター竜獣人のプロレスシーンです。
最後にキャラクターの動き、アクションも目を惹きます。立ち絵だけでなく獣人の動きがかっこよく、アクションシーンの迫力が素晴らしいです。「竜と少女」シリーズのメインキャラクター竜獣人のプロレスシーンです。
人でありながら人外要素があるキャラクターを迫力満点で描いています。またこのコマでは読者の視覚を楽しませるために同じポーズで前と後ろが同時に入ってくるように描いています。
尻尾や後頭部から首にかけてのラインがどうなっているのか決めポーズの時に見せてくれるのです。獣人好きである自分にはたまりませんね。
ツイッターでのカラーページもそのまま収録して描きおろしもある一冊。デビューコミックとして素晴らしい出来になっています。キャラクター、ドラマ、世界観。それぞれのシリーズ描かれたものが、十奏市という一つの世界になりさらに広がっていくことを予感させてくれる。一度読んでもう一度読み返すとまた新しい情報を得ることができる。一つの作品集となったからこそできる楽しみです。『ビーストリングス』の物語がさらに広がっていくことを願います。 ――――――――――――――――――――――――――――――
ツイッターでのカラーページもそのまま収録して描きおろしもある一冊。デビューコミックとして素晴らしい出来になっています。キャラクター、ドラマ、世界観。それぞれのシリーズ描かれたものが、十奏市という一つの世界になりさらに広がっていくことを予感させてくれる。一度読んでもう一度読み返すとまた新しい情報を得ることができる。一つの作品集となったからこそできる楽しみです。『ビーストリングス』の物語がさらに広がっていくことを願います。 ――――――――――――――――――――――――――――――
画像出典 メディアファクトリー『ビーストリングス』 P49,P51,P21,P121,P105,P135,P136 掲載順
最新コメント