最勝院と駒大僧正
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先日南禅寺の水路閣を見学したあと、その裏の坂道の上にある塔頭・最勝院を訪れました。「最勝院」の創建の詳細は不明ですが、鎌倉時代からこのあたりの山中は「神仙佳境」の霊地として知られていました。
天台密教の僧・道智(生没年不明)が晩年この地に移り住んだのもその頃です。道智は、摂政関白の九条道家(1193-1252)の子で、幼くして仏門に入り、比叡山で修行して天台密教の深奥を極めました。(「庫裏」だと思われます。)
山門を入ると正面は「縁結びの松」。樹齢300年の百日紅の木の根の間から樹齢100年の松が生え、絡み合っています。
道智は、三井寺の管長や禅林寺(永観堂)の住持も務めましたが、晩年になると世を嫌いこの地に隠棲しました。
道智は、文永3年(1266)3月3日に法力を使って白馬にまたがって天空に身を隠したといわれています。この話から道智は駒大僧正、山中の滝は駒ヶ滝と呼ばれるようになりました。
その後、亀山上皇はこの地に離宮(禅林寺殿)を造営しました。ところが、正応年間(1288-1293)の初め、離宮に昼夜を問わず白馬にまたがった駒大僧正の怨霊が現れ「妖怪千変万化」したといわれます。
また、理由なく戸障子があき、人の気配を感じたりしたので、仕えていた延臣や女官たちが悩まされました。かってこの地を愛した道智が死後も執着して、離宮によって荒らされるのが我慢できなかったといわれました。(山門の方を振り返って)
上皇は各宗派の高僧を召集して種々の加持・祈祷をさせましたが、一向に効き目がありません。 さらに、妖怪退治で有名な西大寺の高僧・叡尊にも加持・祈祷を行わせましたが効果はありませんでした。
そこで、中国から帰朝して名声の高かった東福寺第3世の無関普門(むかんふもん)を呼びました。 (本堂の扁額は駒大僧正、中には福徳円満大黒天と払災殖福不動尊が祀られています。)
普門は弟子20人と離宮に参じましたが、特別な祈祷をすることなく、規律に従って二時の食事、四回の座禅、作務をするだけでした。3ヵ月経ったときに、ようやく怨霊が退散したといわれます。
駒大僧正はこの地に異常なほど執着していたと考えられ、離宮に駒大僧正を祀って鎮守としました。亀山上皇は、無関普門の徳に深く感銘して師事し、その後(1291年)離宮を禅寺(南禅寺)に改めて住持として迎えます。
その際には、駒大僧正を護法神として祀りました。護法神は仏教(寺院)を護る神です。
その後の詳しいことは分かっていませんが、明治45年(1912)頃まで駒大僧正を祀ったお堂が現在の南禅寺寺務所の場所にあって、最勝院般若殿と呼ばれていたそうです。
大正4年(1915)にはお堂は南禅寺塔頭となって(最勝院)高徳庵とよばれ、大正6年に駒大僧正ゆかりの現在地に移転しました。最勝院は駒大僧正の院号です。
上の手水舎の右手の門を出て、駒大僧正が祀られている奥の院(駒ヶ滝)に行きます。最勝院には大勢の参拝客がいましたが、奥の院に行く人はほとんどいませんでした。
ところで、亀山法皇は南禅寺創建の発願文「禅林禅寺起願事」で宗派にとらわれず「日本で最も優れた禅僧」を南禅寺の住持とするよう定め(十方住持制)、厳しい規約を制定しました。
駒大僧正の怨霊退治で、各宗派の高僧が役に立たなかったことが頭にあったからと思われます。後に南禅寺が五山を超えた別格寺院となり、その住持が禅僧の最高の地位とされたのもこの規約があったからだといわれています。
最勝院から10分くらい山道を上ると駒大僧正が祀られている祠があり、ここが最勝院の奥の院になります。
この祠の向こうは崖になっていて、ちょっとした滝(駒ヶ滝)があります。
『花洛名勝図会』(1864年)には、この滝の絵が載っていて、俳人・似水の句「滝つぼにくだけて涼し蝉の声」が添えられています。右に滝行のための脱衣小屋があります。
一方、あまり見栄えがよくないので、『京城勝覧』(1784年)には「よき滝にはあらず」と書いてあるそうです。それでも、落差や水量が結構あり、滝行にはうってつけのようです。
滝の横に石段があり、その上に洞窟があります。
洞の奥には大日如来と厳島弁財天、右には将軍地蔵が祀られていました。将軍地蔵は、戦いに勝ち、宿業・飢饉などを免れるといわれ、鎌倉時代以降に武家に信仰されたそうです。
このあと最勝院の山門まで戻り(最後の写真)、南禅寺の庭園を拝観しました。
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コメント
こんばんは。ゆーしょーです。
最勝院でしょうか。
1枚目と2枚目の
紅葉はすばらしいです。
ポチ♪2
投稿: ゆーしょー | 2024年12月13日 (金) 01:53