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キンゾク20年の大躍進・キーボード編

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お陰様で金属恵比須の20周年記念ライブも無事盛況に終わり、とてもありがたい限りです。そしてスターレス髙嶋氏にタモリ倶楽部でバンド名を連呼していただいた上に翌日はJ-WAVEでも「阿修羅のごとく」がオンエアされるなど、今年も少しずつ盛り上がって来ていますね。さて、今回は他でお話する機会もないので、こだわりのキーボードの話でもしますか。

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今回のライブから、可能な限りはこのセッティングを使うことにしました。僕の得意な音はだいたいこれで全部出ますからね。

まず下手側から。
1. minimoog
金属恵比須が結成20年なら、このminimoogも僕のところに来て20年。3年前にオシレーター・シンクを追加しました。1974年製のツルツルホイール・中期型。後期型が当初は欲しかったのですが、音が気に入ったのとお値段が安めだった(パネルが割れてたりしたんで)のが決め手でした。前にも話したかもしれませんが、1150リボンコントローラーはその1年前に買いました。小川文明さんが擦ってたのがカッコよかったので、えちごやさんで売ってるのを見た瞬間即決して…。文明さんもキース・エマーソンも亡くなってしまったので、お二人の分まで擦り続けようと思います。そのうち花火も付ける…?
2. Roland Fantom X7
minimoogがキンゾク20年なら、こちらは10年選手。とあるバンドでどうしてもMellotronの音が必要になり、さらにちょうど愛用していたENSONIQ KT76を手放してワークステーションタイプのシンセサイザーがなくなっていたところだったので導入したものです。出来の良いビンテージ系やエレピ系のエクスパンションボードをバッチリ搭載し、当時持っていなかったMellotronはお店に売っていた実機をひたすら触って挙動を研究してパッチを制作。他にもRMIピアノやモジュラーmoogなどのサウンドをかなり作りました。金属恵比須に入った時、これを持ってて良かった!と心の底から思いました。今回仕込んでFavouriteリストに入れたサウンドは以下の通り。
F1: Concert Piano (標準プリセット)
F2: RMI 368 Electra (EXボードのRMIの波形を使い、自分の実物と比べながら制作)
F3: Clav DB Amp (EXボードのプリセットのエフェクトと音量を調整)
F4: moog Horn (ELP「永遠の謎 Part2」イントロのホルンをシミュレート)
F5: moog 5th Stack (キースの定番サウンドをシミュレート)
F6: moog Triad (今まで「みつしり」リフ専用に作ってた音を、よりmoogyにエディット)
F7: Tron Vln/Cel (メロトロンMarkV風に左右35鍵ずつ音色を配置。バイオリンとチェロ)
F8: Tron Vln/Cho (こちらはバイオリンとコーラス。本物がダウンしたときの予備に)

RMI 368XやHohner Clavinetは持っているので並べてもいいのですが、台数がかさむ割に出番も少ないので、Fantomだけで賄えるのは使いやすいですね。でも、今回モジュラーmoogは欲しくなっちゃいました…。
3. Mellotron M400S
3年前、ロマネスコのレコーディングで必要になり、偶然30万円を切る破格で買えた代物。やっぱり本物は違うよね~!ということでレコーディングではしょっちゅう使っていたのですが、今回は初めてライブに投入。しっかり押鍵しないと音が途切れたり運搬やテープ交換の後は鍵盤についてるプレッシャーパッドやピンチローラーを調整しないといけなかったり重量が55kgもあって大きいので今回から機材が業者運搬になるなどありますが、やっぱりライブでこそ本物の音は存在感を発揮すると思いました。テープはMk II Brass/ 3 Violins/ 8 Choirのいわゆる「ジェネシスセット」。
上手側は2台。
1. ARP Pro Soloist
去年、GARDEN SHEDというレコード店を営んでいる元・夢幻のキーボーディスト林さんから格安で譲り受けたものです。これは昔からずっと欲しくて、KORG R3→YAMAHA SY-1→ARP Soloistとプリセットシンセ道を渡ってようやくたどり着きました。音はもちろんのこと、鍵盤のタッチも僕にぴったりだし、とてもお気に入りの一台になっております。ともかく気持ちいい!
2. Hammond/ Suzuki XK-3 & XLK-3 (特注C-3タイプ筐体)
11年前にRoland VK-7がダウンしたので買い替えて以来、愛用しています。これが発売になったときはようやくB-3と同じ感覚で使えて、なおかつ状況に応じて1段でも2段でも使えるハモンドオルガンが発売された!という喜びでいっぱいでしたね。初代はビブラートを上下別に掛けられなかったので改良型のXK-3cが発売になりましたが、どうもサウンドはショボくなったように感じたのでスルーしていました。2007年から2年ほどかけて、名古屋のELPトリビュートバンドThe Sons Of Eveのキース役のVoyagerさんと一緒に分解可能なC-3(イギリス製後期モデル)タイプの筐体を設計して、2009年に完成。気分は英国三大ロックキーボーディストです!今回はLeslieは置くところがなく、チャンネル数制限やマイキング上の不安もあったので、Neo Instruments Mini Ventというよく出来たシミュレーターを通しています。ハモンド鈴木からようやく素晴らしい最新バージョンXK-5の発売がアナウンスされたので、そのうち上鍵盤は世代交代になります。

では、楽曲ごとのアプローチについて書いてみたいと思います。

1. 怒羅絵門
今回からイントロをシンセサイザーで、というアレンジになりました。minimoogでイントロのフレーズを弾いてみると、PFMの「セレブレイション」みたいで面白い。中間部のレインボー名曲メドレーですが、昔レインボーのトリビュートバンドをやっていた経験が活きてきます。今回はギターソロのバッキングをより一層「オン・ステージ」の「キル・ザ・キング」に近づけてみました。あと、この曲だけラメのケープを着用してみました。今度も着ようかなぁ。

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2. 阿修羅のごとく
ライブでレコーディング通りにMellotronやARP Pro Soloistを使ってサウンドを再現できたのは大きかったですね。moogの口笛リード音は音色切替の手間の関係でARPのSTEEL GUITARプリセットでまかないました。ちょっと雰囲気が変わって面白かったと思います。この曲、今までずっと2-3台のセットで弾いていたのでピアノがHammond SK-2の下鍵盤での演奏だったんですね。Fantomで弾いた方が音色・タッチともにずっと弾きやすかったのでホッとしました。ちなみに、Pro Soloistソロはバックが5拍子なのに8拍子→7拍子→5拍子と小節線をまたいだ構造になっていて、いつも緊張します(笑)。そこはやり切ったものの、序盤の口笛リードのフレーズを間違えたのが痛い…。
3. 鬼ヶ島
この曲のストリングスパートは、本物のメロトロンで弾くと冷たさがグッと増していいですね。元々ピアノとギター?で奏でるアルペジオの部分、メインが稲益さんのエレキ大正琴になったので、サウンドのマッチングを考えてFantomのClavinet音色にしてみました。中間部のシャッフルのパートは元々メロトロンストリングスによる不思議な4度重ねコードが入っていたのですが、メロトロンは出し惜しみをした方が存在感が上がる、とか演奏にキース・エマーソン要素を入れたいなどの理由からELP「庶民のファンファーレ」風のプレイに変更。ポリシンセは金属恵比須には似合わないからオルガンだけど。左手も原案同様1と2の指でルート音を刻んでいます。

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4. 光の雪
冒頭のインストセクションは、見栄え的には両手広げフォームになって左手でMellotron、右手でPro Soloistのホルンと行きたいところ。でも事故防止でメロディーはFantomのmoogホルンで賄っております。とはいえ、Pro Soloistのホルンの音も出番多し。太く柔らかいのに抜けが良いから気持ちいいですね。この曲の演奏になってminimoogのオシレーター2がヘロヘロになったので、本来minimoogで弾くところもPro Soloistに変えたりしました。始まったら弾きっぱなしの曲なので、事故予防を心がけたいですね。Mellotronのパートは本物で弾く前提で少し変えているし、オルガンソロ前のクワイアはオルガンの下鍵盤に変更しています。こうすることでPro Soloistで裏メロを弾きやすくもなりました。

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5. 真珠郎
インストアでは色々なアレンジを試みたし、今回もリハーサル段階では色んなことを試しているのですが、最終的には初心に帰ってお披露目の時と同じ感じで弾きました。とはいえ、2コーラス目からのバッキングは少し変えています。今後もアレンジは少しずつ変わっていくであろうこの曲、楽しみですね。撮影のジャンボさんはこの曲のMellotronが特に良かったとのことで、嬉しいですね。この曲だけ、FantomではFavouriteリスト外のRhodesピアノの音を使用。FantomのRhodesやClavinetの音は地味に出来が大変よろしいのです。鍵盤を離した時の音もリアル。
6. 彼岸過迄
この曲、今回一番楽しみにしていたものだったりします。リフがカッコよくて、聴く分にも大好きなんですね。元々キーボードの比重が少ない曲なので色んな要素が入れられますし。リフや歌のバックのオルガンパートを新規制作。2コーラス目からはARPでアルペジオも入れて、プログレ感を強化しています。中間部は今までのバージョンではひたすらMellotronストリングスだったのを、盛り上がりに合わせてHammondオルガンからMellotronに移行するように変更。リーダー髙木大地のご要望でギターソロとARPでハモったあとは、オルガンソロを追加。ここまででかなりキーボードヘヴィーなアレンジになりました。とどめは最後のセクション。ピアノを追加しております。金属恵比須はMellotron/ Hammond/ moogサウンドの比重が大きいので、ちょっとした箸休めになっていれば幸いです。後から入ってくるMellotronも最初は白玉で攻めず、まずはメロディーからという戦略に。ここの| D | B♭ |というコード進行は個人的にアドリブをしていて楽しい進行なので、こっそり楽しませていただきました。

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7. ハリガネムシ
久々に和馬くんのドラムでの演奏。以前よりハネたビートになっており、ここからすかんち「仏壇返しにはかなわない」のライブバージョン風のシンセソロを思いつきました。ちょうどFantomのプリセットがmoog 5th Stackになっていたのもあって。 元ネタを見てみましょう。う~ん、モジュラーmoogが欲しくなる!高くて全然無理だけど…!

アウトロでの和馬君のツーバスに合わせてオルガンでアルペジオを速弾きするのを久々にやって、目を合わせてニヤリとした瞬間がとても幸せでした。またやりたいな!

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8. 『箱男』からの抜粋
「a) はじめに」で、本来ならリーダーとのシンセサイザーのハモリがあるのですが、今回はメロディー1本になりました。で、音の分厚いminimoogでやりたいところだったのですが、ここも事故防止のためHammondの上に置いてあるARPでメロディーを担当。個人的にはこれも悪くないと思いましたが、いかがだったかしらね。「b) 破戒」および「c) みつしり」は大体いつもの感じ。前者はシンプルなので、サビではここぞとばかりに正面向きの両手広げポーズで演奏。後者では9/4拍子のソロをレコード通りにARPで弾いて、またもや気持ちよく。また、隙を見てはキース・エマーソン風の8フィート1本セッティングでのグリッサンドを投入。ここが本編最後の曲なので、リボンコントローラーを引っ張り出して観客席に突っ込みます。今回は何度もしっかり接続を確認した上にガムテープで固定したのでちゃんと音が出ました(笑)。
9. イタコ
前回ライブの1週間前にキース・エマーソンが亡くなりました。それ以来、この曲のイントロではナイス/ ELPの「ロンド」をイントロにかぶせています。完璧に周りと合ってる訳じゃないとは思いますが…。中間部のリフは前回のライブからMellotronをやめてmoog 5th Stackの音色を使っております。今回音色を作り込んだので、よりエマーソン感が出てきたかしら。ここでも隙あらばHammondの8フィートグリッサンドをビャウビャウやっています。ELPの難しいことはできないんで、こういう形でトリビュート出来たら。
10. XXX
元々キーボードが無い曲にキーボードを入れるのって昔から好きなんですよね。リック・ウェイクマン風のアルペジオやらソロやらでHammondが結構活躍する感じになっているし、ハーフ・テンポのところではシンセソロを入れているしで、原曲やカバー版に馴染みのないプログレ好きな方にも楽しんでいただけたらと思っています。

以上。うん、こんな解説、このブログでしか出せないね。マニアックすぎて(笑)。

より一層精進して、上手くてカッコいい演奏を心がけていきますので、今後ともよろしくお願いいたします。

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