Cosmo-Zのオープンソース化を検討
3年前、本郷のオフィスに引っ越したのは優秀な学生アルバイトを採用してCosmo-Zを開発を手伝ってもらおうと思っていたからなのですが、そのアイデアは失敗でした。
東大の学生さんは忙しいので、本当に週2、4時間ぴったりしか来ません。FPGAの開発というのは良くも悪くも成果がでるまで徹夜してでもやらなければならないもので、時間で切れる仕事ではありません。
週2・4時間とぴったり決めてしまうと、効率が悪いのです。
また、自分はCosmo-Zを一から作ってきたので気が付かなかったのですが、Cosmo-Zはすでに複雑になりすぎていて、「FPGAの勉強がしたい」という学生さんが「勉強できるバイト」として扱えるレベルをはるかに超えたものになっていたのです。
きつい思いをさせていたかもしれません。
ただ、Cosmo-Zを完全に理解した学生さんもいたことは事実です。
それなら、Cosmo-Zの開発ができるスキルを持った正社員を雇えばよいと考える人がいるかもしれませんが、それも不可能です。
Cosmo-Zの開発に必要なスキルは
- 計測器が作れる程度のFPGAスキル
- 高速アナログ・ディジタル回路に対する知識
- Vivadoに対する理解
- ZYNQに対する理解
- ZYNQ Linuxに対する理解
- Javascript、WebAPI、jQuery、CGI、HTML5、CSS3に対する理解
- 放射線、素粒子など物理学の知識
が必要であるからです。
こういう人材の年収は1000万円は超えるし、一人だけ採用してもすぐにやめてしまうので、同レベルの人を3人くらい雇って競わせたり協力させたりしなければいけません。普通の転職市場で人を探すとなると、周辺のサポートする人(330万円)も含めて6人くらいセットで雇わないといけない事案なのです。年間4000万円の余剰利益があって、はじめてCosmo-Zの開発を安定して回していけます。
そもそも、いくらお金を積んだとしても一般の求人ではFPGA+放射線という人材は集まらないでしょう。
本当にそれでCosmo-Zが年間1000台とか1万台とか売れるとしたら、このモデルでも回っていくのでしょうが、回り始めるまでに投資するお金が多くなりすぎてリスクが大きいのです。
まとめると、もはやCosmo-Zは複雑になりすぎていて、学生アルバイトはもちろん正社員であっても、普通の求人で集めた人で開発するのは不可能ということです。
しばらくは私一人で開発をするしかありませんが、それだと遅すぎます。
今考えているのは、Cosmo-Zをオープンソースにして、物理学の研究者でFPGAが使える世界中の人に協力してもらうことです。
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