ソフトバンク 3月決算 日本で儲け 海外で損/孫さん
ソフトバンクグループは5月10日、下記のとおり2016年3月期決算を発表した。懸案だった米Sprint事業は売上高が反転し、調整後EBITDAが大幅に改善するなど回復基調で、この2年間では4000億円業績改善したという。
国内通信事業も好調で、孫社長は「ソフトバンクは世界的な企業にこれからなっていく」と宣言した。
純利益は、前期比▲26.9%減だったが、これは中国アリババが上場したことによる一時益の影響で、それを除けば23%増だったという。
税引前利益に支払利息と減価償却費を加算した調整したEBITDAは、同19%増の2兆4388億6800万円と大幅に増加した。
売上高は為替影響でSprintが増加したほか、国内通信事業をはじめとして好調で、営業利益も主要事業がそれぞれ増加している。
(孫さんも齢を重ね、だんだん普通の人になってきているようだ)
ソフトバンクグループ3月決算 IFRS
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連結/百万円
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売上高
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営業利益
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営率
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経常利益
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株主利益
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13/3期
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3,378,365
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745,000
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22.1%
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653,214
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289,403
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14/3期
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6,666,651
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1,085,362
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16.3%
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932,367
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527,035
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15/3期
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8,504,135
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918,720
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10.8%
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1,213,035
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763,682
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16/3期
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9,153,549
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999,488
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10.9%
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1,005,764
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558,241
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16/15比
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7.6%
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8.8%
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-17.1%
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-26.9%
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17/3期予想
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未公表
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2013年7月
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Sprint Corporationを子会社化(米携帯電話事業)
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2013年10月
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Supercell Oyを子会社化(ゲーム会社)
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2014年1月
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Brightstar Corp.を子会社化(端末卸)
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2014年9月
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関係会社Alibaba NY上場
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ソフトバンクグループ3月決算 主要事業別内訳
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売上高
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営業利益
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/百万円
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前期比
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/百万円
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前期比
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国内通信事業
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3,144,650
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4.1%
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688,389
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7.5%
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ヤフー事業
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652,031
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52.6%
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222,787
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15.1%
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スプリント事業
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3,871,647
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1.9%
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61,485
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-8.0%
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流通事業
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1,420,416
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15.9%
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-1,284
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-
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合計
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9,088,744
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971,377
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<国内通信事業>
主力の国内通信事業の売上高は、通信ARPUが40円減の4150円となったものの、サービスARPUが50円増の540円となり総合ARPU増に寄与した。
端末販売台数は▲102万4000台減となる1066万2000台だったが、NTT東西の光卸を利用した「SoftBank 光」の提供が功を奏して契約数は増加した。
サービスARPUが増加している点については同社は、スポーツコンテンツとして「スポナビライブ」を紹介。プロ野球10球団の主催試合をスマートフォン向けに配信しており、差別化につながるサービスの提供で、さらなる収益拡大を目指す考えを示している。
設備投資額は減少。それにともなって、フリーキャッシュフローは4022億円まで拡大。同社は今後もコンスタントに4000億円規模が稼げる状況になったとしている。
<米スプリント事業>
「最大の問題」Sprint事業は、顧客ベースをプリペイドやタブレットユーザーではなく、利益の9割を稼ぐというポストペイドに集中したことで利益率が改善。孫社長自身が最高ネットワーク責任者として陣頭指揮を執ってネットワーク改善を継続したことで、米Nielsenの調査では全米で接続スピードが1位になったという。
ネットワークの改善によって解約率も低下。2016年1~3月にはポストペイドの純増数で米AT&T、Verizonの2社を初めて上回った。ただし、同期は純増幅が減少してT-Mobileの「ひとり勝ち」の状況となっている。
売上高は底を打って反転し、ユーザーから得られる収入も安定的になったことに加え、コスト削減も順調に進展。1年間で千数百億円の固定費が削減できたとしており、EBITDAが20億ドル規模で改善。営業利益は9期ぶりに黒字転換した。
Sprint事業は売上高が同1.9%増の3兆8716億4700万円、利益が同▲8.0%減の6148億5000万円。ただし、円安の影響もあり米ドルベースでは売上高が同▲6.8%減の321億8000万ドル、利益が同▲21.3%減の5億600万ドルだった。
日本でのサービス開始以来黒字が続くヤフー事業は、アスクル買収による売上増に加え、ディスプレイ広告が好調だった。検索連動型広告は、スマホのデフォルト検索エンジンの主流がGoogleということもあり減少傾向だが、スマホ向けにディスプレイ広告を工夫したことなどにより、広告効果が著しく上がって、単価が8倍になったとしている。その結果、ディスプレイ広告は同29%増になるなど好調となった。
ヤフーショッピング事業は、取扱高が同62%増の1128億円まで拡大し、初めて1000億円台を突破した。現時点では「先行投資」(同)のため利益としては▲マイナスだが、今後これが利益に貢献するとみており、ここから先は非常に楽しみとしている。さらに決済をはじめとした新サービスを立ち上げることで、さらなる事業拡大を図る。
不振の米Yahoo!を買収するとの観測に対して孫社長は「自らが買うとか、(買収)交渉するとか、少なくとも現時点ではない」と明言している。
<流通事業>
アルゼンチンの世界携帯端末大手のブライトスターやソフトバンクコマース&サービスなどの流通事業の利益は、主にブライトスター株式を再評価し、減損損失▲909億円を計上したことなどが影響したという。(理由はともあれ損している)
ソフトバンクグループの事業のもう一つの主力である投資事業については、インドなど新興市場の活況、モバイルとクラウドの組み合わせによる新ビジネス、AI、自動運転、VR、IoTといった新技術の登場で「絶好の投資機会」とみており、今後さらに投資を拡大していく意向を示している。
スプリントが1月26日発表していた2015年10─12月期決算は純損益が▲8億3600万ドルの赤字となり、赤字幅が前年同期の24億ドルから縮小していた。しかし、半額セールを実施して契約増をはかっており、今後ともこうした傾向が強まれば、米最大手のべライゾンなども同じ手法を取る可能性があるとも指摘されている。
以上、
日本で儲け、海外にバラ撒く損社長、海外でも利益の存社長担ってもらいたいものだ。
孫社長は日本の携帯電話事業に革命をもたらすとして参入したが、今や初心など忘れ果て、がっつり日本で儲かることばかり考えている。
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