2011/12/29(木)
ジャンプNEXT!2012WINTER
グッドルーザー球磨川 原作:西尾維新 作画:暁月あきら
めだかボックスのスピンオフ。連載経験者枠がこれのせいかなくなってしまったのが残念。
爽やかなカラー見開きで何事かと思ったけど、中身はしっかりしてて安心した。
まあそれでも登場初期の球磨川に比べたらだいぶ過負荷要素が薄れている気もする。前日譚のはずなのに。
内容としては廃校になるまでをやると思ったので、そこまで行かなかったのは肩透かし感。もっとも刀語で前科はあるわけだけど。
後スキルってなんかこう違うよね。少なくとも一般の学校にいる人間がポンポン持ってるようなもんじゃないよね。
特別ですら持ってない、異常じゃないと持ってないようなものなのになぜそれを持っている人間が一般の学校に何人もいるのか。それも球磨川に対抗できるようなレベルのものが。
ともあれ人気を持って連載してるコンビだけあって、話のテンポの絵の見やすさも新人とはレベルが違うなと改めて感じる。
口調が変化してる規則は気になるなあ。意味が読み取れる程度に崩しているのはさすが。
それと「大嘘憑き」で時間をなかったことにしているのは知らなかった。ただ「却本作り」のときも中学生に似たようなことしてなかったか?
後奇跡を操るスキルがダメ扱いされるのはわけわからん。いや西尾維新だといえばそうだけど。
終わらせかた的にノベライズでもするんかなあ。まあめだかがそれなりに好きなので楽しめた。
GHOSTRONG 大須賀玄
ベタベタすぎる。いや王道はいいんだけど、ならキャラを魅力的にしないと。
画力構成力など基本的な部分の力は今回の中でもトップレベルで十分あるだけにもったいない。もっとよく出来るだろうに。
今回では貴重なバトル漫画ということで評価したい気持ちはあるんだけど、さすがにこの展開は増刊で何度もあって見飽きてる。
主人公にもうちょっと好感が持てるようならまた違うんだけど、テンプレのちょっといいやつを抜け出せていない。
正直読者としてはどうせ強い奴と戦いたいだけじゃないってのはわかってるんだから、大したカタルシスにもならないし。
……まあ小学生とかならそうでもないのかなあ。なんか舐めすぎな気もするけど……
いずれにせよキャラの魅力が薄いので、それをどうにかして欲しいと思った。
読み切りとしてはまあ嫌いじゃないけど、連載したら10週でサヨナラかなと、そんな印象だった。
GBS 原作:渡部恒造 作画:福田エイヂ
福田エイヂえー3作目? 今度は原作付き。良い判断だったと思う。
宇宙人が野球を好きというのはどうしてもレベルEを思い出したけど、野球界を操っているという設定なので被っている感じはしなかった。
原作と作画を分けているだけあってスポーツらしく躍動感のある素晴らしい絵。これも成長を感じる。
話も好み。甘い餌をちらつかされながら、それでも克己するというのが大好き。
ジャイロを投げたところはさすがに笑ったけど、リアルじゃない分前回の全球フォークに比べれば、それこそ笑って流せるレベル。
結局チートじゃねという意見もあるだろうけど、努力してきたという下地がある分説得力がかけてはいないと思う。
最後の男の真剣勝負~のくだりがとてもよかった。
キャラクターも主人公ヒロインに好感が持てるし、敵役の女もいいビッチさというか、不快じゃないやなやつで感情移入出来た。
先輩のキャラ立ちが薄いとは思ったけど、まあ読み切りだししょうがないかなと思える。
作画というのが本人にとってどうなのかわからないけど、この絵のスポーツは連載でしっかり見たいので、今後も注目したい。
すずもり。 青戸成
この人も多いなあ。とりあえず主人公もヒロインもヘアスタイルなんとかならんのか。
見た目置いといてもこの話は……いやネガティブだから死神の呪いを避けられるっていうハッタリはいいんだけど、最後和解しちゃダメでしょ。
和解の過程が簡単すぎるし、何よりお守りに入ってたのって死んだ母親との繋がりであるへその緒でしょ?
それ自体に大した価値はないけど、だからといってそれを壊した死神と和気あいあいとして関係を築くってどうなんだ。
今まで自分が置かれていた境遇の原因であるやつなわけだし、主人公といるのが楽しくても=死神もいないとってなるのが納得行かない。
改心するには嫌なやつに描きすぎたんじゃないかなと思う。
ただまあ執事が途中から登場しなくなることで、逆説的にヒロインを思っていることを表現してるのは上手いなと思った。
話にだいぶ文句を言ったけど、逆にそれ以外の部分、絵とか演出とかは本誌にいても遜色ないと思うので、話をもっと違和感なく読めるようなものにして欲しいなと思った。
IRON CURTAIN 屋宜知宏
だいたい絵柄をみて想像した通りの雰囲気だったんだけど、その出来が素晴らしかった。
悪役な上官、尊敬できる上司、真っ直ぐな主人公と基本を抑えたキャラ作りながらその見せ方が非常に上手く、すんなり物語に入れるし、話に深みも感じる。
捕虜となった敵兵との話も軽妙で、最後の展開を素直に受け入れられるように好感度を上げてくれている。
間のとり方が特に上手くて、トーチカ制圧のところのあっけにとられた感じとか、ヒロインが詰問されているところの、一度目のページめくりで心を折り、二度目のページめくりで男を魅せる。そういう「本」の使い方が素晴らしい。
何度か本誌でも連載作家が言っているようなことだけど、こうやって実現している人はそうそういないんじゃないだろうか。
絵はまあ見ての通りそんな上手くないんだけど、戦闘シーンが見やすいし、後一瞬を切り取った絵というか、そういうのが印象的だったので、いい武器持ってるなーと思った。というか単に画風か。下手ではないな。
後はまあ単純にヒロインが可愛い。泣いてるところと最後の笑顔の破壊力が高い。なんでこの絵でこんな可愛く感じるのか不思議。
主人公がワンマンアーミーすぎたけど、それが気にならないくらいには面白い。
総じて、読み切りとしての完成度がとても高く素晴らしい作品だった。ジャンプよりアフタヌーンとかのほうが向いてる気もするけど、まあ手塚賞取っているのだし評価はされているのか。
葦原先生みたいに連載になれるかな。今回の作品は読み切り限定だと思うので、新作が楽しみ。今後も期待。
ただ1つだけ、詰問までの流れはあの発言がまずいなら、発言→味方になるじゃなくて、味方になる→発言じゃないとおかしくないだろうか。そこだけ気になった。
ヒキコモリパワードメタルジャック! 原作:ひなたしょう 作画:高山としのり
SQLaBにもあった宣伝漫画。LaBとほとんど同じじゃないか?
後作画の人ハチメガデスの人なのか。オリジナルで見たかったしもったいないと思うけど、まあジャンプでは難しいか……
最強ジャンプではリボーンのスピンオフやっているみたいなので、今後見ることもあるかな?
宣伝としてはどういう話なのかさっぱりわからないので失格だと思う。
番外編
ニセコイ……面白かった。デフォルメが上手い人は4コマ向いてる気がする。
スケダン……えーと、なぜこのチョイス。ともあれπ/レベルのネタだなあ。まあ%出せるのはプロだなと思うけど。
ぬらり……腹黒いつららはよかった。ただまあ昔に比べるとつまらなくなってるなあ
クロガネ……サービスカットには全く興奮しなかったけど、ネタ自体はそこそこ好み。効果音がよし。
magico……ほんわかした話。作風にあってるけど、サービスシーンはこっちでこそ見たかった。
ST&RS……そもそもキャラ立ちしてない作品だと思ってるので、4コマやられてもちょっと弱い。てかせめて主役3人組メインにしろよ。
斉木楠雄……便利屋なのか期待されているのか。ギャグマンガだけあって中々。
パッキー……メタネタは卑怯。しかし面白かったのは認める。
ZOMBIE SMILE 平尾友秀
あくゆうの人。いやまあ確かに前より画力向上してるけどさあ……
話自体もダメなハガレンという印象を受けたし、それ以前に絵がとてもシリアスに耐えられるレベルじゃなくて陳腐に見えてしまう。
まあハガレンと同じなのはインチキ教祖、死者蘇生という禁忌、人質くらいだからありふれてるっちゃありふれてるんだけどね。
絵はIRONと違って口とか半端にリアルに描こうとしてるから体とかとのチグハグさがどうしても気になる。
正直これで可愛いヒロインを強調されても失笑してしまう。
まあ何か表現したいことがあるのは感じるし、それは凄くいいことだと思うので絵をどうにか。
オチのレコードは素晴らしかったので伸びて欲しいなとは思うんだけど、あくゆうからこの絵だと僕の好みにはならないだろうな。
馬車馬カルテット 今本真太郎
独特の世界観を作るのがうまいなと感じた。ただ話はちょっとなあ。
説教臭いというか、無駄に嫌味でイライラする。なんでこう露悪的にするんだろう。
後半のバトルのカタルシスのためなのはわかるけど、正直そんな爽快感はなかった。モノローグが変に多いからかな。
最後軽くどついて済ませるのは確かにいいんだけど、それまでがネバつくような嫌な印象を受けた。
その前に多少昔の正義を思い出すみたいなシーンを入れてもよかったんじゃないかなあ。まあ陳腐感は否めないけど。
ただおっさんの絵をしっかりと描けるのはいい武器だと思うし、話自体も合わないだけでつまらなくはないと思う。
世界観作りはうまいと思うし、新人とは思えないくらいにはよくできてはいると思うので、路線このまま今後には期待したい。嫌味のあり過ぎない話が好きだ。
総じていうと、少年誌の中で青年誌を無理にやろうとしなくてもいいんじゃないかなと思った。
恋のキューピッド 焼野原塵 長谷川智宏
あれ、今回2人目のともひろ? 一冊でペンネームが被ることなんてあるんだな。
前回もNEXTのギャグの割に面白いなーと思ったけど、今回はさらにすごかった。特にこれは凄まじい。
最近ミサワの影響かシュール系が増えて辟易してたので今回のこれは勢い系でかつ何度も笑えたので嬉しかった。
若干一発ネタなきらいはあるけど、ジャンプの増刊でこれだけ笑えるとは思わなかった。
ヘタウマな感じの絵が作風とよくマッチしていた。勢いのツッコミとか後半の無駄に王道なシリアスとか。
主人公の顔がときおり濃くなって、焼野原と合わせて画面がしつこくなるような気もしたけど、ちょっとのマイナスがあれとても面白かった。
前半のボケツッコミとか、後半の展開も含めて銀魂に似たものを感じた。後継者になれるか。
……いやまあラブコメだし、そもそもの設定からしても大きいお姉様がたはつかないだろうからちょっと違うけど。
なんにせよ本誌に来るレベルではなかろうか。凄く笑えた。
九十九-ツクモ- 池田恵介
今回少なかったバトル漫画の一つ。ヒロインがいないという点が大胆だなと感じた。
そのぶん話がスムーズになった印象はある。ただまあやっぱ寂しい。
王道から少し逸れた話作りで、そういう点ではGHOSTを上回ってると思うんだけど、反面それ以外の面ではあまり優れたものを感じなかった。
構成とか演出とかのネームの作り方はいいと思うんだけど、なんとなく小さくまとまってしまっている印象。
後は人形が誤解を元にガチで殺しにくるのはちょっと怖かった。
主人公とその友人の関係性は割と好みなんだけど、個々のキャラで見ると印象が薄かったかな。
ただ正当に成長すればまた見ることもあるだろうしそのときを楽しみにしたい。
クロス・マネジ KAITO
今回の純粋なラブコメ枠。というか青春モノか。ともかく素晴らしい作品。
演出とかコマ割りとか大胆……というか少女漫画の技法なのかな。
ともあれあんまり少年誌では見ないような見せ方をしていながらとても見やすく、気持ちよく読むことが出来た。
キャラクターの心理描写が細やかなので感情移入がしやすく、話にスッと入っていける。
試合の前のところの時間の流し方も上手かった。
絵自体そこまでうまいってわけじゃないんだけど、見せ方がともかくうまいので印象を何倍にも高めている。
パンツ見られて怒ったところ、いたずらっぽく笑うところ、ラクロスしたくて涙を流したところ、嬉しくて抱きついたところ、ゴールを決めたところ、そのあと喜ぶところ。
キャラクター、特にヒロインの表情がとても豊かで、見ていてこっちまでそれにつられた気分になれる。顔のアップの使い方が巧み。
デフォルメとか含めて漫画が上手いという感じ。本誌にいてもなんの遜色もない。
後は主人公が最後サッカー部に戻ったのが素晴らしい。そうじゃなきゃ流れ的におかしいよね。
前弓道の読み切りの「サジタリ」で、主人公が似たような流れで元の部活に戻らずに弓道部に残ったのがどうかなーと思ったので、今回のこれはより嬉しかった。
ラブコメが好きなので、レベルの高い作品がまた見れて嬉しい。
パンダキョウ 黒田いずま
Gカップでバスの漫画で受賞していた人。
その時から独特の世界を作る人だなーと思ってたら、今回はさらに磨きをかけてきた。
中年のおっさんがパンダになったという設定からここまでふくらませてくるとは。
長くなったけどツッコミにも磨きがかかっているし、ダレることもなかった。
サラリーマン力で解決するところがクスっと来た。
絵もそれなりに上手いしギャグも面白いしいい作品だなー。
個人的には焼野原のほうが好みだけど、ここまでレベルの高いギャグが2つも揃った事自体が素晴らしい。
まあ作者にとっては不運だったんだろうけど。パッキーの前にどちらかが出ていればと思わざるをえない。
連載にも耐えうる作品だと思うので、今後またどこかで見るときを楽しみにしたい。
メガトンチェリー 羽田豊隆
最近1つはあるオタク枠。さすがに女の子が可愛い。絵もすっきりしていて見やすい。
ただその割にサービスシーンがないのは拍子抜け。設定だけ童貞だのなんだのやられてもなあ。
話自体はまあ普通にある王道なので好み。絵が綺麗な分まあそれなりに面白く読むことが出来た。
読み切りの段階でしっかりダブルヒロインを確立出来ているところはいいかな。
全体的には設定が先走っていた印象。ネタが無駄に下ネタに走ってるのがあんまり好感持てない。ゴムとかAV出す必要あったか?
後はおっぱいがいつぞやの暁月先生並みに固いのが気になった。もうちょっと柔らかい雰囲気が出せたほうがいいなと思う。
主人公の変身後はわざとなんだろうけどダサいなー。丸いのがなんか重い。
実際どうとか置いといて、ダサユキという名前は連載になったらちょっとなーとか思った。
とりあえず弾けるならもっと弾けて欲しいかなと思った。ちょっとおとなしすぎた印象。
ǝnígmǝ【エニグマ】 榊健滋
完結編。ああ、やりたいことがたくさんあったんだなと。
いくらなんでも駆け足すぎなのであまり内容に踏み込むことはしないけど、ともかくしっかりまとまった感じなのはよかった。
なんで思い出したのかとか七不思議って何なのとかあるけど、まあファンの人にはしっかり完結してくれて嬉しいのかなと思う。
毎週なんとなく追っていたのだけど、それだとほとんどわからなかったので、次回はわかりやすい作品にして欲しいと思った。
総評
新世代杯と銘打っているだけあって各作品レベルの高いものだった。
去年の冬もそうだけど、夏から期間が開いているからか冬はレベルが高いなあ。
飛び抜けてこれが素晴らしい!! と思うような作品は正直なかったけれども、本誌でそのまま見たいなと思える作品がいくつかあっただけで十分買った価値があったと思う。
読み切りの完成度としてはIRONが一歩抜けているかなという印象。次点がマネジか。
衝撃だったのは焼野原。ジャンプ増刊のギャグでこんな作品に出会えるとは。
GBSも野球好きということ抜きにしても面白かったと思う。パンダは現状で、馬車馬は今後のに期待が持てる。他は今一歩な印象。
連載陣が今ひとつだった分、新人達がしっかり活躍してくれたのがとても嬉しい。本誌に来て欲しいな。
今回は一つ選べというのがとても難しい。こんなときに新世代杯やるなとも思うけど、だからこそレベルが高いってのもあるんだろうなあ。
今回埋もれてしまったような人でもまた見る機会があれば嬉しいなと思う。
一点集中はいいんだけど、アンケートシステムだとどうしても優劣がついてしまうのがもったいない。
GBS、IRON、焼野原、マネジ、パンダのどれも本誌で見たいレベル。
去年の出来に比べれば平均はさすがに落ちるけど、これらは去年と比べても遜色ない。
全体的に王道を行く作品が多かった印象。IRONですら実際王道だしなあ。
邪道はハイリスクミドルリターンだと思うので難しい面はあるだろうけど、何本かないと寂しい。
いやつまんなきゃつまんないで夏みたいに文句言うんだけど。
ともあれ今回は面白かった。440円以上の価値は間違いなくある。
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めだかボックスのスピンオフ。連載経験者枠がこれのせいかなくなってしまったのが残念。
爽やかなカラー見開きで何事かと思ったけど、中身はしっかりしてて安心した。
まあそれでも登場初期の球磨川に比べたらだいぶ過負荷要素が薄れている気もする。前日譚のはずなのに。
内容としては廃校になるまでをやると思ったので、そこまで行かなかったのは肩透かし感。もっとも刀語で前科はあるわけだけど。
後スキルってなんかこう違うよね。少なくとも一般の学校にいる人間がポンポン持ってるようなもんじゃないよね。
特別ですら持ってない、異常じゃないと持ってないようなものなのになぜそれを持っている人間が一般の学校に何人もいるのか。それも球磨川に対抗できるようなレベルのものが。
ともあれ人気を持って連載してるコンビだけあって、話のテンポの絵の見やすさも新人とはレベルが違うなと改めて感じる。
口調が変化してる規則は気になるなあ。意味が読み取れる程度に崩しているのはさすが。
それと「大嘘憑き」で時間をなかったことにしているのは知らなかった。ただ「却本作り」のときも中学生に似たようなことしてなかったか?
後奇跡を操るスキルがダメ扱いされるのはわけわからん。いや西尾維新だといえばそうだけど。
終わらせかた的にノベライズでもするんかなあ。まあめだかがそれなりに好きなので楽しめた。
GHOSTRONG 大須賀玄
ベタベタすぎる。いや王道はいいんだけど、ならキャラを魅力的にしないと。
画力構成力など基本的な部分の力は今回の中でもトップレベルで十分あるだけにもったいない。もっとよく出来るだろうに。
今回では貴重なバトル漫画ということで評価したい気持ちはあるんだけど、さすがにこの展開は増刊で何度もあって見飽きてる。
主人公にもうちょっと好感が持てるようならまた違うんだけど、テンプレのちょっといいやつを抜け出せていない。
正直読者としてはどうせ強い奴と戦いたいだけじゃないってのはわかってるんだから、大したカタルシスにもならないし。
……まあ小学生とかならそうでもないのかなあ。なんか舐めすぎな気もするけど……
いずれにせよキャラの魅力が薄いので、それをどうにかして欲しいと思った。
読み切りとしてはまあ嫌いじゃないけど、連載したら10週でサヨナラかなと、そんな印象だった。
GBS 原作:渡部恒造 作画:福田エイヂ
福田エイヂえー3作目? 今度は原作付き。良い判断だったと思う。
宇宙人が野球を好きというのはどうしてもレベルEを思い出したけど、野球界を操っているという設定なので被っている感じはしなかった。
原作と作画を分けているだけあってスポーツらしく躍動感のある素晴らしい絵。これも成長を感じる。
話も好み。甘い餌をちらつかされながら、それでも克己するというのが大好き。
ジャイロを投げたところはさすがに笑ったけど、リアルじゃない分前回の全球フォークに比べれば、それこそ笑って流せるレベル。
結局チートじゃねという意見もあるだろうけど、努力してきたという下地がある分説得力がかけてはいないと思う。
最後の男の真剣勝負~のくだりがとてもよかった。
キャラクターも主人公ヒロインに好感が持てるし、敵役の女もいいビッチさというか、不快じゃないやなやつで感情移入出来た。
先輩のキャラ立ちが薄いとは思ったけど、まあ読み切りだししょうがないかなと思える。
作画というのが本人にとってどうなのかわからないけど、この絵のスポーツは連載でしっかり見たいので、今後も注目したい。
すずもり。 青戸成
この人も多いなあ。とりあえず主人公もヒロインもヘアスタイルなんとかならんのか。
見た目置いといてもこの話は……いやネガティブだから死神の呪いを避けられるっていうハッタリはいいんだけど、最後和解しちゃダメでしょ。
和解の過程が簡単すぎるし、何よりお守りに入ってたのって死んだ母親との繋がりであるへその緒でしょ?
それ自体に大した価値はないけど、だからといってそれを壊した死神と和気あいあいとして関係を築くってどうなんだ。
今まで自分が置かれていた境遇の原因であるやつなわけだし、主人公といるのが楽しくても=死神もいないとってなるのが納得行かない。
改心するには嫌なやつに描きすぎたんじゃないかなと思う。
ただまあ執事が途中から登場しなくなることで、逆説的にヒロインを思っていることを表現してるのは上手いなと思った。
話にだいぶ文句を言ったけど、逆にそれ以外の部分、絵とか演出とかは本誌にいても遜色ないと思うので、話をもっと違和感なく読めるようなものにして欲しいなと思った。
IRON CURTAIN 屋宜知宏
だいたい絵柄をみて想像した通りの雰囲気だったんだけど、その出来が素晴らしかった。
悪役な上官、尊敬できる上司、真っ直ぐな主人公と基本を抑えたキャラ作りながらその見せ方が非常に上手く、すんなり物語に入れるし、話に深みも感じる。
捕虜となった敵兵との話も軽妙で、最後の展開を素直に受け入れられるように好感度を上げてくれている。
間のとり方が特に上手くて、トーチカ制圧のところのあっけにとられた感じとか、ヒロインが詰問されているところの、一度目のページめくりで心を折り、二度目のページめくりで男を魅せる。そういう「本」の使い方が素晴らしい。
何度か本誌でも連載作家が言っているようなことだけど、こうやって実現している人はそうそういないんじゃないだろうか。
絵はまあ見ての通りそんな上手くないんだけど、戦闘シーンが見やすいし、後一瞬を切り取った絵というか、そういうのが印象的だったので、いい武器持ってるなーと思った。というか単に画風か。下手ではないな。
後はまあ単純にヒロインが可愛い。泣いてるところと最後の笑顔の破壊力が高い。なんでこの絵でこんな可愛く感じるのか不思議。
主人公がワンマンアーミーすぎたけど、それが気にならないくらいには面白い。
総じて、読み切りとしての完成度がとても高く素晴らしい作品だった。ジャンプよりアフタヌーンとかのほうが向いてる気もするけど、まあ手塚賞取っているのだし評価はされているのか。
葦原先生みたいに連載になれるかな。今回の作品は読み切り限定だと思うので、新作が楽しみ。今後も期待。
ただ1つだけ、詰問までの流れはあの発言がまずいなら、発言→味方になるじゃなくて、味方になる→発言じゃないとおかしくないだろうか。そこだけ気になった。
ヒキコモリパワードメタルジャック! 原作:ひなたしょう 作画:高山としのり
SQLaBにもあった宣伝漫画。LaBとほとんど同じじゃないか?
後作画の人ハチメガデスの人なのか。オリジナルで見たかったしもったいないと思うけど、まあジャンプでは難しいか……
最強ジャンプではリボーンのスピンオフやっているみたいなので、今後見ることもあるかな?
宣伝としてはどういう話なのかさっぱりわからないので失格だと思う。
番外編
ニセコイ……面白かった。デフォルメが上手い人は4コマ向いてる気がする。
スケダン……えーと、なぜこのチョイス。ともあれπ/レベルのネタだなあ。まあ%出せるのはプロだなと思うけど。
ぬらり……腹黒いつららはよかった。ただまあ昔に比べるとつまらなくなってるなあ
クロガネ……サービスカットには全く興奮しなかったけど、ネタ自体はそこそこ好み。効果音がよし。
magico……ほんわかした話。作風にあってるけど、サービスシーンはこっちでこそ見たかった。
ST&RS……そもそもキャラ立ちしてない作品だと思ってるので、4コマやられてもちょっと弱い。てかせめて主役3人組メインにしろよ。
斉木楠雄……便利屋なのか期待されているのか。ギャグマンガだけあって中々。
パッキー……メタネタは卑怯。しかし面白かったのは認める。
ZOMBIE SMILE 平尾友秀
あくゆうの人。いやまあ確かに前より画力向上してるけどさあ……
話自体もダメなハガレンという印象を受けたし、それ以前に絵がとてもシリアスに耐えられるレベルじゃなくて陳腐に見えてしまう。
まあハガレンと同じなのはインチキ教祖、死者蘇生という禁忌、人質くらいだからありふれてるっちゃありふれてるんだけどね。
絵はIRONと違って口とか半端にリアルに描こうとしてるから体とかとのチグハグさがどうしても気になる。
正直これで可愛いヒロインを強調されても失笑してしまう。
まあ何か表現したいことがあるのは感じるし、それは凄くいいことだと思うので絵をどうにか。
オチのレコードは素晴らしかったので伸びて欲しいなとは思うんだけど、あくゆうからこの絵だと僕の好みにはならないだろうな。
馬車馬カルテット 今本真太郎
独特の世界観を作るのがうまいなと感じた。ただ話はちょっとなあ。
説教臭いというか、無駄に嫌味でイライラする。なんでこう露悪的にするんだろう。
後半のバトルのカタルシスのためなのはわかるけど、正直そんな爽快感はなかった。モノローグが変に多いからかな。
最後軽くどついて済ませるのは確かにいいんだけど、それまでがネバつくような嫌な印象を受けた。
その前に多少昔の正義を思い出すみたいなシーンを入れてもよかったんじゃないかなあ。まあ陳腐感は否めないけど。
ただおっさんの絵をしっかりと描けるのはいい武器だと思うし、話自体も合わないだけでつまらなくはないと思う。
世界観作りはうまいと思うし、新人とは思えないくらいにはよくできてはいると思うので、路線このまま今後には期待したい。嫌味のあり過ぎない話が好きだ。
総じていうと、少年誌の中で青年誌を無理にやろうとしなくてもいいんじゃないかなと思った。
恋のキューピッド 焼野原塵 長谷川智宏
あれ、今回2人目のともひろ? 一冊でペンネームが被ることなんてあるんだな。
前回もNEXTのギャグの割に面白いなーと思ったけど、今回はさらにすごかった。特にこれは凄まじい。
最近ミサワの影響かシュール系が増えて辟易してたので今回のこれは勢い系でかつ何度も笑えたので嬉しかった。
若干一発ネタなきらいはあるけど、ジャンプの増刊でこれだけ笑えるとは思わなかった。
ヘタウマな感じの絵が作風とよくマッチしていた。勢いのツッコミとか後半の無駄に王道なシリアスとか。
主人公の顔がときおり濃くなって、焼野原と合わせて画面がしつこくなるような気もしたけど、ちょっとのマイナスがあれとても面白かった。
前半のボケツッコミとか、後半の展開も含めて銀魂に似たものを感じた。後継者になれるか。
……いやまあラブコメだし、そもそもの設定からしても大きいお姉様がたはつかないだろうからちょっと違うけど。
なんにせよ本誌に来るレベルではなかろうか。凄く笑えた。
九十九-ツクモ- 池田恵介
今回少なかったバトル漫画の一つ。ヒロインがいないという点が大胆だなと感じた。
そのぶん話がスムーズになった印象はある。ただまあやっぱ寂しい。
王道から少し逸れた話作りで、そういう点ではGHOSTを上回ってると思うんだけど、反面それ以外の面ではあまり優れたものを感じなかった。
構成とか演出とかのネームの作り方はいいと思うんだけど、なんとなく小さくまとまってしまっている印象。
後は人形が誤解を元にガチで殺しにくるのはちょっと怖かった。
主人公とその友人の関係性は割と好みなんだけど、個々のキャラで見ると印象が薄かったかな。
ただ正当に成長すればまた見ることもあるだろうしそのときを楽しみにしたい。
クロス・マネジ KAITO
今回の純粋なラブコメ枠。というか青春モノか。ともかく素晴らしい作品。
演出とかコマ割りとか大胆……というか少女漫画の技法なのかな。
ともあれあんまり少年誌では見ないような見せ方をしていながらとても見やすく、気持ちよく読むことが出来た。
キャラクターの心理描写が細やかなので感情移入がしやすく、話にスッと入っていける。
試合の前のところの時間の流し方も上手かった。
絵自体そこまでうまいってわけじゃないんだけど、見せ方がともかくうまいので印象を何倍にも高めている。
パンツ見られて怒ったところ、いたずらっぽく笑うところ、ラクロスしたくて涙を流したところ、嬉しくて抱きついたところ、ゴールを決めたところ、そのあと喜ぶところ。
キャラクター、特にヒロインの表情がとても豊かで、見ていてこっちまでそれにつられた気分になれる。顔のアップの使い方が巧み。
デフォルメとか含めて漫画が上手いという感じ。本誌にいてもなんの遜色もない。
後は主人公が最後サッカー部に戻ったのが素晴らしい。そうじゃなきゃ流れ的におかしいよね。
前弓道の読み切りの「サジタリ」で、主人公が似たような流れで元の部活に戻らずに弓道部に残ったのがどうかなーと思ったので、今回のこれはより嬉しかった。
ラブコメが好きなので、レベルの高い作品がまた見れて嬉しい。
パンダキョウ 黒田いずま
Gカップでバスの漫画で受賞していた人。
その時から独特の世界を作る人だなーと思ってたら、今回はさらに磨きをかけてきた。
中年のおっさんがパンダになったという設定からここまでふくらませてくるとは。
長くなったけどツッコミにも磨きがかかっているし、ダレることもなかった。
サラリーマン力で解決するところがクスっと来た。
絵もそれなりに上手いしギャグも面白いしいい作品だなー。
個人的には焼野原のほうが好みだけど、ここまでレベルの高いギャグが2つも揃った事自体が素晴らしい。
まあ作者にとっては不運だったんだろうけど。パッキーの前にどちらかが出ていればと思わざるをえない。
連載にも耐えうる作品だと思うので、今後またどこかで見るときを楽しみにしたい。
メガトンチェリー 羽田豊隆
最近1つはあるオタク枠。さすがに女の子が可愛い。絵もすっきりしていて見やすい。
ただその割にサービスシーンがないのは拍子抜け。設定だけ童貞だのなんだのやられてもなあ。
話自体はまあ普通にある王道なので好み。絵が綺麗な分まあそれなりに面白く読むことが出来た。
読み切りの段階でしっかりダブルヒロインを確立出来ているところはいいかな。
全体的には設定が先走っていた印象。ネタが無駄に下ネタに走ってるのがあんまり好感持てない。ゴムとかAV出す必要あったか?
後はおっぱいがいつぞやの暁月先生並みに固いのが気になった。もうちょっと柔らかい雰囲気が出せたほうがいいなと思う。
主人公の変身後はわざとなんだろうけどダサいなー。丸いのがなんか重い。
実際どうとか置いといて、ダサユキという名前は連載になったらちょっとなーとか思った。
とりあえず弾けるならもっと弾けて欲しいかなと思った。ちょっとおとなしすぎた印象。
ǝnígmǝ【エニグマ】 榊健滋
完結編。ああ、やりたいことがたくさんあったんだなと。
いくらなんでも駆け足すぎなのであまり内容に踏み込むことはしないけど、ともかくしっかりまとまった感じなのはよかった。
なんで思い出したのかとか七不思議って何なのとかあるけど、まあファンの人にはしっかり完結してくれて嬉しいのかなと思う。
毎週なんとなく追っていたのだけど、それだとほとんどわからなかったので、次回はわかりやすい作品にして欲しいと思った。
総評
新世代杯と銘打っているだけあって各作品レベルの高いものだった。
去年の冬もそうだけど、夏から期間が開いているからか冬はレベルが高いなあ。
飛び抜けてこれが素晴らしい!! と思うような作品は正直なかったけれども、本誌でそのまま見たいなと思える作品がいくつかあっただけで十分買った価値があったと思う。
読み切りの完成度としてはIRONが一歩抜けているかなという印象。次点がマネジか。
衝撃だったのは焼野原。ジャンプ増刊のギャグでこんな作品に出会えるとは。
GBSも野球好きということ抜きにしても面白かったと思う。パンダは現状で、馬車馬は今後のに期待が持てる。他は今一歩な印象。
連載陣が今ひとつだった分、新人達がしっかり活躍してくれたのがとても嬉しい。本誌に来て欲しいな。
今回は一つ選べというのがとても難しい。こんなときに新世代杯やるなとも思うけど、だからこそレベルが高いってのもあるんだろうなあ。
今回埋もれてしまったような人でもまた見る機会があれば嬉しいなと思う。
一点集中はいいんだけど、アンケートシステムだとどうしても優劣がついてしまうのがもったいない。
GBS、IRON、焼野原、マネジ、パンダのどれも本誌で見たいレベル。
去年の出来に比べれば平均はさすがに落ちるけど、これらは去年と比べても遜色ない。
全体的に王道を行く作品が多かった印象。IRONですら実際王道だしなあ。
邪道はハイリスクミドルリターンだと思うので難しい面はあるだろうけど、何本かないと寂しい。
いやつまんなきゃつまんないで夏みたいに文句言うんだけど。
ともあれ今回は面白かった。440円以上の価値は間違いなくある。
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ジャンプNEXT!2012WINTER
2012/03/23(金) | まとめwoネタ速suru