うつ・ストレスとうまく付き合うために知っておくべき5つのこと ~本『「うつ」とよりそう仕事術』
実は昔、精神科に通院した経験があります。
幸い「うつ病」とは診断されませんでしたが、この話を人に話したことはほとんどありません。
他人に言うには少し気が引けるのです。
しかし、同じ苦しみを持つ人のために、「うつ病」である立場を公表して様々な情報発信をされている方がいます。
大好きなブログ Find the meaning of my life. の酒井一太さん(@kazumoto)です。
医者や学者からの「情報」よりも、当事者の「経験談」にはグっと重みがあります。
私たちは、身近なのに深刻な「うつ」という病について、あまりに知りません。
今日は@kazumotoさんが書かれた本『「うつ」とよりそう仕事術』から、自分のためにも、周りの大切な人のためにも知っておくべき、うつ・ストレスとうまく付き合う方法を紹介します。
1. 「睡眠」をもっと大切に考える
「当たり前」であるがゆえに、我々は睡眠をおろそかにしがちです。「眠るという行為は当たり前のことだ」と思われている方が多いと思いますが、精神に関係する病の多くは、睡眠の乱れに始まるといわれています。
P.044
忙しいと睡眠時間を削る。
楽しいと夜中まで遊ぶ。
時にはそういう時があっても良いかもしれませんが、私たちが思っている以上に睡眠は心に大きな影響を与えています。
私は以前、自分がツイッターでグチっぽくなっている日はたいてい寝不足だ、と気付きました。
同じ出来事が起きても、睡眠不足だとイライラしたり不安になったりしがちです。
その程度で済めば良いですが、大きな問題につながることもあるのです。
実際に私が精神科へ通ったキッカケは睡眠の乱れでした。
- うつ病 → 睡眠不足
- 睡眠不足 → うつ病
心と体の健康を保つために、睡眠をしっかりとらなければいけませんね。
2. 第4の人間関係をつくる
私も実感しています。弱っているとき、まわりから人がいなくなること。これは本当に傷つくことです。こうした状態に陥った時の対処法を、私は一つだけお伝えできます。それは家族・学友・会社以外の「第4の人間関係」を構築しておくことです。この第4の人間関係構築の鍵は、「好奇心」と「興味」です。
P.052
人間には「承認欲求」というものがあります。
先日「欲求マインドマップ」をかいてみたところ、私は人よりそれが強いようです。
逆を言えば、職場などで自分が認められなかったときは人より悔しさが強いわけです。
そんなときに、
- ブログに多くのアクセスがある
- ツイッターやFacebookでなんてことない会話ができる
- 勉強会などで周りの人と刺激し合う
本当にありがたく思っています。
昔は、大人になってからは新しい友だちはできにくい、と思っていましたが、今はそうは思いません。
ツイッター&フェイスブック時代のコミュニケーションHACKSで、友達の輪を広げておきましょう。
3. 「かく」ことで不安を脇に置いておく
以前も紹介しましたが、米シカゴ大学のチームが、こんな研究成果を米科学誌サイエンスに発表したそうです。
(大学生に2回のテストを行い) 2回目のテストの直前10分間、テストへの気持ちを作文に書くよう指示されたグループは、1回目より成績が向上。中でも「怖い」「間違えそうだ」など、不安な気持ちを書いた人の向上が目立った。
一方、静かに着席してテストを待ったり、試験と無関係な日常の出来事を書いたりするように指示されたグループは、1回目より成績が下がった。
(中略)
研究チームは「試験前の作文には、過去のつらい体験を文章にして心の傷をいやす心理療法と似た効果がある」と推測している。
私は先日の名古屋ライフハック研究会Vol.16で、「書く」というあたり前のことを「ライフハック」として発表したくらい、重要視しています。
このブログや、私が講師をするマインドマップ入門講座でも何度もお伝えしていることです。
@kazumotoさんは、Mind Meisterへ書きだすことで「書く」ことの効果を感じているそうです。
しかし、それに加えてもう1つ注目したいのは、@kazumotoさんの「イメージ」の使い方です。私のマインドマップのセントラルイメージは「日付」。枝(ブランチ)は時間帯。あとはその時間帯に浮かんできたモノを、どんどん追加していくだけです。
(中略)
最後にその感情とはまったく関係ない「ハッピーな画像」をペタっと貼りつけておきます。最後にハッピーな画像を貼ることによって、不安をせき止めるととも に、見返したときも「ああ、書きだした後、最終的にはハッピーな気持ちになったんだった」と冷静に見返せるようになります。P.122
私の場合はマインドマップを手がきすることが多いのですが、このとき「イメージ」が記憶や感情に与える影響は意外と大きいのです。
@kazumotoさんの場合は「イメージ」=「ハッピーな画像」ですね。これは彼の経験からも、私の経験からも、とても有効と思います。
ちなみに以前、NHKのTV番組でもこんな話題がありました。
寝る前に日記を書いたら最後に笑顔のマークを描いて気分良く一日を終えるなど、イラスト・イメージをもっと活用してみませんか?ポジティブな意見が出た時には、意見の横に笑顔のイラストを描きます。
こうすることで、会議の参加者は肩の力が抜けて発言しやすくなるんだそうです。
4. 「精神科」「心療内科」へ行くことを恐れない
悩みや不眠が2週間以上続いたら病院に行ったほうが良いと聞いたことがあります。
うつ病は、薬で治す病気なのです。うつ病を含む精神疾患は、脳の機能不全であることが科学的に明らかになってきています。
薬の進歩もあり、100パーセントではないにせよ、薬が最も効果のある治療法と言われています。P.022
行ってみれば、意外とフツウの病院です。
症状を説明すれば、気分を落ち着かせたり高揚させたりする薬をもらうことができます。
一人で悩まず、病院へ行ってみることをオススメします。
5. うつ病を理解することの大切さ
個人的に本書の中で一番印象的なのは、悩み苦しむ@kazumotoさんを、素敵な奥様のある1つの行動が救った話です。
話の詳細は割愛しますが、うつ病の方を救うのは、家族や職場など、周りの人の理解なのです。
逆に周りの人の対応次第では、苦しんでいる人をさらに追い込むことになってしまいます。
では、うつ病やストレスで苦しむ人に、どのように接したら良いでしょうか。
以前紹介した、「存在をほめる」というのが有効かもしれませんね。励ますのではなくて、「ほめる」ことに重点をおいてあげて欲しいと思います。直接言いにくいのなら、メールでもOKです。「サンキュー!」「助かったよ」 「いやー援助がなかったらヤバかった(笑)」などなど、小さなことであっても、感謝の言葉やホメ言葉をかけてもらえると、それが徐々に自信になっていきま す。
P.197
周りの人がうつ病を理解することは、苦しんでいる本人はもちろん、周りの人のストレス軽減にもつながるのではないでしょうか。
まとめ
うつ病は「心の風邪」と言われるくらい、誰もがなりうる身近な病です。
しかし風邪と違うのは、かんたんに治るどころか「死」につながりかねない恐ろしいものだということです。
本書のタイトルは『「うつ」とよりそう仕事術』。
「よりそう」というタイトルは、すぐ完治とはいかない「うつ」という病を考え、「治す」よりも「うまく付き合っていく」と考えよう、という@kazumotoさんのメッセージでしょう。
一方、副題には「42 ways to beat depression.」とあります。
「beat」とあるのは、本音としては、「うつ」を打ち負かしてやりたい!という強い気持ちのあらわれなのかもしれません(「beat」には「和らげる、ごまかす」という意味もあるようですが)。
うつ病でなくても、ストレスを感じやすい方、また部下を持つ方や人事担当の方にもぜひ読んでいただきたい一冊です。
あなたの「理解」が、自分自身、そして周りの人間を救うかもしれません。
次はどれを読みますか?
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今日の名言
「じつは失敗とは、人生の学習プロセスの重要な一部なのです」 本『20歳のときに知っておきたかったこと スタンフォード大学集中講義』 http://t.co/eMrIvKf3 #meigen
- [2011/12/21 20:32]
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