米国内にタックスヘイブン地 同一住所に25万社 デラウェア州
租税回避地問題を追及している「タックス・ジャスティス・ネットワーク」の2015年の報告書で、米本国内のデラウェア・ネバダ・ワイオミングなどの州は、州法により極端に税率が低いか、無税の租税回避地となっており、実態のない会社が集中していると報告している。
ワシントンポストは、特にデラウェア州ではここ数年間に、1ヶ所の同じ住所に世界から25万社以上が登録されてきたと報じている。背景には、企業の設立や金融講座の開設の際に企業の実質的な所有者や経営者の身元確認を求めていないことが挙げられている。
ロンドンで12日開催された「汚職防止サミット」で、キャメロン英首相が、米国のデラウェア州などの実態を指摘、租税回避地を防ぐ基準を参加国みんなで一斉に作り、引き上げれば、より効果的なものになる。私もそうするし、米国もそうすべきだと指摘した。
「タックス・ジャスティス・ネットワーク」は、米国の姿勢が課税逃れ、資金洗浄、金融犯罪を取り締まる国際的な努力に大きな穴を開ける危険性がある」と米国の現状を批判している。
米 国から参加したケリー国務長官は、「米国50州すべてが、各州で登録されている企業について、透明性を高めるための法律を作ることになろう」と話している が、多国籍企業がバラ撒くロビー活動資金により、こうした政府の動きに反対する団体が反発するものと見られ、実現性は乏しいとされている。
米政府は5月5日、課税逃れ、資金洗浄の取り締まり強化の一部として、金融機関に顧客企業の実質的な所有者や経営者の身元確認を求める法整備を議会に要請した段階でもある。
以上、
日本も東京の弁護士事務所や会計事務所の同じ地に、誰が実質経営者か不明な合同会社や有限会社・株式会社が登録されている。銀行でさえケイマンなどタックヘブン地に会社をいくつも持っており、商社になれば山のように。国税当局も現地へ出向くには膨大な経費かかることからほとんど足を運ばないことを最大の利点にしている。
東証に上場している上位50社のうち45社がタックスヘイブンを活用、ケイマンだけに限っても、日本の大企業は55兆円で、アメリカに次いで世界第2位の規模。続く、イギリス23兆円、フランス20兆円、ドイツ17兆円で、後に続く各国を合わせた額に相当するぐらい日本の大企業はタックスヘイブンを活用し税逃れをしているという。
アップルなどが税率の安いアイルランドに欧州の拠点企業を持ち、税逃れをしていると批判していたのは米国であったはずだが・・・。
英国政府は今年1月末、米グーグルとの間で、過去に支払いが不十分だった法人税1億3000万ポンド(約220億円)を支払うことで合意した。
昨年末には、イタリア政府が、米アップルがアイルランドに利益を移して不当に法人税を逃れたとして、3億1800万ユーロ(約420億円)を追加 課税することで米アップルと合意している。
また、米製薬世界大手のファイザーが昨年11月に発表したアイルランドの同業大手のアラガンと合併し、本社を税率の安いアイルランドに移す計画は、大企業による「課税逃れ合併」だとの批判が噴出、米財務省が企業のタックス・インバージョン(税率の低い国へ の本社移転)を規制によって取り締る動きをしたことからファイザーは合併交渉を取りやめた。
英米の金融ハゲタカ主導で作られたタックスヘブン地は、パナマ・リベリア・ケイマン・バージンなどが有名であるが、世界には山のようにある。
それ以前に、リベリアやパナマは、船会社がその船籍を置き、課税を免れている。世界のほとんどの船会社がこうしたタックスへブン地に船籍を置いており、世界で商売をする船会社にとって、固定資産など高い税を求められる本国に置けば、商売にならないという現実もある。ただ、利益は本国船会社に還元されることから、実質脱税には該当しない。
問題は、IT産業や医薬品などの巨大企業が、アイルランドなど租税が安い国に地域母店となる企業を設置し、欧州各国で上げた利益を当該国で支払わず、脱税しているという見方が、現在は各国政府の考え方の主力となっている。
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