府立植物園 開園後の歴史と野外彫刻
過去の全記事 2006年1月27日から毎日更新しています。
昨日の記事の観覧温室を出て園内を散策しました。京都府立植物園は野外彫刻が多いことで知られますが、それは開園後の歴史と関係があります。
下は園内マップで、中央より少し左下にある観覧温室から、大芝生を通って南の道に行き、南東の隅から北門に向かいます。
観覧温室の前にある「母子像」(山本 恪二)、母親と幼い子どもが戯れているポーズで、立ち上がろうとする子どもを母親が優しく見守っています。戦後に平和を願う像が多く作られた時期に制作されたものだそうです。
『十五夜の力士』(2002年 抜水政人)子供の遊び塲の「未来くん広場」にあり、中秋の名月に行われる行事の一つ、子供による「十五夜相撲」を題材にしています。
府立植物園は第2次大戦中は園内に菜園が設けられ食糧増産の場になり、戦後は昭和21年(1946)から12年間連合軍に接収されました。このとき多くの樹木が伐採されるなど苦難の時代が続きました。大クスノキの左の道を入ります。
『陽』(1966年 田中彰) 細身の女性が少し体を傾けていますがバランスが取れていて、陽だまりで安らぐポーズをしています。植物園内に野外彫刻が設置されはじめた初期の作品です。
『ラ・クープル』(1973年 岡本庄三)作品名はフランス語で二人とかカップルという意味で、寄りかかる女性を男性がしっかりと支えています。作者は人形作家で、大阪芸術大学名誉教授。
昭和36年(1961)連合軍から返還された府立植物園は、憩いの場、教養の場として再び公開されることになりました。「大芝生地」、向うに比叡山が見えます。
再開後の園内整備の取り組みの一環として、昭和35年(1960)に京都府在住の彫刻家が協力して「野外彫刻展」が開催されました。「くすのき並木」を横切って南に向かいます。
その後も植物園が主催して「野外彫刻展」が実施され、昭和44年(1969)からは京都府や京都彫刻家連盟も共催し、現在まで継続して開催されています。「植物園会館」
この野外彫刻展は広く市民に親しまれて毎年多くの鑑賞者が訪れ、再開後の植物園の復興に寄与しました。昭和45年(1970)に「日本の森」を、同56年(1981)には下の「洋風庭園」が造成されました。
バラ園にはまだ咲いている品種があって一つだけ紹介します。「プロミネント」1971年 ドイツ作出 微香 F系
野外彫刻展の作品は、昭和38年(1963)以降は植物園が買い上げて、常設展として展示されるようになりました。「沈床花壇」と「噴水」
植物園の歴史の中で、大きな自然災害にも見舞われました。中でも、昭和9年の室戸台風、翌年の京都大洪水、平成29年(2017)の台風21号と翌年の台風21号は園内の古木や大木をなぎ倒して壊滅的な被害を及ぼしました。
この倒木は大正初期に植栽されて園を代表する古木でしたが、平成の台風によって大きく損傷しました。自然災害に対する心構えの必要性を伝え、植物の再生する過程を知るための教材として展示してあるそうです。
洋風庭園から北に行く道にはアジサイ園、ぼたん・しゃくやく園がありますが花はなく、春の準備をしていました。向かいの藪の中には倒木に発生するキノコたちとして、いくつかのキノコを展示していました。「ヒラタケ」
平成21年以降は、観覧温室内に四季彩の丘、昼夜逆転室、高山植物室などを設置、「森のカフェ」、「エコ路地」、「賀茂川門」、「北山カフェ」、「北泉門」などの設備を充実してきました。「北門広場」
その後はライオンズクラブやロータリークラブからの野外彫刻の寄贈もあり、現在は13作品が園内に設置されているそうです。
『和』彫刻ではありませんが、十二支の日時計で京都洛北ロータリー倶楽部40周年の寄贈です。製作は鉄とガラスのインテリアを手掛ける、TWO THREE IRONです。
『風と舞う』(1993年 江里敏明) 題名ののとおり、女性のスカートの裾が軽やかに風になびき、髪も風に流されています。その風を体に受けて、心地よく風と踊るような一瞬の美しいポーズを表現しています。
『麦藁帽子と少女』(1993年 宮瀬富之) 着衣で植物園では珍しく椅子に座っている少女の像。軽やかな服装で麦藁帽子を手にもち、夏の日差しを浴びています。金色に彩色された帽子に注目が集まります。
現在、府立植物園を中心とする「北山エリア」の再開発計画が持ち上がっています。園内にレストランやミュージアムショップ、商業施設を作り、隣接する地域に巨大アリーナを建設するなど、賑わいと活気を呼び起こすという計画です。
これに対して、植栽の面積が減り植物の環境が悪化するなどと、住民や園芸関係者から反対の声があがり署名運動が行われました。また、歴代の園長が反対の立場で記者会見を行うなど異常な事態になっています。この問題については引き続き注目していきます。
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コメント
いよいよ歳末押し迫ってまいりました。
りせ様 お正月準備ご多忙でございましょうに
連日の記事アップ ありがとうございます!
投稿: ジョージ夫人2 | 2023年12月30日 (土) 12:17
この時期に咲く薔薇もあるのですね。
驚きました。それにしてもたくさんの野外彫刻などですね。
一気にたくさん見れるので、いいと思います。
春なんかに来て、ゆっくり見てみたいものです。
投稿: munixyu | 2023年12月30日 (土) 20:31
★munixyuさん こんばんは♪
これでもまだ紹介していない彫刻もあります。コンクリートで造られたものはちょっと傷みが激しく、何とかして欲しいと思っています。
投稿: りせ | 2024年1月 1日 (月) 00:20
★ ジョージ夫人2さん こんばんは♪
お返事が遅れて年を越してしまいすみませんでした。ブログを作るのが生活の一部になっていて、あまり気になりません。今年もよろしくお願いします。
投稿: りせ | 2024年1月 1日 (月) 00:23