ニュース
QualcommがArduinoを買収。オープンソースコミュと巨大エコシステムの融合なるか
2025年10月9日 06:18
Qualcommは現地時間10月7日、Arduinoを買収すると発表した。
本買収の金額や詳細な条件は明らかになっていないが、Arduinoは今後もQualcommの子会社として存続し、Arduino独自のブランド、ツール、オープンな開発アプローチとコミュニティ精神、他社製コントローラやプロセッサへのサポートは維持されるという。
Qualcommは今年(2025年)に入ってからマシンラーニング支援プラットフォームを提供するEdge Impulse、IoT向けサービスを提供するFoundries.ioを買収するなど、開発環境系サービスの強化を図っていた。今回のArduino買収が完了すれば、ハード/ソフト/クラウドを統合したフルスタックエッジプラットフォームの提供という戦略の強化につながるとしている。
買収発表と同時にQualcommおよびArduinoは、シングルボードコンピュータ「Arduino」シリーズよりDragonwing QRB2210を搭載した「UNO Q」を発表した。価格は2GB RAMおよび16GB eMMCを搭載する下位モデルが44ドル、4GB RAMおよび32GB eMMCを搭載する上位モデルが59ドル。下位モデルは7日、上位モデルは11月中に予約受付を開始するという。また、国内ではスイッチサイエンスが工事設計認証を取得次第、発売予定だ。
UNO Qはメインプロセッサに加えてリアルタイム制御を得意とするマイクロコントローラSTM32U585を搭載する「dual brain」アーキテクチャを採用した初のArduino製品である。
QRB2210はLinux Debianに対応し、AIやグラフィックスアクセラレーション、カメラ、オーディオ、映像出力、Wi-Fi 5やBluetooth 5.1での接続といった機能をサポートしている。
UNO Qは新たな開発環境である「Arduino App Lab」と連携する初のArduinoボードだという。リアルタイムOS、Linux、Python、AIといった複数の開発領域を単一のインターフェイスで統合するほか、組み込み型マシンラーニング支援プラットフォーム「Edge Impulse」との連携によりAIモデルの構築が容易になっている。また、「Qualcomm AI Hub」で提供されるAIモデルの利用も可能になる。
本買収およびDragonwingアーキテクチャプロセッサ搭載製品の展開により、Qualcommの技術とArduinoの価格やコミュニティが統合され、3,300万人以上のArduinoコミュニティがQualcommの強力な技術および展開ネットワークを活用可能になり、新たなソリューションを迅速に試作・テスト可能になるとしている。
本買収は、規制当局の承認および諸条件の充足により完了する予定。