SMAコネクタの正しい実装方法
私はMolexのこのSMAコネクタをよく使います。
18GHzまで使えるコネクタではあるらしいのですが、どうしても数GHzで特性が落ちてきている気がするのです。
その原因が、4本のピンで基板を挟み込む部分の基板パターンや、信号線の部分の基板パターンである気がしてきたので、電磁界シミュレータを使って解析してみました。
上のコネクタの特徴としては、4本のピンで基板を挟み込むというところにあります。
実物のコネクタの寸法とは違いますが、基板の厚さを0.3mmのFR-4として、4本のGNDで基板を挟み込んで、芯線を受けるマイクロストリップラインを同じくらいの太さにしてみました。
すると、
おわかりいただけたでしょうか。
コネクタのパネル部分と基板のGNDの間にある空隙のおかげで、横にひろがっていく電磁界が生じてしまっています。定在波が発生してしまいます。
次に、芯線を受けるパターンを太くして、MSLよりもずっと太くします。そのかわり、コネクタを受ける部分の基板の厚さを1.57mmとし内層を抜いて芯線からGNDまでの距離を長くします。そして、GNDの部分にはViaを打って内層とつなぎます。
それでも、コネクタのパネルとGNDの間には電界が誘起されるようなのですが、
このとおり、17GHzくらいまでフラットな特性が実現できました。
つまり、GNDのピンで基板を挟み込むタイプのコネクタは、GNDと芯線の距離が長くなるから、その部分でインピーダンスミスマッチが発生してしまいます。それを防ぐには、コネクタの芯線を基板で受ける部分のパターンを太くして、内層を抜いて厚さ1.57mmのMSLとするということです。
この問題が起きるそもそもの原因は、基板のリファレンスとなるGNDとコネクタのGNDの間がべたっと接続できないことにあります。
そこで、基板の内層のGNDを露出させて伸ばしてコネクタに突き刺さる形のデザインにしてみたところ、
パネル部分での定在波はさらに少なくなりました。
シミュレーションでは、0~20GHzの領域で減衰は2dB以下となりました。
やはり、基板のGNDとコネクタパネルのGNDの間に間隙が生じてしまうことが原因といえるでしょう。
したがって、下の写真のような全面GNDと接続できるようなコネクタを使って、銅箔テープや半田盛り盛りで接続すれば、よりマッチングが取れると思われます。
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