2015/10/17(土)
ジャンプNEXT!!2015vol.5感想
ユアストレンジャー 三木有
「改造人間ロギイ」の三木先生の新作。最初ロギイの人とはわからなかった。
作風が前作と全然変わっていて、画風も言われればわかるという程度に変わっていたからかなり路線変更したんだなっていう印象。
話は宇宙人と幽霊の少女の交流ものだけど、いや素晴らしい。傑作。
宇宙人の視点から見る人間と幽霊、幽霊の視点から見る人間と宇宙人、人間の視点から見る幽霊と宇宙人とそれぞれの視点がしっかり書けていて美しい。
女の子が除霊されるかと思ったらそんなことはなかったり、人間を驚かせて仕返しするのが目的かと思ったらそうでもなかったりとやっていることは大したことではないんだけど、それぞれの世界ができているから情感がたっぷり。
少女の幽霊なんていることには意味なんてなくて、最後にテレビの前で語ったこともきっと何の意味もないだろうけど、意味がなくてもそこにいればそれでいいというテーマは素敵。
何を変えられるわけじゃなくとも、やったという事実それこそが大切なのだというのが素敵。
宇宙人も幽霊も人間もそれぞれ交じわっていながらすれ違っているところも好きだ。
宇宙人が宇宙語で喋っている、何を言っているかは読者に任せるというところが凄い良かった。
異種族交流ものとして珠玉の出来だと思う。とても良かった。
まあこれで連載が出来るとは思えないけど、何かしら別の作品でまた見てみたい。
NANANA!! 山下尚吾
ジャンプNEXT!!2015vol.3で「Killed boy & Killer girl」を掲載した人。
NEXT!!1GP取ったみたいなのにまたNEXT掲載なのはなんでだろう。
今回も前作と同じくアクションもの。女主人公はジャンプじゃ珍しいかな。
いい女にはホラーと拳銃がよく似合うというコンセプトで実際それだけの作品だと思うけど、このタイプの絵柄でそれを突き詰めると純粋な美しさがあった。最後の銃弾を撃ち込むシーンは見事。
ただこのコンセプトならタバコも吸わせたほうがよりらしかったと思う。
ストーリー的には無難な感じだったけど、最後で少年の墓が出てきたところが流石によくわからない。
一緒にいた少年が実は幽霊だったってオチなんだろうけどどこにそんな伏線があったんだ。
確かに読み返したら少年と神父がまともに会話してなかったけど、一体どの時点で死んでたんだろう。
舞台がパリなのに主人公が日本人だという設定もイマイチ活かされてないように感じた。
細かいところをいえば色々気になるところはあるけど、アクション映画を見る気持ちで読めば楽しめた。
2連続でNEXT1取るってことはないだろうけど、次回作は楽しみ。
ナニワのマジン 植村達也
ジャンプトレジャーで「CYBOZU」を掲載してる人。
ジャンプNEXT!!2015vol.1では「重力ごうをせーす!」を掲載した。
魔界と大阪が繋がって大阪が魔人で溢れたって設定はちょっとクスッと来た。関西弁だとなんか面白いな。
ただそれ以外は普通の勧善懲悪もの。お笑いをギャグ漫画以外で活かそうという発想は買うけど結果に結びついているかというと微妙。
まともにバトルものやるには画力が足りないし、かといって話も助けた相手が実力者でしたとか特に捻りはないし。
お笑いは悪くはなかったけど、それ以外は総じて普通かそれ以下という印象。
笑いのセンスは悪くなかったと思うのでもうちょっとギャグに近い感じのが良かったんじゃないかと思った。
リペアーランド 杉本壮平
ジャンプNEXT!!2015vol.1で「Zombie Life」を掲載した人。
「キノの旅」みたいな世界で機械だけの国を訪れた旅人が、機械だけの国に1人だけいる少女を連れ出す話。まあ少女に脅迫されて無理矢理連れ出させられてるんだけど。
設定は魅力的なんだけど、実際出来たものを見るとそれほど面白いと思えない不思議。なんか凄くもったいない。
前作は現実と地続きな世界だったから画力もそれなりでよかったけど、完全ファンタジーとなるとちょっと足りない印象がある。
アクションシーンの動きがイマイチわかりにくいのは、こういう脱出ものだと致命的じゃないかなあ。
キャラは主人公もナビロボも少女も敵ロボもよかった。オチも嫌いじゃない。
要素要素で見ると光るものもあるので、後は絵の見やすさかな。
次の作品も楽しみにしたい。
LOVE RUSH 山本亮平
「E-ROBOT」の山本先生最新作。
あらゆる女性からモテモテというとちょっと前にマガジンで「阿部のいる町」がやってたけどこっちは主人公な分、人間味があって好感持てるな。
他に違う点といえば、というかこれがメインな気もするけど、人間だけじゃなくて人外からもモテモテなところか。
最近流行りのモン娘要素を積極的に取り入れる姿勢は評価したい。
前作に続いてラブコメだけど、絵柄をアニメ調からリアル調に寄せてきたのは正解だと思った。
絵が上手くなったってのもあるかもしれないけどこっちのがいいな。
色んな女の子から言い寄られるハーレムだけど、主人公は幼馴染の女の子一筋というのはジャンプらしいラブコメでいい。
明るい天使とクールな幼馴染の対比でそれぞれのヒロインの可愛さが際立っててよかった。
笑顔の幼馴染のページをめくると、泣きながら叫んでる天使が出てくるのは心が揺さぶられた。狙ってるんだろうなきっと。
身を引くヒロインもいじらしいけど、個人的には納得出来ないと叫ぶヒロインのほうが好きだ。
ラブコメものとして素晴らしい出来だった。
ニセコイがそろそろ終わりそうだし十分後釜狙えるんじゃないかな。
変面の宴 二風谷悠人
ジャンプNEXT!!2015vol.3で「MILLION KINGDOM」を掲載した人。
今回はSQで掲載した「変面師」をブラッシュアップしたものかな。確認したら主人公は同じみたいだし。
前作と違って今回は王道なバトルものだけど、それでも凄い面白かった。地力のある人だなあ。
ストーリーラインは確かに王道なんだけど、展開が二転三転して全く予想がつかなかった。
助けた女の子が実は敵だったのは中ボスと戦ったときには裏切らなかったから頭からその可能性が抜けてたし、敵のボスが女の子の父親だったというのは考えもしなかった。
一回裏切るとその前に喋ってたことは全部嘘だと思ってしまう先入観を見事に利用していて素晴らしい。ミスリードが凄い巧みだ。
親玉の語りもリズム感があって台詞のセンスが良かった。内容も単なるテンプレな話じゃなくていい。
絵も割りと上手かった。バトルの迫力はそこまででもなかったけど、ちゃんと何やってるか分かるというのはいいことだ。
主人公の変身後はもうちょっとカッコいい感じでもいいと思うけど、まあ決していいものではないからこれでいいのかな。
間違いなくそのうち本誌に来るだろうし、今回ので来てもおかしくはない。
次の作品も楽しみ。
番外編
ブラクロ……チャーミーの大食いはちゃんと本編でやってから番外編でやればそれなりによかった。本編でやる前から番外編やったのは暴走だよな。
ニセコイ……読者がこんなものを求めてるとでも思ってんのか。千棘は可愛かったです。
ハイキュー……よーわからん。
磯辺……作者紹介ページは面白かった。作中作はもう少し練れなかったのか。
黒子のバスケ EXTRA GAME 藤巻忠俊
エンペラー赤司のアンクルブレイクはついつい笑う。何が面白いんだろうなこれ。
これだけ大技決めてるのに点差がなかなか開かないのは素の実力差なんだろうけど、読んでる側のテンションとは合わないのがソワソワする。
緑間のスカイ・ダイレクト・スリーポイントはやっぱ反則だなあ。オールコートスリーポイントもだけどこっちは防ぎようがないからどうしようもない。
最初から緑間出せよと思うけどまあ体力的に持たないんだろうな。
ラストはナッシュが切り札のエンペラーアイを出すところで終了。次回も楽しみ。
ユートシー 有馬陽平
ジャンプNEXT!!2014vol.2で「マモルくん 疾走参上登場中」を掲載した人。
前作に比べれば絵も成長してるんだけど、それでもこのくらいじゃ厳しい。
悪魔のキャラは憎めない感じで悪くないんだけど、その他が微妙。絵も上手くないし話も大して面白くなかった。
効果線をなぜか多用していて、勢いを出したいのはわかるけど使いすぎててメリハリがない。
台詞の3点リーダーもちょっと使い過ぎだと思う。
絵が古いのが原因なんだと思うけど全体的にぎこちない感じがした。
2作目だし次で化けるかもしれないけど、現時点だとイマイチというよりイマサンくらいだなあ。
UNDEAD-アンデッド- 北村光
ジャンプNEXT!!2014vol.5で「リフレイン」を掲載した人。
正統進化という感じで成長していていい感じ。ますますガンガンぽく、というかハガレンの影響が見え隠れするけど、面白くなってるからアリだろう。
前作より絵が見やすくなってていい感じ。凝ったストーリーはそのままに、内容を読者に伝わりやすしているのも好印象。
ただ主人公が死体だったってオチは、扉絵がカラーだからどう見ても死人なのが最初に分かっちゃうのがマイナスだ。
モノクロだと褐色金髪で脳内変換できるけど、カラーで白髮の黒い肌だと真っ当な人間には見えないわ。
後はネクロマンサーに操られていた死体が、生前の記憶から恋人を攻撃できず、記憶を取り戻して成仏する前に恋人に別れを告げるという展開でハッピーエンドにさせないのは凄いガンガンっぽい。
週刊少年漫画なら普通はハッピーエンドにする流れだよ。その後の生者側に立つ父親と死者の側に立つ主人公の会話も好き。
主人公のやったことは残された者を傷つけただけだという言葉に、死者を未練から解放したんだから前を向けと返す主人公は、価値観が違うことが端的に表れていて良い。
登場人物の死生観がちゃんとネクロマンサーがいる世界らしくてよかった。まあ一回死んだ主人公が死を語るのは一種反則だとは思うけど。
最後の絞り出すような父親の台詞が、理屈は理解できても感情が納得しない感じが出ていて価値観の断絶を感じる。
決して暗くはないのだけどダークな雰囲気を出すことに成功していていい作品。凄く楽しめた。
怪奇77project 高橋翔太
ホラー+αの作品は結構あるけど、ホラーオンリーの作品はなかなか珍しい。
ホラーにしては絵柄が小綺麗だと思うけど、肝心の幽霊がおどろおどろしく描けているので良し。
これだけ気持ち悪い幽霊はなかなか見ないので評価したい。
話はまあ普通のホラーで演出もページをめくると見開きで幽霊のドアップとまあよくあるホラー。ツボは抑えてるから嫌いじゃないけど。
ただ主人公が幽霊の正体を暴くシーンで黒地に白文字をみっしり並べていたのはインパクトあった。これは新しい。
まあ、その後の解決シーンがだるまさんがころんだに勝ち、幽霊の本体を引っ張りだして握りつぶすってのはちょっとどうなんだって気はしたけど。
だるまさんにころんだに勝ったらそのまま消えるじゃダメだったんだろうか。霊能力もない一般人って設定なのだし。
あんまりないジャンルだからウケるのかウケないのかさっぱりわからないけど、絵も綺麗だし話もそれなりだしそこそこ好きな作品だった。
損得カンジョウ 花田智也
物事の損得が見える、損得で行動を決める主人公と天真爛漫なヒロインの話。
主人公が選んできた得の分、ヒロインは損をしているという設定で、なんとなく前号にあった「不幸のトーノ」を髣髴とさせる。
ラブコメは好きだしヒロインは可愛いし主人公も嫌いじゃないのだけど、どうにもそこまで好きにはなれなかった。
ヒロインがあんまり都合良すぎるのが原因かなあ。人間ぽさが少なかった。
もっと感情を剥き出しにするような場面があっても良かったんじゃないかな。
多分勘定に従っていたつもりが感情に従っていたっていうのをやりたかったんだろうけど、こういう言葉遊びは嫌いじゃない。
損得が見えたとしても結局はカンジョウに従うのが一番というテーマも良いと思う。
ところで、主人公が選ぶ得は誰かが損を受けることで成り立ってるんだと思うけど、そうすると主人公の先祖はどうしてたんだろう。適度に損を選んでたんだろうか。
正直前号の「不幸のトーノ」に比べれば一段落ちる印象だけど、新人でこれだけやれれば十分だろうな。
伸びしろもたっぷりあると思うので次を楽しみにしたい。
幽霊のともだち 西水隆弘
グランドトレジャー受賞作でそのまま掲載。
転校して隣の席の生徒に話しかけたつもりが幽霊だったという出だしは凄い面白かった。
絵はあんまり上手くないけど、地味な画風と相まって素朴感があってなんとなく味がある。
まあこれがバトルのある作品に耐えられる絵柄だとは思わないけど、これはこれでありな気がする。
ちゃんと基礎から努力してる感じのする絵で、コマ割りにも工夫が見られるので好感度は割と高い。
話の方は友達になった幽霊を悪霊から引き剥がすところは意外性あったけど、その他はあんまり驚きはなかったかな。
成長すれば伸びそうな感じはするけど、とりあえず今回の作品だと普通以上の印象はなかった。
1年先くらいにまた見るかな。次を楽しみにしたい。
高原の耳長族 sasa
ジャンプルーキーでシルバールーキー賞を獲得した作品をそのまま掲載。
今のところ唯一のシルバールーキー賞受賞作だけあってまあ面白い。
55Pを贅沢に使ってゆったりと世界観を見せていく手法はweb漫画ならでは。ハルタ辺りの青年誌ならともかく、少年誌じゃ絶対できないやり方だ。
ほのぼのともまた違った読み味は独特で新鮮。
物語のピークが調合が特技の主人公の調合した薬で、地割れから飛び出すところというのもまた凄い。
飛び出したところを見開き使ったりしてことさら強調するわけでもないのもよく出来るなあと感心する。
本当に描きたいものを描いてるだけというのが伝わってくるようだ。
絵は文句なく上手いしキャラクターも魅力的。敵も何もないけれど伏線張ってピンチから脱出する流れは自然で上手い。
ジャンプらしさが全くないという点を除けばそりゃ賞取るよなという感じの作品だった。
正直コメントとか見てると連載する気がそもそもあるのか怪しいけど、まあどのみちこれで連載は厳しいだろうし関係ないか。
次またジャンプで描く気があるのか自体わからないけど、どこかしらで次の作品も見てみたいな。
総評
今回も全体的に面白い作品が多かった。
新人枠では「変面の宴」「UNDEAD-アンデッド-」の2つはどっちが本誌に行ってもおかしくないし、「高原の耳長族」も全体的に高水準で楽しめた。
「NANANA!!」「怪奇77profect」「損得カンジョウ」の3つもそれぞれ個性的な武器を持ってるので、また別の作品で近いうちに見ることもありそうだ。
「変面の宴」も「UNDEAD-アンデッド-」も、立ち寄った場所で人助けをする的なプロットでよくあるタイプの話だけど、作りこめばこれだけ面白くなるというのを見せつけられた感じで素晴らしかった。
これだけ読み切り作品が溢れてる中で未だに新鮮味のある展開を作り出せるって凄いと思う。
ただ今回は新人も凄かったけど、連載経験者も凄かった。
三木先生の「ユアストレンジャー」はツボにはまった。こんな新境地も開ける人だったとは。
ロギイのときも独特の哲学を持っていたと思うけど、バトルを絡めなければこんなにも心に沁みる作品を作れるんだなと感動した。
やっていることは大したことはないけれど、そこで交流する者にとってはかけがえがなく大切で、けれど根本的にすれ違っているという雰囲気がもう大好き。
山本先生の「LOVE RUSH」はエロボと同じくラブコメで決して新境地というわけではないけど、前作で失敗した原因だろう露骨なエロ描写を減らしたり、絵柄をリアル調に寄せたりと改良点が明確に見えていて応援したくなる。
前作でもあんな設定なのにやたら地に足の着いた展開ばっかりだったから、きっと真面目な人なんだろうなと思わされる。
女の子の細かい表情は間違いなく前作より良くなっているので、山本先生にはこのまま頑張って欲しい。
連載経験者、NEXT掲載経験者、新人のそれぞれが上手い具合に噛み合って全体的に楽しく読めた。
そろそろつまらなくなるかと思いながらずっと読んでたけど、最近はどの号も面白いしNEXTの平均レベルがこのくらいになったと思っていいいのかな。
次回も面白いと思うので楽しみだ。
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「改造人間ロギイ」の三木先生の新作。最初ロギイの人とはわからなかった。
作風が前作と全然変わっていて、画風も言われればわかるという程度に変わっていたからかなり路線変更したんだなっていう印象。
話は宇宙人と幽霊の少女の交流ものだけど、いや素晴らしい。傑作。
宇宙人の視点から見る人間と幽霊、幽霊の視点から見る人間と宇宙人、人間の視点から見る幽霊と宇宙人とそれぞれの視点がしっかり書けていて美しい。
女の子が除霊されるかと思ったらそんなことはなかったり、人間を驚かせて仕返しするのが目的かと思ったらそうでもなかったりとやっていることは大したことではないんだけど、それぞれの世界ができているから情感がたっぷり。
少女の幽霊なんていることには意味なんてなくて、最後にテレビの前で語ったこともきっと何の意味もないだろうけど、意味がなくてもそこにいればそれでいいというテーマは素敵。
何を変えられるわけじゃなくとも、やったという事実それこそが大切なのだというのが素敵。
宇宙人も幽霊も人間もそれぞれ交じわっていながらすれ違っているところも好きだ。
宇宙人が宇宙語で喋っている、何を言っているかは読者に任せるというところが凄い良かった。
異種族交流ものとして珠玉の出来だと思う。とても良かった。
まあこれで連載が出来るとは思えないけど、何かしら別の作品でまた見てみたい。
NANANA!! 山下尚吾
ジャンプNEXT!!2015vol.3で「Killed boy & Killer girl」を掲載した人。
NEXT!!1GP取ったみたいなのにまたNEXT掲載なのはなんでだろう。
今回も前作と同じくアクションもの。女主人公はジャンプじゃ珍しいかな。
いい女にはホラーと拳銃がよく似合うというコンセプトで実際それだけの作品だと思うけど、このタイプの絵柄でそれを突き詰めると純粋な美しさがあった。最後の銃弾を撃ち込むシーンは見事。
ただこのコンセプトならタバコも吸わせたほうがよりらしかったと思う。
ストーリー的には無難な感じだったけど、最後で少年の墓が出てきたところが流石によくわからない。
一緒にいた少年が実は幽霊だったってオチなんだろうけどどこにそんな伏線があったんだ。
確かに読み返したら少年と神父がまともに会話してなかったけど、一体どの時点で死んでたんだろう。
舞台がパリなのに主人公が日本人だという設定もイマイチ活かされてないように感じた。
細かいところをいえば色々気になるところはあるけど、アクション映画を見る気持ちで読めば楽しめた。
2連続でNEXT1取るってことはないだろうけど、次回作は楽しみ。
ナニワのマジン 植村達也
ジャンプトレジャーで「CYBOZU」を掲載してる人。
ジャンプNEXT!!2015vol.1では「重力ごうをせーす!」を掲載した。
魔界と大阪が繋がって大阪が魔人で溢れたって設定はちょっとクスッと来た。関西弁だとなんか面白いな。
ただそれ以外は普通の勧善懲悪もの。お笑いをギャグ漫画以外で活かそうという発想は買うけど結果に結びついているかというと微妙。
まともにバトルものやるには画力が足りないし、かといって話も助けた相手が実力者でしたとか特に捻りはないし。
お笑いは悪くはなかったけど、それ以外は総じて普通かそれ以下という印象。
笑いのセンスは悪くなかったと思うのでもうちょっとギャグに近い感じのが良かったんじゃないかと思った。
リペアーランド 杉本壮平
ジャンプNEXT!!2015vol.1で「Zombie Life」を掲載した人。
「キノの旅」みたいな世界で機械だけの国を訪れた旅人が、機械だけの国に1人だけいる少女を連れ出す話。まあ少女に脅迫されて無理矢理連れ出させられてるんだけど。
設定は魅力的なんだけど、実際出来たものを見るとそれほど面白いと思えない不思議。なんか凄くもったいない。
前作は現実と地続きな世界だったから画力もそれなりでよかったけど、完全ファンタジーとなるとちょっと足りない印象がある。
アクションシーンの動きがイマイチわかりにくいのは、こういう脱出ものだと致命的じゃないかなあ。
キャラは主人公もナビロボも少女も敵ロボもよかった。オチも嫌いじゃない。
要素要素で見ると光るものもあるので、後は絵の見やすさかな。
次の作品も楽しみにしたい。
LOVE RUSH 山本亮平
「E-ROBOT」の山本先生最新作。
あらゆる女性からモテモテというとちょっと前にマガジンで「阿部のいる町」がやってたけどこっちは主人公な分、人間味があって好感持てるな。
他に違う点といえば、というかこれがメインな気もするけど、人間だけじゃなくて人外からもモテモテなところか。
最近流行りのモン娘要素を積極的に取り入れる姿勢は評価したい。
前作に続いてラブコメだけど、絵柄をアニメ調からリアル調に寄せてきたのは正解だと思った。
絵が上手くなったってのもあるかもしれないけどこっちのがいいな。
色んな女の子から言い寄られるハーレムだけど、主人公は幼馴染の女の子一筋というのはジャンプらしいラブコメでいい。
明るい天使とクールな幼馴染の対比でそれぞれのヒロインの可愛さが際立っててよかった。
笑顔の幼馴染のページをめくると、泣きながら叫んでる天使が出てくるのは心が揺さぶられた。狙ってるんだろうなきっと。
身を引くヒロインもいじらしいけど、個人的には納得出来ないと叫ぶヒロインのほうが好きだ。
ラブコメものとして素晴らしい出来だった。
ニセコイがそろそろ終わりそうだし十分後釜狙えるんじゃないかな。
変面の宴 二風谷悠人
ジャンプNEXT!!2015vol.3で「MILLION KINGDOM」を掲載した人。
今回はSQで掲載した「変面師」をブラッシュアップしたものかな。確認したら主人公は同じみたいだし。
前作と違って今回は王道なバトルものだけど、それでも凄い面白かった。地力のある人だなあ。
ストーリーラインは確かに王道なんだけど、展開が二転三転して全く予想がつかなかった。
助けた女の子が実は敵だったのは中ボスと戦ったときには裏切らなかったから頭からその可能性が抜けてたし、敵のボスが女の子の父親だったというのは考えもしなかった。
一回裏切るとその前に喋ってたことは全部嘘だと思ってしまう先入観を見事に利用していて素晴らしい。ミスリードが凄い巧みだ。
親玉の語りもリズム感があって台詞のセンスが良かった。内容も単なるテンプレな話じゃなくていい。
絵も割りと上手かった。バトルの迫力はそこまででもなかったけど、ちゃんと何やってるか分かるというのはいいことだ。
主人公の変身後はもうちょっとカッコいい感じでもいいと思うけど、まあ決していいものではないからこれでいいのかな。
間違いなくそのうち本誌に来るだろうし、今回ので来てもおかしくはない。
次の作品も楽しみ。
番外編
ブラクロ……チャーミーの大食いはちゃんと本編でやってから番外編でやればそれなりによかった。本編でやる前から番外編やったのは暴走だよな。
ニセコイ……読者がこんなものを求めてるとでも思ってんのか。千棘は可愛かったです。
ハイキュー……よーわからん。
磯辺……作者紹介ページは面白かった。作中作はもう少し練れなかったのか。
黒子のバスケ EXTRA GAME 藤巻忠俊
エンペラー赤司のアンクルブレイクはついつい笑う。何が面白いんだろうなこれ。
これだけ大技決めてるのに点差がなかなか開かないのは素の実力差なんだろうけど、読んでる側のテンションとは合わないのがソワソワする。
緑間のスカイ・ダイレクト・スリーポイントはやっぱ反則だなあ。オールコートスリーポイントもだけどこっちは防ぎようがないからどうしようもない。
最初から緑間出せよと思うけどまあ体力的に持たないんだろうな。
ラストはナッシュが切り札のエンペラーアイを出すところで終了。次回も楽しみ。
ユートシー 有馬陽平
ジャンプNEXT!!2014vol.2で「マモルくん 疾走参上登場中」を掲載した人。
前作に比べれば絵も成長してるんだけど、それでもこのくらいじゃ厳しい。
悪魔のキャラは憎めない感じで悪くないんだけど、その他が微妙。絵も上手くないし話も大して面白くなかった。
効果線をなぜか多用していて、勢いを出したいのはわかるけど使いすぎててメリハリがない。
台詞の3点リーダーもちょっと使い過ぎだと思う。
絵が古いのが原因なんだと思うけど全体的にぎこちない感じがした。
2作目だし次で化けるかもしれないけど、現時点だとイマイチというよりイマサンくらいだなあ。
UNDEAD-アンデッド- 北村光
ジャンプNEXT!!2014vol.5で「リフレイン」を掲載した人。
正統進化という感じで成長していていい感じ。ますますガンガンぽく、というかハガレンの影響が見え隠れするけど、面白くなってるからアリだろう。
前作より絵が見やすくなってていい感じ。凝ったストーリーはそのままに、内容を読者に伝わりやすしているのも好印象。
ただ主人公が死体だったってオチは、扉絵がカラーだからどう見ても死人なのが最初に分かっちゃうのがマイナスだ。
モノクロだと褐色金髪で脳内変換できるけど、カラーで白髮の黒い肌だと真っ当な人間には見えないわ。
後はネクロマンサーに操られていた死体が、生前の記憶から恋人を攻撃できず、記憶を取り戻して成仏する前に恋人に別れを告げるという展開でハッピーエンドにさせないのは凄いガンガンっぽい。
週刊少年漫画なら普通はハッピーエンドにする流れだよ。その後の生者側に立つ父親と死者の側に立つ主人公の会話も好き。
主人公のやったことは残された者を傷つけただけだという言葉に、死者を未練から解放したんだから前を向けと返す主人公は、価値観が違うことが端的に表れていて良い。
登場人物の死生観がちゃんとネクロマンサーがいる世界らしくてよかった。まあ一回死んだ主人公が死を語るのは一種反則だとは思うけど。
最後の絞り出すような父親の台詞が、理屈は理解できても感情が納得しない感じが出ていて価値観の断絶を感じる。
決して暗くはないのだけどダークな雰囲気を出すことに成功していていい作品。凄く楽しめた。
怪奇77project 高橋翔太
ホラー+αの作品は結構あるけど、ホラーオンリーの作品はなかなか珍しい。
ホラーにしては絵柄が小綺麗だと思うけど、肝心の幽霊がおどろおどろしく描けているので良し。
これだけ気持ち悪い幽霊はなかなか見ないので評価したい。
話はまあ普通のホラーで演出もページをめくると見開きで幽霊のドアップとまあよくあるホラー。ツボは抑えてるから嫌いじゃないけど。
ただ主人公が幽霊の正体を暴くシーンで黒地に白文字をみっしり並べていたのはインパクトあった。これは新しい。
まあ、その後の解決シーンがだるまさんがころんだに勝ち、幽霊の本体を引っ張りだして握りつぶすってのはちょっとどうなんだって気はしたけど。
だるまさんにころんだに勝ったらそのまま消えるじゃダメだったんだろうか。霊能力もない一般人って設定なのだし。
あんまりないジャンルだからウケるのかウケないのかさっぱりわからないけど、絵も綺麗だし話もそれなりだしそこそこ好きな作品だった。
損得カンジョウ 花田智也
物事の損得が見える、損得で行動を決める主人公と天真爛漫なヒロインの話。
主人公が選んできた得の分、ヒロインは損をしているという設定で、なんとなく前号にあった「不幸のトーノ」を髣髴とさせる。
ラブコメは好きだしヒロインは可愛いし主人公も嫌いじゃないのだけど、どうにもそこまで好きにはなれなかった。
ヒロインがあんまり都合良すぎるのが原因かなあ。人間ぽさが少なかった。
もっと感情を剥き出しにするような場面があっても良かったんじゃないかな。
多分勘定に従っていたつもりが感情に従っていたっていうのをやりたかったんだろうけど、こういう言葉遊びは嫌いじゃない。
損得が見えたとしても結局はカンジョウに従うのが一番というテーマも良いと思う。
ところで、主人公が選ぶ得は誰かが損を受けることで成り立ってるんだと思うけど、そうすると主人公の先祖はどうしてたんだろう。適度に損を選んでたんだろうか。
正直前号の「不幸のトーノ」に比べれば一段落ちる印象だけど、新人でこれだけやれれば十分だろうな。
伸びしろもたっぷりあると思うので次を楽しみにしたい。
幽霊のともだち 西水隆弘
グランドトレジャー受賞作でそのまま掲載。
転校して隣の席の生徒に話しかけたつもりが幽霊だったという出だしは凄い面白かった。
絵はあんまり上手くないけど、地味な画風と相まって素朴感があってなんとなく味がある。
まあこれがバトルのある作品に耐えられる絵柄だとは思わないけど、これはこれでありな気がする。
ちゃんと基礎から努力してる感じのする絵で、コマ割りにも工夫が見られるので好感度は割と高い。
話の方は友達になった幽霊を悪霊から引き剥がすところは意外性あったけど、その他はあんまり驚きはなかったかな。
成長すれば伸びそうな感じはするけど、とりあえず今回の作品だと普通以上の印象はなかった。
1年先くらいにまた見るかな。次を楽しみにしたい。
高原の耳長族 sasa
ジャンプルーキーでシルバールーキー賞を獲得した作品をそのまま掲載。
今のところ唯一のシルバールーキー賞受賞作だけあってまあ面白い。
55Pを贅沢に使ってゆったりと世界観を見せていく手法はweb漫画ならでは。ハルタ辺りの青年誌ならともかく、少年誌じゃ絶対できないやり方だ。
ほのぼのともまた違った読み味は独特で新鮮。
物語のピークが調合が特技の主人公の調合した薬で、地割れから飛び出すところというのもまた凄い。
飛び出したところを見開き使ったりしてことさら強調するわけでもないのもよく出来るなあと感心する。
本当に描きたいものを描いてるだけというのが伝わってくるようだ。
絵は文句なく上手いしキャラクターも魅力的。敵も何もないけれど伏線張ってピンチから脱出する流れは自然で上手い。
ジャンプらしさが全くないという点を除けばそりゃ賞取るよなという感じの作品だった。
正直コメントとか見てると連載する気がそもそもあるのか怪しいけど、まあどのみちこれで連載は厳しいだろうし関係ないか。
次またジャンプで描く気があるのか自体わからないけど、どこかしらで次の作品も見てみたいな。
総評
今回も全体的に面白い作品が多かった。
新人枠では「変面の宴」「UNDEAD-アンデッド-」の2つはどっちが本誌に行ってもおかしくないし、「高原の耳長族」も全体的に高水準で楽しめた。
「NANANA!!」「怪奇77profect」「損得カンジョウ」の3つもそれぞれ個性的な武器を持ってるので、また別の作品で近いうちに見ることもありそうだ。
「変面の宴」も「UNDEAD-アンデッド-」も、立ち寄った場所で人助けをする的なプロットでよくあるタイプの話だけど、作りこめばこれだけ面白くなるというのを見せつけられた感じで素晴らしかった。
これだけ読み切り作品が溢れてる中で未だに新鮮味のある展開を作り出せるって凄いと思う。
ただ今回は新人も凄かったけど、連載経験者も凄かった。
三木先生の「ユアストレンジャー」はツボにはまった。こんな新境地も開ける人だったとは。
ロギイのときも独特の哲学を持っていたと思うけど、バトルを絡めなければこんなにも心に沁みる作品を作れるんだなと感動した。
やっていることは大したことはないけれど、そこで交流する者にとってはかけがえがなく大切で、けれど根本的にすれ違っているという雰囲気がもう大好き。
山本先生の「LOVE RUSH」はエロボと同じくラブコメで決して新境地というわけではないけど、前作で失敗した原因だろう露骨なエロ描写を減らしたり、絵柄をリアル調に寄せたりと改良点が明確に見えていて応援したくなる。
前作でもあんな設定なのにやたら地に足の着いた展開ばっかりだったから、きっと真面目な人なんだろうなと思わされる。
女の子の細かい表情は間違いなく前作より良くなっているので、山本先生にはこのまま頑張って欲しい。
連載経験者、NEXT掲載経験者、新人のそれぞれが上手い具合に噛み合って全体的に楽しく読めた。
そろそろつまらなくなるかと思いながらずっと読んでたけど、最近はどの号も面白いしNEXTの平均レベルがこのくらいになったと思っていいいのかな。
次回も面白いと思うので楽しみだ。
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