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税理士もりりのひとりごと

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ビジネスでのお付き合いは常に礼を尽くして

2011 - 07/18 [Mon] - 00:46

 そうそう、古ーい話になりますけど、私の社会人としての取引先との付き合い方を決定づけた出来事をふと思い出しました。

 その昔私が勤め人をしていた頃、私はずっと業者に仕事を依頼する立場にいたんです。といっても最初は新入社員ですから勘違いしないように「金を払う方と金をもらう方は平等」と心に強く叩き込んで、勘違いした行動をしないように心がけていたつもりでした。

 そこであるメインの取引業者さんが私を飲食に誘ってくれた機会があったんですね。

 元々は私の上司と私を誘ってくれたのですが上司が都合が悪くていけないと告げますと、「じゃあもりりさんだけでもどうです?」と言ってきたのです。私は分不相応なことは十分わかっていましたので断りましたが、先方が繰り返し誘うので上司にも相談すると「行ってきたら?」と言ってくれたのでその誘いに付いていくことにしました。

 待ち合わせの場所に行くと既に少しできあがった取引先の課長とよくやり取りをしていた担当の若い女性がいました。一軒目のお店では普通にご飯を食べてお酒を飲みました。もちろん私はかしこまって「そうですね、そうですね」とどちらが接待をされているのかわからないような調子で相手の話を聞いていました。

 そこまではよかったのですが、二軒目に行ったスナックでこの課長が酒に完全に酔っぱらって私に向かって本音を吐きます。まあそりゃ入社1年目くらいの若造ですから相手も気がゆるんでちょっと無礼講モードに入ったんでしょうね。

 「お前、よく一人でノコノコ来たなぁ。ガキのクセに、このクソガキ。普通だったら誘われたってガキ一人では来ねぇぞ。ホント、よく来れたもんだな、このガキ。」・・・完全に罵詈雑言モードです(笑)。「あんたが何回も来いと言ったから俺は来ただけじゃないか」と私は内心思いましたが、相手はそんなことお構いなし。といってももちろん私に手を出したりするワケじゃなく、完全に酒に酔っぱらってくだを巻いている状態です。いわゆる「酒乱」に近い状態ですね。

 一緒にいた女性はお酒に強くほとんど酔っぱらっていないので横で一生懸命その場を取り繕って私に謝ってくれます。お気の毒です。私は私で「ま、そりゃそれが本音だろう。『いくら客だと言っても、なんで俺がお前みたいなガキの接待をしなきゃいけないんだ、バカバカしい。』と思うのも課長なら当然だわな。」と感じたので、多少不愉快にはなりましたが酒の席で取引先とケンカするつもりなど全くありませんでした。

 まあそうやってその日は終わって、その後もその取引先とは相変わらず仕事を一緒にしたわけですが、それ以降その課長がどれほど私に対してシラフの時におべんちゃらを言おうが、仕事で調子のよいことを言おうが私がその話の内容をまともに取らなくなったのは当たり前ですわね(笑)。だって本音は「このクソガキ」と思っていることがわかったわけですから(笑)。

 当然ですが、取引先なんてこちらがお金を払う立場だから普段持ち上げてくれるだけのこと。個人的に好きだとか、仲良くしようとか、そんなことこれっぽっちも思っていないのです。でもこの経験はまだ社会に出たての私に「ガツーン」と仕事における大人の本音を教えてくれたいい経験になりました。

 ですからそれ以降、もちろん今もですが、仕事で関わる相手には必ず失礼のない対応をするように心がけています。今のように関与先から私がお金を貰う立場であればもちろんのこと、仮に私がお金を相手に払う立場であったとしてもです。所詮ビジネスにおけるつながりはお金のやり取りがあればこそつながっているのです。

 もちろん長く付き合う中で個人的な信頼関係が醸成され、お金のやり取りを越えたお付き合いの関係ができることはあると思います。税理士としては、私自身そうやって関与先さんと信頼関係に基づいたお付き合いができることを本当は望んでいます。私は決してお金だけで関与先と付き合っていこうとは思っていません。

 しかしそれを端から全ての方に期待はしていません。それはビジネスで付き合いのある人は所詮ビジネスだけの付き合いに留めておけば十分と思っている人が多いことを冒頭の課長が教えてくれたからです。

 まだ私は今の仕事を始めてそれほど長いわけではありませんので、関与先さんと仕事を越えた人間的な信頼関係が構築されているとはまだ思っていません。ですからとにかく奢らず、謙虚に、相手が言ってくれたお世辞には決して乗らず、少しでも「こいつ思い上がっているな」と思われないように気をつけて関与先さんとは接しているつもりです。

 もちろんビジネス上の付き合い方については人それぞれでいろんなやり方、考え方があると思います。ただ私個人に関して言えば、社会人になり立ての頃の強烈な体験があったものですから、このような感じでビジネス相手とはお付き合いすることを心がけています。当然ながらプライベートでお店に食事に行っても、デパートに買い物に行っても「俺は客だから偉い」と振る舞うことは絶対にしません。

 でも有り難いことに、会社員時代に下請けさんとしてお仕事をお願いしていた会社が私が独立開業したあとで「いつかもりりさんに頼もうと思うとってん」と税務を依頼してきてくれたり、昔の上司が相続の申告を依頼してくれたりして、やはりどなたにも立場にかかわらず礼を尽くしてお付き合いしておくことは悪いことじゃなかったと私自身実感しています。

 ・・で、件の課長との後日談ですが、その課長はその後転勤になり、名古屋支店の次長か何かに栄転していきました。で、あるとき大きなプロジェクトが私の会社で始まることをどこからか聞きつけ、私のところに電話をかけてきて「もりりさん、そのプロジェクトの件、できれば私の名古屋支店を通じて進めてくれませんかねぇ。」と言ってきたので「なるほど、そうですね、ちょっと考えておきます。」と私は応えておきました。

 ・・え、そんなもん仕事なんて回すわけないやないですか(笑)。そもそも何の義理があってわざわざ離れた名古屋に仕事回さなあきませんの?入社当時私のことを酒の席で「このクソガキ」と呼んだ相手にこちらが面倒をかけてまで花を持たさせる気などサラサラありますかいな(笑)。いまさらどのツラ下げて、よくもまあヌケヌケと図々しいことを私に頼んできたもんだ、と思いましたよ。

 ビジネスとはお互い狐か狸の化かし合いのようなことをシャアシャアとやるもんだ、ということを教えてくれたのもその課長でした(笑)。そしてたとえ酒の席であったとしても、言っていいことと悪いことがあり、言われた方は決してその言葉を忘れない、ということを身をもって感じさせてくれたのもその課長でした(笑)。

 今の税理士という仕事をしていますと、金をお客さんからもらっている立場のクセに関与先さんと上から目線で話す人が多いことに実に驚きます。ベテラン事務員などは完全に「先生気分」で勘違いして偉そうに関与先を怒鳴りつける人もいます。

 ところがお客さんは商売人であることがほとんどですから、そんな偉そうな税理士や事務職員に対してもおべんちゃらを言ってくれます。定年退職間近なベテラン事務員には「長いことお世話になって、あんたがいなくなったら寂しくなるし、辞めずにずっと勤めたらエエのに。」などと聞いた本人が喜々とするような言葉をかけてくれます。

 90才近いお爺さん税理士に対しても「あんたが引退したら困るから死ぬまで面倒見てな」なんてことを言ってくれたりします。また勤務事務所から独立する税理士に対して「え、独立すんの?ついてったろか?」と言ってくれる取引先もいるでしょう。

 ・・でも、こんなもんただのお世辞、社交辞令ですよ(笑)。そんなもん本心なわけありませんやんか。そんな言葉をかけてくれたからと言って、勘違いして図に乗ったらあきまへんで。いつも怒鳴り散らす事務員や90才の訳分からん爺さん税理士となんかさっさと関係を切りたいと思っていますよ、本音は。

 たまたま数年間担当になった程度の事で、その担当者が独立して事務所構えるからといって乗り換えようと本気で思っている関与先なんてあるはずがありませんよ。逆にホイホイついてくる関与先の方が胡散臭いです。

 そこは本当に私たち先生稼業をやっている人達は勘違いしちゃいけませんよ。相手の言葉にどこまで真意があるのか、そこは普段のお互いの関係から推し量ってよく分かっておかないと。先生稼業をやっている人は結構社会の常識や人の本音を理解するのが下手な方々が多いですからね。

 仕事をしているときに頻繁にお酒の席に招いてくれたからといって相手がこちらを信頼して、好きであるとは限らないのです。ただ交際費を使って自分の好きなものを食べる席に私たちを呼んでくれているだけかも知れないのです。結局ビジネスの相手がどのように思っていたのかという本音は、ビジネスの関係が途切れたあとで初めてわかるものなのです。

 まあビジネスのお付き合いというのはそんなもの。だからこそビジネスでお付き合いのある相手とは、相手との年齢・立場にかかわらずとにかく失礼のないように礼を尽くし、そして決して勘違いしてお付き合いしないように、これが私の得た教訓ですね。

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