ニュース
Arm版Windowsの互換性は1年前とは別物。クアルコムがSnapdragon搭載機のイベント開催中
2025年10月7日 10:48
クアルコムCDMAテクノロジーズ有限会社は、Snapdragon X搭載ノートPCのタッチ&トライイベントを全国で開催中だ。
SnapdragonシリーズのPC向けCPUは、9月に「Snapdragon X2 Elite Extreme」および「Snapdragon X2 Elite」が発表されたばかり。10月3日から4日にかけて東京駅八重洲中央改札前に設けられた会場には、ASUS、Dell、HP、Lenovo、MicrosoftのSnapdragon搭載ノートPCが並んだ。新幹線改札のほど近くに設けられたイベントスペースということもあり、足を止めてPCに触れている人の層も幅広く、スタッフはSnapdragon搭載PCが有する電力効率や、Windowsの新AI機能である「リコール」を始めとしたローカルでのAI処理性能の高さをアピールしていた。
Snapdragon搭載のWindows機といえば、Windows on Arm(WoA)が抱える互換性の問題が話題に挙がることがある。しかし、Arm版Windows 11においては「Prism」というバイナリトランスレータを採用したことを背景に、クアルコムからソフトウェアベンダー各社への働きかけによってここ1年ほどの間にソフトウェアの互換性は大きく改善しているという。
WoAにおけるアプリケーションの互換性に関して、クアルコムCDMAテクノロジーズ PC Business統括本部長の井田晶也氏は「少なくとも一般のユーザーさんが利用される範囲においては不都合のないところまで進めることができた」と話す。ブラウザベースで動くWebアプリはほぼ100%、クリエイティブやオフィス系アプリ、セキュリティアプリのように家電量販店で販売している有名どころのソフトウェアについても、支障なく使えるようになったという。
具体例としてはAdobeやMicrosoftなど主要なベンダーのアプリケーションを始め、クリエイティブ系ではBlenderやDaVinci Resolve、NetflixやSlack、ZoomなどのWeb系アプリ、またキヤノンなど主要なプリンタ系アプリもネイティブでの互換性の確保が完了しているとした。
WoAのネイティブ対応はクアルコムの調査に基づいて、まずは世界で最も使われているアプリの上位トップ200、次に500、1,000といった順にベンダーへの働きかけを行ない、直近の2年間で地道に対応を拡大している。互換性テスト済みのアプリケーションは現在約4,000～5,000の規模に達しており、今後も継続する方針だ。
「互換性については、どのアプリが完全に動いて、どのアプリが確認中なのか、あるいは動かないのかが見えていなかったことも不安を煽っていた一因だった」という。クアルコムでは厳しい基準を設定して大規模な互換性のテストを実施し、具体性をもって問題点の洗い出しを行ない、ネイティブ対応を進めている。
そういったこともあり、現時点では9割以上のアプリはPrism上で動くはずだが、動かないものに対しては、ベンダーへの対応協力やMicrosoftと連携してPrismのバージョンアップを行なう。あるいはファームウェアの更新などで個別に対応する。
互換性テスト済みのアプリは、LinaroのWoA対応アプリ検索やQualcommの特設サイトで確認できる。
現在の課題は、内製ソフトウェアのように単一の企業内でのみ使われているアプリや、代えのきかない古いソフトウェアへの対応をどこまで行なうかだという。クアルコムとして対応を進めたものの、結果としてハードの対応を見送られてしまうリスクも考えられるが、「Snapdragonデバイスを使いたい」というニーズがあるかぎりは、個別に協議し、すぐに検証用環境の貸出などエンジニアリングリソースの提供が行なえる態勢を整えているとのことだ。
なお、本イベントは10月18日から19日にかけてイオンモール福岡で、10月25日から26日にかけてイオンモール広島府中でそれぞれ実施予定となっている。
