世界供給量過大で四苦八苦ニューカレドニアのニッケル鉱山&中国経済の状況
独立行政法人石油天然ガス・金属資源機構は5月2日、大損失を伴うNew Caledoniaニッケルプロジェクトについて、コスト削減を続けているが、Valeの忍耐を超えていると警鐘を鳴らしている。New Caledoniaニッケルプロジェクトには住友や三井も参画している。
ニッケルの世界の消費量は約160万トン、生産量は約200万トンとされている。
ニッケルは、主にステンレス製造に用いられ、鍍金などにも利用される。
太平洋に浮かぶ仏領ニューカレドニアでは、グレンコアやヴァーレなどの鉱山会社がニッケルを生産すればするほど損失を出している。採算割れの状況にどの企業がより長く耐えることができるのか試される形になっている。
供給過剰が続くニッケルの価格は12年ぶりの安値に下落。世界の鉱山の3分の2以上で価格は生産コストを下回っている。
オーストラリア東岸沖約1000マイル(約1610キロメートル)に位置するニューカレドニアは最も深刻な影響を受けている。リーマン・ショック=金融危 機前にニッケルが過去最高値に達した当時、この島には多額の資金が投じられた。世界のニッケルの約15%が埋蔵されているこの島の現状は、供給削減に及び 腰の業界にとって一つの教訓となっている。
シティグループのアナリスト、デービッド・ウィルソン氏(ロンドン在勤)は「島全体がニッケルの塊だ。現在は安値となっているため、鉱山の生産が停止し始めている。ただ問題は、減産規模は十分なのか、それとも業界は一段の減産が必要なのかということだ。在庫水準を考えれば、さらなる減産が必要というのが答えだと思う」と語る。
米モルガン・スタンレーによれば、世界のニッケル生産能力200万トンのうち昨年停止されたのは僅か1万6000トンで、同行は世界の鉱山の70%が価格下落により損失を出していると推計している。
英スタンダードチャータードは、ニッケル生産の赤字が他のどの非鉄金属よりも大きいと指摘している。
金属価格は軒並み弱気相場入っており、大半の商品の価格は供給過剰により下落を続けている。(・・・ブルームバーグ1月時点の見解、最近は鉄鋼価格が急上昇するなどわけのわからない動きとなっている)
ロシアのノリリスク・ニッケルのパベル・フェドロフ第一副最高経営責任者(CEO)は今週、スイス・ダボスでのインタビューで、供給過剰が緩和されるためには世界のニッケル生産が最大30%削減される必要があるとの見方を示した。
ロンドン金属取引所(LME)のニッケル価格は、過去1年間に42%下落。昨年12月には1トン=8100ドルと、2003年以来の安値を付けた。
ニッケルは主にステンレス鋼の製造に利用される。07年5月には過去最高値の5万1800ドルに達していた。
ヴァーレによれば、同社がニューカレドニアで運営するゴロ鉱山は昨年の生産コストが1トン=2万ドル。調査会社ウッド・マッケンジーの推計では、ニューカレドニアにあるグレンコアのコニアンボ合弁事業の生産コストは3万3000ドル。コストの高さは、これらのプロジェクトが依然として増産モードであることなどを反映しているとしている。
5月6日のロンドン価格は、1ポンド4.1422ドル=約454g/1トン=1000,000g=2022×4.1422ドル=トン当たり9,123ドル(5月6日の価格)。
昨今の原油や鉄鋼はじめハゲタカ主導の世界の資源高の動きはニッケルには反応薄のようだ。
2007年に11月時点で、住友金属鉱山と三井物産は、Sumic Nickel Netherlands b.v. を通じて、総出資額が住友約2.9億米ドル、三井約2.6億米ドルを出資していた。2008年から操業開始の案件で、その後の追加や現在の状況などは不知。
今年や最近になり資源や製品高になっている市況は、中国経済の回復にあるとされるが、4月、中国の経済数値の広報を行う中国国家統計局では、業者癒着の虚偽指数を使用するなど313人が起訴されている。
中国の内需拡大や田舎の不動産価格の上昇などあてにならないのかもしれない。それ以前に中国共産党独裁政権の経済数値は、国家の計画数値に準じたものにしている可能性もある。政治や政府が発表する経済指数に異論を唱える者は、中国国内では反政府主義者として拘束や自己批判させられるのが現実だ。
<過去3年のニッケルの1ポンド価格推移・ドル>
中国の経済状況
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単位
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15/12月
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1月
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2月
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3月
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4月
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国際収支関連
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貿易収支
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億USD
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632.9
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325.9
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298.6
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消費関連
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小売売上高
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%前年比
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11.1
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-
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-
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10.5
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物価関連
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生産者物価指数
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%前年比
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-5.9
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-5.3
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-4.9
|
-4.3
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消費者物価指数
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%前年比
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1.6
|
1.8
|
2.3
|
2.3
|
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景気関連
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GDP(国内総生産)
|
%前期比
|
1.6
|
1.1
|
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GDP(国内総生産)
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%前年比
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1.6
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6.7
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財新/製造業PMI
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指数
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48.2
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48.4
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48
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49.7
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49.4
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製造業PMI(統計局)
|
指数
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49.7
|
49.4
|
49
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50.2
|
50.1
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非製造業PMI(統計局)
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指数
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54.4
|
53.5
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52.7
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53.8
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53.5
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製造業関連
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鉱工業生産
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%前年比
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5.9
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-
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-
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6.8
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