迷子専門の米国人探偵ディスコ・ウェンズデイは、東京都調布市で、六歳の山岸梢と暮らしている。ある日、彼の眼前で、梢の体に十七歳の少女が〈侵入〉。人類史上最大の事件の扉が開いた。魂泥棒、悪を体現する黒い鳥の男、円柱状の奇妙な館に集いし名探偵たちの連続死──。「お前が災厄の中心なんだよ」。ジャスト・ファクツ! 真実だけを追い求め、三千世界を駆けめぐれ、ディスコ(Amazon)
苦節数年何度も積んどくされたけど,やっと読破できました。
多分言ってることの10~20%は理解できなかったけどね。
というか理解なんで出来ねぇよ。
久々に1000p超の小説を読んだんで,すごいくたびれた。
でもこれが舞城王太郎の到達点の一つであることは間違いない。
これまでに彼の持ち味を全部ぶち込んだ混沌の苗床のような作品だった。
集大成という言葉が1番しっくりくるのかな。
彼の作品に登場する探偵・ルンババや
彼のお気に入りのJDC探偵・九十九十九なんかも登場してるしね。
もうオールスター勢揃いでくどかったよ。
SFとミステリーをこれでもかと盛ったドデケェお話だった。
ある所ではヘンテコな館で名探偵が名推理を披露し,
ことごとく外しまくって死んでゆく。
始めは1人の死だったのに,そこからどんどん死んでいくいく。
真実に近づくとどんどん真実から逃げていく不思議ミステリ。
披露される推理も,現実的なものから,観念的なもの,空想的なものまで
よく一つの事件でこんな沢山の推理ができてくるもんだ。
そもそもあれは推理なんだろうか。
ほぼ全部外れてるんだけど。
挙句死んでるやつまで蘇ってハッピーハッピー!!
何を言ってるか分からないかもしれないが,これは事実だ。
そして展開される宇宙論と『虎よ、虎よ!』の主人公ように
特殊能力展開しだす始末。
舞城ミステリのオハコである,図のくるわくるわ大漁大漁。
あの図を見ると舞城ミステリだよなぁって感じがするよね。
今回はSF要素の宇宙論なんかに登場する図は,
私には意味が分からなかった。
2次元の座標に軸が3つあるという摩訶不思議。
数学的に間違ってるんだけど,
そんなのどうでもいいの,これでいいの,しったことか。
この物語はSF・ミステリすべてのジャンルを網羅している所存です。
そして間違いなく,ばかミスばかSFです。
問題は,これからだよね。
こんな集大成な作品を作ったんだから,次は新しい舞城作品が読んでみたいなぁ。
残念ながら最近の作品である『短篇五芒星』や『キミトピア』なんかは
この作品の範疇だと言わざる得ない。
この店はどれを食べても同じ味なんだよなぁってのはいいから
そろそろ新しい味を新規開拓して欲しいところです。
ちなみにこの本は舞城初心者には全くオススメできないと思う。
ウイスキーを全く飲んだことがないやつが,
ウイスキーをロックで飲んでも絶対楽しめないだろうし。
私も積んどいて長らく部屋のオブジェになっていたし。
聞くところによると,群像に掲載された『私はあなたの瞳の林檎』が
結構いいらしいので,それが単行本化されるのを期待して待ってみる。
☆☆☆☆
- 関連記事
-
- 2013/04/09(火) 23:27:12|
- 本 ☆☆☆☆
-
| トラックバック:0
-
| コメント:2