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「自分にしかできない仕事」なんて絶対にない!

2011 - 07/11 [Mon] - 13:22

 サラリーマンをやっていても、税理士をやっていても出くわしますが、時々「この仕事は自分にしかできないから」ってセリフを吐く人に出会いませんか?会社であればややこしい仕事に取り組んでいる担当者が時々口にしますし、税理士事務所であれば税理士本人やベテランの事務員が自分が担当している関与先で少し処理や応対にクセがあるような場合にこのように発言します。

 私はこのセリフ大嫌いなんです。自分が言うのも、他人が言うのも。このセリフを聞くと「一体お前は何様やねん?」と訊きたくなるんですよね(笑)。少なくとも私の仕事に関しては「私にしかできない仕事」なんてありませんね。会社員を辞めたときも、修行していた事務所を退職したときも、「私にしかできない仕事」なんて1つもなかったです。そもそも「私にしかできない仕事」と言えるほどの難しい仕事を私ができるわけありませんし、そんな能力もありません(笑)。

 もし仮に私の仕事を引き継いだ人が内容がわからなくて困ってしまったとしたら、それは単に私の引き継ぎミスのせい、私が怠慢だっただけの話です。あとを継いでくれた人達に平謝りしなきゃいけないことです。

 以前ブログにも書きましたが、仕事を行っていく上で最も大切な心がけは「自分がいつ何時仕事ができなくなっても周りの人が困らないようにすること」なんです。これは絶対的に普遍性があるものだと思います。世界が変わろうと、時代が変わろうと、人が変わろうとこの考えは絶対に変わるべきではないと思います。

 そもそも自分で「自分がやっている仕事は自分にしかできない。だから他の誰にもできないから自分が最後まで面倒見る。」と言い切れるその根拠・自信は一体何なんだ、と問いただしたいですね。そんなに凄い仕事をしているの?そんなにその仕事をするために凄いノウハウと、知識と、経験がいるのか?と。

 確かに余人をもって代えがたい仕事は世の中にあると思いますよ。それは否定しません。個人の才能だけが頼りの芸術的な仕事だったり、日本国の総理大臣とか、社員数千人・数万人を抱える企業の社長とか、そんなレベルならあるかもしれません。でも芸術的・創造的仕事以外であれば、そんな役職だって現実には数年経てば役職を別の人に譲るのが普通です。

 サラリーマンや税理士事務所の仕事程度で余人をもって代えがたい仕事なんてありませんよ、絶対。いえ、百歩譲ってものすごく内容が複雑でなかなか誰にでもできない案件が仮にあったとしても、一人の人間がこの先50年担当できることなんて絶対にありません。そうでしょう?いずれあなた以外の誰かが担当しなければならないときが来るんじゃないですか?

 そのときにどうするつもりなんですか?「それは俺が死んだ後で誰かが勝手に考えればいい。俺は死ぬまで一生懸命頑張るつもりだ。」ということなんですかね?或いは「墓場まで俺が持っていく」とでも?はぁ、ずいぶん身勝手で迷惑な話ですよね、そんなこと言われたら。取引先だって迷惑ですよ、80才や90才のじいさんに死ぬまで俺が頑張る、なんて言われた日にゃぁ。

 まあこういうセリフを吐く人って言うのは、大体自意識が過剰すぎるか、或いは担当が変わるとバレてしまう問題を抱えていることがほとんどですよね。税理士事務所の担当者が仕事を放さないケースというのは、大抵は自分が行った馬鹿でかいチョンボを隠し続けようとするか、或いは関与先からの接待が凄いか盆暮れにもらう御礼などが凄いかのいずれかですよね。それかニセ税理士行為をしてたんまり稼いでいるか。或いは一般企業であれば時々あるのが業務上の横領を隠すケースですよね。

 結局自分の隠しておきたい利益のために「この仕事は俺じゃないとできない。」と言っているだけの話なんです。そもそも失礼ですわね、「自分じゃないとこの仕事はできない」と断言するところが。自分以外の人間をバカにし過ぎですわ。お前は世界一なんか?よーゆうわ、お前がやっている程度の仕事なら誰にだってすぐできるって(笑)。

 それほどあんたの能力が凄いんだったら、なんで自分で独立して仕事やんないの?或いは税理士事務所の職員ならなんで税理士試験に合格できないの?って思いますやんか。「税理士よりも俺のほうが税務は上だ!」と自分で思えるくらい優秀に税務をこなせるのなら税理士試験くらい簡単に合格できるでしょうに(笑)。

 その程度の勘違い職員に「この関与先は俺にしかできない」なんて言われた日にゃあ、税理士としては片腹痛くってたまりませんよ。アホかってなもんですよ、所詮雇われ者のニセもんがコソコソ卑怯な金儲けをやってるだけの話なのに、何様やねん(笑)。

 あるいはプライドが高い税理士さんとかでしたらもしかすると「この関与先の仕事は難しいから俺にしかできないなぁ。その難しい仕事をこなしている俺って凄いなぁ。」と心底自分に酔っていることもあるかも知れませんが、言っておきますけど、そんな「凄い仕事」は世の中に99.9%存在しませんから(笑)。あなたにできる仕事なら他の大抵の方にもできますから、いえ、誰にでもできるようにしていなければそれは単なるあなたの怠慢ですから。

 他人にも仕事ができるように仕事を系統立てて整理し、重要事項やポイント、経過をきちんと資料に残していないから「あなたにしかできない仕事」になっちゃってるだけなんです。本来仕事というものは「誰にでもできるように簡単にする」ことが大切ですし、そもそも仕事は誰にだってできるものです。

 だってあなたが明日急に死んだって、最初の1ヶ月くらいは多少困るかも知れませんが、やがてどうにかこうにか仕事は回っていくんですから。その最初の1ヶ月くらい仕事が回らなくて困るとすれば、それは単に「死んだ後であなたが関与先に迷惑をかけている」だけのこと。あなたに能力があるとかどうとかという話とは全然違います。

 「俺が死んだらこの仕事ちゃんとできるかなぁ」「俺が死んだらみんな困るやろなぁ」と思うのは単なるあなたの自惚れ、自意識過剰にすぎません。他人から見れば「死んでまで取引先に迷惑かけるなんてたいした御仁やなぁ」と呆れられるだけの話です。勘違いしちゃいけません。

 なぜ私がそう思うようになったかと言えば、会社員時代ある部署の課長が過労とノイローゼで自殺したんです。でもすぐに別の人が課長になり、仕事は何事もなく進んだんですよね。それを知ってから「俺でないと仕事は片付けられない」と思い込むことがどれほど無意味な勘違いで、自殺するほど仕事を背負い込んで悩んだって所詮すぐ代わりの人やってきて片付けてくれる程度の話なのに、っていうことがわかったんです。

 社員が一人自殺したって、会社から見れば駒が1つ欠けただけの話なんです。駒が1つなくなれば代わりの駒を持ってきてそこに当てはめるだけの話なんですよね。所詮仕事なんてその程度の話なのに、「自分がやらなきゃ!」って自意識過剰になったあげくに悩んで自殺するなんてどれほどバカバカしくて空しくて、ただ残された家族を悲しませるだけのことか、と思ったんですよね。

 仕事なんて自分が思っているよりも遙かに簡単なもので、実は誰にでもこなせるものなんですよね、ホントは。自分にどーしてもできなきゃ他の人にやってもらえばいいだけの話なんです。自分で全部やろうと思うからおかしくなっちゃうんです。

 またその前後で大学の先輩も仕事でノイローゼになって自殺しちゃったんですけど、これもやりきれない話でしたねぇ。代わりの人がいくらでもやってくれる程度の仕事で本人だけがノイローゼになって自殺して、付き合っていた恋人や一人息子を亡くしたご両親に一生消えない心の傷をつけて悲しませるなんてねぇ。仕事なんて自殺しなきゃいけないほど悩むことじゃなかったのに、そんなに悩むくらいならさっさとお気楽に退職してやり直せばよかったのに・・。

 まあですから仕事なんてその程度のものですよ。「自分にしかできない」ってもし本気で思っているとしたら、それは本当に大きな勘違い、自惚れすぎ。あなたがどれほどそう思い込んでいても、所詮あなたがいなくなったとしても、すぐに代わりの人ができる程度のことなんです。できなきゃウソですよ。

 そのように勘違いして自分で背負い込んで同僚や取引先に迷惑をかけないですむように、仕事というものは誰にでもできるようにきちんと資料を残し、取引先にも説明し、そして職場の誰が引き継いでも滞りなく処理が進められるように日ごろから準備をしておくのが一番その方の有能さを示すことだと私は思っています。

 仕事の有能さは「自分が仕事の全てを抱え込むこと」ではなく、「いかに誰にでもできるように案件をシンプルな形に変換するか」です。よく言われるように「簡単なことを難しく行うのがアマチュア、難しいことを簡単にこなすのがプロ」ということに集約されると思います。

 我々士業はついつい自分にしかこの仕事はできない、あるいは自分にしかできない仕事を片付けることこそが生きがい、のように思いがちですが、実際にはどんな仕事でもそういうものなのです。それに一人で仕事をしている開業税理士にとっても、すべての仕事をシンプルに簡単に処理できるようにしておくことは結局自分をラクにさせますし、時間と頭に余裕ができることで他の仕事もこなせるようになって儲かることにつながりますからね。

 なので、あまり勘違いしないでどんな難しい仕事でも誰がやってもこなせるような簡単な形に変換できる「プロ」を目指して頑張りましょう!

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