私的2012年エロゲ20選 ~一般部門~
エロゲ(雑記) - 2013年01月14日 (月)
2012年作品もやりたい作品はある程度プレイできたので選んでみました。
一般部門としたのは抜きゲは別に分けてやろうと思ったからです。こちらも近いうちに記事にします。ほんとは同人部門も作りたかったのですが同人はまだ積んでる作品が結構あるので一纏めにしました。
不作と言われている2012年ですが僕個人としてはそんなことはないかなという印象です。確かに小粒という印象は否めませんが面白い作品はたくさんあったので不作という感じはしませんでした。というか2011年が凄すぎましたね…。
あとランキングではないので順番は特に意味はありません。非18禁作品も今回は選考外。それでは前置きはこれぐらいにして早速初めます。
1. 屋上の百合霊さん [Liar Soft]
爽やかな百合物語。百合は個人的に敬遠してきたジャンルなのですが本作がその認識を変えてくれました。登場人物それぞれの「恋」という感情が凄いストレートに伝わるのは書き手の上手さもありますがやっぱり思春期の女の子同士の恋ならではだと思います。カレンダー形式というのも彼女たちの恋を追体験している感じが味わえたので良かったと思います。好きなキャラはもちろん主人公の結奈。
2. VenusBlood -FRONTIER- [DualTail]
エロいし何度も遊べるこれぞエロゲーという感じの作品。VBシリーズはこれが初めてでしたがかなり楽しめました。難易度も程良く何より師団編成が奥深くてやりがいがあります。触手と悪堕ち好きの人にもオススメできる作品。リグレットの悪堕ちは最高ですよ…。これを機に過去作も是非プレイしたいところ。
VBAは積んでるのでまずはこれからやろうかな。
3. 波間の国のファウスト [bitterdrop]
経済を題材にした作品。経済要素がストーリに深く関わってくる作品はこれが初めてでした。とはいえニュースや新聞で目にする程度の専門用語しか出てこないのでそこまで肩肘張らなくても楽しめると思います。目新しいテーマに惹かれて興味深くプレイできましたが選択肢無し、エロの扱いなどエロゲとしての評価が難しい点もありました。惜しいという表現が一番しっくりくるかも。
4. はるまでくるる [すみっこソフト]
女性主導ハーレムとSFシナリオの融合。Hシーンラッシュの前半とは打って変わって後半は読ませる疾走感のあるシナリオ。主人公の扱い方含め意欲的な点が数多く見られました。ハーレムという関係の一つの完成形を提示した作品とも言っていいでしょう。売上本数を聞いてあまりの少なさにびっくりしたので次回作『なつくもゆるる』はもっと売れて欲しいところです。関係ないけどindigoもやらなきゃな…
Spring has come!
5. J.Q.V 人類救済部 ~With love from isotope~ [StudioBeast]
終末セカイ系。最近下火なジャンルですが個人的にはもっと見たい題材です。既に金字塔的作品があるので似たような作品になりがちという難しさもありますが…。そしてこれは本作にも言えることですね。
作品としての粗は確かにありますがそれを気にさせない勢い・力強さはまさに同人ならではといった感じでした。独特の世界観から人の繋がりを描きラストも綺麗に締めています。BGMも良曲揃いでコスパも申し分無し。
世界で一番小さいもの、それは…
6. ChuSinGura46+1 -忠臣蔵46+1- 百花魁編 [れいんどっぐ]
ChuSinGura46+1シリーズの3作目。今作は大石主税がメインヒロイン。今までで一番エロゲーしてた章だと思います。またこれまでのメインヒロインだった大石内蔵助、堀部安兵衛といった完成された個ではない、子供の主税が軸にいるのでそこでの「成長」というのも一つの大きなテーマになっていたかなと。
話の展開はある程度予想通りだったので前二作ほどの驚きはありませんでしたが最後の衝撃の展開からのアレは完全にやられました。自分の願望が映像化したんじゃないかと錯覚しましたよ…。心憎い演出です。
とある場面で新八とエッチできなかったのはプレイしたユーザー誰もが何かの間違いなんじゃないかと思ったところでしょう。商業版では何とか新八ルートを…。
7. ウィッチズガーデン [ういんどみるOasis]
巷で話題のE-moteを擁した作品。E-moteに関しては色々と思うところはありますが凄い技術には変わりありません。ヒロインが持つ「可愛さ」をこれまでにない方法で表現することに成功しています。あとは裸立ち絵があれば言うことなしだったのに…。裸状態でのおっぱいたゆんたゆん見たかった…
E-moteばかりが取り上げられがちですが音楽、グラフィック、キャラクターなどを通した一つの世界観の形成が非常に整っている作品だなと感じました。
8. Remember 最愛の妻が他の男の腕の中で微笑む、もう一つのIF
[アトリエさくら]
寝取られゲー専門ブランドから出たまさかの純愛ゲー。厳密な寝取られ物を期待していた人には残念な作品だったでしょうがそれでも純愛物としてかなり良質。しかしながら並行世界の扱いが少し雑だったりとあくまで寝取られをベースにした純愛物を目指した実験作といった印象。Remember that I love you.
おんぼろ月氏はもう寝取られ物を書かないということで非常に残念ですね…。良質な寝取られ物語を定期的に提供してくださっていたのでかなり重宝していました。
9. アステリズム -Astraythem- [Chuablesoft]
震災の影響で一時期は開発も危ぶまれましたがそれを乗り越えて無事発売された本作。被災地に住む者として本作には感慨深いものがあります。最近は妹ブームですが貴重な姉ゲーとして素晴らしい作品でした。
名月お姉ちゃんの声優は安玖深音さんの生き別れの妹が演じていらっしゃるということで『雪影』を少し思い出したりもしました。あちらも良い姉ゲーです。
サブヒロインのエンドにももっと力を入れていたら更に良い作品になったと思います。九厘アフターが大変気になるので是非ともFDも制作して欲しいところ。
あとは次に紹介するatledにも言えますが舞台設定が自分の住んでいる場所なので背景を見てニヤリとできたのが個人的に嬉しかったです。
分かる人には分かる。
10. -atled- everlasting song [FLAT]
同人版の完全リメイク作品。同人版は未プレイですが本作の一章部分を収録したものみたいですね。一章の時点で作品として完成されており以降の章の存在に関しては賛否両論ですが自分はどの章も出来が良く、必要不可欠だと思います。
ありがちな「家族」「絆」というテーマを描いた中ではかなり好きな作品です。あおば、麻智、逢留の3人の関係は非常に理想的。ボーカル曲もどれも良曲揃い。個人的には「to me…」がお気に入り。しかし視点が何度も切り替わるので状況の把握が分かり難いところとHシーンの挿入にやや難あり。
これはアステリズムにも言えることですがタイムリープ物は時間軸をプレイヤーに上手く把握させるのが難しいですね。
11. 3M -Marionettes manipulate the marionette- #defie
[はいぺりよん]
インパクトのあるパッケージ絵からグロ重視の作品だと思うでしょう。しかし決してグロ一辺倒というわけではなく幸福な日常から一気に絶望へと切り替わる落差のあるシナリオにも引き込まれます。
グロはもちろんスカトロやリョナといった一般受けしない要素も含んでくるので人に薦めづらいのが残念です…。耐性がある人には是非プレイして欲しいです。続編の#includeも今から待ち遠しい。
公式ジャンルは「18禁美少女絶体絶命阿鼻叫喚学園ラブコメサイコホラーAVG」
パッケージだけではなくこちらも非常にインパクトがありますね…
12. ガンナイトガール [CandySoft]
2012年最後に登場した大作。ボリュームたっぷりでやりごたえがありました。
戦闘シーンに時折ムービーを入れたりと演出面でもかなり頑張っています。本作は主人公に対してどんな印象を抱くかで評価が大きく分かれそうです。ヒロインがみな軍人ということの対比として主人公は一般人代表。そこでのやり取りで物語が進むので主人公の態度にもどかしさを感じるのはある意味必然なのですがやっぱりもっと主人公して欲しいという思いもありました。
それでも徐々に謎が明かされていくストーリ構成も上手く、高水準な作品であることは間違いありません。
13. イントルーダー ~侵入者~ [material]
凌辱ゲーの皮を被った○ゲー。内容に関しては何を言ってもかなりのネタバレになるので詳しくは言えないのですが単なる凌辱ゲーではないということだけ。
この作品は告知の仕方が非常にもったいないなと。公式サイト見ただけではまず分からないのですがシナリオがほんと良い話なんですよ…。意図的に隠していることは理解できるしそこが自分も好印象だったんですが人目に付くことなく埋もれてしまった感じです。またスカトロ描写が結構ありますがあっさり終わるので苦手な人でも問題なく楽しめると思います。
それにしてもシナリオを担当した卑影ムラサキ氏は『NOISE』『BALDR SKY』といい記憶喪失トリックが好きですね。また企画屋の中で唯一エロを重視した話を手掛けることが出来る人だと思います。
14. 1/2 summer [ALcot Honey Comb]
ALcotハニカムには奇数偶数の呪いというものがありますが本作は自分の中ではその呪いを打ち破ってくれた作品でした。攻略ヒロイン全員が可愛いと思えるキャラ萌えゲーはそれだけでかなり貴重です。シナリオのほうもそこまで悪くなかったと思うのですが…。
声優陣も桐谷華さんや杏子御津さんといった今人気の方で固めており隙がありません。あとは妹の一葉が攻略できれば言う事なしでした。妹キャラがいるのに攻略できないっておかしいですよね…。
仰る通りです。
15. Re:birth colony -Lost azurite- [あっぷりけ]
アーコロジーシリーズの二作目。前作『フェイクアズール・アーコロジー』では演出の弱さを指摘する声が多く聞かれたが今作ではそれを見事に改善しています。TIPS、アズライトの3分間クッキングなど作品内容の補足も充実しており、前作をプレイしているとニヤリとできる場面があるのも嬉しい配慮。
前作同様に閉鎖空間という設定から「外」へと手を伸ばすシナリオは見ていて清々しいものがあります。あとはこのシリーズはエロのシチュエーションにこだわりがあるのも好感が持てます。浅海朝美さんが描くキャラの表情はかなりエロいですし何と言っても今回アズライトには○○プレイがありますしね。完全に不意打ちだったので物凄く興奮しました…。
最近のエロゲ業界ではあまり見ないジャンルであるSF物を提供するこのシリーズは長く続いて欲しいです。
16. 乙女が紡ぐ恋のキャンバス [ensemble]
女子寮潜入タイプの女装ゲー。発売前にライターのいざこざで少し話題になりました。実際にプレイしてみると確かに各ルートでの設定の整合性やキャラの動かし方を見るに単独ライターではなさそうです。
それでもそういった作品外でのいざこざが気にならないぐらい楽しんでプレイできました。共通ルートを殆ど設けず、大部分が個別ルートの作りは話の幅を出しており最後まで飽きがこなかった。
何より主人公の瑞樹が可愛いですね。桐谷華さんの演技もがっちりはまっています。どうでもいいことですが批評空間で数えてみたところ去年桐谷華さんが出演していた作品は全部で11本プレイしていました。今年も桐谷華さんが出演している作品は優先的にプレイしていきたいです。
FDのほうは不安が的中してうーん…という感じ。
17. この大空に、翼をひろげて [PULLTOP]
2012年度萌えゲーアワード大賞受賞作。それに相応しい素晴らしい作品でした。そして自分のPULLTOP初作品。かのしのは途中放棄してます…
演出、音楽、グラフィック、システム全てが高水準。加えてヒロインだけではなくサブキャラもみな魅力的。欠点らしい欠点が見当たらない作品です。
体験版がかなり先が気になる場面で終わっており、体験版をやって買わない選択肢は存在しませんでした。加えて体験版倒れということもなくどのルートも安定して楽しめます。各ルートにもう一つ体験版の終わりの場面に匹敵する大きな山場があったら間違いなく名作の仲間入りを果たしたことでしょう。
本作のような学生時代ならではの青春さを感じさせる正統派学園物って案外少ないと思います。『夏ノ雨』といいこういう王道青春物語を真正面から描けるのは紺野アスタ氏の強みなのかな。学園物は毎年多く発売されておりどれも似たり寄ったりというか停滞気味のジャンルですが、本作にはその中でも他にはない強い魅力があり、それが多くのユーザーに受け入れられたのだと思います。
ソアリング部という一般的に馴染みのない部活を取り上げることでプレイヤーを引き込ませ、登場人物と同じく「青春」を疑似体験させていました。
今月発売されるFDも期待大。早くほたるや佳奈子さんとイチャラブしたい…。
18. 終わる世界とバースデイ [コットンソフト]
単なる終末思想ものかと思ったらまさかの展開。シナリオの吸引力が強い作品でした。序盤の掴みは良く中盤はやや勢いが落ちるが特に気になるものではなく、終盤は衝撃の事実が明かされ加速度的に面白くなる。ただBADENDが思いのほかあっさり終わってしまったのが残念。
担当ライターの数が5名と多いことで個人的にそこをちょっと不安視していたのですが全く気になりませんでした。ルートによる主だった差がなくここまで質の高い作品を完成させたのはかなり凄いことだと思います。
一番最初の自分の誕生日を入力するのはこれまでにない仕掛け。似たような仕掛けだと『甘えむっ』の自分の名前を入力するものとかかな。この誕生日の存在が物語の鍵で非常に良いところで活きますね。ラストは完全なハッピーエンドというわけではありませんが凄い綺麗で本作にはあれ以上の終わり方はないと思います。ED曲も反則レベルで完全に泣かせにかかってます。
HAPPY BARTHDAY 。・゚・(ノД`)・゚・。
19. 古色迷宮輪舞曲 ~HISTOIRE DE DESTIN~ [Yatagarasu(八咫鴉)]
2012年最大のダークホース。以前のノベルゲームの「ゲーム性」の記事でも少し触れましたが近年の萌えブームで選択肢も極力楽な方向に動いている中で、原点回帰とも取れる本作のような独特なシステムを擁してユーザーを試す作品を生み出したのはノベルゲーム業界にとって非常に大きいことだと思います。
グラフィックやシステムの完成度に粗はありますがそれを踏まえても自分は製作者に対して本作を生み出したその心意気を評価したいですね。Yatagarasuの作品はこれが初めてでしたが今後応援していきたいと思いました。
システムだけではなくシナリオもプレイヤーを試す内容になっています。作中に何度も登場し、免罪符とも取れる「クオリア」というワードをどう解釈するのか、それによって評価が変わってくるのではないでしょうか。またプレイヤーを作品の外にいる観測者とはっきり自覚させ、そこから登場人物との距離を近づけるメタなシナリオ展開もかなり自分好みでした。
発売後批評空間のほうで興味深いレビューが数多く投稿されたりそこで白熱した議論が交わされ、それを見ているとエロゲもまだまだ捨てたもんじゃないなと思いました。好評によりコンシューマ化も決定しまだまだ見逃せない作品です。
20. 幼馴染と十年、夏 [夜のひつじ]
繊細な心理描写で描かれた幼馴染物。こんな幼馴染がいたら僕はもう…!
H11年、H14年、H16年の3章から成り、それぞれの時期の悩みや幼馴染(恋人)という関係を情景豊かに描く。自分にも枝梨ちゃんみたいな幼馴染がいたら…と考えずにはいられない作品。主人公との距離感が絶妙なんですよね。初めから主人公に恋愛感情を抱いている幼馴染キャラとはまた違った良さがあります。
寝取られゲーはまだしも本作のように一人のヒロインとの関係を描いた作品って同人ならではだと思います。こういう恋愛物語といえる系統の作品はもっとプレイしていきたいです。オススメとかあったら教えて下さい。
本編のその先、章ごとの空白の期間でのエピソードなどまだまだ話の種はあるし見てみたいので是非とも外伝的な作品を出して欲しいところです。欲を言えば枝梨ちゃんが寝取られるイフストーリーとかも…。
それはともかく良質な幼馴染物、恋愛物語を楽しみたいという人には自信を持ってオススメする作品です。
こんな感じで去年の作品から20本選んでみました。ざっと見返してみるとバランスの取れた良いラインナップになっているのではないかと思います。コメントは当たり障りの無い内容に留めましたが20本もやると結構な長さになりますね…。
加えて書いてるうちに段々と筆が乗って一本あたりが長くなってしまいました。
今回は選考外ですが他にプレイした作品で去年話題になったのといえば『はつゆきさくら』『月に寄りそう乙女の作法』『いろとりどりのヒカリ』『辻堂さんの純愛ロード』あたりでしょうか。
また『中の人などいない!』『巨乳ファンタジー2』『ピュアガール』なども今回は入れてませんが面白かったです。
同人は気になる作品はまだ未プレイのものが多いのですが中でも『戦国の黒百合』『エリスとアルテミス』『trade▼off』あたりは特に面白そうなので早く崩したいところです。
このブログが来年も存続していたら2013年作品の選考も是非やりたいですね。他にも2012年の作品で面白い作品があったらTwitterなりコメントなりで教えてくれると嬉しいです。
今回はこれでおしまい。それではまた。
一般部門としたのは抜きゲは別に分けてやろうと思ったからです。こちらも近いうちに記事にします。ほんとは同人部門も作りたかったのですが同人はまだ積んでる作品が結構あるので一纏めにしました。
不作と言われている2012年ですが僕個人としてはそんなことはないかなという印象です。確かに小粒という印象は否めませんが面白い作品はたくさんあったので不作という感じはしませんでした。というか2011年が凄すぎましたね…。
あとランキングではないので順番は特に意味はありません。非18禁作品も今回は選考外。それでは前置きはこれぐらいにして早速初めます。
1. 屋上の百合霊さん [Liar Soft]
爽やかな百合物語。百合は個人的に敬遠してきたジャンルなのですが本作がその認識を変えてくれました。登場人物それぞれの「恋」という感情が凄いストレートに伝わるのは書き手の上手さもありますがやっぱり思春期の女の子同士の恋ならではだと思います。カレンダー形式というのも彼女たちの恋を追体験している感じが味わえたので良かったと思います。好きなキャラはもちろん主人公の結奈。
2. VenusBlood -FRONTIER- [DualTail]
エロいし何度も遊べるこれぞエロゲーという感じの作品。VBシリーズはこれが初めてでしたがかなり楽しめました。難易度も程良く何より師団編成が奥深くてやりがいがあります。触手と悪堕ち好きの人にもオススメできる作品。リグレットの悪堕ちは最高ですよ…。これを機に過去作も是非プレイしたいところ。
VBAは積んでるのでまずはこれからやろうかな。
3. 波間の国のファウスト [bitterdrop]
経済を題材にした作品。経済要素がストーリに深く関わってくる作品はこれが初めてでした。とはいえニュースや新聞で目にする程度の専門用語しか出てこないのでそこまで肩肘張らなくても楽しめると思います。目新しいテーマに惹かれて興味深くプレイできましたが選択肢無し、エロの扱いなどエロゲとしての評価が難しい点もありました。惜しいという表現が一番しっくりくるかも。
4. はるまでくるる [すみっこソフト]
女性主導ハーレムとSFシナリオの融合。Hシーンラッシュの前半とは打って変わって後半は読ませる疾走感のあるシナリオ。主人公の扱い方含め意欲的な点が数多く見られました。ハーレムという関係の一つの完成形を提示した作品とも言っていいでしょう。売上本数を聞いてあまりの少なさにびっくりしたので次回作『なつくもゆるる』はもっと売れて欲しいところです。関係ないけどindigoもやらなきゃな…
Spring has come!
5. J.Q.V 人類救済部 ~With love from isotope~ [StudioBeast]
終末セカイ系。最近下火なジャンルですが個人的にはもっと見たい題材です。既に金字塔的作品があるので似たような作品になりがちという難しさもありますが…。そしてこれは本作にも言えることですね。
作品としての粗は確かにありますがそれを気にさせない勢い・力強さはまさに同人ならではといった感じでした。独特の世界観から人の繋がりを描きラストも綺麗に締めています。BGMも良曲揃いでコスパも申し分無し。
世界で一番小さいもの、それは…
6. ChuSinGura46+1 -忠臣蔵46+1- 百花魁編 [れいんどっぐ]
ChuSinGura46+1シリーズの3作目。今作は大石主税がメインヒロイン。今までで一番エロゲーしてた章だと思います。またこれまでのメインヒロインだった大石内蔵助、堀部安兵衛といった完成された個ではない、子供の主税が軸にいるのでそこでの「成長」というのも一つの大きなテーマになっていたかなと。
話の展開はある程度予想通りだったので前二作ほどの驚きはありませんでしたが最後の衝撃の展開からのアレは完全にやられました。自分の願望が映像化したんじゃないかと錯覚しましたよ…。心憎い演出です。
とある場面で新八とエッチできなかったのはプレイしたユーザー誰もが何かの間違いなんじゃないかと思ったところでしょう。商業版では何とか新八ルートを…。
7. ウィッチズガーデン [ういんどみるOasis]
巷で話題のE-moteを擁した作品。E-moteに関しては色々と思うところはありますが凄い技術には変わりありません。ヒロインが持つ「可愛さ」をこれまでにない方法で表現することに成功しています。
E-moteばかりが取り上げられがちですが音楽、グラフィック、キャラクターなどを通した一つの世界観の形成が非常に整っている作品だなと感じました。
8. Remember 最愛の妻が他の男の腕の中で微笑む、もう一つのIF
[アトリエさくら]
寝取られゲー専門ブランドから出たまさかの純愛ゲー。厳密な寝取られ物を期待していた人には残念な作品だったでしょうがそれでも純愛物としてかなり良質。しかしながら並行世界の扱いが少し雑だったりとあくまで寝取られをベースにした純愛物を目指した実験作といった印象。Remember that I love you.
おんぼろ月氏はもう寝取られ物を書かないということで非常に残念ですね…。良質な寝取られ物語を定期的に提供してくださっていたのでかなり重宝していました。
9. アステリズム -Astraythem- [Chuablesoft]
震災の影響で一時期は開発も危ぶまれましたがそれを乗り越えて無事発売された本作。被災地に住む者として本作には感慨深いものがあります。最近は妹ブームですが貴重な姉ゲーとして素晴らしい作品でした。
名月お姉ちゃんの声優は安玖深音さんの生き別れの妹が演じていらっしゃるということで『雪影』を少し思い出したりもしました。あちらも良い姉ゲーです。
サブヒロインのエンドにももっと力を入れていたら更に良い作品になったと思います。九厘アフターが大変気になるので是非ともFDも制作して欲しいところ。
あとは次に紹介するatledにも言えますが舞台設定が自分の住んでいる場所なので背景を見てニヤリとできたのが個人的に嬉しかったです。
分かる人には分かる。
10. -atled- everlasting song [FLAT]
同人版の完全リメイク作品。同人版は未プレイですが本作の一章部分を収録したものみたいですね。一章の時点で作品として完成されており以降の章の存在に関しては賛否両論ですが自分はどの章も出来が良く、必要不可欠だと思います。
ありがちな「家族」「絆」というテーマを描いた中ではかなり好きな作品です。あおば、麻智、逢留の3人の関係は非常に理想的。ボーカル曲もどれも良曲揃い。個人的には「to me…」がお気に入り。しかし視点が何度も切り替わるので状況の把握が分かり難いところとHシーンの挿入にやや難あり。
これはアステリズムにも言えることですがタイムリープ物は時間軸をプレイヤーに上手く把握させるのが難しいですね。
11. 3M -Marionettes manipulate the marionette- #defie
[はいぺりよん]
インパクトのあるパッケージ絵からグロ重視の作品だと思うでしょう。しかし決してグロ一辺倒というわけではなく幸福な日常から一気に絶望へと切り替わる落差のあるシナリオにも引き込まれます。
グロはもちろんスカトロやリョナといった一般受けしない要素も含んでくるので人に薦めづらいのが残念です…。耐性がある人には是非プレイして欲しいです。続編の#includeも今から待ち遠しい。
公式ジャンルは「18禁美少女絶体絶命阿鼻叫喚学園ラブコメサイコホラーAVG」
パッケージだけではなくこちらも非常にインパクトがありますね…
12. ガンナイトガール [CandySoft]
2012年最後に登場した大作。ボリュームたっぷりでやりごたえがありました。
戦闘シーンに時折ムービーを入れたりと演出面でもかなり頑張っています。本作は主人公に対してどんな印象を抱くかで評価が大きく分かれそうです。ヒロインがみな軍人ということの対比として主人公は一般人代表。そこでのやり取りで物語が進むので主人公の態度にもどかしさを感じるのはある意味必然なのですがやっぱりもっと主人公して欲しいという思いもありました。
それでも徐々に謎が明かされていくストーリ構成も上手く、高水準な作品であることは間違いありません。
13. イントルーダー ~侵入者~ [material]
凌辱ゲーの皮を被った○ゲー。内容に関しては何を言ってもかなりのネタバレになるので詳しくは言えないのですが単なる凌辱ゲーではないということだけ。
この作品は告知の仕方が非常にもったいないなと。公式サイト見ただけではまず分からないのですがシナリオがほんと良い話なんですよ…。意図的に隠していることは理解できるしそこが自分も好印象だったんですが人目に付くことなく埋もれてしまった感じです。またスカトロ描写が結構ありますがあっさり終わるので苦手な人でも問題なく楽しめると思います。
それにしてもシナリオを担当した卑影ムラサキ氏は『NOISE』『BALDR SKY』といい記憶喪失トリックが好きですね。また企画屋の中で唯一エロを重視した話を手掛けることが出来る人だと思います。
14. 1/2 summer [ALcot Honey Comb]
ALcotハニカムには奇数偶数の呪いというものがありますが本作は自分の中ではその呪いを打ち破ってくれた作品でした。攻略ヒロイン全員が可愛いと思えるキャラ萌えゲーはそれだけでかなり貴重です。シナリオのほうもそこまで悪くなかったと思うのですが…。
声優陣も桐谷華さんや杏子御津さんといった今人気の方で固めており隙がありません。あとは妹の一葉が攻略できれば言う事なしでした。妹キャラがいるのに攻略できないっておかしいですよね…。
仰る通りです。
15. Re:birth colony -Lost azurite- [あっぷりけ]
アーコロジーシリーズの二作目。前作『フェイクアズール・アーコロジー』では演出の弱さを指摘する声が多く聞かれたが今作ではそれを見事に改善しています。TIPS、アズライトの3分間クッキングなど作品内容の補足も充実しており、前作をプレイしているとニヤリとできる場面があるのも嬉しい配慮。
前作同様に閉鎖空間という設定から「外」へと手を伸ばすシナリオは見ていて清々しいものがあります。あとはこのシリーズはエロのシチュエーションにこだわりがあるのも好感が持てます。浅海朝美さんが描くキャラの表情はかなりエロいですし何と言っても今回アズライトには○○プレイがありますしね。完全に不意打ちだったので物凄く興奮しました…。
最近のエロゲ業界ではあまり見ないジャンルであるSF物を提供するこのシリーズは長く続いて欲しいです。
16. 乙女が紡ぐ恋のキャンバス [ensemble]
女子寮潜入タイプの女装ゲー。発売前にライターのいざこざで少し話題になりました。実際にプレイしてみると確かに各ルートでの設定の整合性やキャラの動かし方を見るに単独ライターではなさそうです。
それでもそういった作品外でのいざこざが気にならないぐらい楽しんでプレイできました。共通ルートを殆ど設けず、大部分が個別ルートの作りは話の幅を出しており最後まで飽きがこなかった。
何より主人公の瑞樹が可愛いですね。桐谷華さんの演技もがっちりはまっています。どうでもいいことですが批評空間で数えてみたところ去年桐谷華さんが出演していた作品は全部で11本プレイしていました。今年も桐谷華さんが出演している作品は優先的にプレイしていきたいです。
FDのほうは不安が的中してうーん…という感じ。
17. この大空に、翼をひろげて [PULLTOP]
2012年度萌えゲーアワード大賞受賞作。それに相応しい素晴らしい作品でした。そして自分のPULLTOP初作品。
演出、音楽、グラフィック、システム全てが高水準。加えてヒロインだけではなくサブキャラもみな魅力的。欠点らしい欠点が見当たらない作品です。
体験版がかなり先が気になる場面で終わっており、体験版をやって買わない選択肢は存在しませんでした。加えて体験版倒れということもなくどのルートも安定して楽しめます。各ルートにもう一つ体験版の終わりの場面に匹敵する大きな山場があったら間違いなく名作の仲間入りを果たしたことでしょう。
本作のような学生時代ならではの青春さを感じさせる正統派学園物って案外少ないと思います。『夏ノ雨』といいこういう王道青春物語を真正面から描けるのは紺野アスタ氏の強みなのかな。学園物は毎年多く発売されておりどれも似たり寄ったりというか停滞気味のジャンルですが、本作にはその中でも他にはない強い魅力があり、それが多くのユーザーに受け入れられたのだと思います。
ソアリング部という一般的に馴染みのない部活を取り上げることでプレイヤーを引き込ませ、登場人物と同じく「青春」を疑似体験させていました。
今月発売されるFDも期待大。早くほたるや佳奈子さんとイチャラブしたい…。
18. 終わる世界とバースデイ [コットンソフト]
単なる終末思想ものかと思ったらまさかの展開。シナリオの吸引力が強い作品でした。序盤の掴みは良く中盤はやや勢いが落ちるが特に気になるものではなく、終盤は衝撃の事実が明かされ加速度的に面白くなる。ただBADENDが思いのほかあっさり終わってしまったのが残念。
担当ライターの数が5名と多いことで個人的にそこをちょっと不安視していたのですが全く気になりませんでした。ルートによる主だった差がなくここまで質の高い作品を完成させたのはかなり凄いことだと思います。
一番最初の自分の誕生日を入力するのはこれまでにない仕掛け。似たような仕掛けだと『甘えむっ』の自分の名前を入力するものとかかな。この誕生日の存在が物語の鍵で非常に良いところで活きますね。ラストは完全なハッピーエンドというわけではありませんが凄い綺麗で本作にはあれ以上の終わり方はないと思います。ED曲も反則レベルで完全に泣かせにかかってます。
HAPPY BARTHDAY 。・゚・(ノД`)・゚・。
19. 古色迷宮輪舞曲 ~HISTOIRE DE DESTIN~ [Yatagarasu(八咫鴉)]
2012年最大のダークホース。以前のノベルゲームの「ゲーム性」の記事でも少し触れましたが近年の萌えブームで選択肢も極力楽な方向に動いている中で、原点回帰とも取れる本作のような独特なシステムを擁してユーザーを試す作品を生み出したのはノベルゲーム業界にとって非常に大きいことだと思います。
グラフィックやシステムの完成度に粗はありますがそれを踏まえても自分は製作者に対して本作を生み出したその心意気を評価したいですね。Yatagarasuの作品はこれが初めてでしたが今後応援していきたいと思いました。
システムだけではなくシナリオもプレイヤーを試す内容になっています。作中に何度も登場し、免罪符とも取れる「クオリア」というワードをどう解釈するのか、それによって評価が変わってくるのではないでしょうか。またプレイヤーを作品の外にいる観測者とはっきり自覚させ、そこから登場人物との距離を近づけるメタなシナリオ展開もかなり自分好みでした。
発売後批評空間のほうで興味深いレビューが数多く投稿されたりそこで白熱した議論が交わされ、それを見ているとエロゲもまだまだ捨てたもんじゃないなと思いました。好評によりコンシューマ化も決定しまだまだ見逃せない作品です。
20. 幼馴染と十年、夏 [夜のひつじ]
繊細な心理描写で描かれた幼馴染物。こんな幼馴染がいたら僕はもう…!
H11年、H14年、H16年の3章から成り、それぞれの時期の悩みや幼馴染(恋人)という関係を情景豊かに描く。自分にも枝梨ちゃんみたいな幼馴染がいたら…と考えずにはいられない作品。主人公との距離感が絶妙なんですよね。初めから主人公に恋愛感情を抱いている幼馴染キャラとはまた違った良さがあります。
寝取られゲーはまだしも本作のように一人のヒロインとの関係を描いた作品って同人ならではだと思います。こういう恋愛物語といえる系統の作品はもっとプレイしていきたいです。オススメとかあったら教えて下さい。
本編のその先、章ごとの空白の期間でのエピソードなどまだまだ話の種はあるし見てみたいので是非とも外伝的な作品を出して欲しいところです。
それはともかく良質な幼馴染物、恋愛物語を楽しみたいという人には自信を持ってオススメする作品です。
こんな感じで去年の作品から20本選んでみました。ざっと見返してみるとバランスの取れた良いラインナップになっているのではないかと思います。コメントは当たり障りの無い内容に留めましたが20本もやると結構な長さになりますね…。
加えて書いてるうちに段々と筆が乗って一本あたりが長くなってしまいました。
今回は選考外ですが他にプレイした作品で去年話題になったのといえば『はつゆきさくら』『月に寄りそう乙女の作法』『いろとりどりのヒカリ』『辻堂さんの純愛ロード』あたりでしょうか。
また『中の人などいない!』『巨乳ファンタジー2』『ピュアガール』なども今回は入れてませんが面白かったです。
同人は気になる作品はまだ未プレイのものが多いのですが中でも『戦国の黒百合』『エリスとアルテミス』『trade▼off』あたりは特に面白そうなので早く崩したいところです。
このブログが来年も存続していたら2013年作品の選考も是非やりたいですね。他にも2012年の作品で面白い作品があったらTwitterなりコメントなりで教えてくれると嬉しいです。
今回はこれでおしまい。それではまた。