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2010年3月 6日 (土)

勤勉さとは?

 

日本人は勤勉だとは、よく聞かれる言葉である。そういう日本人気質からみると、外国人、特に熱帯や、砂漠地帯から来た人たちは、どうにもだらしなく見えたり、キビキビ動かなかったり、遅刻したりする。日本人の尺度からいうと、いわゆる怠け者とか、目に余る姿のように思えるようだ。

 

 

 

「なぜ、日本人はそんなにせかせかして、勤勉なの?」という質問が外国人から発せられたとき、私はこう答えることにしている。農耕民族で、四季があるから。あなたがたは農耕民族でも、暑い国からきている人たちは、失敗しても二毛作が可能でしょう。しかし、日本では、一般的に一毛作なのです。たとえば、あなたが農民で米を育てているとしなさい。米を決まった時期に植え、決まった時期に収穫しないと、収穫時に冷害にやられるかもしれない。台風や水害で米に被害がでるかもしれない。たった一日、収穫日を延ばしただけで、運命が分かれるかもしれない。台風がきて、収穫できた農民は安堵し、収穫を伸ばした農民は、米を収穫できず、もう一年待たねばならず、生活の糧を失う。日本人にとって、せかせかして勤勉でないと、四季の動きに合わせることができず、怠け者は敗者となる可能性があるのです。こういった説明で納得してもらえるかどうかは疑問だが、そう答えることにしている。

 

 

 

東南アジアには過去に何度か行った経験はあるが、砂漠地方にはまだ行く機会がない。これは本や行ってきた知人からの受け売りだが、砂漠では、できるだけ無駄に動かないことが生き残る秘訣だという。たとえば、砂漠で道に迷ったら、迷走して体力を無駄に消耗するよりは、日陰を見つけ体力を温存し、日が沈み、涼しくなってから、星をたよりに目的地を目指せばよい。砂漠の民の尺度からみれば、日本人は砂漠で、真っ先に死んでいく民族のようだ。

 

 

 

文化の背景が見えてくると、ちゃらんぽらんに思える態度にもそれなりの理由があることが理解できるようになる。しかし、それでは世界の動きから遅れていくではないかと思う人もいるかもしれない。砂漠の人たちも、最近では朝7時から3時、または4時まで勉強し、働く場合も多いと聞く。この人たちも工業化したら、勤勉な民族になりうる可能性があるのだろうか?

 

 

 

逆にこんな話を聞いたことがある。勤勉な日本人が専門家として、他国に行ったとき、勤勉なはずの日本人が、まったくの怠け者となり、現地の人から信用されなくなってしまった。こういう話を聞くと、勤勉さとは、風土や社会環境に密接につながっているのだろうか?

 

 

 

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