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2020.07.16

複数のOPアンプにオフセットを与える回路

マルチチャネルなオフセット付きアンプを設計しています。

0V~2Vの振幅の信号を-1V~1Vにレベルシフトする回路なのですが、オペアンプの+側入力にDC1Vのオフセットを与えるというものです。

単純に書けば下の図のような回路になります。

Op_shift

(この回路は出力にもオフセットが乗ってしまうので結局のところオフセットは除去されないのですが、話を単純化するためにこのまま進めます。)

これをマルチチャネルにしたい場合、OPアンプの+側に基準電源を共通につなぐことになりますが、お互いのチャネルで干渉しないでしょうか?

Op_shift2_20200716153301

結論を言うと、干渉します。

なぜならば、OPアンプの+入力とー入力間のインピーダンスは意外と低いからです。

OPアンプの入力インピーダンスが極めて高いというのはGNDに対してであって、現実のOPアンプでは+入力とー入力の間はつつぬけなのです。

下の表はOPA211のものですが20kΩしかありません。

Op_shift3

+入力を固定しているつもりでも、-入力から回り込んだ電圧によってわずかに揺さぶられ、それがもうひとつの回路に伝わります。

入力抵抗を調整すれば減らすことはできますが、-50dBくらいまで回り込んできます。

Op_shift4

基準電圧源を別のOPアンプなどで作っている場合、電圧源のインピーダンスは0にはならないので、出力から-入力に回り込んだものが+入力に回り込み、それがもう片方のチャネルに乗ります。

実際の回路は完全差動アンプを使って作ることになりますが、オフセット電圧源を共通のOPアンプから取ってしまうと、

Op_shift9_20200716154101

下の図のように激しく漏れてしまいます。

Op_shift7

別々のOPアンプから取るようにすると、

Op_shift5

当然ながら全く漏れません。

Op_shift6

完全差動アンプの場合、+入力もー入力も帰還がかかっているので、さらに激しく漏れてしまいます。

 

結論を言えば、オフセットを与える回路はチャネルごとに分離しなければ、互いに信号が漏れてしまいます。

オフセットを与えるOPアンプは安物ではだめで、ノイズ特性は効いてくるし、周波数特性が低いと広域のゲインが下がってしまうのです。コストは高くなりますが、仕方がないですね。

 

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2020.07.15

Trenz社のTEI0009-02-055-8CAを入荷しました

TrenzElectronic社のTEI0009-02-055-8CAを入荷しました!!

https://www.trenz.jp/product/TEI0009-02-055-8CA

TEI0009は、IntelのCyclone10を搭載した評価ボードで10CL055YU484C8Gを搭載しています。

Tei0009020558ca_2

特徴としては、

  • Arduino互換のピンヘッダー
  • 6個のPmod互換ピンヘッダー
  • 1個のGroveコネクタ
  • VGA用のD-SUBコネクタ
  • 256 MBit SDRAM
  • 128 MBit ユーザーQSPIフラッシュメモリ
  • 64 MBit HyperRAM
  • 2個のイーサネットPHY(10/100 MBit/s)
  • 内蔵リファレンスを備えた8チャネル、12ビット ADC/DAC

を備えたボードです。

気になるJTAGは、ArrowのUSB Blaster互換のものが搭載されていると推測されます。そのため、Qualtusからそのまま書き込みができるはずです。

製品箱の内容物はこんな感じです。

Tei0009_1

お客様からのリクエストで取り寄せた際に、せっかくなので1個多めに入荷しています。

1個なら即納可能です。

ご興味おありの方はぜひともご購入ください。

https://www.trenz.jp/product/TEI0009-02-055-8CA

数がまとまれば再び入荷します。数がまとまらなくても適宜入荷しますので、Intel FPGA好きの方はぜひどうぞ!

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2020.07.14

Cosmo-Z Miniのソースを公開しました

お待たせいたしました。

Cosmo-Z MiniのFPGAのソースコードを公開します。

再ビルドを行うにはVivado 2018.3を使います。異なるバージョンのVivadoの場合はご相談ください。

まず、下記のページからソースコードをダウンロードします。

https://www.tokudenkairo.co.jp/login2/download.php

Downloadable

https://www.tokudenkairo.co.jp/login2/getfile.php?target=CosmozFPGA2019

Cosmo-Z Miniのソースコードがダウンロード可能にならない場合は、ライセンスページからライセンス番号を登録します。

ダウンロードすると下の図のようなフォルダが現れます。

Cosmo-Z/Cosmo-Z MiniのソースコードにはVivadoのプロジェクトは含まれていません。Vivadoプロジェクトはサイズが大きくなるので、最小限のテキストファイルとプロジェクトを生成するためのTclが入っています。

Cszm_src1

これを利用してプロジェクトを再生成するには専用のTCLスクリプトを使います。

このフォルダの中にあるSETTINGS.CMDをメモ帳か何かテキストエディタで開きます。

@SET VIVADO_PATH=D:\Xilinx\Vivado\
@SET VIVADO_VERSION=2018.3

1行目はVivadoをインストールしたパス、2行目はVivadoのバージョンです。

そうしたらopen_project_gui.cmdを実行します。

すると、ソースからプロジェクトが作られ、ブロックデザインが再現されるというしくみになっています。

Cszm_src2

ビルドする際にGenerate BitStreamをやってもいいのですが、TCLコンソールにNahiRunと入力してENTERを押したほうがいいでしょう。

NahiRunコマンドを使うと、コメントからのIPのパラメータ設定が反映されるほか、BitStreamファイルがvivadoプロジェクトの一つ上のフォルダにコピーされるので探しやすいでしょう。

最初の1回目のビルドはIPの生成を行うので時間がかかります。2回目からは早くなります。

ビルドが終了したらmkbootフォルダを開き、mkboot.binを実行します。

Cszm_src4

これでboot.binが出来上がります。

 

そうしたらCosmo-Z MiniとホストPC(Windows)をLANで接続し、エクスプローラで\\cszmini を開いてそこにboot.binをコピーします。

Cosmo-Z Miniにログインしたら、rootで

cp /home/share/boot.bin /mnt

と入力します。これで

 

 

 

 

 

 

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USBテストプログラムのDLLにVCランタイムが入っていなかったので修正しました

5月12日に公開したC#版、USBテストプログラムを更新しました。

あるお客様からDLLの読み込みでエラーが発生するとのご連絡をいただきましたが、調べていくと、DLLの中でvcruntime140.dll等を要求しており、それがDLLに含まれていなかったので、Visual Cのランタイムが入っていないPCで動作させると下の図のようなエラーが出てしまうようでした。

Usbddr_err

Visual C++でEXEやDLLにランタイムを埋め込むには、構成プロパティ→C/C++→コード生成の中のランタイムライブラリを「マルチスレッド(/MT)」にすればよいようです。

Vc_runtime_include

DLLのサイズは153kB→776kBに増えました。

C#のアプリケーションのほうは.NETで動いているので別途ランタイムDLLが必要ということは特になかったのですが、DLLのほうはC++で作っていたためDLLにランタイムを入れておかなければいけなかったようです。

 

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2020.07.12

JTAGチャレンジ基板を発売開始しました

大変お待たせいたしました。

JTAGチャレンジ基板を発売開始しました。

JTAGチャレンジ基板というのは、XILINXとALTERAのFPGA/CPLDがJTAGチェーンにつながっていて相互に接続されている評価ボードなのですが、回路設計者・基板設計者が陥りがちなミスが故意に仕込んであるため、出荷時の状態では正常に動作しないようになっています。

このハードウェアの設計ミスをJTAGツールを使って1つ1つ発見し、解決することにより、回路設計や基板設計スキルが身につくというボードです。

Jcha_20200714183801

この基板は2018年度のセキュリティ・キャンプ全国大会でのJTAGセミナーや、その後に2018年9月に弊社で行われたプライベート・セミナーで使用されたもので、その時の講演内容をベースに取扱説明書を作成しました。

コロナ禍により顔を合わせてのセミナーはしばらくは実施できそうにありませんが、この基板をご購入いただくことで、当時のテキスト等をベースにJTAGの実践的なテクニックが学べます。ご不明点は弊社までメールにてお問合せいただければ丁寧に解説します。

Jcha_contents

詳しいことは

http://www.tokudenkairo.co.jp/jtag/jcha.html

のページをご覧ください。

なお、計7台の在庫があったのですが先週に2台出荷したため、残りは5台となっています。

在庫がなくなったら新しいロットを製造しますが、弊社はシャッチョ一人体制で運営しているためマンパワーが慢性的に足りません。次の製造まで1か月以上かかると思います。

どうかお早めに。

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