2015/08/22(土)
ジャンプNEXT!!2015vol.4感想
ZIPPO!! 芝田優作
「ヨアケモノ」の芝田先生最新作。新選組とは打って変わってロボットもの。
元々絵は上手かったのでその辺はあまり変わらず、話のほうもよくあるテンプレでまあ大して成長は見られなかった。
憧れの先輩が課長というのは珍しい気がするけどそのくらい。
タイトルになってるジッパーが物語に何の関係もないというのは驚きだった。
主人公のロボとかジッパー下げたり上げたりしてる描写すらないもんな。意味がわからない。
自転車すら運転できない主人公が血の滲むような努力で、旧世代の助けてもらったロボは動かせるようになったというのはまあ嫌いじゃない。
ただそのロボが蒸気機関で重力エンジンより出力が上とか、10倍重いから10倍頑丈とかいくらなんでも無理のある設定はどうなんだ。
重力エンジンってのがそもそもよくわからない。反重力的なもの? なんか未来的なのに蒸気機関より出力が下ってなんなんだ。
まあそれはよくわからんが燃費がいいから採用されたと考えてもいいけど、旧世代機の10分の1の装甲とか単なる欠陥だろ。
「ヨアケモノ」のときからそうだけど、芝田先生はもうちょっと細かい設定に気を使って欲しい。
「ワールドトリガー」並に細かいのも良し悪しあるだろうけど、いくらなんでも大雑把過ぎる。
後はロボットのデザインが地味すぎる。せめてそこかっこ良くしてもいいのでは。量産機的なのにしたいのはわかるけど、人気が出るようには見えない。
一度連載しただけあって見やすいけど話とか設定があんまり面白くなかった。
とりあえずは次回に期待したい。
GOLD 門里慧
トレジャーでブリキのジハードを掲載している人。
ジャンプNEXT!!2012AUTUMNでは「虎ノ花」を掲載した人。絵柄また変わってるな。いや上手くなってるけど。
前作は結構好きだったけど、今回のは微妙だなあ。
冒頭で9ページも割いて出した賞金稼ぎが最後まで出てこないのは意外だった。酒場に意味ありげにいた爺さんがまったくの別人ってどういうことだよ。何この無駄なミスリード。
いや確かに賞金稼ぎだったらまたかよって気分になるけど、だからって思わせぶりな爺さんが賞金稼ぎじゃなくてもだから何なんだよって気分にしかならない。
バトルの方も天井に張り付いて届かないところから攻撃するのはどうやって攻略するのかなって思わされたけど、鎖のついた鉤爪を飛ばすから鎖を引っ張られましたって回答はちょっと。
主人公が賞金稼ぎに騙されるのも分かりきってたけど、そっちは酒場にいた赤の他人の爺さんに任せましたってのはさすがに消化不良。
終わり方も読み切りにしては投げっぱなしにすぎるので、読み切りとしてまとめて欲しかった。
3年経って技術は上がってたと思うので、後は話が面白くなるといいなと思った。
モノノケハイブラッド 斉藤尚武
手塚賞入選だけあって画力や演出は新人離れして読みやすかった。
ただ不良ものはいまどきキツイ気がする。というか不良なのに学園物じゃないってのもまたアンバランスな。
その上妖怪ものまでプラスされていて、正直題材的に手垢がつきすぎている気がする。
話としても困ったヒロインを主人公が助けるというテンプレな話で、題材だけで既視感ありありなのに話がそれに拍車をかけていた。
主人公の天邪鬼キャラがちょっとは個性になるかなと思ったけど、やってることは別に普通の主人公だしなあ。
バトルで右腕が取れたのは少しワクワクしたけど、その後すぐ復活したのはどうかと思った。
殴ろうとしてガードされたから頭突きに切り替えたのは少し面白かった。
ヒロインは最後の笑顔を強調するならもっと暗い性格にするか、疑心暗鬼な感じにしたほうがいいんじゃないかなと思う。
まあ総じて悪くはないんだけど、特筆するようなところも感じなかった。
地力のある人だとは思うので次回に期待。
対リア充兵器 最北端翔 杉本竜一
久々のどうしようもないギャグ枠。いきなりモノローグで始まるギャグは新しいな。
リア充VS非モテという定番だけど、主人公の見た目別に非モテっぽくないんだよなあ。
別にリア充に見えるわけでもないんだけど、そもそも相手もリア充っぽく見えないので絵で差別化出来てないのでは。
ギャグも大して面白くなかった。この感じは久々だ。
cute 後藤逸平
「ハイファイクラスタ」の後藤先生最新作。ボクシング漫画はジャンプじゃ珍しいな。
「cute」ってタイトルだから、普段は可愛いけどボクシングやってるときはカッコいいってギャップがあるかと思ったら別に主人公は可愛い設定じゃなかった。
絵を見る限り可愛い系の顔なんだから可愛い系にしときゃいいのに。というかそうでもないならボクシング漫画なのに「cute」なんてタイトルにした理由がよくわからない。
単純に主人公の名前を及人にしたからこのタイトルにしただけなんだろうか。ちょっと雑すぎる気もする。
話は幽霊になった実力者が主人公に取り憑いて成長させていくという、なんか「OVER TIME」を彷彿とさせる設定。
連載経験者だけあって、ボクシングの描写はちゃんとカッコよくて素晴らしい。
ただどうも強くなるきっかけが簡単すぎる気がする。
実は左利きだったってのはまあわかるけど、ノーガードでやれるくらい目とフットワークが良かったってのはさすがに練習が必要なのでは。
まあ本人が真面目な性格の割に、ボクシングスタイルは正統派とは程遠いというのは面白いとは思う。
幽霊設定は正直いらないんじゃないかと思うけど、それなりに高い完成度でまとまっていて楽しめた。
箱の中の青 木下敬次
トレジャーで「2学期のミラージュ」を掲載してる人。
ジャンプNEXT!2013AUTUMNでは「ロードローグ」を掲載した。
地味ながら良作を描く人という印象だったけど、今回はさらに磨きをかけた感じで非常に面白かった。
幽霊と女子高生のミステリーものは結構ありがちだけど、このレベルで仕上げられると素直に楽しめる。
絵柄もなんとか今風にした感じだし、見栄えもだいぶ良くなっていた。
幽霊が探偵役になるやつだと大抵幽霊の能力を活かしたギミックが出てくるけど、今回は公衆電話の地縛霊ということで電話を使ったギミックが秀逸だった。
安楽椅子探偵で今までの作品とは違った点を見せながら、視点自体は携帯電話のカメラで共有してるというのが面白かったし、テレビ電話で公衆電話に顔突っ込んでるとか細かい描写もこだわってていい。
話自体も伏線をしっかりと張り、ミスリードも交えながらちゃんと推理できるように作られていて、結論も納得できるしいい出来だった。
まあ血豆の血が決め手というのはちょっと強引には感じたけど、怪我だとあからさますぎるし許容範囲だろう。
主人公の友達の意味ありげな笑いに、主人公に男が出来たと思ったからニヤけたという理由付けがされてるのが良かったし、それが犯人の動機に繋がったというのも流れとして美しい。
唯一画力が足りなくてホラー感が薄れていたけど、演出である程度カバーできていたんじゃないかなと。見せ方が上手い人だ。
不満な点は本当に画力が足りないくらいだった。素晴らしい。
番外編
ソーマ……四宮先輩のいじられキャラっぷりは揺るぎないな。秘書子は可愛い。えりな様とのやりとりは鉄板だな。
ブラクロ……大してサービスカット感がないな。対比しててなんか良かったので前回のヒロアカよりは好き。
すじピン……真澄先輩の過去が見られるとは。満足。
ハイキュー……前号参照っておい。いや持ってるけどさ。
黒子のバスケ EXTRA GAME 藤巻忠俊
前号最後の作戦が失敗してからのパーフェクトゾーン黄瀬とエンペラーアイ赤司の復活。
ナッシュだけと思われたバスケエリート上がりが他にもいたということで、ナッシュの特別性が薄れた気がするけどいいのかな。
まあそれは置いといて、パーフェクトコピーした黄瀬がゾーンに入れば最強だよな、というファンなら思うであろう妄想を実現してくれたのは素直に燃える。
コート上の選手で最強は黄瀬だって台詞には読者の思いが詰まっている。
エンペラー赤司はゾーンに入れるパスが出来なくなった時点で出ておけよとは思うけど、まあ次回の活躍を楽しみにしよう。
今日からMON HIGH 落合更起
ジャンプNEXT!2012SUMMERで「再遊記~once again~」を掲載した人。ジャンプNEXT!2013SUMMERでは「サムライチェイサーGOEMON」を掲載した。
前作2作は「銀魂」の影響が強すぎて劣化銀魂にしか思えなかったんだけど、今回は会話のテンポの良さや設定のゆるさを自分の武器にしてきたなという印象。
妖怪ものはいい加減手垢がついたというのもはばかられるほど溢れてるんだけど、その中でゆるい異能力系日常学園物という路線を選んだのは珍しい。
いやまあ初期の「ロザリオとバンパイア」だったり「俺の彼女になんかようかい」だったり別にないわけじゃないんだけど、週ジャンじゃまだない路線だ。
こういう感じの異能力者のほのぼのとした学園物が好みなのでとても良かった。
最後のバトルもあるにはあるけど、あくまでのっぺら君との友情の延長線であり、解決も教師に委ねられているのであまり前半とぶれてる感じがないのもいい。
地味に絵が上手いのもよかった。女の子はまあそこそこ可愛いくらいだけど、男連中のバリエーションある顔は世界観が広がる感じがある。
ただ主人公は喧嘩が強いとはいえ人間だから連れて来られたのに、納豆をアクロバティックに使いこなしてると人間の意味薄れないかなとはちょっと思った。
でも「納豆じゃ爆発をガードできなかった」のセンスは好き。
全体的に完成度が高くて面白かった。また読みたいな。
JAPAN'S 小田島諒
ジャンプトレジャーで「チクタク」を掲載してる人。
ジャンプNEXT!2013SUMMERでは「VIRUS×BUSTERS」を掲載した。
絵うまっ!? 2年経ってるとはいえ成長著しいな。独特のクセのある絵柄でちょっと苦手だったんだけど、そのクセの部分を修正しつつオリジナリティはあるというか。
今回は体操もので、東京オリンピックに合わせて体操ニッポン復活などという邪推、というかまあ導入からして意識してるんだろうけど、まあスポーツものは最近のはやりでもあるのでその流れかな。
他の競技では身長という才能がなくても、体操では身長がないことが才能になるという展開はなんとなく「弱虫ペダル」を思い出した。いや他にもいくらでもあるんだろうけど。
15歳で成長期が終わったという導入はちょっと判断早くねえかと思ったけど、まあスポーツ切り替えるならこのくらいかなあとも思うので仕方ないかな。
スポーツものに不可欠な心理描写がモノローグ多用してることもあるけど、細かく表現されていて感情移入しやすかった。
コーチと主人公の会話も丁寧でよかったな。数十秒の演技に向けて細かく心情を積み重ねていく感じが巧みだった。
ただ一方で体操の描写が少ないのが残念だった。
体操が数十秒の演技であって、そこに向けて数千数万時間練習をするって作中の表現に重ねて、作中の演技も絞ったのかもしれないけど、さすがに物足りない。
練習の描写くらいもう少し多く書いていいんじゃないかなと思う。まあ前半削るとバスケ諦めるのとか説明が少なくなりはするだろうけど、スポーツものなんだしスポーツ描写増やしたほうがいいと思う。
最後のコーチが実は金メダリストでしたってオチは意外でよかった。確かに作中の描写で推測は出来るんだよな。すっかり騙された。
絵も話も高レベルでまとまっていて楽しく読めた。この人はスポーツものがあってるのではなかろうか。
スパイ系女子 彦根洋平
ラブコメ系ギャグ。
ギャグ自体は「対リア充兵器 最北端翔」よりずっと面白かったんだけど、キャラの顔の角度がほとんど固定されてるのが気になって仕方がない。
あんまり一緒なんでそういうネタかと思ったけどそうでもなさそうなので単純に実力不足か。
ギャグ漫画とはいえ一定の画力は必要なのでとりあえず絵を頑張って欲しい。
カラグリラ 平野稜二
大正浪漫かと思ったら明治時代だった。畜生。袴にブーツがないじゃないか。
表紙絵見た感じは「D-Grayman」っぽくて、実際敵の雰囲気も似てなくはないんだけど、さすがにあのレベルの緻密さはなかった。当然か。
カット絵とか見て画力に対する期待値は上がってたんだけど実際見るとところどころ雑な部分があって残念だった。
丁寧に描いてるところは連載に耐えうるだけの素質が見られるんだけどなあ。もったいない。
話は割とテンプレ気味だけど、何がいいのか結構楽しく読めた。キャラがいいのかな。実際ヒロインのキャラは結構好き。主人公もヒロインと絡むならちょうどいい横暴さ。
見た目としては袴にブーツがなかったけど、軍服にミニスカの少女というのもいいものだった。なかなかニッチなとこついてくるな。
顔の皮剥がしたり、イメージだけとはいえ皮膚を剥く様子を入れたりグロ描写もちゃんとするのは好感持てた。
荒いところはまだまだあるけれど、将来的には連載で見ることもあるんじゃないかなという印象だった。
今後が楽しみ。
GAIA KEEPER 浜田志紀
ジャンプトレジャーで「KINGS GAME」を掲載してる人。
ジャンプNEXT!!2014vol.1では「THE LAST KILLER」を掲載した。
更にセンスを磨いたオサレ系で順調に正統進化していっている感じは素晴らしいんだけど、それはそれとして白さはどうにかならんのか。
確かに白いとスタイリッシュにはなるんだけど、それでも最低限の背景くらい描いてくれないとどこでどういう動きをしているのかさっぱりわからない。
ストーリーとしては主人公、幼馴染、エイリアンの三者三様の親子関係を見せることには成功していて、話の構成は上手かった。
幼馴染は女の子のが少年漫画っぽいかなとは思うけど、まああえて男にしてるんだろうな。
ただキャラクターの台詞回しが全体的に芝居がかってて、確かに作風にはあってるんだけどなんかこうイライラするというか鼻につくような感じ。
好みの問題にはなるんだろうけど、センスだけで勝負できるほどではないかなという印象。
この路線だと偉大過ぎる先達として「BLEACH」があるしなあ。まあ絵的に三輪士郎フォロワーなんだろうけど。
作者の描きたいスタイルが確立されてるのはいいので、後はもうちょい背景描いたりして読者に寄り添ってくれればいいな。
まあセンスが合う人には響く作品だとは思う。
不幸のトーノ 原作:繁在家政之 漫画:岩崎優次
原作はジャンプNEXT!!2014vol.2で「もしも〇〇が沢田くんだったら」を掲載した人。漫画の人は今回初かな? 初にしては上手いな。
Gカップ出身の原作者ということで? 今作は正統派ラブコメディ。最近だと珍しい気がする。
ギャグ漫画だと物足りないギャグも、ラブコメだとちょうどいい塩梅のスパイスになっていて面白い。
絵のほうも作画担当つけてるだけあってしっかり女の子が可愛いので素晴らしい。
不幸になりたい少女を不幸にしようと全力を尽くす主人公という設定だけど、要はヒロインの無理なお願いを叶えようとする主人公ということでド直球なラブコメではある。
実際に不幸にはならずに、空回りした結果むしろヒロインが幸せになっているって流れも不幸にする方法がバカバカしくて、クスリと笑えてよかった。
ヒロインがこれでもかというくらい純粋なので、主人公が近くにいるだけで幸せになっちゃうから近づかないでというベッタベタな展開も純粋さの表れとして素直に受け入れられる。
主人公が飛び降りようとしたところでようやく自分の幸せを願ったって流れも美しい。
ダンボールハウスを単なる告白の場として使うだけじゃなく、クッション代わりに使うという発想も構成に無駄がなくて素晴らしい。
ただオチのヒロインが悪魔に連れ去られて改造されて戻ってくるってのはさすがに唐突すぎる気が。
この作品のリアリティレベルは槍が降ったり理不尽に不幸になる女の子がいるくらいで、要は現実に存在するものの範囲内だったのに、ファンタジーなんて含まれてなかったのになぜ最後にファンタジーをぶっこんだんだ。
面白いオチというわけでもないのでここだけ浮いてる気がした。まあギャグ寄りのラブコメだよということを強調したのだろうか。
ともあれ原作と作画に分けるなら最低限求められるレベルも上がってくるけど、そのレベルを悠々と超えてくる作品だった。
この作品でもいいし、別の作品でもいいので次も見たい。
鈴機鉄郎 鳩野宗輔
バトルよりのコメディ漫画。キャラ物のコメディは良いキャラいればもう半分勝ちみたいなものだけど、これはちゃんと良いキャラしてて面白かった。
ロボットものは数あれど、ロボットの委員長が主人公というのはなかなか少ないのではないかと思う。
その上ヒロインが方言女子とか素晴らしいな。新潟弁なんてほとんど聞いたことないから新鮮だ。
主人公とヒロインのキャラがいいので、それでゆるいコメディやってればそりゃ面白い。
純粋なヒロインとバカ真面目な主人公という組み合わせはいいな。
最初の方はコメディものかと思ってたので、途中からシリアスが入ってきたのには驚いた。
十度目の高校1年生というのは成長できないロボットの悲哀を学生に身近な形で表現していて的確だ。
掃除ロボットが暴走した辺りは前半のゆるさとのギャップが激しくて戸惑った。
いやまあ決め技が自重落下な辺りあくまでコメディものではあるんだろうけど、掃除ロボによる被害が普通に死人が出ておかしくないレベルなので。
最後少し気にかかる部分はあったけど、概ね見事にキャラが立っていて面白かった。
受賞歴が見当たらないのが不思議なくらい出来が良かったので次にも期待したい。
GET YOU BACK! 西村大輝
この作品でジャンプトレジャーを受賞した人。
悪党ばかりで善人が誰もいないアウトローもので、なぜか凄く懐かしい気分にさせられた。
神父のキャラがクレイジーでそこだけはよかった。他は全体的に拙い感じかなあ。
洋画のアクションものっぽい雰囲気で台詞に凝ってるんだけど、その分変なところが余計に気になった。
ボイルを焼く意味で使ってたり、糸を車に結んで引っ張るところの台詞回しが妙に冗長だったりして、もうちょっと推敲できたんじゃないかなあと。
絵はまあわざわざ言うまでもなくまだまだだし、アクションで魅せるタイプの漫画なのでストーリーにも特に凝ったところもなかった。
ラストの叙情的な雰囲気はよかったので、そこを活かして行くほうがいい気もする。
とりあえず次回に期待だ。
総評
最近レベル高いの続いてるなあ。今回も前回以上にレベルが高くて、いつもならアンケート入れるだろう作品に入れられないのが残念。
「不幸のトーノ」「今日からMON HIGH」「箱の中の青」はいつもならどれも1位にしたくなるくらいに出来が良かった。
ラブコメ、異能力系日常もの、ホラーミステリーとジャンルが被ってないから余計に甲乙付けがたい。
「鈴機鉄郎」も面白かったし、「cute」のボクシング描写はそれだけで票を入れたくなるくらいには美しかった。
「カラグリラ」の絵は雑なとこ以外は華があったし、「JAPAN'S」の心理描写も丁寧でよかった。
全体的に見どころのある作品が多くて、しかもどれもそれなり以上に面白いので非常に満足。
前回から2枠に戻った連載経験者枠はこのまま行くのかな。そうなれば嬉しい。
「cute」は話はともかくボクシング描写が素晴らしいので、また連載するならぜひともボクシングを見たいな。
流されるままだった主人公はまああんまり変わってないんだけど、今回は絵で魅せられてるのでいいと思う。
「ZIPPO!!」の方は、この人は絵は文句つけるところがないので、後は設定をもう少し緻密にして欲しい。
こっちは正直成長があまり見られないぞ。絵は元からいいから良くはなってるにしても他のところ頑張ろうという感じで。
なんで突っ込みどころ満載だった「ヨアケモノ」の設定が今回もそのままなのか。
今号も前号同様に非常に高い水準だった。ジャンプ+とかやって新人が増えたり作品が増えたりしてるのかな。
次もこのくらいだと嬉しいけどさすがにそろそろ落ちてくる頃かな。
とりあえずは楽しみにしよう。
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「ヨアケモノ」の芝田先生最新作。新選組とは打って変わってロボットもの。
元々絵は上手かったのでその辺はあまり変わらず、話のほうもよくあるテンプレでまあ大して成長は見られなかった。
憧れの先輩が課長というのは珍しい気がするけどそのくらい。
タイトルになってるジッパーが物語に何の関係もないというのは驚きだった。
主人公のロボとかジッパー下げたり上げたりしてる描写すらないもんな。意味がわからない。
自転車すら運転できない主人公が血の滲むような努力で、旧世代の助けてもらったロボは動かせるようになったというのはまあ嫌いじゃない。
ただそのロボが蒸気機関で重力エンジンより出力が上とか、10倍重いから10倍頑丈とかいくらなんでも無理のある設定はどうなんだ。
重力エンジンってのがそもそもよくわからない。反重力的なもの? なんか未来的なのに蒸気機関より出力が下ってなんなんだ。
まあそれはよくわからんが燃費がいいから採用されたと考えてもいいけど、旧世代機の10分の1の装甲とか単なる欠陥だろ。
「ヨアケモノ」のときからそうだけど、芝田先生はもうちょっと細かい設定に気を使って欲しい。
「ワールドトリガー」並に細かいのも良し悪しあるだろうけど、いくらなんでも大雑把過ぎる。
後はロボットのデザインが地味すぎる。せめてそこかっこ良くしてもいいのでは。量産機的なのにしたいのはわかるけど、人気が出るようには見えない。
一度連載しただけあって見やすいけど話とか設定があんまり面白くなかった。
とりあえずは次回に期待したい。
GOLD 門里慧
トレジャーでブリキのジハードを掲載している人。
ジャンプNEXT!!2012AUTUMNでは「虎ノ花」を掲載した人。絵柄また変わってるな。いや上手くなってるけど。
前作は結構好きだったけど、今回のは微妙だなあ。
冒頭で9ページも割いて出した賞金稼ぎが最後まで出てこないのは意外だった。酒場に意味ありげにいた爺さんがまったくの別人ってどういうことだよ。何この無駄なミスリード。
いや確かに賞金稼ぎだったらまたかよって気分になるけど、だからって思わせぶりな爺さんが賞金稼ぎじゃなくてもだから何なんだよって気分にしかならない。
バトルの方も天井に張り付いて届かないところから攻撃するのはどうやって攻略するのかなって思わされたけど、鎖のついた鉤爪を飛ばすから鎖を引っ張られましたって回答はちょっと。
主人公が賞金稼ぎに騙されるのも分かりきってたけど、そっちは酒場にいた赤の他人の爺さんに任せましたってのはさすがに消化不良。
終わり方も読み切りにしては投げっぱなしにすぎるので、読み切りとしてまとめて欲しかった。
3年経って技術は上がってたと思うので、後は話が面白くなるといいなと思った。
モノノケハイブラッド 斉藤尚武
手塚賞入選だけあって画力や演出は新人離れして読みやすかった。
ただ不良ものはいまどきキツイ気がする。というか不良なのに学園物じゃないってのもまたアンバランスな。
その上妖怪ものまでプラスされていて、正直題材的に手垢がつきすぎている気がする。
話としても困ったヒロインを主人公が助けるというテンプレな話で、題材だけで既視感ありありなのに話がそれに拍車をかけていた。
主人公の天邪鬼キャラがちょっとは個性になるかなと思ったけど、やってることは別に普通の主人公だしなあ。
バトルで右腕が取れたのは少しワクワクしたけど、その後すぐ復活したのはどうかと思った。
殴ろうとしてガードされたから頭突きに切り替えたのは少し面白かった。
ヒロインは最後の笑顔を強調するならもっと暗い性格にするか、疑心暗鬼な感じにしたほうがいいんじゃないかなと思う。
まあ総じて悪くはないんだけど、特筆するようなところも感じなかった。
地力のある人だとは思うので次回に期待。
対リア充兵器 最北端翔 杉本竜一
久々のどうしようもないギャグ枠。いきなりモノローグで始まるギャグは新しいな。
リア充VS非モテという定番だけど、主人公の見た目別に非モテっぽくないんだよなあ。
別にリア充に見えるわけでもないんだけど、そもそも相手もリア充っぽく見えないので絵で差別化出来てないのでは。
ギャグも大して面白くなかった。この感じは久々だ。
cute 後藤逸平
「ハイファイクラスタ」の後藤先生最新作。ボクシング漫画はジャンプじゃ珍しいな。
「cute」ってタイトルだから、普段は可愛いけどボクシングやってるときはカッコいいってギャップがあるかと思ったら別に主人公は可愛い設定じゃなかった。
絵を見る限り可愛い系の顔なんだから可愛い系にしときゃいいのに。というかそうでもないならボクシング漫画なのに「cute」なんてタイトルにした理由がよくわからない。
単純に主人公の名前を及人にしたからこのタイトルにしただけなんだろうか。ちょっと雑すぎる気もする。
話は幽霊になった実力者が主人公に取り憑いて成長させていくという、なんか「OVER TIME」を彷彿とさせる設定。
連載経験者だけあって、ボクシングの描写はちゃんとカッコよくて素晴らしい。
ただどうも強くなるきっかけが簡単すぎる気がする。
実は左利きだったってのはまあわかるけど、ノーガードでやれるくらい目とフットワークが良かったってのはさすがに練習が必要なのでは。
まあ本人が真面目な性格の割に、ボクシングスタイルは正統派とは程遠いというのは面白いとは思う。
幽霊設定は正直いらないんじゃないかと思うけど、それなりに高い完成度でまとまっていて楽しめた。
箱の中の青 木下敬次
トレジャーで「2学期のミラージュ」を掲載してる人。
ジャンプNEXT!2013AUTUMNでは「ロードローグ」を掲載した。
地味ながら良作を描く人という印象だったけど、今回はさらに磨きをかけた感じで非常に面白かった。
幽霊と女子高生のミステリーものは結構ありがちだけど、このレベルで仕上げられると素直に楽しめる。
絵柄もなんとか今風にした感じだし、見栄えもだいぶ良くなっていた。
幽霊が探偵役になるやつだと大抵幽霊の能力を活かしたギミックが出てくるけど、今回は公衆電話の地縛霊ということで電話を使ったギミックが秀逸だった。
安楽椅子探偵で今までの作品とは違った点を見せながら、視点自体は携帯電話のカメラで共有してるというのが面白かったし、テレビ電話で公衆電話に顔突っ込んでるとか細かい描写もこだわってていい。
話自体も伏線をしっかりと張り、ミスリードも交えながらちゃんと推理できるように作られていて、結論も納得できるしいい出来だった。
まあ血豆の血が決め手というのはちょっと強引には感じたけど、怪我だとあからさますぎるし許容範囲だろう。
主人公の友達の意味ありげな笑いに、主人公に男が出来たと思ったからニヤけたという理由付けがされてるのが良かったし、それが犯人の動機に繋がったというのも流れとして美しい。
唯一画力が足りなくてホラー感が薄れていたけど、演出である程度カバーできていたんじゃないかなと。見せ方が上手い人だ。
不満な点は本当に画力が足りないくらいだった。素晴らしい。
番外編
ソーマ……四宮先輩のいじられキャラっぷりは揺るぎないな。秘書子は可愛い。えりな様とのやりとりは鉄板だな。
ブラクロ……大してサービスカット感がないな。対比しててなんか良かったので前回のヒロアカよりは好き。
すじピン……真澄先輩の過去が見られるとは。満足。
ハイキュー……前号参照っておい。いや持ってるけどさ。
黒子のバスケ EXTRA GAME 藤巻忠俊
前号最後の作戦が失敗してからのパーフェクトゾーン黄瀬とエンペラーアイ赤司の復活。
ナッシュだけと思われたバスケエリート上がりが他にもいたということで、ナッシュの特別性が薄れた気がするけどいいのかな。
まあそれは置いといて、パーフェクトコピーした黄瀬がゾーンに入れば最強だよな、というファンなら思うであろう妄想を実現してくれたのは素直に燃える。
コート上の選手で最強は黄瀬だって台詞には読者の思いが詰まっている。
エンペラー赤司はゾーンに入れるパスが出来なくなった時点で出ておけよとは思うけど、まあ次回の活躍を楽しみにしよう。
今日からMON HIGH 落合更起
ジャンプNEXT!2012SUMMERで「再遊記~once again~」を掲載した人。ジャンプNEXT!2013SUMMERでは「サムライチェイサーGOEMON」を掲載した。
前作2作は「銀魂」の影響が強すぎて劣化銀魂にしか思えなかったんだけど、今回は会話のテンポの良さや設定のゆるさを自分の武器にしてきたなという印象。
妖怪ものはいい加減手垢がついたというのもはばかられるほど溢れてるんだけど、その中でゆるい異能力系日常学園物という路線を選んだのは珍しい。
いやまあ初期の「ロザリオとバンパイア」だったり「俺の彼女になんかようかい」だったり別にないわけじゃないんだけど、週ジャンじゃまだない路線だ。
こういう感じの異能力者のほのぼのとした学園物が好みなのでとても良かった。
最後のバトルもあるにはあるけど、あくまでのっぺら君との友情の延長線であり、解決も教師に委ねられているのであまり前半とぶれてる感じがないのもいい。
地味に絵が上手いのもよかった。女の子はまあそこそこ可愛いくらいだけど、男連中のバリエーションある顔は世界観が広がる感じがある。
ただ主人公は喧嘩が強いとはいえ人間だから連れて来られたのに、納豆をアクロバティックに使いこなしてると人間の意味薄れないかなとはちょっと思った。
でも「納豆じゃ爆発をガードできなかった」のセンスは好き。
全体的に完成度が高くて面白かった。また読みたいな。
JAPAN'S 小田島諒
ジャンプトレジャーで「チクタク」を掲載してる人。
ジャンプNEXT!2013SUMMERでは「VIRUS×BUSTERS」を掲載した。
絵うまっ!? 2年経ってるとはいえ成長著しいな。独特のクセのある絵柄でちょっと苦手だったんだけど、そのクセの部分を修正しつつオリジナリティはあるというか。
今回は体操もので、東京オリンピックに合わせて体操ニッポン復活などという邪推、というかまあ導入からして意識してるんだろうけど、まあスポーツものは最近のはやりでもあるのでその流れかな。
他の競技では身長という才能がなくても、体操では身長がないことが才能になるという展開はなんとなく「弱虫ペダル」を思い出した。いや他にもいくらでもあるんだろうけど。
15歳で成長期が終わったという導入はちょっと判断早くねえかと思ったけど、まあスポーツ切り替えるならこのくらいかなあとも思うので仕方ないかな。
スポーツものに不可欠な心理描写がモノローグ多用してることもあるけど、細かく表現されていて感情移入しやすかった。
コーチと主人公の会話も丁寧でよかったな。数十秒の演技に向けて細かく心情を積み重ねていく感じが巧みだった。
ただ一方で体操の描写が少ないのが残念だった。
体操が数十秒の演技であって、そこに向けて数千数万時間練習をするって作中の表現に重ねて、作中の演技も絞ったのかもしれないけど、さすがに物足りない。
練習の描写くらいもう少し多く書いていいんじゃないかなと思う。まあ前半削るとバスケ諦めるのとか説明が少なくなりはするだろうけど、スポーツものなんだしスポーツ描写増やしたほうがいいと思う。
最後のコーチが実は金メダリストでしたってオチは意外でよかった。確かに作中の描写で推測は出来るんだよな。すっかり騙された。
絵も話も高レベルでまとまっていて楽しく読めた。この人はスポーツものがあってるのではなかろうか。
スパイ系女子 彦根洋平
ラブコメ系ギャグ。
ギャグ自体は「対リア充兵器 最北端翔」よりずっと面白かったんだけど、キャラの顔の角度がほとんど固定されてるのが気になって仕方がない。
あんまり一緒なんでそういうネタかと思ったけどそうでもなさそうなので単純に実力不足か。
ギャグ漫画とはいえ一定の画力は必要なのでとりあえず絵を頑張って欲しい。
カラグリラ 平野稜二
大正浪漫かと思ったら明治時代だった。畜生。袴にブーツがないじゃないか。
表紙絵見た感じは「D-Grayman」っぽくて、実際敵の雰囲気も似てなくはないんだけど、さすがにあのレベルの緻密さはなかった。当然か。
カット絵とか見て画力に対する期待値は上がってたんだけど実際見るとところどころ雑な部分があって残念だった。
丁寧に描いてるところは連載に耐えうるだけの素質が見られるんだけどなあ。もったいない。
話は割とテンプレ気味だけど、何がいいのか結構楽しく読めた。キャラがいいのかな。実際ヒロインのキャラは結構好き。主人公もヒロインと絡むならちょうどいい横暴さ。
見た目としては袴にブーツがなかったけど、軍服にミニスカの少女というのもいいものだった。なかなかニッチなとこついてくるな。
顔の皮剥がしたり、イメージだけとはいえ皮膚を剥く様子を入れたりグロ描写もちゃんとするのは好感持てた。
荒いところはまだまだあるけれど、将来的には連載で見ることもあるんじゃないかなという印象だった。
今後が楽しみ。
GAIA KEEPER 浜田志紀
ジャンプトレジャーで「KINGS GAME」を掲載してる人。
ジャンプNEXT!!2014vol.1では「THE LAST KILLER」を掲載した。
更にセンスを磨いたオサレ系で順調に正統進化していっている感じは素晴らしいんだけど、それはそれとして白さはどうにかならんのか。
確かに白いとスタイリッシュにはなるんだけど、それでも最低限の背景くらい描いてくれないとどこでどういう動きをしているのかさっぱりわからない。
ストーリーとしては主人公、幼馴染、エイリアンの三者三様の親子関係を見せることには成功していて、話の構成は上手かった。
幼馴染は女の子のが少年漫画っぽいかなとは思うけど、まああえて男にしてるんだろうな。
ただキャラクターの台詞回しが全体的に芝居がかってて、確かに作風にはあってるんだけどなんかこうイライラするというか鼻につくような感じ。
好みの問題にはなるんだろうけど、センスだけで勝負できるほどではないかなという印象。
この路線だと偉大過ぎる先達として「BLEACH」があるしなあ。まあ絵的に三輪士郎フォロワーなんだろうけど。
作者の描きたいスタイルが確立されてるのはいいので、後はもうちょい背景描いたりして読者に寄り添ってくれればいいな。
まあセンスが合う人には響く作品だとは思う。
不幸のトーノ 原作:繁在家政之 漫画:岩崎優次
原作はジャンプNEXT!!2014vol.2で「もしも〇〇が沢田くんだったら」を掲載した人。漫画の人は今回初かな? 初にしては上手いな。
Gカップ出身の原作者ということで? 今作は正統派ラブコメディ。最近だと珍しい気がする。
ギャグ漫画だと物足りないギャグも、ラブコメだとちょうどいい塩梅のスパイスになっていて面白い。
絵のほうも作画担当つけてるだけあってしっかり女の子が可愛いので素晴らしい。
不幸になりたい少女を不幸にしようと全力を尽くす主人公という設定だけど、要はヒロインの無理なお願いを叶えようとする主人公ということでド直球なラブコメではある。
実際に不幸にはならずに、空回りした結果むしろヒロインが幸せになっているって流れも不幸にする方法がバカバカしくて、クスリと笑えてよかった。
ヒロインがこれでもかというくらい純粋なので、主人公が近くにいるだけで幸せになっちゃうから近づかないでというベッタベタな展開も純粋さの表れとして素直に受け入れられる。
主人公が飛び降りようとしたところでようやく自分の幸せを願ったって流れも美しい。
ダンボールハウスを単なる告白の場として使うだけじゃなく、クッション代わりに使うという発想も構成に無駄がなくて素晴らしい。
ただオチのヒロインが悪魔に連れ去られて改造されて戻ってくるってのはさすがに唐突すぎる気が。
この作品のリアリティレベルは槍が降ったり理不尽に不幸になる女の子がいるくらいで、要は現実に存在するものの範囲内だったのに、ファンタジーなんて含まれてなかったのになぜ最後にファンタジーをぶっこんだんだ。
面白いオチというわけでもないのでここだけ浮いてる気がした。まあギャグ寄りのラブコメだよということを強調したのだろうか。
ともあれ原作と作画に分けるなら最低限求められるレベルも上がってくるけど、そのレベルを悠々と超えてくる作品だった。
この作品でもいいし、別の作品でもいいので次も見たい。
鈴機鉄郎 鳩野宗輔
バトルよりのコメディ漫画。キャラ物のコメディは良いキャラいればもう半分勝ちみたいなものだけど、これはちゃんと良いキャラしてて面白かった。
ロボットものは数あれど、ロボットの委員長が主人公というのはなかなか少ないのではないかと思う。
その上ヒロインが方言女子とか素晴らしいな。新潟弁なんてほとんど聞いたことないから新鮮だ。
主人公とヒロインのキャラがいいので、それでゆるいコメディやってればそりゃ面白い。
純粋なヒロインとバカ真面目な主人公という組み合わせはいいな。
最初の方はコメディものかと思ってたので、途中からシリアスが入ってきたのには驚いた。
十度目の高校1年生というのは成長できないロボットの悲哀を学生に身近な形で表現していて的確だ。
掃除ロボットが暴走した辺りは前半のゆるさとのギャップが激しくて戸惑った。
いやまあ決め技が自重落下な辺りあくまでコメディものではあるんだろうけど、掃除ロボによる被害が普通に死人が出ておかしくないレベルなので。
最後少し気にかかる部分はあったけど、概ね見事にキャラが立っていて面白かった。
受賞歴が見当たらないのが不思議なくらい出来が良かったので次にも期待したい。
GET YOU BACK! 西村大輝
この作品でジャンプトレジャーを受賞した人。
悪党ばかりで善人が誰もいないアウトローもので、なぜか凄く懐かしい気分にさせられた。
神父のキャラがクレイジーでそこだけはよかった。他は全体的に拙い感じかなあ。
洋画のアクションものっぽい雰囲気で台詞に凝ってるんだけど、その分変なところが余計に気になった。
ボイルを焼く意味で使ってたり、糸を車に結んで引っ張るところの台詞回しが妙に冗長だったりして、もうちょっと推敲できたんじゃないかなあと。
絵はまあわざわざ言うまでもなくまだまだだし、アクションで魅せるタイプの漫画なのでストーリーにも特に凝ったところもなかった。
ラストの叙情的な雰囲気はよかったので、そこを活かして行くほうがいい気もする。
とりあえず次回に期待だ。
総評
最近レベル高いの続いてるなあ。今回も前回以上にレベルが高くて、いつもならアンケート入れるだろう作品に入れられないのが残念。
「不幸のトーノ」「今日からMON HIGH」「箱の中の青」はいつもならどれも1位にしたくなるくらいに出来が良かった。
ラブコメ、異能力系日常もの、ホラーミステリーとジャンルが被ってないから余計に甲乙付けがたい。
「鈴機鉄郎」も面白かったし、「cute」のボクシング描写はそれだけで票を入れたくなるくらいには美しかった。
「カラグリラ」の絵は雑なとこ以外は華があったし、「JAPAN'S」の心理描写も丁寧でよかった。
全体的に見どころのある作品が多くて、しかもどれもそれなり以上に面白いので非常に満足。
前回から2枠に戻った連載経験者枠はこのまま行くのかな。そうなれば嬉しい。
「cute」は話はともかくボクシング描写が素晴らしいので、また連載するならぜひともボクシングを見たいな。
流されるままだった主人公はまああんまり変わってないんだけど、今回は絵で魅せられてるのでいいと思う。
「ZIPPO!!」の方は、この人は絵は文句つけるところがないので、後は設定をもう少し緻密にして欲しい。
こっちは正直成長があまり見られないぞ。絵は元からいいから良くはなってるにしても他のところ頑張ろうという感じで。
なんで突っ込みどころ満載だった「ヨアケモノ」の設定が今回もそのままなのか。
今号も前号同様に非常に高い水準だった。ジャンプ+とかやって新人が増えたり作品が増えたりしてるのかな。
次もこのくらいだと嬉しいけどさすがにそろそろ落ちてくる頃かな。
とりあえずは楽しみにしよう。
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